2009年1月26日

『走れメロス』終演後、劇場ワークショップ開催!

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1月25日(日)、3週間に渡る公演期間の中日を過ぎた『走れメロス』の終演後、高校生を対象とした劇場ワークショップが行われました。
これは高校生が舞台を観劇し、終演直後の劇場で、プロのスタッフから直接なんでも聞けるという機会です。
昨年の秋のシーズン『ハムレット』『ドン・キホーテ』から実施され、好評を博しているこの企画、今回は富士東高校のみなさんが参加してくれました。昨年の
県高校演劇研究大会で三島由紀夫の『綾の鼓』を上演した高校ですが、部員の演劇に対する意識が非常に高いことが今回のワークショップでも感じることができ
ました。

終演後、お客さまが出た後の劇場内に再び戻り、舞台監督からSPAC、静岡芸術劇場についての説明を受けます。観客も俳優もいないがらんどうの劇場は、つ
い先ほどまでの熱気の余韻を残しながら、どこか空虚な空気を漂わせています。
そんな劇場の舞台に恐る恐る上がり、『走れメロス』の「仕掛け」を見ていきます。

まずは、今回の作品中、天井から降り続けている”なにか”について。その”なに
か”とは何でしょうか??
(“なにか”の正体はここでは明かせられません。公演を観てのお楽しみ!)。

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実際にその”なにか”を確かめてもらったところで、次はそれを魅せる照明の妙を、デザイナーとオペレーターの2人から解説。掛け声ひとつで次々と切り換え
ながら、実際の部活動においても生かせるテクニックや考え方を伝授しました。
音響スタッフからも、限られた機材でいかにイメージ通りの効果を出すのかアドバイス。
最後には質問コーナーです。
「舞台美術の材質はなにか?」「床板の黒と白の配置はどう決めた?」「なぜ女優3人で演じたのか?」「あのシーンの照明は何を表現していたのか?」と活発
に質問の手が挙がり、SPACとしてもたいへん刺激を受けたひとときでした。
飛び入り参加した文芸部の大岡淳をはじめ、SPACにも高校演劇部からプロになったメンバーは大勢います。
「演劇は人間のすべての面を含んでいる」とは舞台監督の言葉です。
高校生たちにも、演劇の深さ、広さからよりいっそうの力を得て、静岡を盛り上げていってほしいと思います。


2009年1月25日

『輝きブック』開催しました!

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1月24日(土)静岡県教育委員会特別支援課の主催で「輝きブック」を静岡芸術劇場で開催しました。これは静岡県内の特別支援学校に通う中・高校生7人がその特技を静岡芸術劇場の舞台で披露、一人ひとりの「輝き」を発見し、共生社会への架け橋となるよう地域社会が応援団となることを目指して今年初めて開催されたものです。

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実はこの公演開催のきっかけは一昨年にさかのぼります。特別支援課の方々が「輝きブック」を開催したいと考え、SPAC芸術総監督の宮城に相談に来たところから始まりました。その時、ビデオを通して紹介された子どもたちを芸術家の視点から見つめる宮城と子どもたちをぜひ直接会わせたい、観客もそれを共有できるような場を作りたいと、特別支援課の方々が奔走し2年かけての実現となりました。
当日、静岡芸術劇場は『走れメロス』の休演日、舞台美術も残る舞台の前方に幕を下ろし、大きなスクリーンを吊るした前に演技スペースをつくって、SPACの俳優が出演者7人に一人ずつサポーターとしてつき、リハーサルから本番までの1日の時間を一緒に過ごしました。
13:10、オープニングは1階ロビーのグランドピアノにてショパンのワルツ(遺作)の演奏から始まりました。200名の観客が、1階から2階のロビーにかけてぐるっとピアノを囲むような形になりました。美しい音色とともにさあスタートです!

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続いて静岡芸術劇場の中に舞台を移し、夢の案内人の司会に合わせて、ピアノ演奏、パントマイム、クレイアート、トランペット演奏、朗読、リコーダー演奏などの特技を持った子どもたち7人が舞台上で発表していきます。
クラウンタクは、パントマイムのショーを披露、会場を沸かせ、言葉がなくても人を笑顔にすることができる彼のパフォーマンスに感服!
クレイアートでは、今年の干支の牛の親子の作成を実演。50分もの間すごい集中力で細かい指先で造り上げた作品は本当に繊細な、楽しい作品でした。

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休憩の後はトランペット演奏とピアノ演奏。劇場の一番後ろまで届くようにトランペットを高く掲げて演奏、まっすぐな音が届きました。
宮沢賢治の「いちょうの実」の朗読では、澄んだ声で一つ一つの言葉がはっきりと響き、その情景が目に浮かぶようでした。
消しかす細工は、消しゴムの消しかすで独創的な生物を創作。3体を製作する実演のため、クラス一丸となって消しかすを集めてきたそうです。
最後はリコーダーで「愛のあいさつ」を演奏。車椅子にすわりながらも、ピアノの伴奏に併せて、しっかりとした息遣いで伸びのある音が響きました。
彼らのパフォーマンスは、一つ一つがとても純粋で、目の前のことにちゃんと向き合っている。だからこそそれはある意味とても芸術的で、私たちの心を打つのでしょう。その高い集中力は、私たちが本来持っていたはずの能力で、色々な雑音にまぎれて鈍化、あるいは埋もれてしまった能力でもあります。障害者が頑張っているとか、障害者だからという視点ではなく、観客は芸術家としての彼らを見つめ、私たちは自分自身を見つめる機会となりました。彼らの集中力に引きずられるように思わず見入ってしまう私たち、そしてその視線を一手に引き受け、舞台上でもじもじせずにすっくと立つ彼ら。そのまっすぐな視線の前で、人を見つめて見つめ返される、人と向き合うことで発見できる輝きがある、ということを教えてくれた1日でした。


2009年1月19日

太宰が逗留したその場所で読む「走れメロス」

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1月18日(日)「走れメロス」リーディング・カフェ@三保園ホテルを行いました。

雨がぱらつきぐんと冷え込むあいにくの天候でしたが、10名の参加者が会場となったホテル内のレストランに集まりました。SPACの俳優からは、三島景太、奥野晃士、永井健二も参加、テーブルを囲んでの簡単な自己紹介のあと、リーディングをスタートしました。今回のリーディング・カフェでは、太宰治が書いた「走れメロス」を、テクストはそのまま変えずに、冒頭から1人数行ずつ回し読みをしていきました。

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『走れメロス』は、もともと戯曲ではなく小説として書かれていますが、メロスの心情を表す太宰の文章などには、はっきりと感情をこめて読む参加者の方が多く、メロスがまさにそこを走っているかのような臨場感あふれる集中したリーディングになりました。

 

終了後はお茶を飲みながら感想を語りあいました。やはり中学校の教科書に載っている作品だけあって、参加者のみなさんそれぞれの『走れメロス』像を持ってこの会に望んだようです。しかし実際に声に出して読んでみることで、中学生時代に『走れメロス』を読んだときの印象が変わったという感想が多く聞かれました。名作とは、色々な年齢で読んでもその度ごとに新たな発見ができるものなのかもしれません。実際に声に出して読むことで「走れメロス」をより深く味わうことが出来たようです。

「芸術劇場」をとびだして初めてのリーディング・カフェ。太宰が戯曲『新ハムレット』を執筆した「三保園ホテル」で読むという特別な感情も相俟って、いつもとはひとあじ違ったリーディングになりました。

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