2018年3月5日

<シリーズ ミヤギ能の軌跡 #4> 公演も後場/【豆知識】「シテ」「ワキ」「ツレ」

菜の花や梅の蕾もほころびはじめ、日も伸びてきて、春を感じる季節になりました。
稽古が始まった初冬、零下17度の1月のニューヨーク公演からあっという間ではありましたが、季節も春へ移り変わり、ミヤギ能『オセロー 〜夢幻の愛〜』(以下、『オセロー』)の公演期間もついにあと1週間、一般公演もあと1回です。

そこで……『オセロー』の見どころを写真で振り返ってみます。
 
前説2
 前説を行う宮城

この『オセロー』は、一般公演でも宮城が前説を行っています。*2/18(日)の公演からです。
もちろん、プレトークもありますが、それぞれがぞれぞれの切り口で『オセロー』の魅力をお伝えします!
 
 
前場2
 前場での一コマ/左から片岡佐知子(ツレ)、桜内結う(ツレ)、寺内亜矢子(ツレ)、本多麻紀(ワキ)

前場は、サイプラス(キプロス)島を訪れた旅の僧(ワキ)の登場から始まります。ヴェネチアとトルコが領土を争ったキプロス島の悲しい話を、島の女性たち(シテとツレ)から聞くことになります。シテとツレによる舞のシーンはとてもキレイです!
 
 
間狂言2
 間狂言での一コマ/左:大道無門優也(イアーゴ役)、右:加藤幸夫(ロダリーゴ役)

間狂言で語られるのは、オセローの物語です。
上の写真は、イアーゴがオセローを陥れるためにロダリーゴを言葉巧みに唆しているシーンです。ここから悲劇が大きくなっていくのですが、まんまと利用されてしまうロダリーゴの抜けた様が際立っています。
このシーンは、奥でオセロー(阿部一徳)とキャシオー(大内米治)らの会議が行われています。そこでの俳優の動きにもご注目いただきたいです。
 
 
地謡2
 後場での一コマ/前列手前から鈴木陽代、森山冬子、布施安寿香、木内琴子、関根淳子、
 後列手前から三島景太、大道無門優也、阿部一徳、吉植荘一郎

後場は、シテのデズデモーナを中心にして動きこそ多くありませんが、見応えも聴き応えも十二分にあります。デズデモーナの最後の言葉、鳴り響く音楽、一瞬のブレイクの中で発せられるワキと地謡による最後の一言。これは是非、聞いて欲しいです。
 
 
前場や後場のシーン紹介では人物名だけではなく、役として「シテ」などと書きましたが、これは能の役です。今回の豆知識は、そんな役の種類についてです。
 

【ミヤギ能豆知識 vol.4 「シテ」「ワキ」「ツレ」】
「シテ」は主人公です。「シテ」が演じる役柄は、人間だけでなく霊や鬼などの空想の存在など様々です。前場のシテを「前シテ」、後場のシテを「後シテ」と呼び、前場と後場で異なる役柄を演じる場合もありますが、どちらも同じ役者が演じます。『オセロー』では、美加理が演じるサイプラスの女性(幽霊)が「前シテ」、デズデモーナが「後シテ」です。白い着物を着ています。

 
 
シテ2
 シテ:美加理

「ワキ」は脇役のことですが、「シテ」と対話し物語を進める重要な役割を担っています。僧や武士など、現実に生きている大人の男性の役になります。『オセロー』では、本多麻紀が演じる旅の僧が「ツレ」です。笠を身につけています。

ワキ2
 ワキ:本多麻紀

「ツレ」は、「シテ」や「ワキ」に連れられて登場する人物のことです。「シテ」に連れられている場合は「ツレ」、「ワキ」に連れられている場合は「ワキツレ」と呼びます。『オセロー』では、歌いながら登場する片岡佐知子、桜内ゆう、寺内亜矢子が演じる女性たちが「ツレ」です。スカーフを身につけています。
 
 
ツレ2
 ツレ:左から桜内結う、寺内亜矢子、片岡佐知子
 
ここには載せきれない”イイ”シーンもたくさんあります!
最後の公演、どうぞ楽しみにしていてください!
 

