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2015年12月30日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(9)>2015年ラストスパート!

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

2015年ももうすぐ終わり・・・
しかし『黒蜥蜴』チーム、ぎりぎりまで走ります!!
そんな稽古場の様子を、シアタークルー・猪熊康夫さんに撮影していただきました。

演出家席
この日は、舞台美術・高田一郎さん(写真中央)も稽古を見学なさいました。

徐々に、本番で着用する衣裳も登場し始めています!

たきい・鈴木・永井
黒蜥蜴(たきいみき)と侍女(左から、鈴木真理子、永井彩子)。
黒で統一された衣裳から、華やかで妖しげなオーラが漂います。

大高・加藤・春日井・泉
対する明智小五郎(大高浩一)は、は眼鏡にスーツ。その部下たち(左から、加藤幸夫、春日井一平、泉陽二)も理知的でシャープな印象。

吉植・牧山・小長谷
こちらは、用心棒チーム(左から順に、吉植荘一郎、牧山祐大、小長谷勝彦)。
黒蜥蜴に狙われた岩瀬早苗の警護のため、岩瀬家に雇われた彼ら。この日は稽古着でしたが、お揃いの素敵なユニフォームが用意されています!

横山・若宮
岩瀬家に出入りする、洗濯屋(左・横山央)と御用聞き・五郎(右・若宮羊市)。
第三者の二人は、黒蜥蜴の脅迫におびえ、不穏な空気が漂う岩瀬家を、どう思っているのでしょうか・・・?

石井・赤松・榊原・佐藤
岩瀬家で働く老家政婦・ひな(榊原有美)と、女中たち(左から、佐藤ゆず、石井萠水、赤松直美)。
こちらもお揃いのユニフォームです。かわいい!

阿部・たきい
前回のブログでも紹介した東京タワーでの取引のシーン。
岩瀬庄兵衛(阿部一徳)が覗いている望遠鏡は、仮の小道具からパワーアップ。
この場面の黒蜥蜴は、東京タワーの赤の補色である緑色のコートを着ています。
第一幕の彼女の偽名は「緑川夫人」。なんだか象徴的ですね。『黒蜥蜴』のチラシも緑色!

そして、演奏!! 指揮を務める桜内結うを中心に、舞台の左右に演奏スペースが置かれています。

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楽器1

布施

楽器2

若菜

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劇場内には、そびえたつ圧巻の舞台装置!
度肝を抜かれること間違いなしです。舞台袖からちょこっとだけご紹介。

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劇場での稽古の様子は、また年明けに!

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2015年12月21日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(8)>稽古写真大公開!~その2~

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

『黒蜥蜴』稽古写真公開、第2弾!
撮影は、シアタークルー・平尾正志さんです。

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高田一郎氏デザインの舞台美術には、階段が登場します。
打ち合わせで聞こえてくるワードは、「鉄骨」「工事現場」などなど・・・
さて、どんな装置が完成するのでしょうか?
創作・技術部のスタッフは、日々試行錯誤中。

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黒蜥蜴(たきいみき)が狙うダイヤ「エジプトの星」の取引場所は、東京タワー。
東京タワーは、この戯曲が書かれた当時完成したばかり。言わば、高度経済成長期のシンボルとも言えます。
カメラの三脚は望遠鏡の仮小道具。展望台で嬉しそうに景色を眺める人々にまぎれて、スリリングな駆け引きが行われます。

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雑巾がけ・・・??黒蜥蜴の侍女ふたり(鈴木真理子、永井彩子)はいつでも息がぴったりです。

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緊迫の第3幕より。登場人物たちの運命はいかに!!

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明智小五郎とその部下たち。黒蜥蜴一派とは醸し出す雰囲気がまったく異なります。

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台
稽古場で不思議な形の台を発見。第3幕に登場する重要な道具です。
創作・技術部スタッフの努力と技術の結晶にも、どうぞご注目ください。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2015年12月20日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(7)>稽古写真大公開!~その1~

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

さあ、『黒蜥蜴』の本番まで一ヶ月をきりました。
日々猛然と稽古が進んでいます。
稽古風景を一挙大公開!!撮影は、シアタークルーの平尾正志さんです。

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衣裳の相談中。デザインは、SPAC創作・技術部の畑ジェニファー友紀です。

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衣裳
稽古場の廊下にずらりと並べられた衣裳。出演者は20名ですので、こんな量に!

