2016年12月21日

【ポールのSPAC探検】海外の視線、『サーカス物語』の耳と目につながる魅力(後編)

皆さんこんにちは!

SPACインターン生のポールです!

paul

今は、12月23日まで静岡芸術劇場で上演されている『サーカス物語』について、字幕の操作を行っています。

前編では衣裳と照明についてお話ししましたが、後編は「音」にまつわるお話です。
(前編はこちら

まずは音響に関してなのですが、今回の芝居はミュージカルなので、歌と音楽もついていますし、マイクを使っています。マイクは音楽と俳優達の声を合わせる便利な道具です。マイクを使うことによって、俳優達の立ち位置に関わらず、音楽の音量はいくら強くても俳優達の歌う言葉がちゃんと聴き取れます。ただ、大変なところもあります。マイクの音量を俳優達が自分自身で調節する訳ではないので、正しいタイミングで音量を上げたり落としたりするのは音響のスタッフの役割です。

音響では、音のバランスを探す必要があります。先ほどもお話したように、俳優達は舞台の上で動きながら台詞を話すのでマイクの音量が変わったりします。

一番大変なのは、歌うときのバランスです。
なぜかと言うと、3つの要素を同時に考えてバランスを探さないといけないからです。
明瞭さ、与えたい印象と音量。言い換えると、音楽の音量が低いと歌が聞こえますが、印象的ではありません。音量を上げ過ぎるとうるさくなります。また音楽の音量が高すぎると歌詞が聞き取れなくなります。最も印象強くしたい場面では、音楽と歌の音量を合わせて、両方がうるさくならない程度にとどめなければなりません。俳優達も自分の声を音楽の音量に合わせて高くしたり低くしたりする必要もあります。このプロセスで、演出家の役割は「導体」に近いと思いました。

最後に、音楽と歌のこともお話ししたいと思います。

照明、音響、音楽を合わせると、様々なおとぎ話の風景を描き出すことが可能になります。
その風景を一番具体化するものは歌なのだと思います。歌詞の内容についても少しお話したいと思います。

一つ目は、芝居の最初に出てくる歌です。「ガラスの城」に引き込んでいる王女の話です。

空想のイメージを完璧・完全に表現している歌だと思います。日本語の勉強を始めて何年も経ち、ある程度に理解できるようになりましたが、このような歌を聴くと「やっぱり日本語は美しい言語だな」と思います。意味を問わず、まだ聞き取れなかった時と同じように音の美しさを聴くことができます。歌は澄んだ水の音素のように耳まで流れてくれるようです。それは勿論、歌い手の才能にもよります。音楽自体はクリスタルのピアノが優しく弾かれている感じで、歌詞もその雰囲気を強めます。

mariko

その内容は「洞窟の比喩」にとても似ています。「洞窟の比喩」というのは、人間の状態をイメージで表そうとしていることです。洞窟の中では、人間が奥の壁を見ています。その壁に、犬、人、多様なものの影が火の光で映っています。その影は勿論ただの影ですが、それしか見たことがない人は、現実の存在に気付かず洞窟を出て太陽の光で歩こうとしていません。その王女も影に囲まれていて同じような状態になっています。ただ、彼女は夢の中で生きているということを認識しています。しかし、ずっと空想の中で生き続けると確かに夢のようで、苦しむことも死ぬこともないかも知れませんが、その山も、谷もない道は「生きる」と言えますか?つまり、苦しみ得ない幸せは本当に幸せなのですか?勇気を手に入れ、今いる不自由のない部屋の扉を開けて出るかどうか気になりました。その扉を押すと、苦しい現実に入るとともに、幸せが現れるかも??

