2018年9月20日

『顕れ』パリ日記(3) ~仕込み二日目・三日目、俳優到着、舞台美術サラディン・カティールさんの話~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月12日(水)

 
舞台スタッフは午前9時から作業。
午後5時頃、第二陣の俳優たちがパリ・シャルル・ド・ゴール空港に到着。大荷物。
スタッフは24時まで作業。

太陽と月

 

2018年9月13日(木)

午後2時に俳優が劇場に到着。別の稽古場でトレーニング。

トレーニング1

トレーニング2

劇場スタッフと顔合わせ。

顔合わせ1

顔合わせ2

舞台はだいぶ準備が整ってきた。
早速楽器や小道具を運び込み、設置。

楽器セッティング

この『顕れ』の舞台美術を担当してくれたのはサラディン・カティールさんという舞台美術家。現場で作業も進めてくれている。

サラディン作業中1

カティールはShizuoka春の芸術祭2010で上演した『彼方へ 海の讃歌』、ふじのくに⇄せかい演劇祭2013で初演し、世界各地で上演を重ねた『室内』、そしてふじのくに?せかい演劇祭2018の『夢と錯乱』など、近年のクロード・レジ演出作品の舞台美術を一手に引き受けてきた。SPACとの共同製作だった『室内』を一緒に作ってきたこともあり、気心の知れた仲間。

カティールは、はじめレジ作品の舞台美術を手がけていたダニエル・ジャンヌトー(今秋東京芸術祭で『ガラスの動物園』を上演)のアシスタントとして現場に入り、ジャンヌトーが演出家となってレジの現場から離れてからは、舞台美術のコンセプトや設計も手がけるようになった。フランスでは比較的珍しい、現場叩き上げの舞台美術家。もともとは舞台装置やインスタレーションを実際に作る仕事をしていて、川俣正の作品も手がけたことがある。素材選びと加工については自信がある、という。

サラディン作業中2

(参考)レジ『彼方へ 海の讃歌』奮戦の記(2010年4月19日)

サラディン・カティールさんの出自は、この『顕れ』の物語と少し関係している。

サラディン

カティールという名前はトルコ語から来ているが、トルコ人ではない。オスマントルコによるアルジェリア支配の名残だという。サラディンという名は十字軍から聖地エルサレムを奪い返し、エジプトにアイユーブ朝を樹立したクルド人の武将の名にちなんでいる。

両親は北アフリカ・アルジェリアの出身。お父さんはカビリア人。アルジェリアのカビリア地方に住むベルベル系の民族で、色が白い。サラディンさんがお父さんの故郷に行くと、「黒人」と見られるという。

お母さんもアルジェリア出身だが、色が黒かった。お母さんのお母さんはアラブ系とベルベル系のハーフのエジプト人で、色が白く、青い目をしていた。黒人のモーリタニア人と結婚したために、村から追放されたという。このお母さんのお父さんは元奴隷だった。

北アフリカのアラブ人たちは、かつてモーリタニアなどブラックアフリカの人々を奴隷としていた。そしてフランスによる北アフリカの植民地化が始まってからも、すぐに奴隷がいなくなったわけではなかった。お母さんは1936年生まれだというので、20世紀はじめの話。

カティールさんにしても、日本を通じてアフリカと出会うことになったわけで、ちょっと不思議な縁を感じる。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
◆公演の詳細はこちら
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2018年9月15日

『顕れ』パリ日記(2) ~仕込み初日、「他者」を演じること、等々~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月11日(火)

 
朝テレビを見ていたら、9.11の17周年だということを思い出した。

宿はパリ連続テロ事件が起きたレピュブリック広場界隈。コリーヌ国立劇場の最寄り駅は20区のガンベッタで、郊外への入口とも言えるところに位置している。「白人」でない人も多く見かけるが、昔私がこの劇場に通っていた頃は、観客のほとんどが白人だった。

コリーヌ国立劇場

ムアワッドのミッションの一つは、観客の「多様性」を確保することだ。就任一年で、観客層は若返り、「多様性」という面でも、ある程度結果が出たとも聞く。

午前9時に劇場入り。舞台上には大勢のスタッフが。すでに舞台装置の太陽と月が吊ってある。今回、主な装置はフランス側で作っていただいている。

太陽と月

すぐに各部門チーフと打ち合わせ。
部門チーフ打ち合わせ

朝早くから、芸術監督のワジディ・ムアワッドさんが挨拶に出向いてきてくださった。「本当に、本当に、みなさんをお迎えできてうれしいです。夏の間、よく宮城さんのことを考えていました」とムアワッドはいう。

