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2016年12月16日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古場ブログ#3】舞台音楽家・棚川寛子インタビュー【前編】

宮城作品においては、俳優による打楽器の生演奏が作品を構成する重要な要素の一つになっています。もちろん、新作『冬物語』でもそれは健在。そこで、このたびその音楽をつくっている舞台音楽家・棚川寛子さんに、お話を伺いました♪ 棚川さんはなんと楽譜が書けない!?そうですが、その作曲の舞台裏とは・・・?

(本インタビューのショートver.は、12/15発行の「グランシップマガジン」に掲載されています)

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宮城演出作品に欠かせない俳優による生演奏
目指すのは、動き・台詞・音楽の三位一体

――まずは、棚川さんのお仕事について教えていただけますか?

肩書きは「舞台音楽」を名乗っています。もともと肩書きはなかったのですが、学校でワークショップなどを行う際に肩書きがないと不便だと言われたことがありまして。音楽家でもないし、俳優でもないし、バンドをやっているわけでもないし……と悩んでいたところ、「舞台の音楽を作っているから、『舞台音楽』でいいんじゃない?」とのアドバイスをいただき、以来、舞台音楽という肩書きを使っています。
芸術総監督・宮城聰演出のSPAC作品を観たことがある方ならご存じだと思いますが、宮城作品ではよく、劇中で音楽が生演奏されます。その音楽を作るのがSPACでの私の仕事です。ちなみに、演奏しているのは音楽家ではなく出演している俳優たち。このスタイルは宮城作品ならではで、俳優に曲を覚えてもらうのも私の仕事です。

――どのような流れで音楽を制作されているのでしょうか?

台本が出来上がるタイミングや制作期間などにもよりますが、まずは台本を読んで、全体の流れを考えます。台本が楽譜代わり、という感じでしょうか。でも、曲のイメージが一番湧くのは稽古場なんです。俳優の声も作曲の重要なヒントとなるので、稽古を見ながら作曲することが多いですね。
曲ができたら俳優に演奏を指導していくわけですが、実は私、楽譜が読めないし、書けないんですよ。音符はオタマジャクシにしか見えない(笑)。だから、教えるときは自分で実際に演奏して、「こんな感じかな」と説明しています。1人に教え終わったら、その人が練習をしている間に別のパートを担当する人に教えるというのを繰り返して、5人ぐらいに演奏を教え終える頃に1曲仕上がっているという感じです。びっくりするぐらいアナログですよね。俳優からも「楽譜を書けるようになってよ」と言われます(笑)。あ、努力しようとは思っているんですよ!

――どんな楽器を使っているのでしょうか?

使用する楽器は打楽器がメインです。音階がある楽器も叩けば音が鳴るものばかり。楽器の演奏経験がない俳優も多いので、特別な技術がなくても音が出るという点が大切なんです。

――作曲には時間がかかりますか? それともすぐに思いつくのでしょうか。

作品によります。SPACの作品でいうと、2017年2月から再再演となる『真夏の夜の夢』は、曲の完成がかなり早かった作品の1つです。野田秀樹さんの脚本がとてもリズミカルだったおかげで、曲が浮かびやすかったのをよく覚えています。ほかには、三島由紀夫作の『黒蜥蜴』もわりとすんなり作曲できましたね。もともとの文章に力があるといいますか、文章自体が音楽を持っているといいますか、そういった作品は、どんな音楽が良いのかを台本が教えてくれる感じで、わりあいスムーズに進みます。
ただ、そんな風に順調に出来上がることなんてほとんどなくて、たいていはものすごく苦しみます。正直、音楽をつくるのは毎回しんどいです。好きでやっている仕事なんですけど、それでも、「しんどい」「もうやだ」「今回こそ間に合わない」と思いながらやっています。