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2015年12月19日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(番外編)>宮城聰インタビュー【後編】

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

インタビュー 宮城聰
新演出作『黒蜥蜴』の世界

三島由紀夫の精神を受け継ぐ――。
ヒット作に秘められた作家の挑戦とは?
SPAC芸術総監督・宮城聰が、次回作を語る。

【前編はこちら】

■高度経済成長期・日本の風景
 江戸川乱歩による小説『黒蜥蜴』は1934年発表ですが、三島由紀夫の戯曲『黒蜥蜴』の時代背景は、戦後の高度経済成長期に置き換えられています。原作に出てくる大阪の通天閣が、東京タワーに変わっているんです。確かに昭和初期にもモダニズムの流れがありました。これは世界的なことでしょうけど、テクノロジーの発達によって人間の内面すら進歩していくのではないかと思われるような時代があったのかもしれません。そこから時代は進んで、三島は、戦後の日本は空虚なものだと考えているわけです。
 その見方で言えば、東京タワーだってひどく空虚なもののはずです。ぼくの小さい頃に、遠い親戚で、よく海外に行っているおばさんがいました。1960年代前半でしたが、しょっちゅう海外に行っているものだから、日本を馬鹿にしていて、「エッフェル塔と比べると東京タワーはしょぼい」と言っていた、「風が吹くと揺れる」って(笑)。三島も東京タワーについて聞かれれば、「ただの真似で恥ずかしい。二度と建てないでほしい」と言ったのではないでしょうか。でも、戯曲を読むと、東京タワーについて、そんなにシニカルな目線があるだろうか。意外にそうでもないんじゃないかと思うんですね。
 高度経済成長期の初期の段階では、まだ、三島も未来を信じられたのかもしれない。いくら「東京大空襲の火で全て失われて、空虚だ」と口では言っていても、右肩上がりの時代精神に染まっていたかもしれない、という気もしないではない。今回は、そういうところも、三島という人を読み解く上で、おもしろいかもしれないと思っています。

■情緒に没しない知性の怪物
 ぼくは演劇の様式性を20数年追求してきましたので、その成果を黒蜥蜴の人物造形に活かしたい。一方、明智小五郎は、「論理」が着物を着ている、知性の怪物として演出します。日本語をしゃべりながら情で成立していない身体をつくるのは容易ではありませんが、三島ががんばっているところです。
 川端康成、谷崎潤一郎、三島由紀夫…翻訳されても論理性が残ることにトライした作家たちがいます。中には安部公房のように日本語としては痩せたもの、カラカラに乾いたもの、頭の中で最初から英語で考えられているような独特のアプローチもあったと思いますが、三島は、いっけん日本語でしかできないだろうと感じられるレトリックをおもいきり使います。日本語のわかる人は、「この文学は日本語がわかる人でないとおもしろくない」とちょっと思うわけですが、天ぷらの衣をはぎ取った時に出てくるエビは、ヨーロッパでも通用するようにつくってあります。
 明智も黒蜥蜴も怪物です。2人の怪物……『サド侯爵夫人』で、ルネは「私は貞淑の怪物になる」と言うんですね。貞淑を論理的に突きつめて行けば、普通の人が考える「貞淑な女房」では全然なくなります。三島の場合、自分の中にある相容れない2人、3人を想定し、対話させることで、論理性をつくっていきました。三島の体の中にあった相容れない2つを、それぞれ歪なままに形象化できれば、戯曲の身体化が可能になるのではないかと思います。
 三島が考えた西洋対東洋、欧米対日本、その演劇上の闘いを、きちんとやりたい。歌舞伎の演出のおもしろがらせ方もうまく取り入れています。戯曲のシアトリカルな楽しみはなるべく残し、演劇を初めて観る人にも、演劇ならではの楽しさを感じてもらえると思います。

