ドン・ファン

ドン・ファン

Directed by Omar Porras
Original text by Tirso de Molina and Molière etc.
Performed by Keita Mishima, Makiko Ikeda, Moemi Ishii, Megumi Ito, Manami Okano, Akihito Okuno, Kotoko Kiuchi, Tsuyoshi Kijima, Yumi Sakakibara, Miki Takii, Momoyo Tateno, Maki Honda, Yudai Makiyama, Ryo Yoshimi and Yoichi Wakamiya
 
■ 22 January at 16:00
■ 23 January at 14:00
■ 29 January at 17:00
■ 30 January at 14:00

 
Shizuoka Arts Theatre
Duration:120 minutes
演出: オマール・ポラス
作: ティルソ・デ・モリーナ、モリエール 他
出演: 三島景太、池田真紀子、石井萠水、いとうめぐみ、岡野真那美、奥野晃士、木内琴子、貴島豪、榊原有美、たきいみき、舘野百代、本多麻紀、牧山祐大、吉見亮、若宮羊市
1月22日(土) 16時開演 ・ 23日(日) 14時開演
1月29日(土) 17時開演 ・ 30日(日) 14時開演

◎ 終演後、2階カフェシンデレラで出演俳優と交流する「カフェシンデレラで逢いましょう!」があります。
◎ 23日と30日の終演後、オマール・ポラス(演出家)によるトークがあります。
静岡芸術劇場
上演時間:120分
一般大人4,000円/ペアチケット(2枚)7,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円

★SPACの会のほか、ゆうゆう割引、グループ割引、早期購入割引、リピーター・くちコミ割引などの割引料金があります。
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★静岡県内の中学生以下の方は30名までご招待あり!(お問い合わせ・お申し込みはSPACチケットセンター TEL.054-202-3399まで)

無料バス:1月23日(日)渋谷発、30日(日)浜松発、三島・富士発の無料バスを運行いたします。
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こどもたちの文化芸術鑑賞推進事業公演:
1月13日(木)、14日(金)、17日(月)、18日(火)、19日(水)、20日(木)、21日(金)、24日(月)、25日(火)、26日(水)、27日(木)、28日(金)、31日(月)、2月1日(火)、2日(水)、3日(木)、4日(金) 各日13時30分開演
※ 鑑賞事業公演の一般販売はございませんのでご了承ください。

作品について

キモカワ美しい!? 本格的な仮面劇が創り出す心躍る舞台

『ドン・ファン』は、演出家オマール・ポラスをSPACに迎えて制作した仮面劇です。オマール・ポラスは現在スイスで活躍するコロンビア出身の演出家で、鮮烈なヴィジュアルを伴う躍動感に溢れた舞台を得意とし、自身が主宰する劇団「テアトロ・マランドロ」はスイスの人気劇団になっています。そのオマール・ポラスが、2009年の夏から秋にかけて静岡に滞在し、SPAC俳優と共にこの作品に取り組みました。<コメディア・デラルテ>と呼ばれる16世紀イタリア発祥の仮面即興劇の要素を本格的に取り入れた本作は、日本人俳優が出演したものとしてはこれまでにないものとして驚きと賞賛をもって受け入れられました。仮面をつけた俳優たちは、可愛いような気味の悪いような、またどこか妖艶な雰囲気を漂わせ、絵本の世界にも似た夢のような舞台を創り上げます。オマール・ポラスの演出や極彩色の舞台美術が織りなす、独自のラテン的な世界をお楽しみください!


世紀の色男ドン・ファンの運命の物語

女たらしの代名詞として有名なドン・ファン。本作は数あるドン・ファン物語のなかからティルソ・デ・モリーナ作『セビーリャの色事師と石の招客』やモリエール作『ドン・ジュアン』等いくつかの作品をコラージュしています。ドン・ファン物語に共通する要素を繋ぎ合わせることで、女性への興味に憑かれた男ドン・ファンの生き様がより鮮明に浮き彫りになるよう構成されています。辿り着いた先々で、次々と女性を射止めては、逃げ続けるドン・ファン――。この男の追い求める生き様とは一体…。