二つ目にご紹介する歌は、シンプルな要素で出来ています。音楽はほとんどなく、小さいアコーディオンで、ピエロは幼い友達の為に歌っています。

jojo_eli

フランスのシャンソンの形ととても似ています。今でも素敵なアコーディオンの奏者はフランスにいて、そういう歌が日本でも聴けてとても嬉しかったです。
この歌は物語の流れで大切なポイントなのですが、そこから少し離れた見方をすると、この歌は誰もがある日感じた孤独の比喩としても見られるのではないかと思います。

先の歌と違って、別の世界へ案内するわけではありません。実は、私達の世界についてだと思えます。自分が人生で迷ったときについて感じさせられます。想像力。自分の顔が映っている鏡を見ると、確かに自分だと認識しているのですが、違うとも言えませんか?鏡で見ている顔は「その人は誰?」とも考えられます。その歌を聴くと、忘れていた記憶も出てくるかもしれません。昔失ったものの大切さ、今から探す尊さ。

『サーカス物語』の内容に関してはこれ以上話しませんが、もしこの記事を読んで「観てみたい」と思っていただければ嬉しいです。まだ、ご覧になっていない方も、是非ご覧いただければと思います。

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★


2016年12月17日

【ポールのSPAC探検】海外の視線、『サーカス物語』の耳と目につながる魅力(前編)

皆さんこんにちは!

SPACインターン生のポールです!

今は、12月23日まで静岡芸術劇場で上演されている『サーカス物語』について、字幕の操作を行っています。
仕事自体は、俳優達が歌うペースに合わせて歌詞の字幕を表示するのですが、タイミングがとても大切なので簡単ではありません。また、舞台では、毎回同じペースで歌うわけではないので、集中して耳を澄まさなければなりません。

paul_blog1

しかし、字幕の作業を通して『サーカス物語』の稽古も芝居も楽しむことができています。
経験の少ない私にとってはその芝居を観ることが出来て素晴らしいものが沢山あると思いました。

そこで、本番を観て感じた様々な印象があるのですが、そのいくつかをご紹介したいと思います。まずは照明。
どのような雰囲気になるのか、俳優達が光に当たるとどのように印象が変わるのかについてです。

本番前、舞台上で行う稽古はとても大事です。芝居を作るプロセスの中では、もうリハーサル室を出て劇場で行われている最後の部分にあたります。この稽古では、照明や音響が俳優達のセリフや動作に合わせられます。緻密な設定が必要で、一秒、一歩外れてしまうといけません。これは、字幕についても言えることです。歌詞のテンポに合わせようとして自分の操作に集中するあまり、舞台で何が起きているのかを“見ることなく観ている(looking without seeing)”ことが多いです。

字幕の操作が落ち着く時もあるので、ゆっくり観ることも勿論できます。そこで起きていることは、私にとっては色のカーニバルのように見えます。

衣裳班が作ったものは、ガラスの城にいる影たちの格好良くて白い衣裳や、異世界の花のようなカラフルさや、エリを囲むサーカス団員達の優しさなどで、舞台が彩られているように感じます。舞台は、サーカスリングをイメージした円形になってるのですが、照明で雰囲気も変わります。深い青色の光を当てると、満月のように見えます。俳優に当たる小さくて丸い光線の効果で、俳優が動くと小さい太陽が大きい月の上を歩いているように見えます。星が躍っているようにも感じたりします。

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照明は客席に見えるものと見えないものの境目を描き出し、見せようとしたとき、どのように見られたいのかを細かく考えられているのだなあと理解しました。

後編につづく。

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★


2016年12月15日

【『サーカス物語』ブログ#10】“思い思い”の本番前

本日のブログはローラ/カロファイン役の榊原有美がお届け!
出演俳優たちの本番前の貴重な姿をレポートしてくれました。

▼▼▼▼▼▼▼▼

「とりわけ住人たちは自由な心の持ち主だ。
思い思いに励みながら他人を煩わすこともない。
人々はそれぞれ芸術家だ。
自由の本質を知るために一生懸命遊んでいるよ。
もちろん暴力を振るうものなんていないしね。」

