2013年5月30日

『黄金の馬車』ブログ(7)

5月25日(土)・26日(日)、シズオカ×カンヌウィークに『黄金の馬車』チームが登場しました!
*詳細はこちら

潮風が心地よい野外のステージで、『黄金の馬車』の劇中劇「古事記」の部分を中心とした作品を披露しました。
多数のご来場まことにありがとうございました!

当日の様子を動画でご覧ください♪

パフォーマンスの前に練り歩きを行う役者たち。
楽器のにぎやかな音が会場内に響き渡ります。SPACの新しいのぼりにも注目!
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続きは、劇場で!
6月1日(土)、いよいよ初日です!!
『黄金の馬車』詳細はこちら


2013年5月27日

<制作部よもやまブログ#39>「まるふ」演目紹介⑥『Hate Radio』

こんにちは、制作部の山川です。
みなさんには一度『脱線!スパニッシュ・フライ』の演目紹介のブログでご挨拶させていただいていますね。
贅沢にも私は2演目担当させていただいており、今回ご紹介させていただきたいのが、
演出家ミロ・ラウ率いるインターナショナル・インスティテュート・オブ・ポリティカル・マーダー(IIPM)の
Hate Radioです。

HateRadio_HAU2-15.5.12__MG_2243_DanielSeiffert(c)_32HateRadio_HAU2-15.5.12__MG_2233_DanielSeiffert(c)_27 photo: Daniel Seiffert

この作品はルワンダ大虐殺をテーマとしており、
惨事の一翼を担ったとされるラジオ局のスタジオを舞台にしているものです。
現在戦犯として収監されている実際のラジオ局関係者や専門家へのインタビュー、
現場検証等を徹底的に行ったこの舞台は、演劇でありながら歴史を再現するドキュメンタリーともなっており、
観客のみなさんはまさに舞台を通して「歴史の目撃者」となるのです。
この『Hate Radio』はヨーロッパの様々な劇場、ルワンダのキガリ・メモリアル・センターで上演、
世界各国で「議論」を巻き起こしています。
静岡での公演のあと、7月にはフランスのアヴィニョン演劇祭にも招聘されている作品です。

Hate-Radio2 photo: Daniel Seiffert

事件から20年近く経った今、舞台上で再現される当時の出来事。
あの日、ラジオ局では何が起こっていたのか。
あらためて虐殺の真相とメディアの在り方に一石を投じる本作品は、演劇祭最終週に上演されます。
舞台だからこそ再現される真実をあなたも観てみませんか?
貴重な来日公演、ぜひお見逃しなく!

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Hate Radio
日時:6月29日(土)・30日(日) 13時30分開演
会場:静岡芸術劇場

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………と、
山川さんが作品のことをしっかりと説明してくれたところで
同じく制作部で『Hate Radio』担当の中野三希子が引き継いで、もう少し紹介させていただきます。

ルワンダ虐殺、というと、映画『ホテル・ルワンダ』を思い起こす方も多いかもしれません。
映画の冒頭、カー・ラジオが流れていたのを覚えてらっしゃる方はいらっしゃるでしょうか。
まさにあのラジオ放送が、「Hate Radio」です。

特にここ最近はニュースで「ヘイト・スピーチ」という言葉が目立ちますが
ある人たちへの「ヘイト」(憎しみ)を煽る言葉を、
人気のラジオ局がひっきりなしに流していたら――。
虐殺が起きた当時のルワンダがそうなっていたのは、いったい何故だったのか。
ラジオが煽った「ヘイト」は、そもそも何故生まれたのか。
今回上演される『Hate Radio』は、ルワンダで起きた虐殺の背景を明らかにします。
そしてその「構造」は、ルワンダに限らず
世界のどこでも、この先いつでも、起きうるものだと思います。

