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2016年3月20日

<『ロミオとジュリエット』>大学生ジュリエット、公演を終えて

『ロミオとジュリエット』全21ステージ、無事に終了しました。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました!

現役大学生ながらも、ジュリエット役を務めた宮城嶋遥加より
皆さまへの感謝の気持ちを込めたメッセージです。
小学生の頃からSPACの人材育成事業に参加してきて
ついにプロの舞台に立ったこの1ヵ月半を振り返りました。

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SPAC秋→春のシーズン『ロミオとジュリエット』で
ジュリエット役を演じました、宮城嶋遥加です。

公演を観に来ていただいたお客さま、遠くから応援してくださっていた皆さま、
また、テレビや新聞などのメディアを通してこの公演に興味をもっていただいた皆さま、
関わってくださったすべての皆さまに感謝申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。

終演後に、お客さまが「初めて劇場に来たけどまた来たい」「とっても楽しかった」
などと声をかけてくださったり、平日の中高生鑑賞事業公演で来てくれた中高生の皆さんが
興奮した面持ちで劇場を後にしてくれたり、握手してくれたり、
一つ一つの言葉やお客さんの様子が本当に勇気を与えてくれるものでした。
毎日、たくさんのお客さんにお会いし、客席から力をもらえたことが本当に幸せでした。

私は静岡出身で、「こども大会」、「SPACシアタースクール」、
「スパカンファン[SPAC-ENFANTS]・プロジェクト」などSPACの人材育成事業に参加してきました。
中高生のときから、SPACで働くスタッフさんや俳優さんは憧れの存在であり、
「私もいつかはSPACの公演に出演することができたらどんなに素敵だろう」と
心の底でずっと思っていました。
『ロミオとジュリエット』に出演されていた俳優さんの中にも中高生の頃から知っていて
お世話になってきた方も多くいらっしゃいます。
この公演で、子どものときからずっと憧れていた方たちと一緒に仕事ができる、
SPACの舞台に立てるということが本当に嬉しかったです。
改めて、SPACがある静岡に生まれてよかったと思いました。

2月に稽古が始まり、初日を迎えて千龝楽を迎えるまで、
時の流れがとても早かったです。
毎日たくさんの方に支えていただき、助けてもらっていました。公演が終わって、
改めて公演の舞台写真や映像を見たり、自分が使っていなかった
小道具や舞台装置などを間近に見たりしました。
稽古・公演期間中は自分のことで精一杯で気がつけなかったことが分かり、
この作品の魅力を今、改めて感じています。
一つ一つのシーンや小道具、衣裳が本当に繊細にできていて、
命が吹き込まれていて初演からこの作品を創ってきた方々への尊敬の思い、
そして、今回この作品に関わらせていただいたことへの感謝の気持ちが湧き上がり、
胸がいっぱいになりました。

2015年度のSPACの公演は『ロミオとジュリエット』で終わりですが、
来月の終わりからは「ふじのくに⇄せかい演劇祭2016」が始まります。
どんな作品に出会えるのか今からとても楽しみです。

また皆さまと劇場でお会いできることを楽しみにしております。

宮城嶋遥加
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ご来場いただきました皆さま、本当にありがとうございました!

2016年3月14日

<萌目線。vol.129>今川さんがSPACに出撃!

女子大生ジュリエットとして宮城嶋遥加ちゃんが大抜擢され!
静岡県中にジュリエットはるかフィーバーが巻き起こった今回の『ロミオとジュリエット』も、いよいよ一般公演千穐楽を迎えました。

この日はプレトークのゲストとして、静岡市非公式キャラクターである、今川さんが来てくれましたよ!!

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今川さんとは…
戦国武将 今川義元をモデルとしたキャラクターです!
お茶っ葉の形のまろ眉や、しぞーかおでんの弓矢、プラモデルの家紋など、静岡ゆかりの大名らしく主に県内のイベントに「出撃中」!

SPACの『ロミジュリ』は和のテイスト溢れる作品ということで、これは見逃せない!と千穐楽に駆けつけてくださったのです。

お客さんの中にも今川さんをご存知の方が結構いらして、出番の前からお写真の行列ができたりと、大人気!
今川さんが来るということで…と初めてSPACに来てくださった方もいらっしゃいました。
ありがとうございます!!

カフェには沢山の方がお集まりくださり、みなさんと「ハロまろまろ!」と今川さん流のご挨拶を交わして、プレトークがはじまりました。

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これからはじまる、かの有名なラブストーリーにドキドキが隠せず…

こんなにドキドキしたのは…
「桶狭間以来だねっ!」のネタも披露してくださいました!

私からシェイクスピアや作品についての簡単な解説をさせていただき、いざお客様たちと一緒に観劇へ。

劇場の入口で芸術総監督から「日本文化がどんな形に変貌を遂げたか、ご覧ください」と声をかけられました。

終演後は、お客様や本番を終えた出演俳優たちと記念撮影!!

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今川さん大好き!と言っていた実幸ロミオと勝負したり、討ち取られた者同士、永井ティボルトと仲良くなったり…

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すぱっくんもやってきてお友達になりましたよ。

ここに武石乳母も加わって、濃いキャラ集合写真に。。

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今川さん、またぜひ劇場へいらしてくださいねー!!