カーテンコール2
 カーテンコール/前左から関根淳子、木内琴子、布施安寿香、森山冬子、鈴木陽代、
 吉植荘一郎、大内米治、阿部一徳、大道無門優也、三島景太、本多麻紀、後左から加藤幸夫、寺内亜矢子

 
最終日3/11(日)の公演では、カフェシンデレラにて、静岡出身の高校生バリスタ「山本紘彰」さんが特別出店されます。『オセロー』の物語に沿う豆を選んでくださっていますので、バリスタによるハンドドリップコーヒーにご期待下さい!
山本さんのブログはこちら

 
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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰 
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2018年2月16日

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」パンフレット連動企画◆ ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~』 俳優トーク

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙に掲載しているインタビューのロングバージョンを掲載しますので、ぜひお読みください。
デズデモーナ役・美加理とオセロー役・阿部一徳が、今回のSPAC版『オセロー』の魅力を、初演時をふり返りながら語っています。
(インタビューは2017年12月23日に行ったものです)

【圧縮版】0W1A9683
左:デズデモーナ役 美加理(みかり)
右:オセロー役   阿部一徳(あべ・かずのり)

<初演時から積み重ねてきたもの>

―稽古はどのように進んでいますか。
美加理(以下、M):宮城さんが演出するときは、まず俳優たちで話し合って、試行錯誤しながら場面を作るのですが、みんなで話し合うのは楽しいですね。それぞれのこだわりや解釈を出しあうので時間がかかりますが、今回の方向性を探っているところです。
阿部一徳(以下、A):今回の作品は、前場・間狂言・後場の3つに分かれていて、たとえば前場ですごく動きが少なければ、間狂言で動きを多くするというように、全体のバランスをとらなければならないので、時間がかかっています。あらかじめどんな風に作るかは決めていないので、実験しながら作っては壊すというのを繰り返しています。

―13年ぶりの再演ですが、いかがですか?
A:動きとか台詞の言い回しとか、意外と身体に残っているんだよね。地謡のセリフも、一度口に出すとツルツル出てくる。逆に言えば、なかなかそこから自由になれない。
M:これまで色んな作品でテクニックを蓄積してきたから、いま振り返ると13年前はシンプルなことをしていたと感じられる部分もあります。
A:地謡のセリフで言えば、お客さんが聴いたときにいかにイメージを膨らませてもらえるかをとことん試行錯誤するわけだけど、今も昔も変わらず。今回、不必要に複雑にやってしまって、結局、初演時のシンプルなプランに戻すことも多いかな。
M:粗削りのまま作った方が、的を射ていたり、真実を映し出していたりすることもありますからね。
初演に出ていた人たちも、それぞれ13年という年月が経っているので、その間に積み重ねてきた経験や失くしていったものも当然各々違いますから、作品づくりにも影響があります。あまり拘らずに一から、今の私で向かいあいたいと思います。
A:『オセロー』は恋愛の話だけど、やっぱり13年経つと、恋愛感覚とかって当然変わるからね。原作を読みかえしたときも、13年前とはずいぶん印象が違っていた。

<SPAC版『オセロー』の面白さ・難しさ>

―ご自身の役について教えてください。
M:デズデモーナは夫であるオセローに浮気を疑われて絞殺されてしまうのですが、ミヤギ能では彼女が幽霊として出てきて、殺される場面を再現するというのがハイライトなんですね。夫に絞殺されてしまうという自分にとって衝撃的な場面を、旅人の僧の前で、あるいはお客さんの前でもう一度演じることで、浄化されていきます。
A:オセローに関していうと、今回のミヤギ能では原作の一部しか演じないので、そのなかで、デズデモーナが愛したというオセローの魅力も表現しなければならないし、2人の関係をお客さんが想像できるようにしないといけない。なかなか難しい。

―普通にシェイクスピア作品を上演しようとすると、ある出来事が起こって、その途中に対話や状況説明があり、わりと視覚的にも動きがありますね。
A:そう考えると、SPAC版の『オセロー』は絵をみるような感じに近いかもしれないね。絵画を鑑賞していて、その絵から音が出ているみたいな。
M:難しいのは、関係性をみせている「絵」があまりないことですよね。原作の抜粋みたいになっているから、「どういう心の動きがあって、オセローはイアーゴの罠にはめられたのか」ということを観ながら探ろうと思っても、それを説明してくれるような台本ではない。あまり場面と場面の関連性を考えないで、その瞬間におきていることを楽しんでもらえばいいのかな。
A:動きであまり説明していないので、耳から入ってくる情報が大事になってくる。だから僕らが台詞を喋るときに、どういう「身体」や「情報」をセリフに込められるか。「日本語ってこんなに色んなことができるんだ」とかも楽しんでほしい。

<中高生に向けて…>

A:中高生鑑賞事業公演に向けてどうつくるか、という話はどうしても出てくるから、通常のつくり方とは違うよね。中高生にとって分からなくてもいいや、とは絶対にしたくないし。