■「演劇の教科書」を目指して
 SPACのレギュラーシーズンのプログラムでは、もし演劇の教科書がつくられるならば、必ず掲載されるだろう作品群を選んでいます。何年か観劇すると、演劇史の基本知識が身につくプログラムです。
 音楽や美術に比べ、演劇は、学校教育で習いませんよね。音楽と美術は、学校の教科に入っていますから教科書があります。演劇は教科書がないので、シェイクスピア(※)とチェーホフのどっちが昔の人かと言われても、ほとんどの日本人はわからないのではないでしょうか。何でもそうですが、基礎知識を持っているほうがいっそう楽しめますし、外国の人と話すと、教養として演劇の知識を求められる場合が多いです。
 また、商業的な観点から今の日本で受ける演目を選ぶと、偏った紹介になってしまいます。SPACは公立劇場ですから、世界のあらゆる地域や時代の古典と呼ばれる演目を、少しずつでも観てもらいたい。
 そう考えた時に、日本の劇作家で誰を選ぶべきか。世阿弥、近松門左衛門、鶴屋南北、三島由紀夫、それから泉鏡花…そういう感じではないでしょうか。世界的な知名度で言えば、世阿弥、近松、三島でしょう。中学や高校の国語の授業で夏目漱石を1回は読んでおくべきだというのと同じ意味で、SPACのプログラムに三島が入っているべきだと考えました。
 三島はたくさんの作品を書きましたが、歌舞伎の戯曲もあれば、いわば背徳的な、あえてスキャンダラスでセンセーショナルな作品も書いている。三島という人は、色々な方向に欲を持った人で、芸術の世界、文壇や演劇界だけにとどまっているのはおもしろくないと考えていました。違う言い方をすれば、新聞の文化欄ではなく社会面で取りあげられるような作品をつくろうとしていた。三島の作品は、光の当て方によっては世俗的です。
 鑑賞事業の公演では中高生に観てもらいますので、教育の一環。SPACのプログラムとして選ぶ時には、普遍性の観点から戯曲を見直していく必要があります。その上、一般的な意味でワクワクする魅力を持った作品でないと、初めて演劇を観る中高生には難しいでしょう。
 『黒蜥蜴』は、作家自身が抱えていた問題がはっきりと表れていると同時に、観客を楽しませる要素も盛り込まれていて、その基準にぴったりだと考えました。演劇の魅力を探しに劇場に足を運んでいただければと思います。

2015年6月25日 静岡音楽館AOIにて
聞き手・構成:西川泰功

※註
・シェイクスピア:イギリスの劇作家・詩人。1564年生まれ、1616年没。四大悲劇『ハムレット』『オセロー』『リア王』『マクベス』等、37編の戯曲を残した。世界で最も有名な劇作家と言っても過言でない。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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★プロモーションビデオ公開中!!ぜひご覧ください。

2015年12月17日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(番外編)>宮城聰インタビュー【前編】

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

インタビュー 宮城聰
新演出作『黒蜥蜴』の世界

三島由紀夫の精神を受け継ぐ――。
ヒット作に秘められた作家の挑戦とは?
SPAC芸術総監督・宮城聰が、次回作を語る。

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■善悪/美醜/正邪が反転する
 『黒蜥蜴』の初演(1962年)はプロデュース公演でした。そのため商業演劇への目配りがある作品だと思います。おもしろいことに、肩の力が抜けたシチュエーションで書かれた戯曲に、かえって劇作家の一番重要な部分がふっと出てくることがあります。楽な気持ちで書いている時のほうが、もともと抱えている問題意識や美点が、自然と出てくるのかもしれません。
 例えば、論理でじりじり追いつめていく、同じく三島由紀夫作の『サド侯爵夫人』(1965年)とは違いますね。でも、『サド侯爵夫人』で扱われているテーマが、はるかに敷居の低い形で『黒蜥蜴』に出てきます。
 『サド侯爵夫人』のテーマを簡単に言えば、この世の中で一般に信じられている善悪、美醜、正邪という上下関係が逆転するということ。貞淑な妻ルネは、犯罪すれすれの人間サド侯爵の最も歪なものに、少しずつ近づいていこうとします。いわば、不可能に近づこうとする精神のあり方をサドに託し、これに対して、現実に生きている人間としてサドとどう関係を取るかが、ルネに託されている。不可能に近づく時、その臨界点みたいなところで、先ほど言ったように、善悪や美醜がひっくり返ります。あるいは、差がなくなってしまいます。「きれいは汚い、汚いはきれい」(※)の世界になる。超伝導(※)みたいなことが起こるんですね。
 同じことを、『黒蜥蜴』では、とても素朴にやっています。かたや犯罪者・黒蜥蜴、かたや探偵・明智小五郎です。サドというほとんど観念の世界にある存在の位置に、黒蜥蜴という女賊が当てはまります。黒蜥蜴を追う探偵・明智は、サド侯爵に対するルネと同じで、犯罪者という極端な場所にいる存在になんとか近づこうとします。近づこうとすればするほど、善悪や美醜の上下関係がなくなって、ルネのせりふで言えば、「兎を見れば愛らしいと仰言り、獅子を見れば怖ろしいと仰言る。御存知ないんです、嵐の夜には、かれらがどんなに血を流して愛し合ふかを」(※)。嵐の夜に兎と獅子が交わるわけです。
 『黒蜥蜴』では、三島が探求する精神上のテーマが、黒蜥蜴VS明智小五郎という少年漫画みたいにわかりやすい構図の中で語られているんです。