<鏡のカロファインの台詞より>

本番前には思い思いにアップをします。
今回はミュージカルという事で出演者全員いつも以上にアップに余念がありません。
バーの使い方間違っていますが…

毎日私と同じ時間、同じ場所で思い思いのアップに励むメンバーは私以外初参加、もしくは新キャスト!という事で一気に大紹介。

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↑SPACの保健委員長、若宮くんが演じるピエロのジョジョは優しくて不器用で言葉がすっと胸に届きます。

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↑SPACナンバーワン!ソツのないイケメン俳優野口くんは団長にピッタリ!舘野さんとの名コンビっぷりも素晴らしいです。

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↑ユスフと結婚大臣を演じる一平くんのプロローグとソロダンスは大人気。必見です!!

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↑ニーナを演じる冬子ちゃんも小さな体で大活躍。音楽大学仕込みの美声も聴かせてくれています!

キャスト、スタッフ一同皆様のご来場を心よりお待ちしております。

Yuumi.S

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★


2016年12月14日

【『サーカス物語』ブログ#9】 バックステージツアーレポート!

本日は10:30と14:30の2公演を終えた『サーカス物語』。
11月末から公演が始まり、残すところ一般公演が2回、中高生鑑賞事業公演が2回、と
千穐楽までのカウントダウンが始まっています。

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ミヒャエル・エンデの戯曲を
ユディ・タジュディンとSPACチームとで大事に大事にみつめて創り上げたこの舞台。
一人でもたくさんのお客様にご覧いただければと思います。

さてさて、本日は12月10日の公演後のバックステージツアーの様子をレポートします。

参加者の皆さんには終演後の客席にお集まりいただき、
少しだけ注意事項をお伝えしたあとは
早速、劇場の舞台に設置された、丸いステージの上へ。

舞台美術デザインの深沢襟、衣裳デザインの駒井友美子(ともにSPAC創作・技術部)から
実際の美術や衣裳を前に、コンセプトや創作過程のことをご紹介しました。

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鮮やかな色彩でファンタジーの世界を生み出している舞台美術や衣裳ですが、
私たちの日常生活でとても身近な材料も使用されています。

そしてお次は…
とあるシーンを俳優の台詞とともに再現

照明付きで作品中のワンシーンをお客様に体験していただくことは
これまでにも行なっていたのですが
俳優による実際の台詞付きでの再現はちょっとレアだったかもしれません。
あのシーンの迫力を、ステージ上でお楽しみいただけたならば幸いです!

最後はフリータイム。
美術、衣裳、小道具を間近でご覧いただきながら、
スタッフや俳優と自由にお話しいただきました。
皆さん、様々な仕掛けに興味津々。

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バックステージツアーは今週末18日(日)の公演でも開催します。
定員に空きがあれば当日の飛び込み参加も可能ですが、
事前のご予約がおすすめです! ご参加お待ちしております。

そしてこの日も、公演アンケートにたくさんの嬉しいコメントをいただきました♪
アンケートをお書きくださった方の中には、
今回の再演を待ってくださっていたというお声も。(大変お待たせしました!)

* * * * * * * * * * * * * 

とても面白く、感動的だった。
役者のキャラクターへの入り方がそれぞれ個性があって楽しかった。
(10代・女性)

良い台詞がたくさんありました。本質をつらぬいていました。
(10代・女性)

前回見逃して、とてもとても楽しみにしてました。とても良かったです。
(40代・女性)

面白かったです。文句なしに面白い!
劇、劇中劇、役の入れかわり、夢と鏡の衣裳。まだ頭の中がぐるぐるしています。
(50代・男性)

空想することの大切さを教えてもらったような気がします。
大事なメッセージを伝えていただいて、ありがとうございました。
(50代・男性)

よくできた公演でした。息もつけない時間でした。
(70歳以上・女性)

素晴らしい!ひきつけられて見ました。
(70歳以上・女性)