<萌目線。>とは・・・ SPAC俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。
GREEでもブログ更新中。

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『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス
出演:SPAC
静岡芸術劇場
2月24日(水) ~ 3月16日(水) 
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年3月8日

<『ロミオとジュリエット』> 演出助手ファビアナさんのステキな朝食

『ロミオとジュリエット』の公演もすでに終盤です。
2月の稽古開始からすでに一ヶ月以上が経ちました。

その間、海外から来た俳優やスタッフたちは、
舞台芸術公園の宿舎で自炊生活をしています。

異国の日本で、皆さんどんな食事をしているのか、
気になりませんか?

そんなわけで、今日は演出助手ファビアナさんの、
ステキな朝ご飯を紹介したいと思います。

舞台芸術公園の近くにあるスーパーで売っている丸い白パンがお気に入りの彼女。

そのパンを使った今日の朝食はこちら。

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※コロンビアにはこの白パンに良く似た「パン・デ・ボノ」という、
キャッサバというイモの粉でできたパンがあるそうです。

静岡では、このパンをフライパンで温めて、バターを塗ってジャムをつけて、
緑茶と一緒にいただくそうです。

普段はコロンビアとフランスで演劇活動を行いながら、
母国コロンビアではテレビ女優としても活躍している彼女は
笑顔がとてもかわいらしい女性です。

そんなファビアナさんから皆さんへのメッセージを!

「ロミオとジュリエットの演出助手の仕事に向かう前、小鳥のさえずりと共に朝食をいただきます。
母国コロンビアの“パン・デ・ボノ”を思い出させてくれる日本の小さいパンと、静岡の緑茶、
そして醤油をかけたゆで卵、という素敵なミックス。
まるで、優れた材料を合わせたこの作品のよう…。
様々な国籍の俳優、何世紀にもわたって語り継がれてきた物語、永遠に消えない恋、
これこそロミオとジュリエットです!皆さま、劇場でお会いしましょう!」

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『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス
出演:SPAC
静岡芸術劇場
2月24日(水) ~ 3月16日(水) 
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年3月4日

<『ロミオとジュリエット』>開幕しました!舞台写真も公開。

オマール・ポラス演出『ロミオとジュリエット』。
2月27日(土)から一般公演の幕が開き、大勢のお客さまにご来場いただきました。

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お客さまから嬉しいお言葉をいただきました。誠にありがとうございます!
その一部をご紹介します!

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2月13日のおためし劇場からは想像(予想)できない素晴らしさでした。(60代)

演劇を観たのは初めてで上手く言えないのですが、迫力があって鳥肌が立ちました。
日本風の衣裳がとても綺麗でした。(女性・10代)

本当に「こんなロミオとジュリエットみたことない!」です。
暗くならず、楽しい気持ちになれます。(女性・50代)

何と言うか、奥が深いというか…。すごく心も身体も引き込まれました。
『ロミオとジュリエット』ってあの時代だからできた悲劇なんだなと思いました。
最後のシーンで思わず泣いてしまいました。(10代)

なんて言っていいのかわからないけど、
今まで私が観たSPACの中でナンバー1かもしれない。(女性・20代)

素晴らしかったです。(2012年の)初演を観た時も感動しましたが、
また違う印象で良かったです!
和洋が混ざり合った不思議な空気感、影絵のような演出、ロミオのカッコよさ、
ジュリエットのあどけない美しさ、乳母のキャラクター、ホントに素敵でした。(20代)
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テレビや新聞でも注目されています!
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・中日新聞(夕刊) 2016.2.12  「文化融合、心躍る演出」
・静岡新聞(夕刊) 2016.2.16  「悲劇の古典に和とユーモア」
・リビング静岡 2016.2.20  「こんにちは」(宮城嶋遥加紹介)
・朝日新聞 2016.2.27  「静岡市出身 女優2人が主役」
・中日新聞 2016.3.2  「頑張り実ってジュリエット 静大の宮城嶋さん初出演」
・テレビ静岡 2016.1.6 「てっぺん静岡」 「『ロミオとジュリエット』主演に大抜擢!静岡愛たっぷり現役女子大生」
・静岡朝日テレビ 2016.2.24  「とびっきり!しずおか」特集コーナー
・NHK静岡放送局 2016.3.1 「キラキラしずおか人」コーナー
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恋する心をエンジンに、美しく疾走するロミオとジュリエット。
ぜひご覧ください!

一般公演の千穐楽となる3月13日(日)は、お席にまだ余裕がございます。
よい席はお早めにご予約ください!

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年2月26日

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆ 『ロミオとジュリエット』出演俳優トーク

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。
パンフレット裏表紙のインタビューのロングバージョンを連動企画として、ブログに掲載します。

ロングバージョン写真

キャピュレット役
貴島豪(きじま・つよし)
1998年よりSPAC所属。出演作に『真夏の夜の夢』、『ハムレット』(演出:宮城聰)、『変身』(演出:小野寺修二)他。

ベンヴォーリオ役
舘野百代(たての・ももよ)
1997年よりSPAC所属。出演作に『王国、空を飛ぶ!~アリストパネスの「鳥」~』(演出:大岡淳)、『変身』(演出:小野寺修二)、『天守物語』(演出:宮城聰)他。

<台本にあるセリフは全部覚える!?>
──オマール・ポラス演出の『ロミオとジュリエット』は2012年に初演されましたが、当時、配役はどのように決まったのでしょうか?