HateRadio_HAU2-15.5.12__MG_2401_DanielSeiffert(c)_109 photo: Daniel Seiffert

正直なところ、私はこの作品の担当に決まるまで
ルワンダのこと、ルワンダで起きた虐殺のこと、当時の国際社会のことを
全くきちんと知らないままでした。
いまもまだまだ分からないことだらけではありますが、
この作品に触れ、色んな資料に当たるにつれて、
ルワンダのことはもちろん、関係のあるアフリカの他の国やヨーロッパの国々のこと、
1994年よりも前のこと、現在世界で起きていること、日本で起きていること、など
色々な事柄がどんどんつながっていき、
考えたいこと、知りたいこと、が際限なく広がっていきます。

SPACでは、「劇場は世界を見る窓である」という理念のもとに
一年を通して様々な作品を上演しています。
この「世界」という言葉には色んな意味が込められますが
たとえばここで、国際社会という意味での「世界」とするならば、
「窓」から見たひとつの作品が、
「世界」についてこんなに広く・真摯に考える引き金になった、というのは
私にとって初めてのことです。

ぜひ、たくさんの方々にご覧いただきたいです。
「窓」の外には、ものすごく大きな「世界」が待っています。

劇場でお待ちしております。
 
 
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※「ふじのくに⇔せかい演劇祭」での『Hate Radio』公演は、
6月に横浜で開催される「第5回アフリカ開発会議(TICAD Ⅴ)のパートナー事業に認定されています。


2013年5月26日

2013年度 SPAC県民劇団活動開始!

4月13日(日)のプレゼンテーションを経て、今年度は2つの県民劇団が結成されました!

松尾交子さん率いる「劇団静岡県史」と、近江木の実さん率いる「劇団MUSES」です。

「劇団静岡県史」は、9月13日(金)・14日(土)に『真実のおしん』(仮)(原案:丸山千鶴子 脚本:松尾交子)を、舞台芸術公園野外劇場「有度」で上演します。
(劇団静岡県史ブログはこちら

「劇団MUSES」は、2月に『赤鬼』(作:野田秀樹)を舞台芸術公園稽古場棟「BOXシアター」で上演します。

それぞれ個性あふれる劇団員が集まりました。
2つの県民劇団の活躍にご注目ください!


2013年5月25日

シズオカ×カンヌウィークにSPAC登場!

開催中のシズオカ×カンヌウィーク2013に、
本日SPACが出演いたしました。
日差しの強い中ご覧頂いたみなさま、ありがとうございました。

明日も、同じく清水マリンパークイベント広場野外大ステージにて、
ふじのくに⇄せかい演劇祭で上演する『黄金の馬車』をシズカンバージョンでお届けします。
明日は13:30からです。
海辺でのお食事や、マルシェでお買い物を楽しみながら、ぜひご覧ください。
会場でお待ちしています!

本日の様子

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『黄金の馬車』ブログ(6)

【お知らせ】
シズオカ×カンヌウィーク2013にSPACが出演します!!
演劇祭の開幕に先駆けて、海辺の野外ステージで『黄金の馬車』の特別バージョンを上演します。
当日は衣裳を着た役者たちによる練り歩きも予定しています。
お見逃しなく!!

5月25日(土)1)11:30~ 2)13:30~  
5月26日(日)13:30~
会場:清水マリンパークイベント広場 野外ステージ

☆詳細はこちら
☆昨年、『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』で出演した際の様子はこちら

【チケット情報】(5月24日現在)
6月8日(土)の公演は、おかげさまで満席になりました。ありがとうございます!
ほかのお日にちはまだ間に合います!チケットのご予約はお早めにお願いいたします。詳細はこちら

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初日も迫ってまいりましたので、ここで改めて作品を紹介します。

原案は、プロスペル・メリメ作の戯曲『サン・サクルマンの四輪馬車』(リーディング・カフェで読まれた方もいらっしゃるのではないでしょうか?)を下敷きに1952年にジャン・ルノワールが監督した映画『黄金の馬車』です。

映画では南米ペルーに、イタリアのコメディア・デラルテ(仮面劇)の旅一座がやってくるお話。
しかし、宮城聰演出・SPAC版『黄金の馬車』では・・・。



(※写真は、静岡芸術劇場での稽古風景)

着物に烏帽子・・・?
舞台は室町時代の日本なのです!
コメディア・デラルテは、劇中劇の古事記に!
古事記といえば、ふじのくに野外芸術フェスタ『古事記!! エピソード1』(演出:宮城聰)もお忘れなく。『黄金の馬車』と合わせてご覧いただくと、より一層お楽しみいただけるとおもいます!
古事記といっても難しくはなく、視覚的に楽しめる仕掛けがたくさんあります。

このブログを書いている間も、野外劇場「有度」からは、舞台を彩るパーカッションの生演奏が聞こえてきます。
日々の稽古の様子に関しては、出演俳優・石井萠水によるブログ「萌目線。」をご覧ください!