* * * * * * * * * * * * * 

既にお子さんもたくさんご来場くださっていますが、
『サーカス物語』千穐楽の12月23日の公演は「ファミリー観劇DAY」!
おとなの方と高校生以下の方のチケットが、セット料金で4,000円になる
ファミリーペア割引をご用意しております。

クリスマス前に、ぜひご家族で観劇にお出かけください♪

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★


2016年12月8日

【『サーカス物語』ブログ#8】 パワーアップした「明日の国」

11月29日にげきとも公演がはじまり、12月3日に一般公演初日を迎え、ちょうど折返し地点となりました。
上演を重ねるにつれ、どんどん作品の深みが増している『サーカス物語』。後半戦がはじまります!

さて、今回の再演に向けてビジュアル的に大きくパワーアップした「明日の国」を大公開!
初演時よりさらに夢のあるシーンになっています。

以前、このサーカス一座のワゴンの変身によって、場面が展開していくことをご紹介しました。
【『サーカス物語』稽古場ブログ#4】 いよいよ劇場へ!

まず、ワゴンを広げると、この「ガラスの城」があらわれて…
photo_1

そして、あっという間に「明日の国」に変身します!
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「ガラスの城」の完成された美しさから一転、どこか未完成さが漂う、いきいきと揺れ動く自由な想像の世界、「明日の国」が立ち現れます!本番では照明も加わり、今にも動き出しそうな木の幹に、キラキラと光る模様の葉っぱが茂り、未来、希望、輝きに満ちた世界が広がります。

住人たちも、想像をはるかに超えるクレイジーな衣裳を身につけています。
photo_3

このワクワクがいっぱい詰まった舞台美術を間近でご覧いただけるバックステージツアーは、12/10(土)と18(日)の終演後に開催します。

ご観劇とあわせて是非お申込みください!

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
★★★★★★★★★★★★★★★


2016年12月6日

【『サーカス物語』ブログ#7】 お客様のご感想より

『サーカス物語』、本日は、一般公演のアンケートでお書きいただいたコメントの一部をご紹介。
小学生の方から大人の方まで、幅広い年代の方が
様々な目線から作品を見つめ、楽しんでくださっています!

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* * * * * * * * * * * * * * *

・とてもおもしろくどきどきしました。(10代・男性)

・はく力があってとてもすてきでした。(10代・女性)

・本当にすてきでした。きらきらしていました。また見に来ます。(10代・女性)

・シンプルに良かった!経済的利潤ばかりが優先される昨今の社会において、
 人は改めてお金で買える事のできない事象や価値を見直す必要があると思います。(30代・男性)

・すごく楽しめてよかったです。幻想的で、びっくりしました。ダンスも歌もよかったです。(40代・女性)

・音楽と祝祭性の際立った作品で、幻想的な時間を過ごすことができました。(40代・男性)

・演者がとても身近に感じられる舞台でした。とても良かったです!(50代・女性)

・エンデのファンタジーの世界を楽しみました。言いようのない味わい、visualはとっても印象的。
 衣装のすばらしさ、セットの見事さ、歌声の絶妙さ、そして鏡の精の足さばきに魅了されました。(50代・女性)

・私たちがこれから大事にすべきキーワードをあらためて考えさせられた。(50代・女性)

・泣いてしまいました。そしてそれは美しい明日へのうれしさの涙でありました。(60代・男性)

* * * * * * * * * * * * * * *

歌、音楽、舞台美術、衣裳…、
耳でも、目でも、ファンタジーの世界をたっぷりとお楽しみください!

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そして、ミヒャエル・エンデによる物語。
ジョジョのお話の世界「明日の国」での大蜘蛛アングラマインとの戦い、
そして現実の中でサーカス団員たちが巨大化学工場に立ち向かう姿には
現代社会における様々な出来事が写し込まれているかのようです。
皆様は、この作品から何を連想され、どんなことをお考えになるでしょうか。

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たくさんのお客様から、お声をお聞かせいただければ幸いです。

このあと一般公演は12月10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)と続きます。
ご来場、お待ちしております!