舘野: 最初は出演者が全部の役を順番に、男女も関係無しにやってみて、その中でひとりひとりの特質を見極めながら決めていくのがオマールのスタイル。だから台本にあるセリフは全部覚えてこいって言われる(笑)。『ロミジュリ』(注:『ロミオとジュリエット』のこと)は最初特に男女逆にやるっていうつもりはなかったんだけれど、ロミオを男優で試し続けていて、何か足りないって思っていたんじゃないかな。そこで実幸(みゆき)(山本)にやらせたら空気が変わって…結果としてオマールは今の形に一番可能性を感じたみたい。
貴島: いろんな役をやることで、その俳優が自分でも気づいていなかった特質が出たりするんだよね。それを、オマールが思い描く登場人物たちのイメージとすり合わせて配役が決まる。
舘野: そういうやり方だから、こちらが事前にこう演じようと思って準備していったものは全部潰されちゃうんだよ。オマールは俳優がその場で何かを生み出すのを待っている。俳優自身も知らない個性が出てくるのを。俳優は全部「さらされる」から、嘘もつけないし、本気でやらないとオマールとは戦えない。

<本当の自分>
──「さらされる」とは何を通じてそう感じるのですか?

舘野: 『ドンファン』(※)のキャスティングでもやったのは、俳優が仮面をつけてやる即興パフォーマンス。まず俳優はオマールの持ってきた仮面をつけて、鏡の前で自分の姿と向き会う。そして、平台を数枚敷いたくらいの小さな空間で、その場で考えて即興的にパフォーマンスをする。もちろん、オマールや他の俳優の観ている前で。何をやってもいいんだけど、もし何もできなければ自ら退場するか、何も生み出せない状態のままじっと観られ続ける。そこで何か面白いことができたとしても、観ている人は笑ったりしてはいけない。そうすると俳優はその反応によりかかってしまうから、という…。
貴島: とりあえず舞台に出されて、「何かやってくれ」って(笑)。何もできない人がいたり、役者の性として「何かやらなきゃ」って思うから結局ドツボにはまってずっと舞台から降りられない人がいたり…。観てるほうも辛いよ。
舘野: どうしようもない状況になればオマールはヒントをくれるんだけどね。「あなたの名前は?」とか。でもそこで本名を答えると、「違う」と言われる。なぜなら仮面をつけているから。その場でキャラクターを作り上げなくてはいけないということ。
貴島: ふつうは仮面をつけたら「他の人を演じる」という感覚なんだろうけど、オマールは仮面をつけることでその人の奥底に隠れている本質的な部分を引き出させようとする。

※SPACスプリングシーズン2011『ドンファン』(2009年初演)
http://www.spac.or.jp/11_spring/donjuan.html

<「慣れ」との戦い>
──配役が決まった後の稽古はどんな様子ですか?

舘野: 稽古を繰り返していると、慣れてきて、だんだん自分のクセが出てきたりするよね。そうするとオマールはシチュエーションを変えたり、出る順番を変えたりして揺さぶってくる。常に新しいもの、前に進むことを追求しないと役は活きてこないから。稽古というと何度も同じことを繰り返してそれを確実にしていくことが多いんだけど、そうやってどんどん変更を加えるオマールとの作品作りが、自分の幅を広げるターニングポイントになった気がする。
貴島: 俳優が慣れてきたときに、オマールはそれを「メカニック(機械的)」と表現するんだけど、それを絶対に許さないから、俳優を自分の範囲から引っ張りだして、外に向かわせるように新しい要素を入れて活性化させる。演技に慣れてくると自分の箱の中でうまくやっているつもりになりがちだから。それにしてもオマールはそういうとき本当に察知するのが早い。もしかしたら、自身が若いころから俳優を志して母国を出て、言葉の通じない国で路上パフォーマンスをして見知らぬ人にさらされながら、学費を稼いで芝居の勉強をしていた経験も影響しているのかな。

<日本語の音を考える>
──上演台本は日本語ですが、オマールさんは日本語のセリフにどうアプローチするんでしょうか?

貴島: オマールは日本語の響きやリズム感にも敏感。俳優が日本語として自然な、話しやすいトーンでセリフを言うと、「ここで欲しいのはそういう音じゃない」と言われるときがある。それでオマールは求めているアクセントを「タ、タ、タ、タ、タ」とか言って実践してみせるんだけど、もちろん彼は日本語の母語話者じゃないから、日本語的にはありえないアクセントだと最初は思う。でも実際にやってみると、意外と日本語っていろんな話し方ができるんだなっていう発見があったりする。このすり合わせ作業は大変だったけど、目からウロコの連続でもあった。
 『ドンファン』では仮面をかぶって大きな身振り手振りをするような演技をした。でも、日本人の俳優は大きなジェスチャーの演技はちょっと大げさに感じるから、最初は違和感があった。オマールは能や歌舞伎も勉強してきているから、日本に特有の動きの様式があるということも知っている。それを、オマールの持っている様式をすり合わせて自然にできるようにしていく。そういう違和感から始まるすり合わせが、演技に深みをもたらしたと思う。
舘野: 身振り手振りも、適当にやってるんじゃなくてちゃんとコードがあるんだよね。慣れてない日本人からするとはじめは表面的に真似することしかできないんだけど、だんだんその意味も考えるようになってきた。

<世界レベル>
──稽古場でのオマールさんはどういう人ですか?