みなさまのご来場、心よりお待ち申し上げます。

まずは、明日・明後日、シズカンの会場でお会いいたしましょう!


2013年5月23日

<萌目線。vol.110>野外劇場より

Filed under: 萌目線。

みなさま、お久しぶりです!

SPACはまもなく開幕する演劇祭の準備に、各部署盛り上がっております!

我々『黄金の馬車』チームは、いよいよ会場である野外劇場に 入っての稽古が始まりました!
来て早々、雨に降られ。。
屋根の下に避難したり、やんだと思って再開したらまた降りだしたり。。の繰り返しでした。
そんな様子も、「今年もこの季節がやってきたか!」って感じる瞬間です。
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私がこの野外劇場に初めて立ったのは中学生のときで、地元の劇団の公演でした。
そのあと体験創作劇場や、SPACに入ったときの『ふたりの女』など。。
かれこれ有度の舞台に立つのは7度めです。
毎回、虫にびびったり、花火が上がって驚かされたり、霧の幻想的な瞬間を目にしたりと、
本当にそのときだけの貴重な作品の中を生きてきたなと思います。

今回も、今回こそ、今回は特に!
特別な野外劇場の空間をお楽しみいただける作品になっております!

みなさまぜひ!『黄金の馬車』を観にいらしてください!
お待ちしてます!

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<萌目線。>とは・・・ SPAC俳優石井萠水の目線で稽古場や舞台裏の様子をお届けしています。
GREEでもブログ更新中。


2013年5月21日

中学生が職場体験!『ポリシネルでござる!』チラシを作りました。

毎年この時期になると、中学生の皆さんが、SPACに職場体験をしに来てくださいます。
嬉しいことに年々、体験希望者人数および希望学校が増えつつあるSPACの職場体験。
演劇に興味がある生徒さんから、劇場にくるのがはじめてという生徒さんまでいろいろな方がSPACには来てくださいます。
この時期は私たちは「ふじのくに⇄せかい演劇祭2013」の準備で大忙しなわけですが、その中でも制作部のお仕事をメインに一緒に行っていただいております。

今期1グループ目の静岡市立服織中学校の皆さんには、
お仕事のひとつとして『ポリシネルでござる!』という「ふじのくに⇄せかい演劇祭2013」で上演される作品の映像を見てもらい、この作品を宣伝するチラシを作ってもらいました。

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彼らが試行錯誤を繰り返し、懸命に取り組んだ結果、
なかなか力強くて元気のあるチラシができました!!
このチラシは東静岡駅などで配っております。
皆様ぜひ彼らの力作をご覧ください。

職場体験ポリシネルチラシ


2013年5月20日

<制作部よもやまブログ#38>「まるふ」演目紹介⑤『母よ、父なる国に生きる母よ』

まるふ演目紹介⑤はポーランドからやってくる『母よ、父なる国に生きる母よ』の紹介です。
ワルシャワ演劇祭にて本作を観劇してきたSPAC文芸部の大岡淳より、ポーランドを訪れた感想なども交えてご紹介します!

