夜叉ヶ池 関連企画

 

写真:天守物語

写真:バックステージツアーの様子

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『天守物語』上映会

演出:宮城聰 作:泉鏡花
「ふじのくに⇄せかい演劇祭2011」のラインナップとして、
舞台芸術公園 野外劇場「有度」にて上演した際の映像です。

9月30日(日)16時30分
10月6日(土)13時30分 上映開始
<9月30日の台風17号接近により、上映日時を延期いたしました。
詳しくはこちら>

上映時間:65分
会場:舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
チケット料金:500円(要予約)
電話、窓口、WEBにてチケット好評受付中!


    (こちらをクリックしてください)

    <無料チャーターバス>
    往路 16:00劇場発→16:10公園着
        12:45東静岡駅→13:00舞台芸術公園
    復路 18:00公園発→18:15東静岡駅経由→18:25静岡駅着
        15:00舞台芸術公園→15:10静岡芸術劇場前→15:15東静岡駅→15:25静岡駅
    ※『天守物語』上映会、『夜叉ヶ池』公演は続けてご覧いただけます。

    【参考①】
    ★ふじのくに⇔せかい演劇祭2011『天守物語』公演情報

    【参考②】
    ★SPAC路上パフォーマンス〜天守物語〜の模様
    静岡駅北口地下広場イベントスペース 2011年5月28日

    【参考③】
    ★『天守物語』劇評をこちらからご覧いただけます。
    若林幹夫氏、奥原佳津夫氏 

    9月30日は『夜叉ヶ池』キモノ鑑賞デー

    ★前日までに公演チケットをご購入・ご予約いただいた方、当日キモノでのご来場で特典プレゼント!
    ★さらに!当日券:キモノでのご来場で通常4,000円が3,500円に!
    詳細はこちらをご覧ください

    「アーティスト・トーク」

    9月29日(土)、10月6日(土)の終演後に宮城聰(演出)とゲストによるアーティスト・トークを行います。
    9月29日(土):ゲスト 甲賀雅章(大道芸ワールドカップin静岡プロデューサー)
              司会:横山義志(SPAC文芸部)
    10月6日(土):ゲスト 加納幸和(劇団「花組芝居」座長)
              司会:柾木博行(演劇評論家・シアターアーツ編集長)

    「カフェ・シンデレラで逢いましょう!」

    終演後に、お客様が出演者と交流できる「カフェ・シンデレラで逢いましょう!」を開催します。

    『夜叉ヶ池』バックステージツアー

    9月30日(日)15時45分スタート(予定)
    会場:静岡芸術劇場
    案内人:SPAC創作技術部
    案内時間:45分(予定)
    参加無料(要予約)
    定員:40名 *ご好評につき、定員に達しました。

    静岡から社会と芸術について考える合宿WS

    10月6〜8日にかけて「静岡から社会と芸術について考える合宿WS」を開催いたします。
    詳細はこちらをご覧ください。

夜叉ヶ池

 

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宮城聰
Satoshi MIYAGI
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出は、国内外から高い評価を得ている。07年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、また、静岡の青少年に向けた新たな事業を展開し、「世界を見る窓」としての劇場づくりに力を注いでいる。代表作に『天守物語』『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。

夜叉ヶ池の秘密に近づき、失踪した東大生。
その足跡を追う友人が見た真実とは―
泉鏡花が母=自然への思慕の念を昇華させた、
人と異界のちぎりの物語!

演出:宮城聰

作 :泉鏡花

音楽:棚川寛子
舞台美術:深沢襟
衣裳:竹田徹

出演:永井健二、布施安寿香、奥野晃士、たきいみき、春日井一平、木内琴子、黒須芯、桜内結う、鈴木真理子、大道無門優也、中野真希、牧野隆二、三島景太、吉植荘一郎、若宮羊市

公演情報

静岡芸術劇場

9月29日(土)16時開演、30日(日)14時開演、10月6日(土)16時開演

上演時間:90分

◎「アーティスト・トーク」
9月29日(土)、10月6日(土)の終演後に宮城聰(演出)とゲストによるアーティスト・トークを行います。
9月29日(土) ゲスト:甲賀雅章(大道芸ワールドカップin静岡プロデューサー) 司会:横山義志(SPAC文芸部)
10月6日(土) ゲスト:加納幸和(劇団「花組芝居」座長)
          司会:柾木博行(演劇評論家・シアターアーツ編集長)
◎「カフェ・シンデレラで逢いましょう!」
終演後に、お客様が出演者と交流できる「カフェ・シンデレラで逢いましょう!」を開催します。
◎『夜叉ヶ池』キモノ鑑賞デー(詳細はこちら)
★前日までに公演チケットをご購入・ご予約いただいた方、当日キモノでのご来場で特典プレゼント!
★さらに!当日券:キモノでのご来場で通常4,000円が3,500円に!

関連企画の詳細はこちら

泉鏡花×宮城聰。舞台の醍醐味が凝縮されたSPACの人気作品!

大正初めの山深い村里を舞台に、神・霊・妖怪・伝説が織りなす美しい幻想世界を描いた、泉鏡花の傑作戯曲『夜叉ヶ池』を、SPAC芸術総監督・宮城聰が壮麗に描いた本作。現代演劇としてのクオリティの高さはもちろん、“お芝居”の醍醐味を楽しめるSPACの人気作品です。美しく艶やかな衣裳、舞台に満ち心を揺さぶる棚川寛子の音楽と俳優たちの生演奏、迫(せ)りや紗幕(しゃまく)など、演劇専門の劇場ならではの仕掛けを駆使した演出は、観客の目と耳を捉えて離しません。また俳優ひとりひとりの個性が際立つ、魅力的な作品でもあります。「ふじのくに⇔せかい演劇祭2011」でも上演され絶賛を博した『天守物語』とともに、鏡花作品を心躍る舞台に昇華させた本作にご期待ください。

あらすじ

京大の教授・山沢学円は、訪れた山奥の村で、美しい孤児の娘・百合と出逢う。彼女と共に暮らしていたのは、2年前から行方不明の学友・萩原晃であった。その昔、村人たちは夜叉ヶ池の竜神とある約束を交わしていた。「日に三度の鐘をつくこと。さもなければ竜神は池を飛び出し、大水で村を池の底に沈めてしまう…。」その伝説を聞いた萩原は、百合と村の人々を守るために、鐘つきの老人からその役目を引き継いでいたのだ。一方、夜叉ヶ池の主・白雪姫は、山向こう千蛇ヶ池の若君に恋をしていた。先祖代々の約束により池を離れられない白雪姫は、恋しい人に会いたい一心で鐘を壊そうとするが……。そんな中、日照りが続いた村では、村人たちが百合を生贄に雨乞いをしようと企んでいた。

中高生鑑賞事業公演

SPACでは静岡県の中高生のための公演を行っています。
一般のお客様もご観劇いただけます。
9月25日(火)、10月1日(月)、2日(火)、3日(水)、4日(木)、5日(金)
各日13時30分開演
※このほか、磐田市での鑑賞事業もございます。
※9月25日の『夜叉ヶ池』鑑賞事業公演は、学校側の事情により、公演中止となりました。

チケット情報


  • チケット好評発売中!
    チケット料金
    一般4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
    ☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。
    ※鑑賞事業公演の一般販売は電話・窓口のみでのお取り扱いになります。
    (限定数販売/お問い合わせはSPACチケットセンターまで)

ソウル・オブ・ソウル・ミュージック

 