■黒蜥蜴と明智小五郎の対決
 ぼくが思うに、三島由紀夫は、戯曲を書く時、3つの敵と闘っていました。1つに西洋古典演劇、すなわちギリシア悲劇。2つに、西洋近代劇、すなわちチェーホフ(※)以降の演劇。そして最後に日本の古典劇です。何を書いても、西洋の古典劇、西洋の近代劇、日本の古典劇に負けてはいけない、と三正面の闘いを挑んでいる。こんな劇作家はほかにいません。
 三島は、つねに欧米の土俵で闘えるように作品を書いていました。それは欧米人が構築した論理性の土俵で闘うということ。外国語に翻訳されても、作品の論理性は通用します。しかし、三島は、そのことだけでよしとはしない。日本の古典劇にある情も意識しています。女賊・黒蜥蜴には、情の要素が反映されているのに対して、私立探偵・明智小五郎は、西洋の古典から近代にいたる論理性の象徴です。女賊と私立探偵の闘いは、単純に言うと、知性は情に勝てるのか、というテーマ。
 日本の古典劇は、一言で言えば、情の世界です。情と情緒を区別するとすれば、情は人のもの、情緒は自然のもの。情緒は、例えば季節感。「雪が降っている、私は哀しい」。雪の情緒と人の情をかけ合わせます。論理性だけでつくれば季節感など全くいらないはずですが、三島は、わざわざ情緒を盛り込んでいます。そして情。『熱帯樹』(1960年)では、そのことが露骨な形で出ている。フランスの新古典主義の形式で書いておきながら、最後の最後に、兄妹心中という日本の民話のような世界、まさに情緒と情の合体する世界を持ち出しています。論理とは別のところに魅力の源泉があると考えられているんですね。
 『熱帯樹』は、文学座のために書かれているので、ぎりぎりと突きつめられた作品です。『黒蜥蜴』は、言ってしまえば、もっとゆるい。女賊・黒蜥蜴が持っている情があり、演技上も様式性が想定されています。なにしろ初演は、新派(※)の女優・水谷八重子が演じました。新派は、女優が演じる芝居の中で、最も様式的です。明智役は、芥川比呂志(※)。小説家・芥川龍之介の家系ですから、近代的知性の極点です。新派の水谷と新劇(※)の芥川の対決は、三島の中にある日本的なものと西洋的なもののせめぎ合いを、自動的に戯曲へ取り入れる要因になったのでしょう。