ムアワッドさん宮城さん

「夏の間」というのは、フランスとカナダの演劇界を震撼させたある事件の話だ。フランスの太陽劇団が54年の歴史ではじめて外部の演出家を招き、4年の歳月をかけて作品を製作していた。招かれたのはロベール・ルパージュという世界的に有名なカナダ・ケベック州の演出家で、カナダにおける先住民と白人との200年にわたる交流を描く『カナタ』という作品だった。「カナタ」というのは先住民イロクワイ族の言葉で「村」という意味で、これが「カナダ」という国名のもとになった。この作品では、「カナダ」の歴史をむしろ先住民たちの苦難の歴史として描こうとしていたようだ。ところが、この作品にカナダ先住民のアーティストが出演しないことなどから「文化の盗用(appropriation culturelle)」と見なされ、非難の的となった。この作品はパリ公演のあとで北米ツアーを行うことになっていたが、そのために何人かの北米のプロデューサーが手を引くことになり、ルパージュと太陽劇団は7月27日に公演中止という苦渋の決断を下すこととなった。

若き日のムアワッドにとって、ルパージュはケベック演劇界を象徴する憧れの人だった。『火傷するほど独り』では、自身が演じる主人公ハルワンを「ルパージュについての博士論文を準備している学生」という設定にしている。そのルパージュがこの事件で渦中の人になっているのを、ムアワッドはかなり複雑な気持ちで見ていたのだろう。ムアワッドはこの一件についてルパージュが発した言葉を念頭に置いて、「演劇においては、誰もが、どんな人だって演じる権利があるはずです」と語る。

この『顕れ』では、日本の俳優たちがアフリカ人を演じることになる。このことの意味を、夏の間、ムアワッドは考えていたのだろう。

その7月には、レオノーラ・ミアノさんが静岡まで、稽古を観にいらしてくださった。ミアノさんは「私はこの作品を「アフリカ人の物語」としてではなく「人間の物語」として上演してほしいと思っていました。また、奴隷貿易の被害者だったり加害者だったりするアフリカ人やヨーロッパ人がこの作品を上演するのは難しいとも思っていました。だから、日本の俳優さんたちがこの作品を初演することになって、本当によかったと思っています」とおっしゃっていた。だから、作品のなかでは「アフリカ」という言葉は出てこず、「はじまりの国(le Pays premier)」と呼ばれている。また、「演出については全く宮城さんの自由にしてくださってかまいません。ただ黒塗りで「黒人」を演じるのは避けてほしい」、とも。(そのほか稽古場での様子はこちらの記事から)

『顕れ』は奴隷貿易の加担者となってしまったアフリカ人たちを描いている。アフリカ人にとって、必ずしも誇らしい話でも、都合のいい話でもない。この複雑な歴史を、どうすれば「人間の物語」という普遍性をもって描くことができるのか。

 
午後、フランス語字幕を作ってくれたモハメッドさんが、字幕データを届けに来てくれた。日本語台本と原文のフランス語を対照しながら、原文を字幕の形式にまとめる作業。モハメッドさんは立教大学で社会学を学んでいて、翻訳の平野暁人さんとは久々の再会だという。平野さんはかつてフランスで北アフリカのフランス植民地についての研究をしていた。それもあって、アフリカのことにはずっと興味をもっていて、このミアノの作品の翻訳にはものすごい熱意で取り組んでくださった。一方モハメッドさんは、両親がアルジェリア出身だがフランス生まれで、最近になってアルジェリアに行くようになり、母親についてのドキュメンタリー映画を準備中とのこと。

そういえば劇場側で用意してくださった通訳の方は、「劇場の案内係として働いている日本人」と聞いていたが、お目にかかってみたら、「私、実は以前SPAC制作部の就職面接を受けたことがあるんです」とおっしゃっていて、驚いた。今年のストレンジシードにも参加してくれた劇団子供鉅人の制作をなさっていて、SPAC制作部の面接を受けたちょっとあとに渡仏することになり、一年前からこの劇場で働いているという。なんだかいろんなところで、いろいろなことがつながっているものだ。

黒かった床を白くする作業、照明調整など、24時まで作業し、退館。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
◆公演の詳細はこちら
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2018年9月14日

『顕れ』パリ日記(1) ~なぜ日本の劇団がパリでアフリカの話をすることになったか~

SPAC文芸部 横山義志
2018年9月10日(月)

 
レオノーラ・ミアノ作、宮城聰演出『顕れ』公演のため、パリへ。

IMG_2542

第一陣の宮城さんと技術・制作スタッフがお昼頃に羽田を発ち、夜にはパリに到着。12時間ほどの旅路。

パリの空

パリのコリーヌ国立劇場による委嘱作品。フランスはふつう秋からシーズンが始まるので、シーズンの開幕作品となる。フランスの国立劇場が日本の作品をシーズン開幕に選んだという話は他に聞いたことがない。開幕作品というのはそのシーズンの顔になるような作品なので、かなり思い切った決断といえるだろう。メインの大劇場で、ほぼ一ヶ月間にわたって上演されることになるので、かなり責任重大だ。

レオノーラ・ミアノはカメルーン出身・フランス在住の小説家・劇作家。『顕れ』はアフリカの神話をベースに、奴隷貿易に手を貸してしまったアフリカ人たちを描いている。このような作品を日本の劇団がやることになったのには、ちょっと不思議な経緯がある。ここ10年ほどのいろんな話があって、少し長くなるが、お付き合いいただきたい。