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年12月3日

【『サーカス物語』ブログ#6】ジョジョと仮面

『サーカス物語』、本日無事に一般公演の幕が上がりました!
ご来場くださった皆様、あたたかい拍手とたくさんのご感想をいただき
ありがとうございました。

本日のブログは、エリ役の布施安寿香がお届けします。

* * * * * * * * * * * * * * *

11月末から公演が始まりました「サーカス物語」
三年前とはまた違ったあたらしい作品になってます。
たくさんの方に見ていただきたいので、
今回のブログではジョジョについてエリからお話したいと思います。

ジョジョは物語後半で仮面をつけてきます。
そしてエリとふたりっきりになったときにそっと本音をもらします。
「からっぽをばれないように描いた顔をつけてるんだ」と。

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私はこのシーンのジョジョがとっても好きです。
再演になって相手役が変わって、
同じセリフなのにこんなに違うんだなぁと気づいてますます好きになりました。

三年前の阿部一徳さんのジョジョは、
見た目も大きく、エネルギッシュで、
はじけてて、だけどそれは、本当はシャイで臆病な自分を隠すための仮面で、
あのふたりっきりの瞬間にだけ思わず本心が垣間見えるという感じでした。

今回の若宮羊市さんは、
どちらかというと普段は愚か者のふりをして、逃げているのに、
本当に守らなきゃいけないものや、譲れないものがあるときにキラッとひかる芯の強さや男らしさがみえます。
背中に感じる体温が言葉以上の何かを伝えてくれます。

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相手が違うので少し心の動き方は違うけれど、
それぞれの欠けた所にふっとエリの心が寄り添っていくのを感じられて
演じていてもとっても幸せな瞬間です。

ピエロって悲しくて愛しくて、
それは私たち俳優を含めた芸人の典型だし、
結局は人間そのものなんじゃないかと思います。

人は完璧じゃない。
だからお互いに寄り添いあえる。

そのためには、怖いけど、そっと仮面ははずさなければ…。

劇場で自分がお芝居を見てるときってふっとその仮面がはずれる瞬間があるなぁと思います。
そこで見た自分の顔は好きじゃないかもしれない。
でも会いたかった人かもしれない。
傷みや苦しみやわけのわからない釈然としないものを抱えるかもしれない。
でも、それは明日を生きる強さになる、と私は信じています。

見にきてくださったお客さまに、そういった瞬間が訪れますように…。
毎日そう願ってつとめております。
ぜひぜひ劇場にいらしてください。
お待ちしております!

布施安寿香

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年11月29日

【『サーカス物語』稽古場ブログ#5】げきとも公演が始まりました!

『サーカス物語』、中高生鑑賞事業「げきとも」公演で幕を開けました!!

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初日から、午前と午後の2回公演!
たくさんの中学生・高校生の皆さんにご覧いただけました。

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今回、初演時とはキャストが変わり、
ジョジョ/ジョアン王子を演じるのは若宮羊市。
やさしく、そしてチャーミングなジョジョです。

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上演中には生徒さんたちの笑い声も聞こえ、
お帰り際には「面白かったです!」と声をかけてくれた生徒さんも。

中高生の皆さんに、楽しく観ていただきながらも
ミヒャエル・エンデが物語に込めた深いテーマを受け止めていただけたならば
たいへん嬉しいです。

本日から金曜日まではげきとも公演が続き、
12月3日(土)にはいよいよ一般公演を迎えます…!

★★★公演情報はこちら★★★★★
SPAC秋→春のシーズン2016 ♯3
『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
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2016年11月23日

【『サーカス物語』稽古場ブログ#4】 いよいよ劇場へ!