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【後編へ続く】

2015年6月25日 静岡音楽館AOIにて
聞き手・構成:西川泰功

※註
・「きれいは汚い、汚いはきれい」:シェイクスピア作『マクベス』で、マクベスへ王になることを予言する3人の魔女のせりふによる。
・超伝導:ある種の金属を絶対零度(セ氏零下273度)に近づけるよう冷却すると、ある温度(臨界温度と呼ばれる)で急に電気抵抗が零になる現象。
・「兎を見れば愛らしいと仰言り~」:三島由紀夫作『サド侯爵夫人』第2幕終盤のルネのせりふより。
・チェーホフ:ロシアの劇作家・小説家。1860年生まれ、1904年没。四大戯曲『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』は演劇史上不朽の名作とされ、近代演劇の礎を築いた。
・新派:日本演劇のジャンルの一つ。1888年自由党の壮士・角藤定憲(すどうさだのり)らが大阪で旗揚げしたのを発端とする。新派という名称は、歌舞伎を便宜的に旧派と呼んで対比したジャーナリズムに起因する。
・芥川比呂志:俳優・演出家。1920年生まれ、1981年没。芥川龍之介の長男。劇団「麦の会」「文学座」「雲」「円」で活躍。特に『ハムレット』の主演で名高い。戦後を代表する俳優の一人。
・新劇:明治末期以降、西欧の近代演劇の影響下、歌舞伎や新派劇に対抗して生じた演劇運動。第一次・第二次大戦の間、反体制・左翼運動の色合いが濃厚になり、戦後は「民藝」「俳優座」「文学座」に代表される劇団の職業化により運動の側面は後退した。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
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2015年12月16日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(6)>神出鬼没!PR活動まとめ

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

『妖精の女王』、大盛況のうちに幕を閉じました。ご来場まことにありがとうございました。
『黒蜥蜴』出演者も多数出演しておりました。

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その間、静岡に残るメンバーは稽古と並行して、あちらこちらに出没し、『黒蜥蜴』を全力でPR!!

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石井萠水は、永井健二(『青森県のせむし男』出演)とともに舞台芸術公園のご近所にある静岡英和学院大学へ。
礼拝後の時間をいただいて、SPACと『黒蜥蜴』の紹介をさせていただきました。

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布施安寿香と若菜大輔は、「シネビア会」主催による「出演俳優と『黒蜥蜴』を語る」会に参加。
戸田書店静岡本店のブックフェアコーナーの前で記念撮影。(ブックフェアは合計8か所の書店・図書館で開催!)

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静岡駅・劇場付近のお店にご挨拶。写真は、佐藤ゆずが訪れた「モンマスティー静岡店」さん。
レトロな雰囲気が目を引く『黒蜥蜴』ポスター・チラシ、そしてTシャツのオリジナルロゴは、デザイナー・造形作家の黒田武志さんによるものです。黒田武志さんは、1月16日(土)のアーティスト・トークにご登壇が決定しました!

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布施安寿香が静岡県立大学で講義を行いました。
江戸川乱歩の原作と三島由紀夫の戯曲を比較し、俳優ならではの視点で解説。

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阿部一徳と桜内結うは、島田市へ。
以前「リーディング・カフェ」を開催させていただいた、「meguri石畳茶屋」さんにて。

静岡県立島田高等学校演劇部を訪問し、部員を対象に阿部一徳によるワークショップが行われました。
テーマは、「強い身体を作る」!そのためのメニューが盛り込まれた、充実したワークショップとなりました。
部員のみなさんにも楽しんでいただけたようです。

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<メニュー:おしり歩き>
おしり歩きをすることで、骨盤のずれを直し、身体のゆがみを正していきます。

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<メニュー:まっすぐ立つ>
まっすぐ立てているでしょうか??

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横山央は、三島景太(『青森県のせむし男』出演)とともに静岡大学へ。
『王国、空を飛ぶ!』をご覧になった方にはおなじみのあの曲「SPACを観よう!」を歌いながら、乱入!!

小野市長と151211
吉植荘一郎、鈴木真理子は、三島市・伊豆の国市へ。
日本大学三島高等学校、静岡県立三島南高等学校、静岡県立韮山高等学校の演劇部を訪問し、PRをさせていただきました。
今年7月に伊豆の国市の韮山時代劇場で上演した『夜叉ヶ池』の出演者でもあるふたり。
伊豆の国市を訪れ、小野登志子市長にもご挨拶。一緒に写真も撮らせていただきました。

静岡県内各地で、たくさんの出会いがありました。本当にありがとうございました。
次は、ぜひ劇場でお会いしましょう!

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2015年12月8日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(5)>作品世界を彩る音

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

稽古場では、音楽監督・棚川寛子さんのもと、演奏の猛練習が行われています。
『黒蜥蜴』の劇中音楽は俳優たちによる生演奏です。台詞や動きとの息もぴったり!

曲には、「黒蜥蜴の告白」「偽りの愛」「大転換」などの名前が付けられています。
(まもなく音楽の入ったプロモーションビデオを公開予定。お楽しみに!)