―大人にも観てもらう作品としてつくりつつ、単純に分かりやすくして子ども向けにつくるということなく、中高生にどう届けるかを考えているということですね。
M:初めて演劇を観る人たちに対して、責任重大だなといつも思います。最初に観た演劇との出会いで、そのあと演劇をまた観ようと思えるか、あるいは演劇がその人の人生の中で関わってくるかどうかって、最初に観た作品の影響が結構大きいと思いますね。

―最後に中高生にメッセージを。
A:普通の演劇とは違って、物語の筋を楽しむようなものではないので、ひとつひとつの表現の鮮烈さとか、俳優の体から出てくるエネルギーとかを観てもらえたらと思います。分からなかったときに、「つまらない」じゃなくて、「なんでこんなことしてるんだろう」って興味を持ってもらえたら嬉しいです。
M:自分の中で、苦しかったことや、悲しかったことに蓋をして過ごしている人もいると思うのですが、そのときの話を誰かに聴いてもらいながら、苦しくて思い出したくないことだけれども、自分でもう一度話していく。そうすることによって、ため込んでいたものを全部出して、何かスーッと、身が軽くなる。デズデモーナが成仏するときに、お客さんの中でも何か同じような感覚になって、楽になったような気がする、ということが起こるといいな。

2017年12月23日 舞台芸術公園にて

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2018年2月10日

<シリーズ ミヤギ能の軌跡 #番外編>「開幕直前スペシャル!」

「オセロー」劇場稽古。前場です。

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みなさま、大変、お待たせいたしました!
1月のニューヨーク公演(おかげさまで大好評!)を経て、
いよいよ、
11日(日)より、
ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』開幕です!
観劇が待ちきれないみなさまのために、
今回は劇場稽古の様子をお伝えします!
※注:今回ご覧いただくのは稽古中に撮った写真です。
実際の本番とは異なる部分もありますので、ご承知おきください。
 
 
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間狂言。オセローとヴェネチアの諸卿。
 
 
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間狂言。イアーゴとロダリーゴが、何やら悪巧み……?
 
 
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舞台後方におわします、演奏隊のみなさん。今回は珍しく笛が。
 
 
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舞台上手に鎮座する地謡の面々。緊張感に包まれています。
 
 
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果たしてオセローと、
 
 
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デズデモーナの運命や如何に!
 
 
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演出家・宮城聰の眼差しの先にあるものは!?
 
 
いかがでしょうか?
ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』、いよいよ気になって来ましたか?
よく「ミヤギ能ってなんですか?」と聞かれるのですが、
その答えは、劇場にあります。
是非ご自身の目で、お確かめください!

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰 
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年12月29日

<シリーズ ミヤギ能の軌跡 #3> おためし劇場/【豆知識】地謡・囃子

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今回は「おためし劇場」。お客さんと一緒に稽古場を覗いてきました。

先日、稽古場をのぞけてしまうSPAC人気企画「おためし劇場」が行われました!
今回の会場はいつもの静岡芸術劇場ではなく、舞台芸術公園内の稽古場棟BOXシアターです。

まずは稽古を見学。
劇場よりも舞台が近いです!

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間狂言での一コマ/左から吉植、三島、木内、鈴木、大内、阿部

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前場での一コマ/左から寺内、美加理、桜内、片岡、本多、木内

今回は最初から全体の2/5くらいまでを通しました。
「おためし」なので、続きは本番でのお楽しみに!
ということで。

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さて、ちょっとこちらの写真をご覧ください。

これは稽古用の簡易版ですが、今回の「オセロー」舞台部分になります。
右側に並んでいるのが「地謡」、左側奥の楽器が並んでいるところが「囃子(方)」の場所です。
では、ここで今回のミヤギ能豆知識です。

【ミヤギ能豆知識 vol.3 地謡・囃子】
 能の音楽は、謡(うたい)と囃子(はやし)でできています。
 能はシテやワキなど立ち方による謡で進行しますが、地謡(じうたい)は舞台には登場しない第三者の立場で出来事や風景描写を行ったり心情を朗唱したりするものです。
 囃子を演奏する囃子方は笛(能管)、小鼓、大鼓(大皮)、太鼓の四種類の楽器からなっていて、伴奏にとどまらず、舞台を創り上げる能の調べを奏でます。

 
稽古が終了すると、演出家・出演者とのQ&Aへ。
参加された方々から時間いっぱいまで質問をいただきました。

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質問に答える宮城芸術総監督
 
たくさんのご参加、ありがとうございました!
参加された方もされなかった方も、2月からの本番で、いっそうパワーアップした作品を楽しんでいただきたいと思います。

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰 
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年12月19日

<シリーズ ミヤギ能の軌跡 #2> なりたち/【豆知識】謡曲


▲オセローPV出来ました!演出・宮城聰のロングコメント付きです!