新鮮な表情を見せる古曲と深遠な新作曲が、
韓国伝統音楽の「いま」を伝える

韓国ドラマやK-POPの流行によって、韓国の現代文化は広く知られるようになりましたが、伝統音楽については意外と知られていません。今回演奏されるのは韓国を代表する、伝統弦楽器コムンゴ(玄琴)とカヤグム(伽倻琴)。この2つの楽器による古典楽曲に加え、現代的な要素を取り入れた新作曲が、今なお新しい発展を遂げ続ける韓国伝統音楽の魅力を伝えてくれます。

からだで聴く音、魂を振るわす弦
―「楕円堂」に響き渡る美しき悠久の音色

会場は、舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」。荘厳にして静謐な印象を漂わせて佇むこの小空間に、荒々しく弦を弾くコムンゴの勇壮な音色と、清らかで繊細な旋律を奏でるカヤグムの音色が響き渡ります。国内外の多くの演劇人たちを魅了してきた「楕円堂」の神秘的な空間に身を浸し、アジアの悠久の音楽をからだで感じて下さい。

公演情報

日本初演  音楽/韓国

■公演日時
6月30日(土)15時30分開演/16時40分開演
7月 1日(日)12時30分開演
◎7/1の終演後にキム・ソンヒョ(コムンゴ奏者)、カク・ジェヨン(カヤグム奏者)と宮城聰によるアーティスト・トークを行います。

上演時間:約40分

■会場
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」

■チケット
一般大人:2,000円/大学生・専門学校生・高校生以下1,000円

STAFF / CAST

出演:キム・ソンヒョ[コムンゴ(玄琴)]
カク・ジェヨン[カヤグム(伽倻琴)]

後援:駐日韓国大使館 韓国文化院

出演者プロフィール

キム・ソンヒョ KIM Seon-Hyo

漢陽大学音楽科及び同大学院博士課程修了。2000年よりソウル市国楽管弦楽団団員。同楽団のソリストとして活躍。2010、11年「アジア舞台芸術祭」で来日、演奏。日本、トルコ、ベトナム、ロシアなど海外公演に多数参加。


カク・ジェヨン KWAK Jae-Young

漢陽大学音楽科及び同大学院博士課程修了。2001年よりソウル市国楽管弦楽団団員。同楽団の首席奏者として活躍。日本、台湾、ロシア、アメリカ、オーストラリアなど海外公演に多数参加。

楽団プロフィール

ソウル市国楽管弦楽団 
Seoul Metropolitan Traditional Music Orchestra

1985年に韓国初のオーケストラ構成の国楽楽団として設立された。これまでに310回の定期演奏会と1500回の特別演奏会をはじめ、日本、台湾、インドネシア、タイ、シンガポール、フランス、アメリカなど世界各地で公演を行っている。同楽団は、伝統音楽を基盤とする現代的な創作楽曲を作曲家に数多く依頼し、有望な楽曲や作曲家の発展、育成に取り組み、国楽創作音楽発展の礎となった。また、国楽を身近に接することのできる多様なプログラムを開発し、韓国伝統音楽の普及にも貢献している。

コラム

ジャコのお姉さんはお隣にいる
中野成樹

「こ、こいつぁ! まるでジャコパスじゃねーか!」
私がコムンゴという楽器に出会ったのは2010年秋のことです。アジア圏のアーティストが集い、ちょっとした小作品を創ってみようという場(「アジア舞台芸術祭2010」ワークショップ発表@水天宮ピット)でのことでした。顔合せ、なんとなーくの流れで、自己紹介がてらそれぞれの特技を披露し合うことになりました。そこでキム・ソンヒョさんのコムンゴ独奏を生まれてはじめて聴き、で、瞬時にぞっこんです。「ジャコパスのルーツを見つけた!」とひとり大はしゃぎしたりして。ちなみにジャコパスってのは、ジャコ・パストリアスというジャズ・フュージョンのベーシストで、ミュージシャンなら知らぬ者はいないだろう“エレクトリックベースの革命児”。それまでの「重要だけど、やっぱ地味だよね」という悪しきベースへのイメージを一変させた人です。彼のプレイは、ベースなのにベースじゃないんですね。倍音(ハーモニクス)でメロディーガンガン弾くわ、ディストーションバリバリきかせるわ、アンサンブルの圧倒的な主役になっちゃうわで。もはやギターか?
いっそピアノか? いや、しかしやはりそれはただのベースで。ありきたりな言葉ですが、まさに変幻自在。変な幻が自分の中に在って、それを迷わず外に表明していく感じ。そんなジャコが僕はずっと大好きでした。そう、なので、ヒョさんの演奏を聴いたとき、僕は、本当に無意識に彼女とジャコを重ね合わせ、「あ、ジャコのお姉さんがいる」なんて思って。「ジャコのお姉さんは、韓国の人で、こんな伝統楽器をやってる人だったんだ」「うわー、じゃあ、ジャコってお姉さんに影響うけまくってたんだなあ……」とかね。様々な技巧を使い複雑な感情を表現する、正直極まりない音。そりゃ、ジャコも憧れるわ。そんな音を鳴らす楽器が昔っかーらあったんですね、お隣に。知り合えて本当によかった。さて、お姉さん、今回はどんなプレイをしてくれるのかな?
楽しみです。

中野成樹(なかのしげき)
1973年東京生まれ。演出家。中野成樹+フランケンズ主宰。有明教育芸術短期大学講師。好きな演劇人:モリエール、シング、チェーホフ、ブレヒト、ワイルダー、串田和美、松井周、岡田利規、など。好きな音楽:吹奏楽、筋肉少女帯、など。

おたる鳥をよぶ準備

 

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10周年の新作世界初演は静岡で。
ツアー唯一の野外公演を敢行!!

黒田育世率いる女性だけのダンスカンパニーBATIKは、今年結成10周年を迎えます。この節目の年、黒田個人にとってもカンパニーにとっても、一つの区切りとなる新作初演の地に選ばれたのは、舞台芸術公園の野外劇場「有度」。BATIK結成の翌年、静岡芸術劇場での『SIDE
B』上演で、SPACダンス・フェスティバル2003優秀賞に輝いた彼女たちにとって、静岡は特別な場所でもあります。静岡での初演の後(野外での上演は静岡のみ)、本作は伊丹、名古屋、東京と日本各地を巡ります。

「おたる鳥」という言葉に込められた黒田育世の想いとは――。

「おたる鳥」は黒田育世自身による造語です。「おたる」とは「満ち足りて体が動き出すこと」であり、「おどる」の語源とされています。「おたる」が鳥になって、自分の体をついばみ、国境を超えて世界のどこかへ運んでいってくれたら――。「私が死んだ時に、世界のどこかで、同じように誰かが踊っていることを思い出して、喜んでほしい。」そう願う黒田が、「死ぬ準備」として創り始めたというこの作品は、同時に「生きて出会うことへの讃歌」にほかなりません。10年間共に踊り続けてきた仲間たちと創り上げる、新たな「死と再生」の表現に期待が高まります。

公演情報

世界初演  ダンス/日本

■公演日時
6月30日(土)、7月1日(日) 各日18時開演
◎6月30日の開演前と終演後にカチカチ山で「フェスティバルBar」を営業いたします。

上演時間:約180分(途中休憩含む)[予定]

■会場
舞台芸術公園 野外劇場「有度」

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

構成・演出・振付:黒田育世

振付・出演:
BATIK(伊佐千明、植木美奈子、大江麻美子、梶本はるか、田中美沙子、寺西理恵、中津留絢香、西田弥生、矢嶋久美子、黒田育世)