貴島: 厳しい人だね。求めているものが出てくるまで何時間でも待つ。反面、ものすごく気が早いときもある。パッとインスピレーションがわいたら、相手が悩んでいても「あれやって、これやってみて」とどんどん要求してくる。そうなると休憩も全然とらないし。とにかく極端で、中庸というものがない。何かを妥協したりは絶対にしない(※)。
舘野: 演劇に限らず、そういう人たちが世界をリードするんだろうね。その肌に触れられるのはとてもありがたいこと。

※貴島豪による、『ふじのくに⇄せかい演劇祭2012』で上演されたテアトロ・マランドロ『春のめざめ』でのオマール・ポラスについてのコラム
http://spac.or.jp/blog/?p=11313

<「ぶっ飛んだ演出家」オマールとの出会い>
──SPACの俳優の中でも特にオマールさんとの付き合いが長いお二人ですが、そもそもの出会いはどんな形だったのでしょう?

舘野: 最初にオマールに出会ったのは鈴木忠志さんが芸術総監督だった頃、1999年の『血の婚礼』。ヨーロッパでこの芝居を観て、呼ぼうと思ったらしい。で、実際に観てみたらものすごくぶっ飛んでいて、夢の世界に連れていってもらえた。でも滅茶苦茶ではなく、きちんとした枠があるという印象を受けた。その当時の俳優トレーニングに取り入れてみたりしたよね(笑)。
嬉しかったのは、『ロミジュリ』でヨーロッパ公演をしたときに、オマールの劇場(シテ・ブルー)で、「やっと夢が叶った」って言われたこと。オマールは『血の婚礼』のときから、SPACの人と仕事をして、自分の劇場に連れてくるのが夢だったんだって。
貴島: 芝居もぶっ飛んでいたけど、当時のテアトロ・マランドロ(オマールの劇団)のメンバーは…(笑)。普段の格好からアナーキーだったよね。
舘野: そうそうそう、鼻ピアスに、紫の髪とかで…(笑)。
貴島: でも演劇の話になると、とにかく真摯だし、作品からもそれが痛いほど伝わってくる。鈴木さんはそういうところを気に入ったのかもしれないね。

<ハードなツアー経験>
『ロミオとジュリエット』は2013年にヨーロッパツアーを行いましたね(※)。いかがでしたか?

貴島: ヨーロッパツアーではジュネーヴを拠点にして10都市まわったよ。ハードなスケジュールだったけど、行くところすべてが新鮮(笑)。新しい劇場に入って1日や2日で本番ということもあったけど。
舘野: 劇場入りして、通し稽古して、本番やって、夜に帰る、みたいなことで鍛えられたね。
面白かったのは、長期滞在だから俳優がそれぞれ違うアパートに泊まっていたこと。普段の海外公演みたいにみんなで同じホテルに泊まって、集まって劇場に行って…じゃなかったこと。同じチームなのに劇場で集まるまではお互いの生活にノータッチで、大人な感じだった。
貴島: 生活能力も問われたね。自炊能力、買い物能力…(笑)。体調管理は本当に大事。それでも長くいるとだんだん普段日本にいるときと同じような感じで、リズムができてくる。ジュネーヴを拠点にして、TGV(フランスの高速鉄道)でいろいろなところに行って。4カ月近くいたのかな。フランス語はなかなか覚えなかったけど(笑)。
舘野: 生活していくうちに現地の人たちといろいろな出会いや交流もできたしね。
貴島: CERN(セルン・欧州原子核研究機構)見学とか、MMAジムに通ったり(笑)。

※出演者による、2013年『ロミオとジュリエット』ヨーロッパツアーのブログ
http://spac.or.jp/blog/?cat=74

<外国人出演者たちから学んだこと>
──演出家のオマールさんだけでなく、出演者にも外国人の方々がいますね。一緒に作品をつくった印象はどうでしたか?

貴島: 一緒にトレーニングをやったりするとわかるんだけど、身体について何を大事にしなきゃいけないかっていうことは同じ。俳優それぞれいろんなプロセスを通ってきたとしても、お互い共通の肉体言語を持っているんだよね。
舘野: もうひとつ、印象的だったのは、例えば稽古に遅刻してしまったときとか、日本人だとまず「なんで?」から入っちゃうんだけど、オマールは「来てくれてありがとう」と言う。そういう風にポジティブから入るのはいいなあと思った。あとフランスやスイスで、スーパーで買い物してたら、現地の人はレジでまず「ボンジュール」って言うんだよね。自分も取り入れようと思って、日本でもレジで「こんにちは」って挨拶してるうちに店員さんと仲良くなったりした。そういう風に、芝居の外でもいろいろ取り入れたことで、自分が豊かになった気がする。
貴島: そういえば、フランスとかスイスでは文化として劇場に行くことが生活の一部になっているんだよね。スポーツ観戦とかと同じ感覚で。日本だとまだそこまではいっていない。これから特に若い人たちの間でそういう風になっていったらいいな、と思う。