まずはコリーヌ国立劇場と、この作品を提案してくれた芸術監督のワジディ・ムアワッドさんの話。

コリーヌ国立劇場は現代作家の作品を専門に上演している唯一の国立劇場だ。芸術監督は現代のフランス語圏演劇を代表する劇作家の一人、ワジディ・ムアワッド。レバノン出身で、内戦時に両親とともにフランスに亡命したが、滞在許可が更新できず、カナダのケベック州(フランス語圏)に渡った。若くしてケベック演劇界のスターとなり、フランスでも活躍するようになっていく。

SPACではムアワッド作・演出の作品を二作品『頼むから静かに死んでくれ』(原題:『岸』、Shizuoka春の芸術祭2010)、『火傷するほど独り』(ふじのくに⇄せかい演劇祭2016)を上演している。世田谷パブリックシアターではムアワッド作『炎 アンサンディ』『岸 リトラル』が上演されていて、日本でもだいぶ知られるようになった。

ふじのくに⇄せかい演劇祭2016に参加する直前、ムアワッドがコリーヌ国立劇場の芸術監督に就任することが決まった。中東出身でアラビア語を母語とする演劇人がフランスの国立劇場の芸術監督となるのははじめてで、ここには、とりわけ2015年のパリ同時多発テロ以来重要な問題となっている国内の融和への願いも込められている。

 
そのムアワッドからある日、「すぐに宮城さんとお話ししたい」とのご連絡があった。こんな話だった。

静岡からパリに戻ったあと、レオノーラ・ミアノと会って、「あなたの作品をどの演出家に上演してほしいですか」と尋ねた(ムアワッドは劇作家主導のプロジェクトを試みたいと考えていて、演出家が戯曲を選ぶのではなく、劇作家に演出家を選んでもらおうとしていた)。はじめ、フランスの演出家の名前をいくつか挙げたが、二人ともなかなかしっくりこない。そこで改めて、「ではどんな夢でも叶うとしたら? 世界中どこの演出家でもいいので言ってみてください」と聞いてみたところ、「以前見た日本の演出家の作品が、アフリカの神話的世界を描くのにぴったりだと思った。フランスの演出家ではどうしてもリアリズム的になってしまうが、彼が引き受けてくれたらいいと思う。たしか名前はミヤギとか・・・ご存じですか?」という答えが返ってきて、ムアワッドは驚いたと同時に、自分でもぴったりだと思った。そこで、宮城さんが引き受けてくれるか一刻も早く知りたいと思って連絡した、という。ミアノさんはアヴィニョン演劇祭2014で『マハーバーラタ』を、ケ・ブランリー美術館で『イナバとナバホの白兎』(2016)をご覧になっていた。一つはインド、もう一つは日本とアメリカ先住民の話で、たしかに二つとも、神話的世界を描いた作品だった。

思いがけない申し出に、もちろんこちらも驚いたが、これまでの活動が評価されたのもうれしくて、コリーヌ国立劇場と力を合わせ、なんとか実現にこぎつけることができた。

午後7時頃、空港から外に出ると、パリは思いがけないほどの熱気。9月でこんなに暑いのは珍しいという。フランスが日本とカメルーンとレバノンの交点になっているというのも、なんだか納得のいくような夜だった。

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『顕れ』 フランス公演
2018年9/20(木)~10/20(土) 全27公演
 ※9/24(月)、10/1(月)、8(月)、15(月)休演
会場:コリーヌ国立劇場
◆公演の詳細はこちら
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年明け、日本でも「秋→春のシーズン」3作品目として上演します!
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『顕れ ~女神イニイエの涙~
2019年1/14(月・祝)~2/3(日) 静岡芸術劇場
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2017年7月27日

アヴィニョン法王庁日記(14) 2017年7月11日 公演五日目 フランスの『アンティゴネ』について、等々

SPAC文芸部 横山義志

午前11時から隣町ヴィルヌーヴでパリ第三大学演劇学研究所の研究集会で『アンティゴネ』に関するQ&Aに呼ばれて話をさせてもらう。所長のピエール・ルテシエさんが先生や修士・博士課程の学生を30人ほど連れて、アヴィニョン演劇祭で観劇しつつ、研究集会を開いている。前日に全員で『アンティゴネ』を観劇してくださったという。自分も同研究所に修士課程で在籍していたので、ちょっと感慨深い。能や仏教、神道との関係などについて、次々と質問が出る。古代ローマ演劇を専門とするピエール・ルテシエさんが能に関する授業をやっていることもあり、非西洋的な演劇形態への真摯な関心が見えて、自分が学生だった頃とはちょっと時代が変わったような感じがする。

法王庁中庭の階段状客席を何度も上り下りしていると息が切れる。これほど広大な客席で仕事をしたのははじめて。
現在は約2,000席だが、中庭の一番奥まで客席を組んでいたときには約3,000席あったという。1960年代には、二階バルコニーを含め約4,000席の客席が組まれたこともあった。法王庁中庭技術ディレクターのクロードによると、「舞台から20メートル以上離れるとさすがに見にくいので、最近はあまりにも遠い席は削っていった」とのこと。フランスでは二つ目のテレビ局ができたのが1964年で、その頃からテレビ文化の発達が加速していった。映像文化の発展と並行して、「遠くにいる人」の体を感じる能力が低下してきたのかも知れない。