音楽:松本じろ

共同製作:
愛知芸術文化センター、アイホール(伊丹市立演劇ホール)、
SPAC‐静岡県舞台芸術センター

製作:BATIK  制作協力:ハイウッド

演出家・振付家・出演者プロフィール

黒田育世(くろだ・いくよ)

BATIK主宰、振付家・ダンサー。6歳よりクラシックバレエをはじめる。谷桃子バレエ団に所属しながら1997年渡英、コンテンポラリーダンスを学ぶ。2000年より伊藤キム+輝く未来で活動。02年にBATIKを設立。カンパニーでの活動に加え、飴屋法水、古川日出男、笠井叡、野田秀樹などさまざまなアーティストとのクリエーションも多い。映画『告白』(中島哲也監督/10年)への出演も話題となった。

カンパニー・プロフィール

BATIK
黒田育世の振付によるダンスカンパニー。2002年に活動を開始し、『SIDE B』、『SHOKU』、『花は流れて時は固まる』、『ペンダントイヴ』などの作品を次々と発表。バレエを基礎に、身体を極限まで追いつめる過激でダイナミックな振付けは、踊りが持つ本来的な衝動と結びつき、ジャンルを超えて支持されている。海外でも公演多数。03年SPACダンス・フェスティバル「優秀賞」、03年トヨタコレオグラフィーアワード「次代を担う振付家賞」、04年「朝日舞台芸術賞」、06年「舞踊批評家協会賞」を受賞。
http://batik.jp/

コラム

身体を越えて、生命を踊らせるために
乗越たかお

 黒田育世は、デビュー以来、十年以上にわたって強烈な作品群でダンス界を牽引してきた。生命の奥底にまで分け入り、原初の力を引きずり出し、隣接する死の脈動までをも描き出してきたからである。ここ数年は『ペンダント・イヴ』(06年)で「誕生」について深く描き、『矢印と鎖』(09年)では様々な事情を背負いながら生きる人々の姿を重ね、『あかりのともるかがみのくず』(10年)では「母」という存在を重厚に描いた。いずれにも断固として生き続ける意志が舞台に充溢していた。しかし黒田いわく、本作は「死ぬ準備のための作品」だという。一見すると後ろ向きの印象を持つかもしれないが、決してそういうわけではない。
 タイトルの「おたる」とは、「感情が満ち足りて身体が動き出す」という意味だという。「おたる鳥」とは黒田による造語。おたるが鳥となって自分を食べてくれないだろうか、そして国境もなにも超えて空を飛んでいってくれないだろうか……。
プロトタイプ版は2011年に朗読企画で上演されたが、この時点でかなり本気の「ダンス作品」に仕上がっており、観客を驚かせた。しかしSPACが世界初演となる本公演では、さらに大きく作り替え、生と死を新しく捉え直す作品となるだろう。
 かつて「ダンスを踊る、ではなく、もうダンスそのものになってしまいたい」と言っていた黒田が、今回はこう語っているのだ。
「こうしている間、たくさんの人が死んでいて、私が死ぬ時も誰かがきっと夢のように踊っているだろうと思います」
 思い出されるのは昨年の震災である。日本全体が巨大な死を目にした。灰色の水が、無慈悲なくらいなめらかに人々と建物、そして生活を呑み込んでいった。さらには原発の事故という「絶望ギリギリの日常」を我々は生きている。おそらく本作で直接震災を扱うことはないだろう。そもそも震災に限らず、これまでも世界は、いつも悲劇に満ちていたのだ。ただし同時に、身体いっぱいに満ちた感情で踊っている「おたる」者も絶えずいた。そうやって世界はつながってきた。「死ぬ準備」とは「終わりへの準備」ではなく、ひとつの身体の死を越えて踊り継がれる、世界の連環を識ることなのではないだろうか。
 そしてダンスとは、本来そのために在るものだったのだ。
 鳥に食われた種子が遠くに運ばれて芽吹くように、「今」を生き抜いている瀬戸際の身体から放たれたダンスが、我々観客ひとり一人の身体の中で育っていく。誰しも死は避けられないが、死の準備によって、日々の生を何度でも慈しむことができるだろう。黒田の覚悟を、刮目して待ちたい。

乗越たかお(のりこし・たかお)
作家・ヤサぐれ舞踊評論家。ベストセラーとなった『コンテンポラリー・ダンス徹底ガイドHYPER』(作品社)や、『ダンス・バイブル』(河出書房新社)、『どうせダンスなんか観ないんだろ!?』(NTT出版)など著書多数。

春のめざめ

 

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「赤ちゃんはどうやったらできるの?」
性にめざめ始めた子どもたちの悲劇

「子どもたちの悲劇」というサブタイトルを持つ本作は、性にめざめ始めた10代の少年少女の姿を赤裸々に描くと同時に、彼らを取り巻く無理解な大人たちや、19世紀末の抑圧的な道徳観を痛烈に批判した社会風刺劇です。ストレートな性描写、10代での妊娠・中絶死、暴力、やがて起こる友の自殺――。その過激さゆえに発表当時(1891年)のドイツでは社会問題にまで発展し、以後1906年まで上演を禁じられていたという、いわくつきの作品です。ブロードウェイミュージカルにもなった本作を、ポラスがどのように演出するのかに注目です。

SPACの盟友9度目の来静
見ると忘れられない独自のワールド

オマール・ポラス待望の新作が、欧州ツアーを経て、いよいよ日本に上陸します。「ふじのくに⇄せかい演劇祭2011」では、震災の影響でメンバーが渡航を断念する中、自らは来日を敢行し、わずか16日間で『シモン・ボリバル、夢の断片』SPAC共同制作版を作り上げました。震災後の日本の観客を前に、からだひとつでも演劇は続けられることを、自らの身をもって証明した彼の姿には多くの人々が心打たれました。本作では、奇抜なメイクアップをした俳優たちや、どこかおぞましさすら覚える舞台装置が登場しますポラス独自の世界観を、今年も静岡で堪能してください。

公演情報

日本初演 演劇/スイス、コロンビア

■公演日時
6月30日(土)13時開演・7月1日(日)14時30分開演
◎7月1日終演後にオマール・ポラス(演出)と宮城聰によるアーティスト・トークを行います。

上演時間:105分
フランス語上演/日本語字幕

■会場
静岡芸術劇場

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

演出:オマール・ポラス

作:フランク・ヴェデキント

出演:
ソフィー・ボット、オリヴィア・ダルリック、ペギー・ディアス、アレクサンドル・エテーヴ、アドリアン・ジギャクス、ポール・ジャンソン、ジャンヌ・パスキエ、フランソワ・プロー、アンナ=レーナ・シュトラーセ

翻訳・翻案:マルコ・サッバティーニ、演出助手:ジャン=バティスト・アルナル、作曲・音楽監督:アレッサンドロ・ラトチ、美術:アメリー・キリツェ=トポール、衣裳:イレーヌ・シュラッテール、衣裳助手:アマンディーヌ・リュチャマン、衣裳製作:セシリア・モッティエ、かつら・メイク:ヴェロニク・グエン、かつら・メイク助手:ジュリー・デュリオー、技術監督:オリヴィエ・ロレタン、舞台監督:ジャン=マルク・バッソーリ、小道具:ローラン・ブーランジェ、音響デザイン:エマニュエル・ナッペー、照明デザイン:マティアス・ロッシュ、制作:フロランス・クレットル、広報:サラ・ドミンゲス、ロジスティクス:リュシー・ゴワ、会計:ロサンジェッラ・ザネッラ