<喜劇としての『ロミオとジュリエット』>
──SPAC版『ロミオとジュリエット』の見どころを教えてください。

舘野: 400年前に『ロミジュリ』が書かれたころ、当時のシェイクスピア演劇は男性だけで上演されていたんだって。きっと劇団には長老みたいな人がいて、ベテラン看板俳優がいて…。もしかしたらシェイクスピアは、若い人を主役にした『ロミジュリ』を書くことで、そういう状況に対してオマールと同じで「揺さぶり」をかけたのかも(笑)。SPACでも、若い役者をベテランが支えるっていう形で見せられたらいいな。
貴島: それから『ロミジュリ』って、たった5日間の恋愛劇なんだよね。オマールの演出はその疾走感をとても大事にしている。二人の悲恋が注目されがちだけど、実はメインは前半の喜劇的な部分じゃないかと思う。オマールは『ロミジュリ』の喜劇的要素を拾い上げて、スピード感・リズム感にあふれた作品に仕上げた。これは他の『ロミジュリ』にはない時間感覚じゃないかな。
あとはオマールの日本観が表れた舞台も見どころだよ。日本人が観るとまるでB級の忍者映画みたいなところが無きにしもあらずなんだけど(笑)、オマールなりに「日本とはなにか」ということがよく考えられていると思う。
舘野: 台本の解釈が深いから、いろんな要素を取り入れても踏み外さないんだろうね。

2016年1月11日 静岡芸術劇場にて
(構成・塚本広俊)

2016年2月20日

<『ロミオとジュリエット』>おためし劇場レポート!

2月13日(土)には『ロミオとジュリエット』の「おためし劇場」が開催されました!
小雨もふって、しっとりと冷えた天気のなか、50名近くのお客さまに来ていただきました。

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【「おためし劇場」会場の、舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」】

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【演出助手のファビアナ・メディナさんからご挨拶】

舞台と客席がとっても近く、和やかな雰囲気のなか「おためし劇場」がスタート。

今回は、SPAC俳優が日々稽古前に取り組んでいる
スズキ・トレーニング・メソッドをご覧いただきました。

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【バランスを取りながらセリフを発しています】

お客さまからの「迫力がすごかった!」という声もたくさん。
俳優の集中が客席にも伝わって、よい緊張感が生まれていました。

稽古見学では、普段はめったに見られない演出風景をご覧いただきました。
演出助手のファビアナさんが俳優たちに細かく演技の指導をして、
各シーンのイメージを共有していきます。

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【マキューシオが歌うシーン】

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【宴会のシーン】

参加者の皆さまからいただいた嬉しいお言葉をご紹介。(アンケートより抜粋)

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・めっちゃかわいくて、めっちゃかっこよくて、
めっちゃおもしろくて、めっちゃせつないよ。(涙) 見るべし! (女性、40代)


・乳母を見てー!ケラケラの所が面白いの! (女性、20代)

・密度の濃い文化的な時間の使い方として最上級のたぐいでしょうね。
楽しかったです。どうもありがとう! (男性、60代)


・今まで観たことのない、けもの達の『ロミオとジュリエット』。 (女性、40代)
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ここでご紹介できたのは、ほんの一部。
気になった方は、ぜひ本公演にお越しください。

開幕まであとわずか!

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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昨年の秋からシリーズ企画として始まった「おためし劇場」
劇場にはじめて来たというお客さまも沢山いらっしゃいました。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。
次はどの作品でお会いできるでしょうか!?
これからも「おためし劇場」をヨロシクお願いいたします!

2016年2月15日

<『ロミオとジュリエット』>稽古順調!衣裳・メイク付きの写真を公開!

稽古が始まってから一週間。
演出助手のファビアナさんのリードの下で順調に進んでいます!

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 【2月7日、稽古の様子】
写真は、キャピュレット家の宴のシーン。
ロミオが友人のマキューシオ、ベンヴォーリオと一緒に忍びこんでいます。
うまく紛れこんだロミオたちはどこにいるでしょうか・・・?

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2月8日には衣裳もメイクもバッチリ決めて、通し稽古がおこなわれました。
衣裳を着てメイクをすると、宴もより一層にぎやかな仕上がりに!
 【2月8日、通し稽古の様子】

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 【2月8日、通し稽古の様子】
音楽に合わせて行進するキャラクターたちの最後尾には
ジュリエットのお世話役・乳母の姿も!!

物語前半のユーモラスで若い男女の恋にどこか浮かれた雰囲気もここまで。

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 【上:ロミオ役・山本実幸、下:マキューシオ役・吉見亮】

ロミオの友人マキューシオに起こる ”ある事件” をきっかけに、
歯車が狂い、少しずつ悲劇的な方向へ傾いていき・・・。
そのまま失速することなく衝撃のラストへと向かいます。

物語の展開にもぜひご注目ください!
 
 
≪おまけ≫

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 【ジュリエットの部屋のワンシーン】
衣裳をまとった清新なジュリエットの姿はぜひ劇場で!❤

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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2016年2月9日

<再演!『ロミオとジュリエット』> 稽古が始まりました!

2月1日、舞台芸術公園の楕円堂にて、
『ロミオとジュリエット』の稽古がスタートしました!
と思ったのも束の間、実は2月24日には初日の幕が明けます。

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稽古初日の顔合わせのあとは、台本の読み合わせがおこなわれました。
新たなキャスト三名を迎え、どのような作品に生まれ変わるのか
出演者もスタッフもワクワクしながら、創っています。

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この作品を最後に上演したのは2013年のフランス公演。
当時の上演映像を確認して、立ち位置などを思い出しながら、
稽古が進んでいきます。

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登場シーン。正面からみると、シンメトリーに並んだシルエットが美しく、
神聖な空気が漂います!