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作曲中の棚川寛子さん。とても真剣なまなざし。


こちらが使われている楽器。ほんの一部です。

そのほかにも、劇中では様々な音が必要です。
時計の音、エレベーターの音、ドアのノック、犬の鳴き声……。時代設定によっても異なってくる音。
これらを自然に、時には印象的に観客に届けるのが、音響・原田忍さん。
台本を丹念に読み込みながら、どの場面にどんな音が必要なのか、チェックをしていきます。

原田さん写真
お仕事中の原田さん。場面に適したSE(効果音)を探しています。

美しい台詞、迫力ある音楽、物語にぐっと引き込む効果音。
それらの奏でるハーモニーを味わうのもまた楽しみのひとつ。

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
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2015年12月4日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(4)> 愛とロマンの冒険活劇!!

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

今回は、『黒蜥蜴』の物語についてご紹介します。
美輪明宏さんの舞台や映画で有名なため、名前は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

原作は、江戸川乱歩。
前々回のブログで、今年三島由紀夫が生誕90周年と書きましたが、江戸川乱歩は没後50周年です。
余談ですが、同時期にBOXシアターで上演する『青森県のせむし男』の作者・寺山修司は、生誕80周年。
(SPACでの上演は全部2016年じゃん、というツッコミはさておき)

ちなみに『黒蜥蜴』の時代設定は、江戸川乱歩の原作では1920年代ですが、三島由紀夫の戯曲では高度経済成長期の東京に変更されています。
江戸川乱歩の小説は書店でも購入できますので、ご興味のある方は戯曲との違いを楽しんでみるのもよいかもしれません。

主人公の黒蜥蜴は、美しいものをこよなく愛する女怪盗。
巨大なダイヤ「エジプトの星」を狙い、宝石商の娘の誘拐を企てます。
乱歩作品でおなじみの名探偵・明智小五郎の機転で最初の誘拐は未遂に終わりますが、黒蜥蜴はさらに巧妙なトリックをしかけ…
嘘か誠か、偽物か本物か、ハラハラドキドキの展開から目が離せません。

そして対立しながらも、次第に奇妙な愛情を感じ始める黒蜥蜴と明智の周りを、様々な人物たちが取り巻いています。
黒蜥蜴は「……ああ、生きてるものは、血のかよつたものは、みんな信用がならない上にうるさいばかり。」(『黒蜥蜴』第三幕第一場より)なんて言っていますが、いえいえ!
SPACの俳優たちが、魅力たっぷりの人物たちを生き生きと演じます。

そして、もう本番が待ちきれない!という皆様に朗報です!!
ただいま「おためし劇場」の予約を受付ております。お気軽にご参加ください。

『黒蜥蜴』の「おためし劇場」
 
2016年1月10日(日)13:30~15:00
会場:静岡芸術劇場
本番まぢかの稽古風景をご覧いただいたり、
演出家やスタッフのトークをお聞きいただける
無料イベントです。
どうぞお気軽にお越しください!
*詳細はこちら


<おまけ>
なんだか楽しそうな稽古場より。ストレッチ中?(撮影:榊原有美)
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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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2015年12月2日

『薔薇の花束の秘密』&『黒蜥蜴』 中学生が職場体験に!

11月25日26日の2日間、静岡市立観山中学校の生徒さんが、
職場体験でSPACに来てくださいました。

2日に渡って、SPACの2つの活動拠点のあちこちをまわり、
俳優やスタッフに話を聞いたり、制作部の仕事を体験していただきました。

劇場や上演作品とお客さんをつなぐのも、劇場で大事な仕事です。
稽古のレポートを書いてくださったので、ご紹介いたします。

1日目は、舞台芸術公園の稽古場棟で行われた
俳優の日々のトレーニングと『黒蜥蜴』の稽古でプロモーションビデオ用に、
演奏を録音・録画する様子を、見学していただきました。