製作:テアトロ・マランドロ
共同製作:フォロム・メイラン劇場、エスパス・マルロー シャンベリー・サヴォワ国立舞台、シャトーヴァロン国立文化創造発信センター
助成:ジュネーヴ市、ジュネーヴ共和国・ジュネーヴ郡文化部、メイラン市、プロ・ヘルヴェティア
スイス文化財団、ロトリー・ロマンド、メイラン市文化・スポーツ・社会事業推進財団、ハンス・ヴィルスドルフ財団、レーナールト財団
後援:スイス大使館
※テアトロ・マランドロはフォロム・メイラン劇場のレジデントカンパニーです。

★春のめざめ(テアトロ・マランドロ公式サイト)

演出家プロフィール

オマール・ポラス Omar PORRAS

演出家、俳優。1963年、ボゴタ(コロンビア
)生まれ。南米各地でダンスや演劇を学んだ後、20歳で渡仏し、ルコック演劇学校とパリ第三大学演劇科に通う。90年にジュネーヴ郊外の廃屋をアトリエに改造し、テアトロ・マランドロを創立。バリ島、インド、日本などのアジア演劇の手法や、コメディア・デラルテ、メイエルホリドのビオメハニカなど、あらゆる演技法を貪欲に取り込み、人形劇やダンス、音楽などを調和させていく独自の演劇スタイルを確立。99年、静岡でのシアター・オリンピックス以来、計8回来静。代表作に『ユビュ王』、『貴婦人故郷に帰る』など。近年は、オペラの演出も多く手がけている。2007年、コロンビア国家功労勲章を受章。

作家プロフィール

フランク・ヴェデキント Frank WEDEKIND (1864-1918)
劇作家。ドイツ表現主義の先駆者、性の問題を根源的に追求した作家として知られる。1864年、ハノーファー(ドイツ)生まれ。ミュンヘンでの大学時代、カール・ヘンケルやゲルハルト・ハウプトマンら自然主義文学の作家と交流する。その後、マギー社(現ネスレ社)の広報部勤務を経て、フリージャーナリストとして活動。1888年、父が他界すると、莫大な遺産を相続し、作家活動の自由を得る。1891年、『春のめざめ』を発表し、95年頃より作家活動を本格化させる。1898年には、皇帝のパレスチナ訪問を風刺する詩を発表し、不敬罪に問われる。『地霊』(1896年)、『パンドラの箱』(1904年)は、アルバン・ベルクにより『ルル』としてオペラ化された。

コラム

「ひっぺがす」男、オマール・ポラス
貴島豪

絨毯は床に敷くものである。
が、彼、オマール・ポラスにとって絨毯は「ひっぺがす」ものらしい。
「足元の絨毯をひっぺがしてやるんです。」稽古などで彼はよく口にする。「引く」や「足元をすくう」ではなく、あくまで「ひっぺがす」が彼を見ている限り、多分、妥当である。
彼にとって「ひっぺがす」とは、大いなる愛情であり、果てしない挑戦であり、常に驚いていたい自分であり、子供のようなピュアな眼(まなこ)の奥から発露する悪戯心であり……多分、彼の人生そのものなのだ。
例えば稽古。舞台の上で俳優は往々にして「生」の輝きを失ってしまう。立ち止まり、滞ってしまう。慣れであったり、安心感であったり、行き詰まりだったり……。そこで彼は愛情をもってその足元の絨毯を「引っぺがす」。本番時間前だろうが厭わない。それによって息づき始める「生」の鼓動を絶対的に信じてるのだ。そしてそれを眺めて「ホレ、見ろ」と言わんばかりにほくそ笑んでたりするのだ。
例えば去年。コロンビア建国200周年記念事業、テアトロ・マランドロ20周年という彼のこれまでの集大成のような作品として、静岡でも上演されるはずだった『シモン・ボリバル、夢の断片』が、大震災の影響で来日予定のメンバーが渡航を断念し、公演自体頓挫しかけるという、それこそ彼自身の足元が「ひっペがされた」時。――寧ろ僕には、そういう時こそ彼は来る、という確信はあったが――そんな時こそ彼は表現をやめないし、彼にとっては普段の行為―彼の真骨頂―だ。それを分かち合えるチャンスでもあったから、「一緒にやろう」と声をかけてくれた時には本当にうれしかった。……そうして僅か16日間でSPACとの共同製作として全く新しい顔をした『シモン・ボリバル』が生まれることになるのである。
色々書き足りないが、そうやって「ひっぺがし」ながらクリエイトしてくる彼の舞台にはいつも、生への希求、魂の鼓動があって、愛と悪戯に満ち溢れている。99年『血の婚礼』以来9度目の来静になるが、彼自身のスタンスは変わらない。新作『春のめざめ』だなんて題名を聞いただけでも興奮する。いつだって新鮮な驚きとともに足元を「ひっペがされる」に違いないから。
――あれ、チト褒め過ぎたかな、とチラッと横目で彼を見たりすると、あのピュアな眼の奥で少しばかり照れ笑いをして「オツゥカレサマデシタ〜」と劇場を後にして、夜通し酒を喰らい、サルサを踊っていたりする。それが「ひっぺがす」男、オマール・ポラスである。

貴島豪(きじま・つよし)
SPAC俳優。どんな作品のどんな役でも、その個性で観客に強烈な印象を残す、非常に奥行きのある怪優。オマール・ポラス演出作『ドン・ファン』『シモン・ボリバル、夢の断片』に出演。「ふじのくに⇄せかい演劇祭2012」では『ペール・ギュント』に出演。

キリング・フィールドを越えて

 

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大量虐殺からの生存者が、自らの言葉と身体で語る真実

「キリング・フィールド」 とは、ポル・ポト政権下のカンボジアで、大量虐殺が行われた刑場跡の俗称です。本作は、当時を生き延びた宮廷舞踊の踊り手を主人公に、複数の経験談を綴りながら、苦難の記憶を舞台化します。出演者は、全員がポル・ポト時代の生存者です。彼女らの生き証人としての語りや舞踊に加え、伝統的影絵での描写や、虐殺博物館を訪問する映像を交えながら、不条理かつ過酷な時代の現実に迫ります。2001年の初演以来、ヨーロッパを中心に世界各国を巡り、アジアの悲劇的歴史の現実とその生々しさを伝えてきた作品が、この夏ようやく日本初演を迎えます。

ドキュメンタリー・スタイルでみせる、
注目の演出家オン・ケンセン

オン・ケンセンは、シンガポール人としての自らのアイデンティティーを問い続け、「今、アジアで芸術家として生きるとはどういうことか」というテーマのもと、緻密なフィールドワークで出演者達の記憶を辿りながら本作を構成しました。自身が提唱する「ドキュ・パフォーマンス」(ドキュメンタリー+パフォーマンスという意の造語)の手法に基づき、現代的な映像表現やカンボジアの伝統舞踊や影絵を取り入れ、アジアの地域史と芸術の見事な融合を果たしました。永く閉ざされ、当事者が語ることは殆どなかったポル・ポト時代の記憶と真実に、外国人演出家が果敢にも向き合い、そして紐解いた、新しい形の舞台芸術です。

公演情報

日本初演  ドキュメンタリー・パフォーマンス/カンボジア、シンガポール

■公演日時
6月23日(土)12時30分開演・24日(日)17時開演
◎24日終演後にオン・ケンセン(構成・演出)と宮城聰によるアーティスト・トークを行います。
ゲストに、山中ひとみ氏(カンボジア古典舞踊家)をお招きし、宮城聰とのアーティスト・トークに変更となりました。

上演時間:135分(途中休憩含む)
クメール語・英語上演/日本語資料

■会場
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

構成・演出:オン・ケンセン

翻訳:カン・リティサ

出演:エン・ティアイ、トン・キム・アン、キム・ブン・トム、マン・コサル 、福岡ユタカ(エン・チャン)