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殺陣の稽古では、空気もガラリと変わり、迫力満点!!

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赤いパーカーを着ているの方は、おちゃめで頼れる演出助手のファビアナ・メディナさん。
演出家のオマール・ポラスさんが合流するまで、チームを引っぱっていきます。
コミカルな動きとダンスをSPAC俳優に伝授している最中です。

初演時よりもよりいっそうコメディーの色味がまして、
ついつい吹き出して笑ってしまうシーンもたっぷりあります。ご期待ください!

新生『ロミオとジュリエット』。
出演者・スタッフ一同、初日にむかって残りの稽古を走り抜けます!

気になる稽古の様子は、今週末、2/13(土)に開催される「おためし劇場」でどうぞ。

チケットは絶賛販売中です!
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2~3月 SPACレパートリー
『ロミオとジュリエット』
構成・演出:オマール・ポラス/原作:ウィリアム・シェイクスピア/日本語訳:河合祥一郎
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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<潜入!『黒蜥蜴』の世界(17)>いよいよ明日千穐楽!!

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

SPAC『黒蜥蜴』は、いよいよ明日千穐楽を迎えます!

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感想ツイートをこちらにまとめさせていただきました。
貴重なご感想本当にありがとうございます!
http://togetter.com/li/931208

最終日となる明日2月10日(水)は中高生鑑賞事業公演ではございますが、
一般のお客様にもご観劇いただけるお席をご用意しております。
ラストチャンス、ご来場お待ちしております!

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緊張感ただよう緑川夫人(右・たきいみき)と岩瀬早苗(左・布施安寿香)のやりとり。

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宝石について朗々と語る岩瀬庄兵衛(阿部一徳)。

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黒蜥蜴を想う明智小五郎(大高浩一)。二人の対決が始まります!

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中高生に大人気!岩瀬家の用心棒たち、左から富山(小長谷勝彦)、原口(牧山祐大)、大川(吉植荘一郎)。

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にぎやかな岩瀬家の台所より。噂話に花が咲きます。
左から、女中の愛子(佐藤ゆず)、ひな(榊原有美)、夢子(石井萠水)、色江(赤松直美)。

黒蜥蜴稽古236
黒蜥蜴の脅迫状におびえる岩瀬家を訪れる、洗濯屋(左・横山央)、御用聞き・五郎(右・若宮羊市)。
コミカルなやり取りにホッとする場面です。

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黒蜥蜴のアジト。ひなの正体は一体?

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こちらは明知探偵事務所。きびきびした動きに注目。
左上から時計回りに、明智小五郎(大高浩一)、部下の岐阜(春日井一平)、堺(泉陽二)、木津(加藤幸夫)。

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東京タワーで、巨大なダイヤ「エジプトの星」の受け渡しが行われます。
売店のおかみさん(桜内結う)を替え玉にして、黒蜥蜴は…。

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黒蜥蜴(たきいみき)の明智への恋心は募り…。

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檻に閉じ込められた雨宮潤一(若菜大輔)、岩瀬早苗(布施安寿香)。それぞれが心に秘めた、ある「告白」とは…?

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息のあった動きは必見!黒蜥蜴の侍女。(左から、鈴木真理子、永井彩子)

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カーテンコールの様子。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
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2016年2月6日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(16)>舞台美術デザイン 高田一郎さんインタビュ―

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

『黒蜥蜴』ブログ第16回は、舞台美術デザインを担当していただいた高田一郎さんへのインタビューです。『黒蜥蜴』が書かれた頃から舞台美術家として活躍されている高田さんに、当時の社会や演劇の状況、また三島由紀夫さんとの交流など、お聞きしました。

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高田一郎(たかだ・いちろう) プロフィール
1929年、東京生まれ。1952年、東京美術学校(現・東京藝術大学)卒。舞台美術家。武蔵野美術大学名誉教授。日本及び海外で、主に抽象的な舞台空間を展開する。紫綬褒章、芸術祭優秀賞、伊藤熹朔賞、紀伊國屋演劇賞ほか、受賞多数。代表作に『マリアの首』(演出:田中千禾夫)、『三文オペラ』(演出:千田是也)、『蝶々夫人』(ミラノ・スカラ座)など。SPACでは『巨匠』(演出:宮城聰、2007年)、『オイディプス』(演出:小野寺修二、2011年)の舞台美術を手がけた。
 