今日は開演4時間前から並んだ方はなんとか当日券が取れたものの、並んでもチケットが取れずに帰らざるを得なかった方が100人近くいらしたという。

今回のアヴィニョン演劇祭では、公式招聘(いわゆる「イン」)の演目のなかに、『アンティゴネ』に関連する作品が他に3作品あるらしい。オリヴィエ・ピィの『レ・パリジャン(パリの人々)』には、主人公のアーティストが『アンティゴネ』を演出する場面がある。「アンティゴーヌ」という名前のクラウンが登場するフランスの作品も。

フランスでは、中学校や高校でジャン・アヌイによるソフォクレス『アンティゴネ』の翻案『アンティゴーヌ』を読むことが多いので、アンティゴネはギリシャ悲劇の登場人物の中でも、かなり馴染深い登場人物になっている。アヌイの作品はナチス・ドイツ占領下のフランスで書かれたもので、1944年に初演されている。ジャン・ヴィラールも1948年に『アンティゴネ』の翻案を発表している。フランスではアンティゴネの人物像が第二次大戦下でのレジスタンスと深く結びつけられてきた。

プロンプター(上演中台詞を忘れた俳優に台詞を言う係)に焦点を当てたティアゴ・ロドリゲス(ポルトガル)の作品『息』でも、俳優たちが『アンティゴネ』を演じる場面があった。その場面では、プロンプター(フランス語・ポルトガル語では「息を吹き込む係」と呼ぶ)が、「今この舞台でクレオンを演じる俳優の肺には、20年前にこの舞台の上でクレオンを演じた俳優の息も吹き込まれている」と語る。

この法王庁中庭の舞台で『アンティゴネ』が上演されるのは、1960年、1961年のジャン・ヴィラール演出『アンティゴネ』以来、56年ぶり。1961年の再演時は、作曲家モーリス・ジャールも演出に名前を連ねている。ジャールは映画音楽家として知られているが、1952年に法王庁中庭で上演されたジャン・ヴィラール/ジェラール・フィリップ演出『ロレンザッチヨ』のためにジャールが作曲したトランペットのファンファーレは、今でもアヴィニョン演劇祭のほぼ全ての演目の開演前に流されている。この法王庁中庭の舞台には、今でもジャン・ヴィラールの劇団の俳優たちが呼吸した空気が流れているのだろう。

以下のリンクで、1960年のヴィラール演出『アンティゴネ』に関するインタビューと、アンティゴネがクレオンと対立する場面の映像を見ることができる。

※映像はこちらからもご覧いただけます。

以下のジャールのインタビューでは、『ロレンザッチヨ』公演時のファンファーレの様子を見ることができる(1:00~1:03)。

※映像はこちらからもご覧いただけます。

そのヴィラールの劇団で1960年代にたびたび法王庁中庭の舞台に立っていた女優のジュディット・マーグル(Judith Magre)さんが、私たちの『アンティゴネ』を観にいらしてくれた。今年で90歳になるそうだが、舞台でも映画でも活躍しつづけている。「ここでこんなに素敵な舞台を観るのは何十年ぶり。本当に楽しかった。私も「ミニアンティゴネ」に使ってくれないかしら」とおっしゃってくださったという。

*アヴィニョン法王庁日記バックナンバー*
(1) 2017年6月27日 静岡からフランスへ
(2) 2017年6月28日 アヴィニョン到着
(3) 2017年6月29日 仕込み一日目
(4) 2017年6月30日 仕込み二日目
(5) 2017年7月1日  仕込み三日目
(6) 2017年7月2日  アヴィニョン法王庁の歴史
(7) 2017年7月3日  法王庁中庭での上演の歴史
(8) 2017年7月4日  フォトコール
(9) 2017年7月5日  最終公開稽古(ゲネプロ)
(10) 2017年7月6日 公演初日
(11) 2017年7月7日 公演二日目
(12) 2017年7月8日 公演三日目
(13) 2017年7月10日 公演四日目

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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
*詳細はこちら
*アヴィニョン演劇祭サイトはこちら
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2017年7月25日

アヴィニョン法王庁日記(13) 2017年7月10日 公演四日目

SPAC文芸部 横山義志

昨日7月9日は休演日で、各々洗濯をしたり、オリヴィエ・ピィさんの舞台を観に行ったり。あちこちで「『アンティゴネ』よかったですよ!」と声をかけられる。

今日は14時から15時半までヨーロッパの演劇・文学研究者による『アンティゴネ』関連の研究集会「尊厳とヒロイズム(主体の放浪)」に参加。ギリシャ悲劇に詳しい学者さんたちが「ヨーロッパ人による『アンティゴネ』の演出は心理劇になってしまいがち。宮城さんの演出はコロス(合唱隊)をみごとに使っていて、これだけソフォクレスの精神に忠実な演出はなかなか見られない。また改めて研究集会を開きたい」などとおっしゃってくださる。