ボーカル・作曲:福岡ユタカ(エン・チャン)

照明デザイン:トマス・ドゥン
映像:ヌーリナー・モッド

製作:シアターワークス(シンガポール)
助成: National Arts Council (Singapore)(予定), Singapore International Foundation(予定)
後援: シンガポール共和国大使館、カンボジア王国大使館

★キリング・フィールドを越えて(プロモーション映像)

演出家プロフィール

オン・ケンセン ONG Keng Sen / 王景生

演出家。1963年シンガポール生まれ。大学在学中の88年「シアター・ワークス」に参加。95年、アメリカ合衆国ニューヨーク大学大学院修士号(パフォーマンス研究)を取得。留学と前後して、演出作品が日本や欧米でも上演され、その名が世界的に知られるようになる。94年から取り組み始めた「フライング・サーカス・プロジェクト」では、アジアと欧米から古典芸能と現代芸術、また舞台芸術にとどまらない多様なアーティストを招いて画期的な交流事業を活発に行う。99年にはアジアとヨーロッパ間の芸術交流を促進するアーツ・ネットワーク・アジア(ANA)を創設。03年、シンガポール政府より文化勲章(演劇部門)を受章。10年、福岡アジア文化賞(芸術・文化賞)を受賞。

出演者プロフィール

エン・ティアイ EM Theay

カンボジアの古典舞踊家。7歳で王立古典舞踊団の研修生となる。その後15歳で主席ダンサーとなり、20年その職を務める。1975年の政変により強制移住と過酷な重労働を課せられ、活動中止を余儀なくさせる。ポル・ポト政権の崩壊により79年から活動を再開。荒廃した伝統の復興に携わるべく、国立舞踊団や王立文化芸術大学で指導にあたり、現在もなお、舞踊家や歌い手としてアジア、ヨーロッパ、アメリカで幅広く活躍中。新しい世代へ技を伝え、発展させるべく今もなお意欲的に活動を続けている。

コラム

『キリング・フィールドを越えて』上演に寄せて
紺野美沙子

はじめてカンボジアを訪問した1999年、トゥール・スレン虐殺博物館へ行きました。罪もない人々、国造りを担う知識層や芸術家が殺されたと知りました。特にショッキングだったのが、母親の手から奪われた赤ちゃんが目の前で殺される絵。見学を終えた時は衝撃で打ちのめされ、本当に歩けませんでした。地面の赤い土さえも、無実のまま殺された人々の叫びに見えた程です。ポル・ポト政権下の時代は、私が大学に入った頃でした。国際情勢には全く目を向けず、お気楽な女子大生でキャンパスライフを謳歌していたことには、今思うと愕然とします。
この作品は出演者の証言一つ一つが、あまりにも重い。事実の重みというか、百万人以上の方が亡くなっているということですから、辛くても、目をそむけることができない歴史なのだと感じました。主演の踊り手さんが、カンボジアの大地や自然、伝統といった重みを全部背負って表現しているようでした。舞踊団の仲間も大多数が殺されたそうですが、そういった人たちの分まで踊り続けているように見えました。日本では、ポル・ポト政権下で何が行われたかご存知ない方も多いでしょう。彼女が多くの困難を乗り越えてアプサラ(天女)の舞いを静岡で踊り、ドキュメンタリー演劇という形で表現するというのは稀有な機会だと思います。
この話は、今日の平和なカンボジアからは想像もできません。世界どこでもそうですが、戦争があり、悲しみや苦しみがある中を人は生きています。カンボジアの人も痛みを抱えながら、でも普段はそれを出さずに額に汗して働く。それは日本もカンボジアも同じではないでしょうか。誰かの痛みを本当に理解することはできませんが、理解しようと努めたり、事実を知って思いやりを持つだけでも違います。観光ツアーは今でこそ沢山ありますが、今日の経済発展の裏にはこういう歴史があるということを知れば、アンコール遺跡もまた違って見えてくるかもしれません。カンボジアへ行ったことがなくても、演劇を通じて想像力を働かせて見てほしいです。これは想像力を働かせざるをえない作品だと思います。明るく楽しい物語もいいですが、たまにはこういうピリっとしたものを、気合を入れてご覧いただくのもよいと思います。(談)

紺野美沙子(こんの・みさこ)
俳優、国連開発計画(UNDP)親善大使。テレビ・映画・舞台に活躍。UNDP親善大使として国際協力の分野でも活動。「紺野美沙子の朗読座」主宰。音楽や映像など様々なジャンルのアートと朗読を組み合わせた公演を定期的に続けている。本年7月、俳優座劇場にて「日本の面影」(作:山田太一)に出演する。

ライフ・アンド・タイムズ――エピソード1

 

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オフ・ブロードウェイの注目株が初来日!
世界を虜にしたミュージカルが静岡に

ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマは、演出家のパヴォル・リシュカとケリー・コッパーが主宰する、ニューヨークを活動拠点としたパフォーマンス・グループです。「ニューヨーク・タイムズ」紙のほか、代表的なカルチャー紙「ヴィレッジ・ボイス」からも注目の劇団として高い評価を受けており、2008年にはオビー賞(トニー賞に次ぐ権威ある賞)を受賞。まさに今風の、痛快なまでの身体性とウィットを感じさせる作品で、ヨーロッパ各地でも上演を重ねています。客席を活気で満たす彼らの、初の来日公演に、ご期待ください。

たった一つの質問から始まった壮大なプロジェクト

「あなたのライフストーリーを聞かせてもらえる?」というたった一つの質問に、延べ16時間にわたって答えた女性の言葉を、そのまま一語一句残さず歌詞にするという、壮大なミュージカル・プロジェクト、それが『ライフ・アンド・タイムズ』です。2009年にエピソード1を初演。12年1月にはエピソード3&4を上演しており、全エピソードが完成すると、上演時間は24時間に及ぶといいます。電話口で自身の人生を語った女性は、フルート奏者としてこの作品に出演。今回上演するエピソード1では、彼女の誕生から8歳までの記憶の断片がつづられます。

公演情報

日本初演  ミュージカル/アメリカ

■公演日時
6月16日(土)13時30分開演、17(日)13時開演
◎終演後にパヴォル・リシュカ、ケリー・コッパー(構成・演出)と宮城聰によるアーティスト・トークを行います。

上演時間:210分(途中休憩含む)
英語上演/日本語字幕

■会場
静岡芸術劇場

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

構成・演出:パヴォル・リシュカ、ケリー・コッパー
(クリスティン・ウォラルとの電話での会話をもとに)

出演:イラン・バカラック、ガベル・アイベン、アンヌ・グリッドレイ、
マシュー・コラヘ、ジュリー・ラメンドーラ、アリソン・ワイズガル

音楽:ロバート・M・ヨハンソン
美術:ピーター・ニグリーニ
演奏:ダニエル・ガワー、ロバート・M・ヨハンソン、クリスティン・ウォラル
プロンプター:エリザベス・コナー
ドラマターグ:フロリアン・マルツァッハー
プロダクション・マネージャー:ダニー・ナイアマン

製作:ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ、ブルク劇場(ウィーン)
共同制作:Internationales Sommerfestival Hamburg, Kaaitheater Brussel, Théâtre de la Ville Paris, Internationale Keuze Festival Rotterdamse Schouwburg, and the Wexner Center for the Arts at The Ohio State University
支援:The MAP Fund, a program of Creative Capital, supported by the Rockefeller Foundation
後援:在名古屋米国領事館・名古屋アメリカンセンター