あらすじ

イタリア・ナポリ宮廷の一室。ドン・ファンはドーニャ・イサベラに近づくため彼女の婚約者であるドン・オクタビオ公爵になりすまし、暗闇の中で彼女と関係を結ぶ。しかし正体のばれたドン・ファンは追われる身となり、宮廷の騒動を尻目にスペインへと逃亡する。スペインへの帰路、船が難破し従者のスガナレルとともにタラゴーナの海岸へ打ち上げられる。彼はそこで漁師の娘ティスベアを口説き見事に思いを遂げると、あっという間に逃げ出す。故郷のスペイン・セビーリヤに戻ったドン・ファンは、ドーニャ・アンナ・デ・ウリョアの美しさを聞きつけ、早速彼女のもとへ向う。そこで思わぬ抵抗にあい、成り行きで彼女の父ドン・ゴンサロ・デ・ウリョアを殺してしまう。またも逃亡を余儀なくされるドン・ファン、その運命やいかに…。

明るく、楽しく、心洗われる喜劇
植村恒一郎

我々はモーツァルト『ドン・ジョバンニ』とモリエール『ドン・ジュアン』はよく知っているが、それ以外のドン・ファンのバージョンには接する機会は少ない。最初の作品は、スペインの修道僧(!)ティルソ・デ・モリーナが書いた『セビーリャの色事師と石の招客』(1630)であり、モーツァルトの『ドン・ジョバンニ』(1787)以前に、演劇版だけでも計15作品がリメイクされた。それほどドン・ファンは人気作だったのだ。

オマール・ポラス演出の『ドン・ファン』は、ティルソ・デ・モリーナの原作をもとにしているので、とても貴重な上演だ。ドン・ファンの内面的性格が描かれるというよりは、全篇が、音楽と踊りと滑稽な仕草に溢れており、めちゃくちゃに楽しいドタバタ喜劇になっている。ドン・ファンは次々に女性をものにしては棄てるのだが、女性たちはいつまでも自分がドン・ファンに愛されていると錯覚し、私こそがドン・ファンの妻であると互いに争って大騒ぎする。ドーニャ・エルビラも含めて、どうも女性たちはドン・ファンその人を恨んではいないようで、最後まで女性たちはとても明るくお祭りのように騒ぐだけ。

ドン・ファンその人の人間像も、モーツァルト版やモリエール版とはかなり違う。ドン・ファンは、モーツァルト版では深みのあるキャラだが、原作では、二十歳くらいの青年で、ひたすら好色で女好きなだけ。何も考えていないアサーイ男、カルーイ男で、どうしようもなく未熟なイケメンだ。むしろ従者のスガナレルの方が、年配の男性で分別がある。「そんなことをすると、死後罰せられるぞ」とスガナレルに諭されるドン・ファンは、そのたびに、「えっ、死後なんてずっと先のことじゃん、関係ないよ」とあっけらかんとしている。要するに『ドン・ファン』は、女の子をナンパするのが大好きな貴族を好意的に描く若者劇で、ドン・ファンが特別の例外というわけでもなく、似たような友人も出てくる。今回のオマール・ポラス版では、少年のように初々しいドン・ファンが活躍するが、深刻な悲劇的様相を帯びるモーツァルト版とは大いに違う原作の味を、うまく醸し出すのに成功している。

植村恒一郎(うえむら・つねいちろう) 
群馬県立女子大学教授、哲学者。著書『時間の本性』により、第15回和辻哲郎文化賞を受賞。演劇、オペラ、映画などについても造詣が深い。

製作: SPAC (財)静岡県舞台芸術センター
協力: テアトロ・マランドロ
後援: スイス大使館コロンビア大使館

オマール・ポラス

演出家、俳優。
1963年、ボゴタ(コロンビア)生まれ。南米各地でダンスや演劇を学んだ後、20歳で渡仏。地下鉄で人形劇を上演しながら生活費を稼ぎ、ルコック演劇学校とパリ第三大学演劇科に通う。90年にジュネーヴ郊外の廃屋をアトリエに改造してテアトロ・マランドロを創立。バリ島、インド、日本などのアジア演劇の手法やメイエルホリドのビオメハニカなど、あらゆる演技法を貪欲に取り込み、人形劇やダンス、音楽などとも調和させていくポラスの演劇実験室は、ヨーロッパや南米の各地から若い俳優たちを惹きつけていった。99年には静岡でのシアター・オリンピックスに『血の婚礼』で参加、以来2009年まで計6回来静し、観客を魅了し続けている。代表作に『ユビュ王』、『貴婦人故郷に帰る』など。近年は『愛の妙薬』、『魔笛』などオペラの演出も多く手がけている。07年、コロンビア国家功労勲章を受章。


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