シリーズ第2回は、ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』の謡曲台本を執筆した平川祐弘東京大学名誉教授のインタビューです!

それでは早速インタビューへ……行く前に。
先ずは「謡曲」についての豆知識をどうぞ。

【ミヤギ能豆知識 Vol.2 「謡曲」】
 ズバリ!謡曲とは、能のセリフ(詞、詞章)のことです。これらは節を付けて謡(うた)われます。謡曲は「セリフ」と「地の文」とで構成され、引用や掛詞、枕詞などのたくさんの修辞技法が使われます。また、次第、名のり、道行きなど細かな「小段」(場面)を組み合わせて一本の作品が構成されています。
この「オセロー」では、「シテ」と「ワキ」のやり取りが謡曲になっています。

 
西欧、日本文学の研究や翻訳など比較文化で多数の受賞歴を持ち、半世紀以上、日本の知をリードしてきた平川祐弘氏。今回はシェイクスピアの『オセロー』を夢幻能の形式で書き上げるに至った経緯などを伺いました。

(本インタビューのショートver.は、「すぱっく新聞4号」、「グランシップマガジン12月号」にも掲載されています。)

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あああああ

▲平川氏近影(後ろの書は、なんと漱石の親友・菅虎雄の肉筆!)

——『オセロー』を夢幻能の形式に仕立てた経緯を教えてください。

イギリスの東洋学者でアーサー・ウェイリーという人がいましてね、1919年に『マルフィ侯爵夫人』という戯曲を日本の「夢幻能」の形式に置き換えるとこうなる、と説明したんです。日本ではあまり有名じゃないんですが、『マルフィ侯爵夫人』はジョン・ウェブスター(イギリス・エリザベス朝期の劇作家、シェイクスピアと同時代に活躍)の代表作で、私は大学4年生の時にたまたま習い、非常に印象深かったんです。当時のイギリスではウェブスターが再評価されていて、この戯曲はよく知られていたので、ウェイリーの説明は分かり易かった。でも、日本でウェブスターは知られていない…。能を大成した世阿弥も言っていますが、能は話の筋が知られている有名な作品、例えば『源氏物語』などを題材に扱っていて、観客は筋を知った上で観ているわけでしょう。ですから、日本でも知られているシェイクスピアの戯曲を「夢幻能」に置き換えてみることにしたんです。

 でも、シェイクスピアの戯曲なら何でも良いわけではなくて、能の台本には、何か気の利いたセリフ(言葉)がないといけない。夏目漱石はシェイクスピアの戯曲をいくつも俳句にしていて、中でも『オセロー』は秀逸で。「白菊に しばし躊躇う 鋏かな」と詠んだ。白い肌のデズデモーナを白菊に、黒い肌のオセローを鋏に例えて。この句を目にした時、「これは使えるな」と思ってね。試しにこの句をセリフに取り入れて学生たちに講義したら、非常な喝采で。
そこで「文学界」という雑誌にこれを書いたところ、僕は全く面識なかったんですけど、宮城さんから夢幻能オセローの脚本を書いてくれという依頼がきて。面白いから改めて原作を読みなおして書いたんです。

——シェイクスピアの『オセロー』という戯曲について、どのように捉えていらっしゃいますか?

 改めて原作を読み直してみると、黒人と白人の人種間問題が実に露骨に出ている作品で驚きました。現代では異なる人種間での結婚は普通にありますから、演出家は、この問題に重きを置かないで、人間の嫉妬とかそういう一般論を中心に据えて解釈し、演出していますが、原作には「白いヤギと黒いヤギが混じって」とかあからさまな表現もたくさんあります。この戯曲のベースに人種間問題があると考えたからこそ、あえてそういったセリフも残しました。

——『オセロー』は、主人公のオセローを中心にした「嫉妬の物語」として描かれることが多い中、オセローではなくデズデモーナを中心としたのはなぜですか?