★ライフ・アンド・タイムズ――エピソード1(ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ公式サイト)

演出家プロフィール

1992年、ニューハンプシャー州・ハノーヴァーのダートマス大学で2人は出会う。95年よりニューヨークにて、パフォーマンス、映像、ヴィジュアルアート・インスタレーションの共同創作を始める。2005年より「ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ」の名称を正式に用いて活動する。電話での会話をもとにした4時間半にわたるパフォーマンス『No Dice』で一躍脚光を浴び、2008年オビー賞受賞。同年、ザルツブルク音楽祭では『ロミオとジュリエット』で若手演出家賞受賞。劇団としての活動の他に、これまでに共同でアニメーション映画を創作し、現在は書籍を執筆中。ノルウェー・シアター・アカデミーなどでパフォーマンスの指導にもあたる。

劇団プロフィール

演出家のパヴォル・リシュカとケリー・コッパーの2人が率いる、ニューヨーク、ブルックリンのパフォーマンス・グループ。劇団名は、カフカの小説『失踪者(Der Verschollene)』(出版当初のタイトルは『アメリカ(Amerika)』)の主人公が向かう最後の地「オクラホマ野外劇場 (Nature theater)」に依拠している。2005年、『Poetics: a ballet brut』にて活動を開始。『ライフ・アンド・タイムズ』は「ベルリン・テアタートレッフェン2010」公式セレクションとされた。誰もが等身大に受け止められる状況を描き、舞台を飛び越えて私たちの日常への認識を変化させる作品を生み出している。

コラム

ネイチャー・シアター・オブ・オクラホマ
岩城京子

たいがい自分の想い出は他人にはさっぱりおもしろくない。ひとりよがりで、自己完結的で、こちらがまったく関与しない固有名詞が大量に使われるからだ。結果、話し手だけが「幼稚園時代の初恋」や「甲子園での武勇伝」に心地よく耽溺し聞き手は置いてきぼりをくらうはめになる。だからネイチャー・シアター・オブ・オクラホマという、カフカの未完小説『アメリカ』の最終章からグループ名を取る米国の演劇集団が、3時間半に及び、役者の子供時代の想い出を歌い踊ると聞いたときには、欧米圏の小劇場界で彼らが話題だという情報は耳にしていたものの、あまり、食指が動かなかった。
しかしなんであれ、食わず嫌いはやはりいけない。なぜなら、このひどく短見的で個人的な経験から生じた思い込みは、昨年5月にシンガポール・アーツ・フェスティバルで彼らの近作『ライフ・アンド・タイムズ――エピソード1』を目の当たりにして完全に覆されたからだ。実生活では夫婦である演出家のケリー・コッパーとパヴォル・リシュカの二人は、「演劇とは、人、時間、空間、を用いるとてもシンプルな表現だ」と語り、実際に余剰要素をいっさい排して、いくつかの楽器と何人かの役者となにもない空間を用いて、演劇体験においてもっとも大切である観客の想像力(と、ここでは記憶も)を見事に喚起してみせる。
成功の鍵は、主題となる役者が電話口でコッパーに語ったという16時間にわたる想い出を、一言一句そのままセリフとして語る、無駄が多く余談だらけで、本音と作りごとがまぜこぜで、だからこそ想像の余地が広がる圧巻の口伝技術にある。蟻まんじゅうを食わされた話、えらく無口な父親の話、学校のお泊まり教育で寝間着をバカにされた話。それらが「あのときの、あの話をしてるんだけど〜♪」「なくもないかもしれないっていうかさ〜♪」と言ったまるでチェルフィッチュの超口語演劇のごときセリフとして歌われ、その言葉の低温さとは裏腹に、必要以上に高揚感のあるブロードウェイ・ミュージカル直系のメロディが背後には流れる。
発話の余剰さと、音楽の効用、つまりは非言語なパワーが、こちらの想像を見事に膨らますネイチャー・シアター・オブ・オクラホマの傑作。観劇後、観客はみな、記憶の底に埋蔵されていた「自分」のバカ話を役者たちに見事に歌い上げてもらったような、演劇公演なのに超パーソナルな充実感を得ることになる。手のひらサイズの幸せを歌う超口語演劇ミュージカルに体がむずむずくすぐられる。

岩城京子(いわき・きょうこ)
在ロンドン。ジャーナリスト。1977年、東京生まれ。世界13カ国で取材をこなし年間100本以上の舞台芸術関連記事を執筆。2011年9月よりロンドン大学ゴールドスミスカレッジ修士課程演劇学科在籍。2011年11月、著書『東京演劇現在形 八人の新進作家たちとの対話』出版。今年5月、ベルリン・テアタートレッフェン演劇祭にゲストジャーナリストとして参加。

オリヴィエ・ピィの 『<完全版>ロミオとジュリエット』

 

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シェイクスピア戯曲の本質をえぐる、
生々しい言葉ときわどい場面の数々

本作では、オリヴィエ・ピィ自身が、原作の翻訳を行いました。韻文での翻訳において、シェイクスピアの原作に可能な限り忠実に従おうと試みています。原作は、そもそも、奔放なユーモア、猥談に溢れており、ピィによる新たな舞台化は、『ロミオとジュリエット』のこれまで知られることのなかった側面にまで光を当てました。<完全版>と銘打たれた本作では、ただ字句のみならず、この戯曲が本来持っていたエッセンスを余すことなく舞台上で表現しています。笑いと恐怖とが大胆に描かれ、あまりにも有名な恋の物語が極めて平明に表現されるため、いよいよ観客の心を打つものとなります。

気鋭の若手からベテランまで――魅力溢れる俳優陣の底力に酔う

主役の2人には、それぞれ若手俳優が起用されました。パリ国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)を卒業したばかりのカミーユ・コビ演じるジュリエットは、その美貌と対比的に、乙女の純真さとは無縁のヒロインとして登場します。ロミオ役のマチュー・デセルティーヌは、血気にはやる若者を鮮やかに演じ上げます。ピィ自身は、「ロマン主義的な解釈によって流布した、世間知らずのおめでたいカップルのイメージからは遠いもの」と主張します。また、脇を固めるのはエネルギッシュな演技で魅せるパリ・オデオン座のベテラン俳優陣。200分もの間、舞台中を縦横無尽に駆け回ります。
※ジュリエット役が、カミーユ・コビからセリーヌ・シェエンヌに変更となりました。

公演情報

日本初演  演劇/フランス

■公演日時
6月9日(土)18時15分開演・10日(日) 14時開演
◎6月9日の終演後に、2階カフェ・シンデレラにて「フェスティバルbar」を営業いたします。

上演時間:200分(途中休憩含む)
フランス語上演/日本語字幕

■会場
静岡芸術劇場

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

演出・翻訳:オリヴィエ・ピィ

原作:ウィリアム・シェイクスピア

出演:
マチュー・デセルティーヌ、セリーヌ・シェエンヌ、クリスティアン・エスネー、ミレイユ・エルプストメイエール、フレデリック・ジルートリュ、オリヴィエ・バラジューク、バルテレミー・メリジャン、カンタン・フォール、バンジャマン・ラヴェルヌ、ジェローム・ケロン[ピアノ]
※ジュリエット役が、カミーユ・コビからセリーヌ・シェエンヌに変更となりました。

美術・衣裳:ピエール=アンドレ・ヴェーツ
照明:ベルトラン・キリー
衣裳助手:ナタリー・ベグ
音楽アドバイザー:マチュー・エルファシ
音響:ティエリー・ジュッス

製作:パリ・オデオン座
協賛:エール・フランス航空  協力:東京日仏学院  後援:在日フランス大使館

★ロミオとジュリエット(オデオン座公式サイト)