*****

2012年3月、ワルシャワ演劇祭に招待され、様々な舞台作品を観せてもらい、
その中でも、観劇した瞬間に「これこそ静岡に呼びたい!」と確信したのが、
ヴロツワフ・ポーランド劇場『母よ、父なる国に生きる母よ』です。
なぜ私がこの舞台を招聘したいと考えたのかを、説明申し上げたいと思います。

ポーランドという国について、皆さんはどんなイメージを持っていますか?
私は、こんなふうにイメージしていました―――
ドイツとロシアという2大強国に挟まれ、たびたび蹂躙され翻弄されながらも、独自の言語と文化を守り続けてきた誇り高い国。子供の頃、テレビのニュースで、ポーランドにおける自主管理労組「連帯」の動向が、緊張感をもって報道されていたことを思い出します。共産圏に属しながら、共産党とは独立した労働運動が鬨の声をあげたことに世界中が注目しましたし、そのリーダーであるワレサ議長は、逞しい容貌も相まって、気骨あるポーランド民衆の象徴と見えていました。

また、政治的・社会的な面のみならず、文学や芸術に関しても、ポーランドは世界中の尊敬を集めていたと言えます。最も知られているのは作曲家のショパンでしょうけれども、20世紀に入ってからも、ヴィトカッツィシュルツゴンブロヴィッチといった前衛作家たちが登場しました。このうちブルーノ・シュルツは、ブラザーズ・クエイ監督の映画『ストリート・オブ・クロコダイル』の原作者として注目を集めました。それから、代表作『灰とダイヤモンド』で知られる、反骨の映画監督のアンジェイ・ワイダは、ご承知の通り、日本でも大変人気があります。また、私にとって印象深かったのは、美術家のマグダレーナ・アバカノヴィッチ。人間の背中を象ったオブジェをずらりと並べた彼女の立体作品は、単に強制収容所(思えばユダヤ民族の虐殺は、ナチス占領下のポーランドで起きたことでした)における人間性の破壊を表現するのみならず、およそ個性なるものを剥奪され「物」と化すほかない、現代人の有様を表現するものと思えました。

そして肝心の演劇についてですが、20世紀の演劇史を振り返る際に、最も無視できないのがポーランドだと言って過言ではありません。というのも、タデウシュ・カントール(1915-1990)とイェジー・グロトフスキ(1933-1999)というふたりの傑物を輩出したからです。第1次大戦後に、表現形式を問い直すアヴァンギャルド芸術が叢生したように、第2次大戦が終わり、戦後世代が成人を迎えた1960年代には、慣習化した表現方法を打破する、実験的な芸術家たちが世界中に出現しました。共産主義国となったポーランドで、果敢に自由な表現に挑み、攻撃的な実験精神を発揮したふたりは、60年代の世界の演劇人を先導する存在だったと言ってよいでしょう。

文化科学宮殿
文化科学宮殿。1955年に完成した、共産主義時代を象徴する建築。中には、劇場、博物館、カフェバー、オフィス等があります。劇場では日々演劇祭の演目が上演され、カフェバーには夜毎関係者が集い、深夜までライブ演奏を楽しんだりしていました。

グロトフスキの主著『実験演劇論』は、演劇が何よりも俳優の肉体の力によって、観る者の心をゆさぶる表現分野であることを知らしめ、自然主義的な心理表現を重視したスタニスラフスキーの『俳優修業』とは対極に位置する俳優訓練法として、世界中に影響を与えました。またカントールは、早稲田小劇場(現SCOT)を主宰する演出家・鈴木忠志(SPAC前芸術総監督)が、日本初の本格的国際演劇祭である「利賀フェスティバル’82――第1回世界演劇祭」を実施した際、ロバート・ウィルソン、メレディス・モンク、ジョン・フォックス、寺山修司、太田省吾らと並んで招聘され、代表作『死の教室』(ワイダが記録映画を撮ったことでも知られています)によって、日本の観客にも衝撃を与えました。「内面」を剥奪された抜け殻のような俳優たちの肉体の有様は、例えば、先述のアバカノヴィッチのインスタレーションにも一脈通じると解釈してみたくなります。

かくして、他のジャンルの芸術家たち以上に、カントールとグロトフスキというふたりの傑物に畏敬の念を抱いていた私は、昨年3月、初めて憧れのポーランドを訪れることとなった次第です。

ワルシャワ演劇祭は、過去1年の間に、ワルシャワの内外を問わず、ポーランド国内で話題となった演劇公演を結集させるものでした。「ポーランド演劇の現在」と題したレポートを執筆しましたので、個々の公演について興味のある方は私のウェブサイトを御一読下さい。