「夢幻能」は、この世に想いを残した死者(シテ)が、旅僧や旅人(ワキ)の夢の中に亡霊として姿を現し、在りし日の栄光や苦しみを話すことで、最後は成仏するという形式を取ります。デズデモーナは罪もなく殺され、「自分は本当は潔白だったんだ」という想いがある。それは、オセローの真実を知った故の後悔よりも強くこの世に残るでしょ。だから誤解からオセローに殺されたデズデモーナの方がシテにふさわしいんですよ。

 それに、能の登場人物というのは、近代的な解釈では測れないところが面白いんです。例えばある人間のジェラシーを特化して、「ジェラシーの権化」として登場させたりする。今の演出家は、しばしば登場人物の細かい心理描写に注意し過ぎていると感じます。一種の近代病みたいなものですね。だから逆に登場人物の力が弱くなってしまうこともあるわけです。

——2005年の東京国立博物館 日本庭園 特設能舞台での初演から13年、今回の再演への期待をお願いします。

 シテの美加理さんがデズデモーナとオセローを一人二役で演じる、それがまあ上手くて盛り上がりました。「夢幻能」は、リアリズムではなく霊の世界。日本は八百万の神、亡霊がたくさんいる国で、死者と我々の間に会話が成り立つんです。デズデモーナを演じた美加理さんは、まさにスピリチュアルな存在で、憑依という言葉がふさわしい、あの世の人の思いを伝える迫力がありました。私が言うのもおこがましいが、彼女の迫力に脚本が合っていた。詩的な言葉になっていたと思いました。今回も演技と言葉がかみ合って、素晴しい舞台になることを期待しています。

2017年10月17日(平川氏のご自宅にて)/聞き手:SPAC制作部(内田、中尾)

 

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰 
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年12月11日

<シリーズ ミヤギ能の軌跡 #1> はじまり/【豆知識】複式夢幻能

▲すぱっく新聞最終号!「オセロー」編ついに配布開始です!

▲すぱっく新聞最終号!「オセロー」編ついに配布開始です!

遂に出来ました、すぱっく新聞最終号となる第4号!
ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』についてのおもしろ情報満載です。
ぜひ手にとってご一読を!

そして実際のミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』(以下、「オセロー」)ですが、稽古が始まりました。

稽古初日は輪になって読みあわせから

▲稽古初日は輪になって読みあわせから

稽古初日は台本の読み合わせで始まります。
2005年の初演時に出演していた俳優は当時使用した台本も持ってきていて、そこには発音のメモなど細かい情報も書き込まれており、そういった確認も交えて進みます。
そうして読み合わせを終えたあと、演出の宮城さんの第一声は

「やることがたくさんあるね。」
 

▲宮城さん、その心中やいかに

▲宮城さん、その心中やいかに

今回の「オセロー」は、実に13年ぶりなことに加えて、初演は野外、今回は屋内(静岡芸術劇場)と、上演環境も大きく変わります。
さらに、この作品には他にも普通のお芝居ではない、たくさんの要素が詰まっているから、宮城さんがそういうのも当然といえば当然ですね。
また、俳優たちからも
「色々な要素があって聞きなれない言葉もあると、難しいかもしれない」
という声が上がりました。
そのために、この作品の持つ面白さは残しつつも、観に来てくださった方々に、いつも以上に歩み寄ることも必要だろうと、様々な案が出されました。
さあ、ここから試行錯誤の長い旅が始まります!

来年1月にNYで、2~3月に静岡で上演する”ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』”。
ふじのくに⇄せかい演劇祭2017で『アンティゴネ ~時を超える送り火~』を上演した後、アヴィニョン演劇祭、歌舞伎、オペラなど世界もジャンルも股にかけて活動してきた宮城聰、久方ぶりのSPAC作品静岡上演です。
このブログ「シリーズ ミヤギ能の軌跡」では、本作の上演までの軌跡に加え、作品をより深く楽しむための「豆知識」も掲載していきます。
今、ミヤギ能について全く知らなくても大丈夫!観劇までにひとつずつ、みなさんと一緒に学んでいきたいと思います!

ですが、
上演まで待ちきれないという方は、
12月21日(木)「おためし劇場」に、ぜひお越しください。
誰よりも早く、「ミヤギ能」の秘密を知ることができる……かもしれません!
 

【ミヤギ能豆知識 Vol.1 「複式夢幻能」】
 複式夢幻能は世阿弥が大成させた能の形式です。複式夢幻能は夢幻能であり複式能であるものを指しています。
 まず、夢幻能とは霊的存在の主人公「シテ」が、名所旧跡を訪れる旅人「ワキ」の前に出現し、その土地にまつわる伝説や身の上を語るものです。この「シテ」は物語でとても重要な役割を担っています。
 次に、複式能とは二場物のことです。最初が「前場(まえば)」、次が「後場(のちば)」と呼ばれており、前場でシテや物語のことがほのめかされ、後場でその詳細が明かされます。前場と後場の間にはシテが退場する「中入り(なかいり)」が挟まれます。
 本作ではキプロスの女性がシテ、ヴェネチアからキプロスに来た旅の僧がワキになります。

 

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能『オセロー ~夢幻の愛~』
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰 
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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