演出家プロフィール

オリヴィエ・ピィ Olivier PY

劇作家、演出家、俳優。1965年、南仏グラース生まれ。87年にパリ国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)に入学、並行してカトリック学院で神学と哲学を学ぶ。98年から2007年までオルレアン国立演劇センターを指揮、同年3月からオデオン座の芸術総監督に就任。「Shizuoka春の芸術祭」では08年に『イリュージョン・コミック―舞台は夢』と『若き俳優への手紙』の2作品を、09年に『オリヴィエ・ピィのグリム童話』3部作を上演した。2013年、フランス・アヴィニョン演劇祭のディレクターに就任予定。

劇団プロフィール

パリ・オデオン座 l’Odéon-Théâtre de l’Europe (Paris)
フランスの5つの国立劇場の内、二番目に古い劇場。1782年、パリ左岸にコメディ=フランセーズの新劇場として落成。1959年、コメディ=フランセーズから分離され、ルノー=バロー劇団の本拠地となる。96年から2007年までジョルジュ・ラヴォーダンが芸術総監督を務め、99年のシアター・オリンピックス以来3度にわたって来静。ピィが芸術総監督となってからは、今回が3度目の来静となる。

コラム

『ロミオとジュリエット』のことば —詩とユーモア
小田島 雄志

『ロミオとジュリエット』は、ヨーロッパ演劇史上初めて生まれたロマンチック・トラジディー、と言っていいだろう。それまでのクラシック・トラジディーは、一国一城の主の滅亡を描いて均整美を重んじていたのに、シェイクスピアは愛をテーマにして自由奔放な言動をさせたのである。そして彼は、涙と笑いを、聖なるものと俗なるものを、ぶつけ合わせる舞台を現出させた。そのような劇世界を一つにして支えたのは、論理や道徳ではなく、詩とユーモアだった。
ロミオとジュリエットの恋は、エネルギッシュな市民生活に根をおろしていた。ロミオは、両家の奉公人たちの卑猥な会話に始まるけんか騒ぎの余韻の中に登場する。ジュリエットが登場するときともなってきた乳母は、よちよち歩きの彼女がうつぶせにころんだとき、自分の亭主が「年ごろになったらあおむけにころぶんですよ」と淫らな冗談を飛ばすと、彼女が「ウン」と答えた、と思い出を語ってけたたましく笑い出す。その二人が舞踏会で初めて出会って交わした対話は、詩的と言うより詩そのもの、厳密にソネットの形式を踏んでいる。そのあと、ロミオの親友マーキューシオのしも下がかった冷やかしの冗談をはさんで、あの甘美なバルコニーシーンになる。
このように、主人公二人の美しい愛の詩は、身近な脇役たちの笑い声やジョークなど大らかな庶民的ユーモアに包まれている。彼らのことばはたしかに日常会話より過剰ではあるが、それはセリフ演劇語として観客の心を体温以上に熱くするためのものである。なにしろシェイクスピアは、人間を理想的な存在として真善美だけで見るのではなく、生き生きとしたものとしてダメなところやアホなところもふくめて人間ってなんて愛すべき存在なのだろう、と言い続けているのだから。

小田島雄志(おだしま・ゆうし)
1930年旧満州生まれ。東京大学英文科卒。現在、東京大学名誉教授、東京芸術劇場名誉館長。「シェイクスピア全集」により芸術選奨文部大臣賞。演劇の翻訳と評論により紫綬褒章。文化功労者。読売演劇大賞芸術栄誉賞。

アルヴィン・スプートニクの深海探検

 

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人形劇のイメージをことごとく覆した!
オーストラリア発のマルチメディア・パフォーマンス!

この作品は、アニメーション、指人形、ウクレレ演奏、歌などに、本人の演技も織り交ぜた、驚異のソロパフォーマンスです。構成・演出・出演・人形操作など、すべてを行うマルチ・パフォーマー、注目の鬼才、ティム・ワッツが、オーストラリアから初来日を果たします。本作はアートとして強烈なパワーを放ちながら、大人から子どもまで、演劇マニアも「難しい作品は苦手」と言う方も決して飽きさせない“上質なエンターテインメント”になっています。

「ブロードウェイ大作を凌ぐ興奮!」
―NYプレス絶賛の話題作
いよいよ待望の日本初上陸

ニューヨークの「ブロードウェイ・ワールド・コム」は、「4千万ドルかけた2時間半に及ぶブロードウェイの大作でさえ、この興奮の45分間に勝るだろうか?」と絶賛。他の各プレスも高評価を与えています。ニューヨークの他にも、オーストラリア国内各地はもとより、アメリカ、イギリス、韓国など世界各地で公演を行い、多くの観客を虜にしました。たった一人のパフォーマンスが、愛と冒険にあふれた壮大な世界観を描き出すことに成功した、注目の作品です。

公演情報

日本初演 人形劇/オーストラリア

■公演日時
6月2日(土)17時15分開演、6月3日(日)11時30分開演・18時開演

上演時間:45分
英語/日本語字幕

■会場
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」

■チケット
一般大人 :2,000円/学割 [大学生・専門学校生・高校生以下] : 1,000円

STAFF / CAST

構成・演出・出演・人形操作:ティム・ワッツ
製作:パースシアター・カンパニー
後援:オーストラリア大使館

★アルヴィン・スプートニクの深海探検(ティム・ワッツ公式サイト)

プロフィール

ティム・ワッツ Tim WATTS

ティム・ワッツは演じ手であるだけでなく、舞台美術、演出、プロデュース、人形操作、アニメーション製作など、多彩なジャンルでその才能を発揮している。オーストラリア西部のパースを拠点とする劇団「ウィービング・スプーン・プロダクション」を設立し、国内外で多数の受賞経験がある。また、世界各地のワークショップに参加(アデレード、メルボルン、ブリスベン、北京、上海、プラハ、モントリオール、オタワ、トロント、ロンドン、カリフォルニア、ニューヨーク)。近年の作品には、“Deathtrap”(パース現代美術学院)、“The World Inspite of Itself”(中国)、“Red Lashes” (国際操り人形連盟2008/パース)などがある。

コラム

ファンタスティック!ティム・ワッツ!
平常

楽しい。とにかく楽しい。観客はティム・ワッツに誘われ、SPACでも壮大な冒険物語を体験することになるだろう。しかしながらその表現方法は実に素朴だ。そして創意工夫に満ち溢れている。本作は人形のコミカルで愛らしく繊細な動きや彼の人柄の魅力も全面に出ているが、何と言っても特徴的なのが映像である。主にアニメーション。このアニメがとても素朴なタッチで描かれており、ライブによる演技や劇場の光と見事に融合しているのだ。その映像は劇の背景だけに留まっているわけではない。登場人物達は時にアニメとなって行動し、時にティム・ワッツ自身が演じ、時に人形が演じ、時にはアニメと人形が同次元に登場する。この全体のバランスとさじ加減が絶妙で気持ちが良い!私も普段から人形と人間による芝居で彼とよく似た手法を用いているがここまで映像を駆使したことはない。私は極めてアナログなファンタジーが好きだからだ。しかし、彼の用いる映像は、その投影技術は現代文明ながらアニメ自体がアナログなタッチなので全値的な劇世界に違和感なく存在しているのだ。舞台の序盤から、映像とライブの境目などなくなってしまっている。それぞれのパートの技術や質感が最大に活かされて劇が進行してゆき、気がつけば観客も深海探検をしているという仕組みだ。私は人形劇の人間なので、やはり、主人公が彼の手(人形)によって表現されている場面が印象に残る。人形劇は目線が命!表情の変わらない人形はその目線の僅かな違いと緩急で表情が変わる。もちろん最終的には観客の心が人形の表情を創り上げるわけだがまずは何より演じ手の技術と表現力が必要となる。本作の主人公の首(人形劇では首と書いて“かしら”と読む=あたま)の動き、目線に注目だ。その場面の感情が実に見事に表現されている。人形の動きのシャープで切れ味の良い様と柔軟性が気持ちよいくらいに自然で、終幕の頃にはすっかりあの主人公が愛おしくなる。ティム・ワッツは舞台の魔術師である。