10日間ほどの滞在で、昼は子供向け、夜は大人向けの芝居を毎日観て回り、また市街を散策して、気がついたことが三つあります。
第一に、当たり前のことかもしれませんが、ポーランド人にとって演劇は文学と並んで、民族固有の言語と文化を守るために重要な役割を果たしているのだろうということです。訪問以前から私が感じていた、大国の狭間で独立を守る心意気は、ただの先入観にとどまるものではなかった、と確信しました。

Guliwer劇場
Guliwer劇場。子供向けのレパートリーを上演している劇場なので、かわいい外観です。ワルシャワ市街には、このような子供向け劇場がいくつも存在していました。

第二に、ポーランドの舞台には、生演奏と歌がつきものであるということに気づきました。この国では、ストレート・プレイと、音楽劇やミュージカルとの間に、線を引くことはできないんじゃないか。そのくらい、いずれも、演劇と音楽が有機的に結びついていました。いや演劇だけではありません。ショパンの彫像のあるワジェンキ公園を散歩していたとき、あの「連帯」のデモ隊に遭遇しましたが、遠くから見る限り大変賑やかに楽器が鳴り響いており、お祭りのパレードかと勘違いしたくらいでした。そもそもポーランド人は、音楽好きなのかもしれません。

第三に、既に欧米の資本が数多く進出し、ワルシャワは国際都市へと発展しつつあるようでした。様々な芝居の中で、スターバックスやマクドナルドのような多国籍企業が、皮肉混じりに言及されていました。実際街中では、売店であれレストランであれ、どこでも普通に英語が通じました。これは、かつてのワルシャワを知る方々からすれば、驚くべき変化だそうです。英語で外国人とコミュニケートすることができなければ、顧客を奪われてしまう競争状態に、ワルシャワも突入しているということです。

今回私たちSPACが招聘する『母よ、父なる国に生きる母よ』は、以上のようなポーランド現代演劇の諸特徴を、バランスよく兼ね備えた傑作です。第一に、ポーランド民衆が背負った現代史に深く立脚した台詞劇であり、第二に、女優陣が歌いあげる美しく力強いハーモニーに心打たれる、豊かな民族性をたたえた音楽劇であり、第三に、変容しつつある今日のポーランド社会において、女たちがどのような生を強いられているかを、母娘のドラマに託し、時にユーモラスに時にシリアスに表現する、まさしく現在形の演劇作品です。演出のヤン・クラタ(1973-)は、ヨーロッパで高く評価されているそうですが、それも頷けました。ちなみに、ポーランドから規模の大きな芝居が日本にやってくるのは、1990年に来日したアンジェイ・ワイダ演出『ハムレット』以来だそうです。

演劇研究所
ワルシャワ演劇祭の中心的な役割を果たしていた、演劇研究所。カフェや小劇場があり、演劇祭の会場にもなっていました。

ワルシャワ演劇祭の全体を1年ぶりに想起して改めて痛感するのは、当然と言えば当然のことながら、共産主義体制下で格闘したカントールもグロトフスキも、私の期待とは裏腹に、残念ながらもはや過去の人であるということです。彼らが追求した、身体表現としての演劇の可能性は、既に前提として共有されていると言ってもいいのかもしれません。そして、共産主義時代を総括する暇もないうちに、ポーランドの人々は、欧米の金融資本主義に蹂躙され、弱肉強食の中で生き残る努力を強いられるグローバリゼーションに直面することになり、演劇人たちも、現在の状況に対応した表現方法を模索することを強いられているようでした。社会状況に注目すれば、日本とも多分に重なるところがありますが、昨今の日本の小劇場演劇が、そのような状況には背を向けて、日常における極小の人間関係を描くことに終始しているのと異なり、ポーランドの現代演劇は、社会を捉え時代を捉え世界を捉えようとする骨太なドラマツルギーを手放さず、創意工夫を重ねていました。その中でも、とりわけ感動的だった『母よ、父なる国に生きる母よ』が、静岡にやってきます。どうぞお見逃しなく!