16時半からアヴィニョン大学の中庭で宮城さんのトーク「アンティゴネ、必要な悲劇」。去年の演劇祭のトークよりもだいぶ人が多いという。猛暑のなか、200人くらいが熱心に聞いてくれた。宮城さんが『アンティゴネ』の翻訳を使わせていただいた柳沼重剛さんが、被爆後60年以上経った2008年に原爆症で亡くなったという話をすると、会場が静まりかえる。

IMG_3664
▲トーク「アンティゴネ、必要な悲劇」


▲トークの全編映像 こちらからもご覧いただけます。

法王庁の楽屋では15時半から『少女と悪魔と風車小屋』主演のデリア・セピュルクル・ナティヴィさんによる「ミニ・アンティゴネ」発音指導。

20時、アヴィニョン演劇祭支援者のためのパーティーに顔を出す。アヴィニョン演劇祭の理事長でもある元ルノー自動車会長兼CEOのルイ・シュヴァイツァーさん(アヴィニョン演劇祭の理事長)が『マハーバーラタ』につづき、法王庁でこれほどの舞台はなかなか見ていません」とおっしゃってくださる。フランソワーズ・ニッセン文化大臣のご友人という方から、「『アンティゴネ』のあと、フランソワーズさんからSublissime !(最高!)というSMSをいただいた」とのこと。

22時、客席開場。要領がよくなったのか、22:10にはほぼ客入れ完了。今日の「ミニ・アンティゴネ」は発音も演技のリズムもよくなっていた。抑制もきいて、必要なところだけ拍手が入るように。

見覚えのある真っ白な修道服姿の方が。ゲネにも来てくださったドミニコ会の修道士のレミさん。ストラスブールの大学で神学を教えつつ、カトリック系新聞の劇評欄を担当なさっている。「2014年に石切場で見た『マハーバーラタ』がすばらしかったので、アヴィニョンに来る前から楽しみにしていました。(ストライキで公演中止になったときの)法王庁前でのマハーバーラタ公演も、トレーニングからすぐそばで座って見ていました」という。「十字架のすぐ下で、(トレーニングの)お経を唱えていて、すごくドキドキしたのですが、気になりませんでしたか?」と聞くと、「私は、異なる要素は互いに対立するのではなく、共鳴するのだ、と考えています」という。

「フランスのカトリックの方はこのアヴィニョン法王庁を誇らしく思っているのでしょうか?」と聞くと、「複雑な気持ちでしょうね。この教会(法王庁)はまるで要塞のようですが、教会というものは本当は家のようなものでなければなりません。この教会はふだんは閉ざされていますが、アヴィニョン演劇祭がこれを多くの人に開いてくれているので、とてもうれしいです」とのこと。

レミさんが研究対象としている神学者マイスター・エックハルトは異端の告発を受け、弁明のためにアヴィニョン法王庁に赴き、その途上で1328年に亡くなったとされる。だから、アヴィニョンに来るたびに複雑な気持ちになる。1328年には、まだ現在の宮殿の建物はできていなかったが、当時の教皇によって建てられた聴聞室(裁判所)は、今の法王庁中庭の舞台上手側の下、ちょうど薔薇窓の下にあたる部分にあった。レミさんは「薔薇窓にクレオンの影が重なるたびにドキドキしました」という。この巨大な薔薇窓は「赦免の窓」と呼ばれ、1351年に完成した「新宮殿」の目玉ともいえる構造物。ここは「名誉の中庭」に集まった大群衆の前で新教皇が戴冠し、祝福を与えるところだった。今回の演出では、アンティゴネを裁こうとする新王クレオンの影がこの薔薇窓に重なる。

レミさんはかつて東エルサレムの美術館で学芸員をしていたそうで、「いつか、この『アンティゴネ』をエルサレムでも上演できたらいいですね」という。三つの一神教の聖地で、「嘆きの壁」を背景に上演したら、どんな『アンティゴネ』に見えてくるだろう・・・。

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▲写真右から二人目がレミさん
 
 
*アヴィニョン法王庁日記バックナンバー*
(1) 2017年6月27日 静岡からフランスへ
(2) 2017年6月28日 アヴィニョン到着
(3) 2017年6月29日 仕込み一日目
(4) 2017年6月30日 仕込み二日目
(5) 2017年7月1日  仕込み三日目
(6) 2017年7月2日  アヴィニョン法王庁の歴史
(7) 2017年7月3日  法王庁中庭での上演の歴史
(8) 2017年7月4日  フォトコール
(9) 2017年7月5日  最終公開稽古(ゲネプロ)
(10) 2017年7月6日 公演初日
(11) 2017年7月7日 公演二日目
(12) 2017年7月8日 公演三日目
(13) 2017年7月10日 公演四日目

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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
*詳細はこちら
*アヴィニョン演劇祭サイトはこちら
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2017年7月23日

アヴィニョン法王庁日記(12) 2017年7月8日 公演三日目

SPAC文芸部 横山義志

16時30分から18時まで、アヴィニョン大学にて宮城さんと観客とのトークイベント。
約180名の観客からの質問や感想を受けて、
衣裳の色、影、俳優の動き、盆踊り、日本人にとってのギリシャ悲劇などなど、大いに語る宮城さん。