 
< 時代の象徴「東京タワー」 鉄骨による空間構成>
――『黒蜥蜴』の舞台美術はどのように決まっていったのですか?
高田:
今回、宮城さんに2016年お正月早々の仕事を頼まれたことを非常に光栄に思っております。
依頼をいただいて、昨年の秋頃に宮城さんと最初の打ち合わせをしました。『黒蜥蜴』は江戸川乱歩が原作(1934年)ですが、三島由紀夫さんは1961年に戯曲にするにあたり、当時完成したばかりの東京タワー(1958年竣工)を舞台に取り入れました。そのこともあり、宮城さんから今回は「東京タワーの時代」を演出コンセプトの1つにしたいとお聞きしました。宮城さんは、俳優の肉体表現を重視する一方で、知的なセンスで戯曲を分析し、非常に面白いコンセプトの演出をずっと続けている演出家だと思っていました。その話を聞いて宮城さんの目の付けどころはさすがに違うなと感心しました。それで、僕の舞台美術のポイントも、そこに置くことにしました。
どういうことかと言いますと、三島さんがこの作品を書いた当時、日本は敗戦から立ち直っていく途上、高度経済成長期にあって、日本国民全員が非常にエネルギーに満ちた、張り切った時代だったんです。東京の街は、ビルの建設ラッシュで、どこもかしこもビルを建てるのに必要な鉄骨の足場が道路の両脇に建てられていました。ですから、東京の街を歩くということは、工事現場の中を歩くのに等しい状況だったんです。この頃は、ちょうどビルを建てる足場も、丸太から鉄骨に変わっていった時期にあたるので、鉄骨は当時の復興のエネルギーと時代の変化の2つを象徴的に表しているとも言えます。私は、もともと素材に鉄骨を使うことが多かったので、今回の宮城さんのコンセプトを聞いて、「よしきた!」という感じで、鉄骨の足場を主体にした舞台空間を作り上げるプランを提案しました。

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左手手前に客席から仕込みを見守る高田さん
 
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舞台装置仕込み中の劇場はまるで工事現場
 
――高田さんは、舞台美術家として最初に手がけられた舞台でも、鉄骨を使われたとお聞きしました。
高田:
はい、そうなんです。ちょうど三島さんの『黒蜥蜴』の舞台となる時代は、僕が舞台美術の仕事をし始めた時にあたります。私も材木から鉄材への変わり目を、舞台上でも表現してみたかったんです。
というのも、それまでの日本の舞台は歌舞伎の舞台装置が主流でした。主な素材は材木と紙、それから「泥絵の具」という水彩絵の具。歌舞伎はこのような日本的な材料と表現で、世界的にみれば非常にユニークな舞台空間を、それまでに作りあげていました。
そして、シェイクスピアやモリエールといった外国の芝居を日本人が上演するときも、当時の舞台美術は、歌舞伎の大道具を作る材料と技術で作り上げられていました。そうすると、やはりなんとなしに日本的な雰囲気が、シェイクスピアやモリエールには合わないということもおきてきました。そこで私は、素材を日本的な木材を主体にしたものから、鉄骨にかえていくことが、表現においても舞台空間の一つの変革になるのではないかと考えました。それで、ちょうどその考えと鉄の足場というのがうまく重なり合って、当時としてはあまり見られなかった舞台装置を作り上げていくことになりました。
歌舞伎の舞台美術の場合、自然主義的リアリズム、つまり自然は美しいものだという観念で、山や川、遠くの景色を描いて、そういうものを舞台の背景にしていったわけです。けれども、現代の演劇の舞台美術にも、従来の日本の伝統的な表現技術を使った場合、どうしても自然主義的な表現にふさわしいものになってしまい、現代の荒々しい状況を表現する舞台には、どうも馴染まないと皆が感じるようになっていた状況でもありました。

<1960年代 社会と呼応し、演劇にも変革が>
――三島由紀夫の『黒蜥蜴』が書かれた頃の社会で、演劇はどのような状況に置かれていたのですか。
高田:
1960年代の後半は、アメリカでもヨーロッパでも学生運動が非常に盛んになった時で、それと同調するように演劇も世界的に盛り上がりを見せた時代でした。日本でも小劇場運動が非常に高まりました。学生運動は、従来の社会意識に反発する傾向があったわけですけれども、それは舞台の上では、従来の劇場空間に反発するという形で現れていきました。
ヨーロッパでの新しい演劇運動は、従来の劇場ではなく学校の教室や体育館、プレハブの小屋といった場所で展開していきました。フランスでは、ジャン=ルイ・バローという世界的に知られる役者であり演出家でもある人が、パリのオデオン座の芸術監督をしていたんですけれども、当時の文化相のアンドレ・マルローと対立して免職となりました。そうすると、彼はモンマルトルのレスリング場に移って、そこで演劇活動をすることになりました。それは象徴的な事件でしたが、そういうことが世界中で起こって、従来は劇場で上演されるものだとされていた演劇が、ニューヨークでは倉庫、パリではカフェで行なわれるということが生じてきました。そういう傾向は日本でも起こり、鈴木忠志さんの早稲田小劇場ができたり、ほかにも様々な劇団がテントで公演を打ったりと、空間的にも従来の演劇思想に逆らっていくという傾向が見られた時代でした。社会と呼応して、演劇でも、舞台空間を始めとして、演技、演出、戯曲など、その全てにおいて変革のエネルギーが満ちていた時代でした。