大岡淳(おおおか じゅん)
1970年兵庫県生まれ。演出家・劇作家・批評家。
SPAC文芸部スタッフ、ふじのくに芸術祭企画委員、はままつ演劇・人形劇フェスティバルコーディネーター、静岡文化芸術大学非常勤講師。

トークイベント「ウォッカを片手にポーランド演劇を語る」を開催!
5/27(月)19:00~ポーランド料理店 Smacznego(スマッチネゴ)にてポーランド演劇の歴史と魅力を映像とともにお伝えするトークイベントを開催します。
ポーランドで人気のウォッカやお料理もあわせてお楽しみください!
トーク:大岡淳
詳細はコチラ


『室内』パリ稽古・レポート(4)

4月27日(土)

パリでの稽古、あっと言う間に時間が経ってゆきまして、残った時間も僅かとなりました。
稽古は、日々粛々と順調に進んでおります。

レジさんは、
「イメージを創って下さい」
「映像を見せて下さい」
と毎日数えきれないほどおっしゃいます。
パリでしか得られないイメージの源を探したくて、この3週間私は色々な美術館に通いました。
様々な歴史を持つ先人の作品たちにヒントを貰い、日本に帰ったら読みたい本や観たい映像もどんどん増えています。
好き嫌いを超えて、優れたものはなんとなくですがほんの少しずつ共通項を持っているように思います。ぽろぽろと、連想ゲームのようで愉しんでいます。

アンヴァリッド

写真は先日稽古前に訪れたロダン美術館のお庭から見えたアンヴァリッド。ナポレオンが眠っています。
ルイ14世が建てた廃兵院に皇帝ナポレオンが眠り、この建築を背にロダンの『考える人』が佇んでいました。

パリには新しいイメージの文脈を本当にたくさん貰っています。

ひとつ心残りだったのは、ロダン美術館の彫刻は触れてもいいのだとあとになって知ったことです…

最後にレジさんからの言葉!
「沈黙に恋して下さい。」

稽古場レポート4回目は伊比井香織がお送りしました。


2013年5月18日

<制作部よもやまブログ#37>「まるふ」演目紹介④『Waiting for Something(サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』より)』

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2013」第3週目に登場する、
『Waiting for Something(サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』より)』
を今回はご紹介します。

アジアの各都市から若手のアーティストが集まって共同製作を行う「アジア舞台芸術祭」で3年の月日をかけて創られたこの作品は、本演劇祭用に今回あらたに再構成され、50分に凝縮した形で上演されます。

国際共同コラボレーションの本作は、
日本語・韓国語・英語の3ヶ国語上演、字幕も3ヶ国語が表示されます。
出演は、韓国からは、ソウル市劇団の看板女優チェ・ナラさん、昨年の演劇祭で韓国の伝統楽器コムンゴによる素晴らしい演奏を披露してくれたキム・ソンヒョさん、日本からは「中野成樹+フランケンズ」の村上聡一さんと石橋志保さんが出演。

サミュエル・ベケットの名作『ゴドーを待ちながら』を題材としたこの作品、一体どんな舞台なのか? 作・演出の中野成樹さんからメッセージをいただきました。
「とかく我々は、諸々を把握したがってしまいます。とある何かを、わかって、整理して、本棚に納めたがってしまいます。もちろん、それはそれで素晴らしいことだと思います。不安を取り除いて、すっきりした気分でいられます。けれども、僕らの日々は、それでもわからないことだらけで、わからないままに進んでいったりもしています。それは愚かなことなのでしょうか? 努力を怠っているだけなのでしょうか? 不安とうまく付き合いながら、むしろ不安を楽しみながら暮らしていけたら、もしかすると僕らの毎日はピカピカに輝くのでは? 静かで穏やかな心持ちを目指し、こんな作品を創ってみました。流されることが逃げではなく、えらくカッコイイことになればいいなと思って。日々のもやもやがたまらないみなさまに、是非、観ていただきたいと思います。」

この週末は、全ての劇場でバラエティーに富んだ公演が行われます。舞台と客席が一体となった小空間「BOXシアター」で上演される“中野ワールド”、ぜひ他の演目とも合わせてお楽しみ下さい!

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写真:Yusuke AOKI


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