――先ほどのお話にもありましたが、練習もかなり大変そうですね。

そうですね。俳優から私に、「申し訳ないんだけど、いったん練習やめてもいい?」と泣きが入ったこともあります。男性の俳優にグロッケンという楽器のパートをお願いしたときのことです。彼に担当パートを教えたあと、それを延々と繰り返し演奏してもらっていたんですよ。その曲を聴きながら、次のフレーズを考えようと思って。でも、なかなかひらめかなくて……。ついには、俳優が音を上げてしまいました。グロッケンは鍵盤がすごく小さくて、それを手の大きな男性俳優がずっと演奏するわけですから、窮屈でしんどかったはず。「頭がクラクラしてきた」と言っていました。あれは申し訳ないことをしましたね。
また、演奏の練習のために演じている俳優が台詞を繰り返し言わなければならないときもあって、演技するほうも大変なんです。たとえば、演技している俳優の台詞がきっかけで、音楽がはじまったり、終わったりする場面があります。こういう場合は、俳優に実際に台詞をしゃべってもらって、それに合わせて演奏の練習をしなくてはならないため、台詞を話す俳優のほうが先に疲れてしまうこともあるんです。はじめのうちは本番同様に声を張って台詞を言っているのですが、それをずっと続けていると喉が辛くなってしまう。だから、「すみません、声のボリュームは落とさせてもらっていいですか?」と言われたりします。
演奏は演奏だけ、演技は演技だけ、と別々に練習できたら効率が良いのですが、演出上、演奏と演技を一緒に練習しなくてはならないことも多く、時間はものすごくかかりますね。

――演技もして演奏もして…。俳優さんたちは大変ですね。

本当に大変だと思います。台詞と動きを覚えるだけでも大変なのに、そこに演奏が加わるわけですから。当然、練習時間も長くなりますし、上演中も、自分の出番がない間は舞台の袖で休む、ということもできません。まるでトライアスロンのよう。宮城作品に初めて参加する俳優の多くが、「こんな面倒くさいやり方するの?」と驚きます(笑)。
さらに、上演中の舞台と並行して、次の作品、そのまた次の作品という具合に、1日に3作品分の本番や稽古をすることもあって、そんなときは頭を切り替えるのがとても難しいんです。

――指揮者も俳優さんがやっていらっしゃるんですよね。

そうなんです。指揮者がまた大変な役目でして……。指揮の動きが目立つとお客様の観劇の邪魔になるので、宮城からは「指揮を振っている腕がお客様から見えないよう、指揮者は自分の体の幅のなかで手を動かして」と言われます。だから、その通りに極力腕を動かさないように指揮をするわけですが、そうすると、端のほうにいる演奏者には指揮が見えにくい。当然、俳優たちからは、「指揮が見えにくいからもっとはっきり振ってほしい」「終わるタイミングがわからない。どうにかして」といった要望が出ます……。

――『真夏の夜の夢』のように上演が2回目、3回目となる作品は、音楽も以前と同じなのでしょうか。

再演、再再演にあたり曲に多少手を加えることはありますが、基本は、以前と同じ曲での上演となります。だから、以前と同じパートの演奏を担当する俳優は、少しは負担が減るかもしれません。ただ、配役が変われば出番のタイミングも変わるので、当然、パートや担当楽器が変更になることも……。また、俳優によって得意不得意があるので、自分の配役が以前と同じで「だから担当する演奏パートも同じだ!」と喜んでいたら、そのパートが別の俳優の担当に変更されてしまい、「え、俺も覚え直し!?」という羽目に陥ることもあります。

――ただ、楽譜がないわけですよね? 楽譜がない音楽を皆さんどのように覚えているのでしょうか。

過去の上演の映像があるのでそれを見て思い出す感じですね。あと、自分が担当したパートを楽譜に残している俳優もいます。私が楽譜を書けないので、俳優が逆にしっかり楽譜を書いているという……。ひどい話ですよね(笑)。
もちろん、私と同様に楽譜を書けない俳優もいます。楽譜が書けない俳優は、普通のノートに「○○○のシーン、適当にいい感じに」とか「楽器は△△△。ダダズダ」とか書いてあるだけ。これ、楽譜っていうの?みたいな(笑)。

(後編につづく)

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年12月13日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古ブログ#2】12月12日稽古再開しました!