平常(たいら・じょう)
人形劇俳優・演出家。 12歳でデビュー後、数々の賞を受賞。全ての役柄をひとりで演じ分け、脚本・演出・美術・音楽も手掛ける。2010年の「Shizuoka春の芸術祭2010」では「毛皮のマリー」を上演し、好評を博した。同作や「オズの魔法使い」などを新国立劇場ほか全国・世界各地で上演中。テレビ・ラジオ出演多数。

THE BEE Japanese version

 

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日常に潜む恐怖と狂気を描いた筒井康隆の短編小説を題材に
9.11の衝撃から誕生した作品

本作は、2001年9月11日アメリカで発生した同時多発テロ事件に野田秀樹が触発され、生み出されました。筒井康隆の小説『毟りあい』を題材に、平凡なサラリーマンが妻子を人質にとられたことで、自らも犯人の妻と子を人質にとって応酬する心理戦が繰り広げられます。日常と非日常の危うい境界線、平凡な人間が隠し持つ怒りと憎悪、恐怖にさえも適応してしまう人間の強靭さ……今、もっとも見逃せないテーマが散りばめられた作品です。

各賞を総なめにした話題の作品
5年の歳月を経て、日本版新キャストによる再演

2012年1月から行われたワールドツアーは、ニューヨーク、ロンドン、香港とも連日満席となる大盛況となりました。「人間の持つ暴力性」や「報復の連鎖」といった普遍性のあるテーマを持つ本作が、欧米、アジアの多様な文化や歴史を持つ観客に、大きな衝撃を持って受け入れられました。この英語版ワールドツアーを経て、4月からは日本人キャストによる日本語版のジャパンツアーが敢行されます。NODA・MAPとして初めての国内ツアーとなる今回は、東京、大阪、北九州、松本を経て、静岡でファイナルステージを迎えます。

公演情報

静岡初演  演劇/日本

■公演日時
2012年6月22日(金)19時開演・23日(土)16時開演・24日(日)14時開演
※本作には、刺激の強い表現があります。ご了承のうえ、ご観劇ください。

上演時間:70分(予定)
日本語上演/英語字幕
※英語字幕の投影はありません。ご希望の方には当日受付にて英語のシノプシス(あらすじ)を配布いたします。

■会場
静岡芸術劇場

■チケット
・追加販売決定!詳細はこちらをご覧ください。(2012年5月15日)
追加席は完売となりました。
・各公演、当日券を販売いたします。
(開演の1時間前より静岡芸術劇場窓口にて販売・電話予約不可・若干枚数)

『THE BEE』限定スペシャルシート 7,500円
一般大人4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、ペア/グループ割引料金があります。

STAFF / CAST

演出:野田秀樹
原作:筒井康隆 〜「毟りあい」(新潮社)より〜
共同脚本:野田秀樹&Colin Teevan
出演:宮沢りえ、池田成志、近藤良平、野田秀樹

美術:堀尾幸男
照明:小川幾雄
音響・効果:高都幸男
映像:奥秀太郎

企画・製作:NODA・MAP

演出

野田秀樹 NODA Hideki

1955年、長崎県生まれ。劇作家・演出家・役者。東京芸術劇場芸術監督、多摩美術大学教授。東京大学在学中に劇団「夢の遊眠社」を結成し、数々の名作を生み出す。92年、夢の遊眠社解散後、ロンドンに留学。帰国後の93年に企画製作会社NODA・MAPを設立。以後も『キル』『パンドラの鐘』『オイル』『赤鬼』『THE BEE』『THE DIVER』『ザ・キャラクター』『南へ』など次々と話題作を発表。演劇界の旗手として国内外を問わず、精力的な活動を展開。2009年10月、名誉大英勲章OBE受勲。09 年度朝日賞受賞。11年6月、紫綬褒章受章。12年1月より『THE BEE』ワールドツアーをニューヨーク、ロンドン、香港、東京で、ジャパンツアーは東京、大阪、北九州、松本、静岡で敢行。

コラム

誰が味方で誰が敵なのか、誰が私で誰が他者なのか
大澤真幸

どこにでもいそうな会社員のいつものような帰宅の様が、突如として悪夢へと、グロテスクな凶悪犯罪の渦中へと反転する。NODA・MAPの『THE BEE』は、日常の平穏と恐怖の悪夢の間には、簡単に手で突き破ることができる薄紙のごとき膜しかなかったことを、観るわれわれに直截に思い知らせる。とうていありそうもない悲惨で破局的な出来事が、いかにもありそうなことに見えてくる。
その男は、貞淑な妻と六歳のかわいい息子をもち、郊外の分譲住宅に住む、まさに「平凡」というものをそのまま具体化したような会社員だった。だが、気が付いたときには、彼は、凶悪な脱獄囚による人質立て籠もり事件の被害者になっていた。と、ここまでであれば、未だ人はさして驚くまい。真に戦慄すべき転回展開は、その先に待っている。哀れな被害者であるその男自身が、加害者に――、女とその幼い息子を人質にとって家屋に立て籠もる、同様の凶悪犯罪の加害者になってしまうのだ!
どうしてこんな反転が生ずるのか?  ここにこそ、この作品がわれわれの思考を刺激する肝心なポイントがある。暗示的なことだけを述べておく。人が他者に対して好意を表現する最も基本的な方法は何であるかを考えてみよ。その他者を「愛している」ということを示す基本的な行為は何か。贈り物を与えること、プレゼントをすることであろう。贈与は、何であれ広義の愛情を表現する、最高度に直接的で確実な方法だ。だが、その贈与が、同時に敵意の表現、最も強い憎悪の表現でもあったとしたら、どうであろうか。贈与に、このような圧倒的な二重性が宿っているとしたら、どうであろうか。
贈与の連鎖は終わらない。プレゼントの贈り合いの中に巻き込まれたら、そこから抜け出すことができないことを、われわれは体験的に知っている。その上で、贈与に両極的な二重性があるとしたら、被害者=加害者というありそうもない反転こそが、人間的な必然であったことになる。だから、この劇を見ていると目まいを覚える。誰が私の味方で誰が敵なのか、そもそも誰が私で誰が他者なのか。最も敵対していた他者に奇妙な友情を覚え、味方であるべき者に敵意を感じる。
この劇は、1975年に書かれた筒井康隆の短編小説を原作にもつ。9.11同時多発テロが起きたとき(2001年)、この小説が野田秀樹に霊感を吹き込み、出来上がった。蜂(THE BEE)という表象は、野田が付加した要素である。2011年の3.11が、この劇にさらなる迫真性を加えるのはどうしてであろうか。

大澤真幸(おおさわ・まさち)
SPAC文芸部員。社会学者。千葉大学教授、京都大学大学院教授を歴任。著書に『社会は絶えず夢を見ている』、『〈世界史〉の哲学』古代篇・中世篇、『夢よりも深い覚醒へ――3.11後の哲学』等。思想誌『Thinking「O」』主宰。