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▲「観客とのトーク」の様子


▲トークの全編映像 *トークの全編映像はこちらからもご覧いただけます。
 
 
チケット売り場には長蛇の列。タニノクロウさん、SPAC芸術局長の成島洋子さんが二回目に見ようとして並んだものの、チケットが取れなかったという。

IMG_3517
▲100名以上の人たちが当日券を求めて並んでいた。

今日は曇り。月が出ていない。その分、舞台に集中できる明かりになっている。

「ミニ・アンティゴネ」で一人一人の名乗りのたびに拍手。今日は積極的に楽しんでくれるお客さんが多い。

終演後、「ミニ・アンティゴネ」チームで反省会。「拍手を待って、芝居がたっぷりになりすぎてしまっている」という。拍手が来すぎないように調整。

昨年までに法王庁で見た作品では、途中でお客さんが帰っていくのをよく見かけたが、今回はほとんど客席を去っていくお客さんを見かけない。

クリスチャーヌ・トビラ元法相がいらして、とても気に行ってくださったよう。
 
 
*アヴィニョン法王庁日記バックナンバー*
(1) 2017年6月27日 静岡からフランスへ
(2) 2017年6月28日 アヴィニョン到着
(3) 2017年6月29日 仕込み一日目
(4) 2017年6月30日 仕込み二日目
(5) 2017年7月1日  仕込み三日目
(6) 2017年7月2日  アヴィニョン法王庁の歴史
(7) 2017年7月3日  法王庁中庭での上演の歴史
(8) 2017年7月4日  フォトコール
(9) 2017年7月5日  最終公開稽古(ゲネプロ)
(10) 2017年7月6日 公演初日
(11) 2017年7月7日 公演二日目
(12) 2017年7月8日 公演三日目
(13) 2017年7月10日 公演四日目

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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
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アヴィニョン法王庁日記(11) 2017年7月7日 公演二日目

SPAC文芸部 横山義志

気がつけばオフもはじまっていて、アヴィニョンの街はポスターで埋め尽くされている。ちょっとした広場ではパフォーマンスが。今年のオフは1,400作品以上。毎年増えている。アヴィニョンに住んでいる方によると、毎年ちょっとしたガレージなど、あらゆる場所がこの時期だけ劇場に改装されていくのだという。

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天気予報によれば今日の気温は38度~19度。ようやく水に入った方が心地よい季節に。

昨日のお客さんは批評家や劇場の人などが少なくなかったが、今日は大多数が一般の「本物の」お客さん。そのせいか、昨日よりもさらに温かく、ノリがいい客席。

現地スタッフと集合写真を撮影。アヴィニョン演劇祭のメイン会場にふさわしい最高のチームとの評判。照明スタッフは通訳する前から、こちらの意図を察して動いてくれるという。会場が巨大なので、照明は8人のチーム。地上30メートル以上のところに灯体があったりする。最上階に登ると風も強く、足がすくむ。14世紀によくこれだけのものを建てたものだが、今ここで毎年舞台をやっているスタッフにも頭が下がる。

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▲現地スタッフとの集合写真

この日は、10代前半くらいの子どもたちがカメラを手に、『アンティゴネ』を取材しに来てくれた。
目をキラキラさせながら楽屋を見学したり、スタッフの仕事を見たり、インタビューをしたり。

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▲衣裳デザインの高橋佳代さんにインタビューする子どもたち


▲その取材の成果がまとめられたビデオ こちらからもご覧いただけます。
 
 
*アヴィニョン法王庁日記バックナンバー*
(1) 2017年6月27日 静岡からフランスへ
(2) 2017年6月28日 アヴィニョン到着
(3) 2017年6月29日 仕込み一日目
(4) 2017年6月30日 仕込み二日目
(5) 2017年7月1日  仕込み三日目
(6) 2017年7月2日  アヴィニョン法王庁の歴史
(7) 2017年7月3日  法王庁中庭での上演の歴史
(8) 2017年7月4日  フォトコール
(9) 2017年7月5日  最終公開稽古(ゲネプロ)
(10) 2017年7月6日 公演初日
(11) 2017年7月7日 公演二日目
(12) 2017年7月8日 公演三日目
(13) 2017年7月10日 公演四日目

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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
*詳細はこちら
*アヴィニョン演劇祭サイトはこちら
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アヴィニョン法王庁日記(10) 2017年7月6日 公演初日

SPAC文芸部 横山義志

午後になって技術ディレクターのフィリップから連絡があり、作曲家のピエール・アンリさんが今日、89歳で亡くなったという。フランス現代音楽を代表する作曲家で、振付家モーリス・ベジャールが1967年に法王庁中庭で発表した『現在のためのミサ』の作曲者でもある。今晩初日の開演前に、可能であれば、何か追悼になることをしたい、とのこと。

「携帯電話の電源をお切りください」アナウンスと開演の間に一分間、アンリの有名な曲を流す、というのが先方の案だった。宮城さんは曲を聴いて、「ベジャールが使った『現在のためのミサ』だね、CD持ってるよ!」と言い、急遽冒頭の「ミニ・アンティゴネ」のなかに組み込むことになった。