12月12日(月)、いよいよ本番に向けて『冬物語』の稽古が再開しました。

夏のプレ稽古のあと、台本も配役も大幅に変わって緊張の再スタートです。

稽古の最初には、舞台美術のデザイナーが、
今回の舞台装置のコンセプトを模型とともにプレゼンします。

続けて、舞台監督も目下制作中の舞台装置の具体的な質感や、
その中で演技するにあたっての注意点などを説明していきます。

「床面はどんな材質なの?」
「このエリアにはどうやって出入りできるの?」
「楽器はこの部分だけに全部置けるかなあ?」
演出の宮城や俳優から、つぎつぎに質問がとびだします。

「エリアのあいだの段差は、ステップがなくても上がり降りできるかなあ?」と質問がでると、
衣裳デザイナーが、それぞれの衣裳の足元のつくりを説明したり…

顔合わせの日に、いつも、
演劇では、沢山の人たちの知恵とチームワークによって、
初めて一つの舞台ができあがるということを実感させられます。

芸術劇場のリハーサル室で稽古が進められる一方、
そのとなりの衣裳室でも、もくもくと作業が進められています。

デザイナーが演出家と話をしながら描き起こしたデザイン画から、
パターンがつくられ、ひたすら縫製!


廊下のハンガーには出来上がったパーツがずらーり。

衣裳は出演者一人一人に合わせて、ひとつひとつ手作業で作られています。
『冬物語』の出演者は総勢22名。
一人で何役もこなす俳優もいるので、衣裳の総数はそれ以上。
いったい何着の衣裳ができるのでしょうか?

そして、舞台芸術公園の野外劇場では、
舞台装置の実物が作られています。

かなり大がかりな装置になりそうです。

まだ誰も見たことがないものが作られていく
新作の現場は、俳優もスタッフも全員がドキドキです。

SPACでは、そんな作品創作の様子をご覧いただける、
「おためし劇場」という企画も実施しています。

ぜひ、舞台が出来上がるまでのドキドキを
皆さんにも共有していただけたらうれしいです。

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★おためし劇場 
第8回 『冬物語』
日時/2017年1月8日(日) 
   13:30~15:00
会場/静岡芸術劇場 (JR東静岡駅前グランシップ内)
参加費無料 (要予約)

 
◆ご予約・お問い合わせ
SPACチケットセンター TEL.054-202-3399 (受付時間=10:00~18:00)

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』 
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年12月4日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古ブログ#1】ポスターが街中に!

早いもので、今年ももう12月。

静岡芸術劇場から見える富士山も
冠をかぶってとてもきれいな季節となりました。

日に日に寒さもましてきて、すっかり「冬」ですね。

そして「冬」といえば…

宮城聰演出の新作「シェイクスピアの『冬物語』」です!
いよいよ年明け1月から公演が始まります。

『冬物語』をフィーチャーした
今年の「秋→春のシーズン」2つ目のポスターも
できあがりました。
とってもさわやかなブルーです。

ただいま、街中のいろいろなお店やスペースにご協力いただき、
貼らせてもらっています。
今後、交通公共機関でも掲出される予定ですので、
街に出かけたら見つけてみてくださいね。

そして、すでにあちこちで配布されている
チラシのビジュアルはこちら。

チラシは全員バージョンです。

この写真、実はどちらも真夏に撮影されたんです。
今年8月、舞台芸術公園では1ヶ月にわたって、
『冬物語』のプレ稽古が行なわれていて、
この写真もその最中に撮影されました。

今日は、その撮影風景を少しご紹介。

チラシではところ狭しと積み重なるように4段に並んだ写真も、
撮影では、1列ずつ撮影しました。

真夏に登山ウェア。その衣裳に舞台用の強い照明を浴びての撮影は、
どんなに冷房を効かせても、汗だく。
しまいには、扇風機まで登場しました。

撮影には、演出の宮城も立ち合い、
「ここはとにかくすっご~~く寒いの」と
基本コンセプトを告げた後、さらに細かな指示を出し…

スタッフの私たちも今までに見たことがないような
俳優たちの寒い顔の名演技には驚きです!
とっても暑い中の撮影とは思えません。

それにてしても、
真夏に極寒写真の撮影、『冬物語』の稽古とは、
なんだかダジャレみたいですね。

さて、文字通り汗水流して、仕込みを終えた『冬物語』。
その後、秋には3ヶ月の熟成期間を経まして、今月いよいよ稽古再開!
年明けの公演初日に向けて一気にスパートします。

これから作品ができあがるまでの様子をご紹介していきます。

宮城聰が6年ぶりに手がけるシェイクスピアの新作『冬物語』、
どうぞ、ご期待ください。

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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