SPAC版『黒蜥蜴』は、音楽劇。
総勢20名の出演者が、登場人物たちの動きや台詞と寄り添うかのように
打楽器による演奏を繰り広げます。

職場体験中学生レポート(1) 《『黒蜥蜴』PV録音をみて》
黒蜥蜴のPVにつかわれる音楽の録音現場に行かさせて頂きました。
ミュージシャンの方々が演奏するのではなく、俳優の方々が演奏をすることに驚きました。
音楽を聴いて、黒蜥蜴の少し古い、レトロな世界観が感じられました。
緊迫した雰囲気の中にも俳優さんたちのPVをみて、
劇場に来てほしいという思いが伝わってきて、とても良い現場でした。

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2日目は、芸術劇場で、
いよいよ12月3日に幕が開ける『薔薇の花束の秘密』
稽古を観てもらいました。
この作品に登場するのは、入院中の老婦人と、
そのお世話をする付添婦の2人だけ。
それぞれ心に傷を抱えた2人は、病室でのおしゃべりを通して、
次第に心を通わせていくのですが、ある日老婦人は、付添婦が嘘をついていると知ると…
(続きは観てのお楽しみです。)

劇場の舞台には、実際に本番で使用する舞台セットが前日に入ったばかり。
稽古は、後半2幕の冒頭から始まりました。

職場体験中学生レポート(2) 《『薔薇の花束の秘密』の稽古を観て》
舞台での稽古を見させて頂いて、一番に思ったことは、
毎回毎回俳優さんたちの細かい動きがちがうということです。
同じシーンを演技しているのですが、動きや声の出し方など変えて
より良い作品にするための工夫がみられました。
もう一つ、演出家の人と照明さんのやりとりが多くみられました。
細かい所まで照明に気にしていたので、鑑賞する人にこの場面は、
ほんわかした場面なのか、それとも暗くて何かたくらんでいる場面なのかを
想像しやすいようにしているのではないかと思いました。
今回は一部しかみていませんが、付添婦の空想の中ででてきた
「バラの花束」という言葉が印象に残りました。
一体誰から送られてきたものなのかすごく気になりました。
中学生からみても分かりやすい物語なんじゃないかなと思うので、
ぜひみてみて下さい。


俳優の永井健二にインタビューする、観山中学校2年生 石川萌恵さん

2日間の短い時間でしたが、
お客さんとして劇場に来た時だけでは見ることのできない
舞台裏や創作現場を見て、いろんなことを感じ体験し、
将来の進路選択に役立ててもらえたらうれしいです。

SPACでは、中高生の職場体験学習の受け入れをしています。
将来は舞台に関わる仕事がしたい、舞台に興味があって
SPACで職場体験したい方は、
お気軽にお問い合わせください。

2015年11月26日

<潜入!『黒蜥蜴』の世界(3)> 舞台美術について

カテゴリー: 『黒蜥蜴』2015

今回、『黒蜥蜴』の舞台美術を担当するのは、高田一郎さん。
生前の三島由紀夫と交流があり、『熱帯樹』の初演はじめ、多くの三島作品の舞台美術を手掛けています。

SPAC作品は、2011年の『オイディプス』(演出:小野寺修二)以来。


『オイディプス』舞台写真

2014年には、静岡芸術劇場ロビーにて「高田一郎・深沢襟<舞台美術師弟展>」を開催しました。


舞台美術師弟展の様子

そして、『黒蜥蜴』。
すでにプランはできあがり、それを基にSPAC創作・技術部が準備を進めています。
どんな世界になるのか楽しみですね。

打ち合わせの場に登場した模型。
全貌は幕が上がってのお楽しみということで、一部のみご紹介します!

DSC_0018
…階段?

DSC_0019
これは何を表現しているのでしょうか。

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模型の中に人形を発見。

そんな舞台美術をたっぷり楽しめる機会があるのです!!

バックステージツアー
SPAC創作・技術部スタッフが舞台裏を特別にご案内!「あの仕掛けはどうなっているの?」など舞台の疑問にお答えします。
1月31日(日) 終演後
所要時間:約30分
参加無料/要予約、定員40名


ただいま予約受付中です。
貴重な機会、ぜひお見逃しなく!!

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​1~2月 SPAC新作
『黒蜥蜴』
演出:宮城聰/原作:江戸川乱歩/作:三島由紀夫
音楽:棚川寛子/舞台美術:高田一郎/照明デザイン:沢田祐二
出演:SPAC
静岡芸術劇場
◆公演の詳細、アーティストトークなど関連企画の詳細はこちら
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