先日11月19日(土)に『高き彼物』が千穐楽を迎えたのち、
(ご来場くださった皆様、ありがとうございました!)
静岡芸術劇場の舞台上にはサーカスの丸い舞台が設置され、
音響、照明の仕込み作業を経て、
昨日の夕方より、『サーカス物語』の劇場稽古が始まりました!

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SPACの『サーカス物語』の魅力のひとつは、
サーカス一座のワゴンに隠された秘密(?)。
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このワゴン、シーンの変わりめには「飛び出す絵本」のように広がって
「ガラスの城」や「明日の国」に姿を変えて
ジョジョの語るおはなしの世界へと、私たちをいざなってくれます。
『サーカス物語』の本のページをめくって物語が進んでいくように
ワゴンの“変身”によって場面が展開していくのです。

この美術、もちろんこれまで稽古場でも使用していたのですが、
劇場の大きな空間で見る「アコーディオンブック」(と呼んでいます)はまた格別。
ワゴンが開き、場面が変わっていくのとあわせて
劇場の大きな空間全体の空気までもが変わっていくようです。

サーカスワゴンの“変身”は、ワクワクでいっぱいの瞬間。
そして今回、再演に向けて「明日の国」のビジュアルがパワーアップし
初演時よりさらに夢のある、豊かなものになっています。
今年の再演を初めてご覧になる方はもちろん、初演をご覧になった皆様も、
ぜひこの「ワクワク」に出会いに劇場にお越しください!!

(おや、客席の上にもこんなライトが♪ これもちょっとワクワクします。)

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★★★公演情報はこちら★★★★★
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『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
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2016年11月21日

【『サーカス物語』稽古場ブログ番外編】 おやこワークショップ!

11月20日(日)に『サーカス物語』関連イベント「おやこワークショップ~じぶんだけの“王冠”をつくってみよう」を開催しました。

『サーカス物語』のたくさんある見どころのひとつ、それは衣裳!

ピエロのジョジョが、同じサーカス一座の少女エリのためにつくりだしたお話のなかで、ジョジョ扮するジョアン王子の色とりどりな「明日の国」に登場するような、王冠をつくりました。

講師は『サーカス物語』衣裳デザインの駒井友美子(SPAC創作・技術部)。
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まず、いくつか用意された型紙のとおり、ダンボールを切りぬいていきます。
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実は「明日の国」のシーンでは、実際にダンボールでつくられた美術や衣裳が登場します。
それはまた、ゆっくりご紹介しますね。

さて、ダンボールで組み立てた王冠に、飾りをつけていきます。
お父さんお母さんもいっしょに、色紙やフェルト生地をさまざまな形に切ったり、キラキラしたビーズやスパンコールで飾りつけ、それぞれの個性がみえてきました!
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男の子はなんだか強そうに、小さなお姫様の王冠や、とても立派な星がついたもの、なかには「お魚」がついた王冠まで。その様子を見ていると手を動かしたくなり、遊びにきた少女エリ役の布施安寿香も一緒につくりはじめました。
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ほんとに個性豊かな王冠が出来上がりました。
劇中でも「明日の国」について、「とりわけ住人達は自由な心の持ち主だ。思い思いのことに励みながら、他人を煩わすこともない。人々はそれぞれに芸術家だ。自由の本質を知るために一生懸命遊んでいるよ。」とあるように、自由な発想で、想像をふくらましながら一生懸命つくった芸術的な“王冠”で、皆さんもすっかり「明日の国」の王子様、王女様です。
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続いて、午後は『サーカス物語』おためし劇場です。
おためし劇場のレポートはこちらからどうぞ。

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『サーカス物語』
一般公演:12月3日(土)、10日(土)、18日(日)、23日(金・祝)
演出: ユディ・タジュディン (俳優・スタッフ一同の構想に基づく)
作: ミヒャエル・エンデ
訳: 矢川澄子 (岩波書店刊『サーカス物語』より)
静岡芸術劇場
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