駿府城での公演では、『アンティゴネ』の粗筋を5分で説明する「ミニ・アンティゴネ」を冒頭で上演した。今回はそのアイディアが発展し、なんとフランス語でやることに。

22時開演のはずだが、2,000人のお客さんが席に着くにはかなり時間がかかる。そのうえセキュリティチェックも厳しくなっているようで、少しずつしかお客さんが入ってこない。「10分は開演が押すだろう」と聞いていたが、22時10分にはまだ半分くらいしか埋まっていない。俳優たちはもう水のなかで、一度出てしまうと、引っ込むわけにもいかない。結局22時20分頃、ようやく開演。

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▲開演前の客席

「ミニ・アンティゴネ」組がうちわ太鼓を叩きながら出てくる。ふと歩みを止め、雲に覆われた群青色の空を眺めると、『現在のためのミサ』が流れてくる。30秒ほど、曲を聴きながら、空を目で追う。気づいたお客さんから、徐々に拍手が広がっていく。きっとここでベジャールの公演に立ち合った方も少なくないのだろう。

ふたたび歩み始め、太鼓を叩いて、「ミニ・アンティゴネ」がはじまる。「お話を忘れてしまった方々のために、これからフランス語でレジュメをします!フランス語は簡単ではないので、みなさんの応援が必要になります!」と石井萠水さんがフランス語で言うと、会場から大きな拍手が。


▲舞台映像抜粋(約3分)/「ミニ・アンティゴネ」の一部をご覧いただけます。 こちらからもご覧いただけます。

少しずつ晴れ間が見え、アンティゴネとクレオンが対峙するころには、満月に近い大きな月が煌々と照っている。やがて月は傾いていき、終演に向けて闇が濃くなっていく。

最後の精霊流しの場面では音楽が止み、闇に包まれた舞台に灯籠が流されていく。お客さんたちは固唾を呑みながら舞台を見守っていた。演劇祭代表代行のポール・ロンダンさんは「この法王庁で終演時に沈黙を聞いたのははじめてかも知れない。感動の厚みを感じた」という。

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▲観客総立ちのスタンディングオベーション

マクロン新政権の文化大臣となったフランソワーズ・ニッセンさんがいらして、気に行ってくださったらしく、「(いま自分がこの舞台を観ている)この時間が終わらないでほしい、この芝居が終わらないでほしい」とおっしゃってくださった。ニッセンさんはもともと編集者で、アヴィニョンに近いアルルを拠点とする出版社アクト=シュッド社の代表を務めていらっしゃる方。オリヴィエ・ピィやワジディ・ムアワッドなど、フランス現代戯曲の多くがこの出版社から出ている。フランスでもこれだけ演劇に深く関わってきた方が文化大臣になることはそう多くはないだろう。

先日アヴィニョンから選出されたばかりの「前進」所属の国会議員ジャン=フランソワ・セザリーニさんはここ10年ほどご自身で演劇をやっていたという。セザリーニさんは「クレオンの「人の心というものは、政(まつりごと)において、その手腕のほどが発揮されるまでは、知る由もない」という台詞にはとても感銘を受けました。たしかに権力を得ると人が変わるのは何度もみてきましたからね」とおっしゃっていた。

終演後のパーティーには、これまでSPAC作品に関わってくれた方、アヴィニョン演劇祭に関わっている方が初日を祝ってくださる。

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▲初日終演後に法王庁内でパーティを開いてくださった。

SPACで『タカセの夢』や『ANGELS』をつくってくれているメルラン・ニヤカムさんが、『現在のためのミサ』を聴いて驚いた、とおっしゃっていた。ちょうど今パリでベジャール振付・アンリ作曲の『現在のためのミサ』をもとにした作品を振り付けているそうで、開演を待っているときに電話でアンリさんが亡くなったことを知ったという。

パーティー後、演奏稽古(!)。とパーティーの参加者に言ったら、冗談だと思われたが、舞台からはやがて演奏が聞こえてくる。オマール・ポラスさんやケ・ブランリー美術館の方々が二時近くまで稽古につきあってくれる。午前2時半まで稽古。タニノクロウさんは稽古の最後まで残ってくれた。「稽古をやっているときだけが生きている気がする。自分の人生のほとんどは稽古。人の稽古を見られる機会は少ないので本当に楽しい」とのこと。これまで退館時間を気にしていた法王庁技術主任のクロードが、稽古を見ながら、「ここはお前たちの家だから、好きなだけやりな」と言ってくれた。午前4時退館。

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▲パーティー後の稽古
 
 
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(7) 2017年7月3日  法王庁中庭での上演の歴史
(8) 2017年7月4日  フォトコール
(9) 2017年7月5日  最終公開稽古(ゲネプロ)
(10) 2017年7月6日 公演初日
(11) 2017年7月7日 公演二日目
(12) 2017年7月8日 公演三日目
(13) 2017年7月10日 公演四日目

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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
アンティゴネ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
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2017年7月20日