<三島由紀夫との思い出>
新年の能楽堂で
――高田さんは、かつて三島由紀夫さんとも一緒に仕事をされたとお聞きしました。

高田:
三島由紀夫さんの作品は、『熱帯樹』の初演(1960年)の舞台美術をやらせていただきました。家がお互いに近くでしたので、それ以外にもいろいろとお付き合いさせていただきました。
印象的だったのはお正月、水道橋の能楽堂でたまたま三島さんと会った時のことです。私は能に興味があって、お正月には『翁』という作品を観に行く習慣でした。それでその年も能楽堂に『翁』を観に行ったら、そこで偶然三島さんとお会いして、休憩時間に、「やあ、高田君、やはり『翁』を観ないと年は明けませんなあ」と話しかけて来てくれました。三島さんも、お能に非常に関心を持っていて、自分と同じように、毎年新年に『翁』を観る習慣をもっていたのには、驚きました。
そんなこともありまして、私は、三島さんとお能をいつも結びつけて考えていましたので、『熱帯樹』の装置を依頼された時も、松を描くなどというように、能舞台を直接的に表現はしませんでしたが、材木の感じとかで能舞台の空間を意識した舞台美術を考えていきました。
そして、今回の『黒蜥蜴』の舞台美術も、一見すると今日の前衛的な表現に見えますけれども、その根底には、能舞台の伝統的な空間を自分としては意識しています。

舞台美術スケッチ1
舞台美術スケッチ2
舞台美術スケッチ3
舞台装置スケッチ

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実際に出来上がった1幕の舞台装置(撮影:日置真光)
舞台全面の張り出し部分は能舞台の間口と同じ広さ

『熱帯樹』の稽古場で
三島さんは、非常に芝居が好きで、気に入っているらしくて、台本が締め切りに遅れたということがないんですね。それから台本ができあがった時に、本読みをなさるんです。役者もスタッフも全員がそろった場で、台本の最初から最後まで全部自分一人で読み上げるわけです。女の登場人物の女言葉の部分は、もちろん女言葉で。作業としてはけっこう大変なので、「いやー、三島さん大変ですね」と話しかけたら、「いやー、もう私はこれをやりたくて戯曲を書いているんですよ」と言われました。本読みしている姿からだけでも、芝居が好きだということ、自分が書いた台詞に非常に愛着を持って大切にしていることは、感じられました。
作家によっては書き始める時に、最後がどうなるか分からない状態で書き始めて、書いているうちに、最後の部分ができあがるという作家もいるわけですが、三島さんの場合は最後の台詞が決まっていて、そこに向かってスタートを切っていく構成になっているんです。ですから非常に知的な構成で、それに加えて、自分の得意なきらびやかな台詞が延々と続くので、とてもユニークな戯曲になっているわけです。
『黒蜥蜴』の舞台も、俳優が出てきて、あまり動かないままで、延々と台詞を述べ立てることに表現の主体を置くような、舞台もあっていいのではないかなと思いながら、デザインしましたが、稽古の様子を見ると、宮城さんの演出ではそれを受け止めていただいたと思います。三島さんが観たら、自分の書いた台詞をとても大事にしてくれていると、非常に喜んでもらえる仕上がりになっているのではないかと感じました。

<舞台美術家となる決意 文学座の稽古場での感動的な発見>
――高田さんは、どのようにして舞台美術の道に進むことになったのですか?
高田:
小さい頃から絵を描いたり、ものを作るのが好きだったので、大学は美術学校の金工科に進みましたが、演劇も好きだったので演劇部に入ったんです。それで演劇部で『マリウス』(マルセル・パニョル作)という芝居をやった時に、僕は衣裳とポスターやパンフレットのデザインを担当しました。その時に、ちょうど文学座でも『マリウス』上演することになった。それで、たまたま僕の描いた宣伝パンフレットを文学座の宣伝部の人が見て、「これは面白い、こいつに文学座の宣伝物もやってもらおう」ということになったんです。それをきっかけに文学座との接点ができ、だんだん関係が深くなり、後々には舞台美術をやらせてもらえるようになりました。小学校の頃から、自分には素晴らしい先生方との出会いがあり、恵まれていたと思いますが、文学座との出会いも本当に運がよかったんだと思います。
それでこの『マリウス』という作品が、どういう話かといいますと… 南フランスの港町マルセイユが舞台なんですが、そこにマリウスという若い青年がいて、彼にはバーで働く恋人がいた。2 人は仲が良かったけれども、マリウス青年は、もっと広い世界に憧れて、船乗りになって世界中を回りたいと思ったわけですね。それで恋人の彼女を置いて、旅立つことになった。マルセイユのバーに留まらざるをえない彼女は、今日の12時に彼を乗せて船が出港するという時に、自分のバーのカウンターの中で片付けをしている。でも出発の時間はどんどん迫ってくる。バーには時計があって、その針がだんだん12時に向けて進んでいくんです。
でも、この時計の針は芝居にあわせて動かなくてはならないので、実際の時計そのものではないんです。文学座の芝居では、舞台の進行にあわせて、女性の裏方さんが壁の後ろで針を動かしていたんですが、僕はある日、その人が仕事しているところを、たまたま通りがかりに見て、とても驚いたんです。文学座の名女優、杉村春子さんが主役でスポットライトを浴びている時に、壁を一つ隔てたその裏側で、この時計の針を動かしている人がいる。世の中にはこういう仕事もあるのか!と気がついて、びっくりするくらい感動したんです。その時に、これこそ私の進むべき道だと思って、演劇の裏方、舞台美術を仕事にすることを決心しました。僕も当時は若かったからねぇ(笑)今だったら、また違った判断をしたと思うんですけれども。でも、まあそのくらいに、将来に希望を託すという空気が、最初にお話したように東京タワーができた時代にはあったんです。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
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