アヴィニョン法王庁日記(9) 2017年7月5日 最終公開稽古(ゲネプロ)

SPAC文芸部 横山義志

今日は本番前の最終公開稽古(ゲネプロ)。

14時舞台・照明スタッフ劇場入り。15時音響・衣裳スタッフ入り。16時半俳優集合、楽器・小道具セッティング。17時~17時40分トレーニング。NHKの撮影クルーが入る。

ゲネプロに向けて、今年のふじのくに⇄せかい演劇祭で『MOON』を発表してくれた演出家のタニノクロウさん、アヴィニョン演劇祭報告会のためにドキュメンタリーを撮ってくれる映画監督の本広克行さん、「ストレンジシード」のウォーリー木下さん、劇団渡辺の渡辺亮史さんが到着。

19時~20時全体稽古。20時~21時演奏稽古。その後楽屋入り。

21時半客席会場。22時ゲネプロ開始。

アヴィニョン演劇祭の法王庁中庭でのゲネプロは、プレス関係者ではなく、基本的に演劇祭で働く方々やお世話になった方々に観ていただくものだそうで、今日は2,000人の客席に1,000人くらいが来てくれている。

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▲法王庁前広場で開場を待つ観客

公演後には宮城さんインタビュー三本に、SBSのための鈴木隆秀さんによるオリヴィエ・ピィさんインタビュー。鈴木さんがピィさんに「なぜこの作品を法王庁中庭のオープニング作品として招聘したのか」と聞くと、「アヴィニョン演劇祭のコンセプトにぴったりだと思ったからだ。アヴィニョン演劇祭は民衆的な演劇のフェスティバル。宮城さんの作品は偉大な芸術なのだが、全ての人々のための偉大な芸術なんだ」と答えてくれた。

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▲鈴木隆秀さんのインタビューに答えるオリヴィエ・ピィさん

演劇祭ディレクターのオリヴィエ・ピィさん演出作品に出ている俳優さんたちのなかには静岡に来たことがある方も少なくない。

昨年「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の『少女と悪魔と風車小屋』で主演してくれたデリア・セピュルクル・ナティヴィさん「この法王庁中庭の空間をすごくリスペクトした演出で、これだけこの空間にふさわしい作品ははじめて見た」とおっしゃってくれた。

終演後、楽屋口に2009年の『少女と悪魔と風車小屋』や2012年の『ロミオとジュリエット』で主演したセリーヌ・シェエンヌさんがオリヴィエ・ピィさんと話している。セリーヌさんに声をかけると、「オリヴィエは「楽屋に入ればいいじゃん」っていうんだけど、本当に入っていいのかな、と思って・・・」と、なんだかもじもじしている。SBS鈴木さんのインタビューでは「私は世界で一番のファンなんです!」とおっしゃり、楽屋に連れて行くと、やはり『少女と悪魔と風車小屋』『ロミオとジュリエット』の主演をした美加理さんと熱く抱擁。

「せっかくなので何かアドバイスを」と美加理さんに聞かれたセリーヌさんの言葉。

「本当に最高の舞台だったから、このままやればいいから、とにかく楽しんで。日が暮れてくると、鳥が飛んでくるでしょう。それでトランペットが鳴って、お客さんが入ってくる。あの客席の前で舞台に立つと、すごく特別な気分。すごいエネルギーをもらって、舞台の上にいる。この感覚は、きっと死ぬまで忘れられない。私もここで舞台に立つたびに、ああこの感覚、と思う。この気持ちを思う存分味わって。」

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▲セリーヌ・シェエンヌさん(左)と美加理さん(右)
 
 
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第71回アヴィニョン演劇祭オープニング招待作品
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構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 出演:SPAC
7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭
*詳細はこちら
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アヴィニョン法王庁日記(8) 2017年7月4日 フォトコール

SPAC文芸部 横山義志

今朝の『ラ・プロヴァンス』紙のアヴィニョン演劇祭特集記事に『アンティゴネ』と宮城さんの写真が大きく載っている。スタッフが泊まるホテルの方が「あなたたちが出てる!」といって見せてくれたという。

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今日はフォトコール。

17時俳優集合、楽器・小道具セッティング。17時半~18時10分トレーニング。

元静岡第一テレビのディレクターで今はオランダ在住の鈴木隆秀さんがSBSの番組のために取材に来てくださる。久々の再会。フランスのテレビクルーがトレーニングでお経を声に出すのを熱心に撮影。

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その後楽屋入り。19時~20時全体稽古。20時楽屋入り、演奏稽古。21時50分スタンバイ。22時~22時40分フォトコール。

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▲フォトコールに向けカメラをスタンバイするメディア各社

22時40分~23時30分宮城さん・美加理さんインタビュー。

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0時~午前1時40分通し。アヴィニョンに来てから、はじめて止めずに通すことができた。

やはり影を出したい場面では明るい部分で字幕が読みにくく、4時近くまで解決策を探る。午前4時退館。
 
 
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(5) 2017年7月1日  仕込み三日目
(6) 2017年7月2日  アヴィニョン法王庁の歴史
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7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水)各日22時開演
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