2013年12月29日

真夜2014【2】 ピタリが大事です!

『真夏の夜の夢』の稽古は今日が稽古納め、
リハーサル室での稽古も今日が最後です。

今日はリハーサル室でのこれまでの稽古から、
数枚パシャリ。

相思相愛のときたまごちゃんとライさん

デミさんに冷たくされてもめげないそぼろちゃん

妖精の女王タイテーニアとハナキンの出入り業者

パックと森の妖精たち

なんかどれもこれも、
撮影のためにポーズを決めてもらったかのようですが、
どれも俳優による生演奏とあわせて稽古している最中の様子です。

『真夏の夜の夢』は宮城聰演出×棚川寛子音楽×SPAC俳優出演で、
この組み合わせによるSPAC作品は、これまでにもいくつもあります。

それらのどの作品でも、
芝居と俳優による生演奏は、
お互いの間合いがぴたっと寸分違わずに
一体となって展開していきます。
それがまた、なんともたまらないというお客様も少なくありません。

稽古場では連日夜遅くまで、棚川さんの主導のもと、
この絶妙な関係の調整作業が続いています。

棚川さんの舞台音楽創作の様子が気になる方は
是非こちらもチェックしてみてくださいね。↓
『夜叉ヶ池』舞台音楽 棚川寛子さんインタビュー

それでは皆様良いお年を。


2013年12月28日

真夜2014【1】 年明け1月いよいよ再演です!

太陽が昇っては沈み、お月様も昇っては沈み…
早いもので、もう年の瀬ですね。

『忠臣蔵』の静岡公演、宮崎公演も終わり、
今年ももう仕事納めかと思いきや、
劇場の中では年明けの公演や事業に向けて
稽古や作業が着々と進められています。

来年2014年のSPACは、宮城聰演出『真夏の夜の夢』
皆様をお迎えいたします。

2011年「ふじのくに⇄せかい演劇祭」のオープニングを飾り、
チケットはソールドアウト。
早くもSPACの幻の名作などともいわれた作品の待望の再演です。

出演者総勢24名が舞台上を駈け、飛び回り、
打楽器の生演奏で繰り広げられる、
てんやわんやの祝祭音楽劇は、
タイトルこそ『真夏の夜の夢』ですが、
新春を飾るにぴったりの作品です。

シェイクスピア原作、小田島雄志さんの翻訳を元に、
劇作家野田秀樹さんが潤色し、
それをSPAC芸術総監督・宮城聰が演出したという…
それぞれの旨味が絶妙にブレンドされて、
何とも一口では語り尽くせぬ魅力たっぷりの作品です。

これからその魅力を、稽古や舞台裏の様子などとあわせて、
少しずつ紹介していきます。
どうぞお楽しみに。

『真夏の夜の夢』ブログ初回の最後に、写真を一枚。

おかえりなさい

3ヶ月に渡る『ロミオとジュリエット』スイス・フランスツアーを終えて
戻って来たばかり俳優と、
『真夏の夜の夢』出演者・スタッフの再会を記念して、パシャリ。

『真夏の夜の夢』は1月18日(土)が、一般公演初日です。
公演の詳細はこちらをご覧ください。


2013年12月27日

『ロミオとジュリエット』ヨーロッパ・ツアーその15(制作・佐伯風土編)

『ロミオとジュリエット』制作担当の佐伯です。
2012年に静岡で製作・初演された本作。
2013年、ヨーロッパ・ツアーもついに終盤!
ということで、今回は現地に合流してのレポートです。

静岡からパリ経由でジュネーブ着。
出発から実に25時間・・・。
シーンと静まり返った22時の住宅街を、本当に劇場があるの??と疑念にかられながらも
教えられた地区に向かってスーツケースをごろごろ引っ張り、彷徨う。
息が白い。

心細くなった頃。
テアトロ・マランドロの本拠地の劇場、「シテ・ブルー」は大学の中にある、と聞いていたとおり、目の前に大学が!
そして誰かいる!
話しかけると、なんとマランドロ作品の『春のめざめ』(「ふじのくに⇄せかい演劇祭2012」上演)で来日していた、衣裳のマルチャさん!
久々の再会、そして中に案内されると、3ヶ月前に成田空港で見送った懐かしい顔のみなさんとついに会えました。

ちょうど夜公演の終演直後だったようで、出演者・スタッフとお客さんがワイワイやっているタイミングでした。
マランドロの人もSPACの人も会う人会う人懐かしすぎて、ハグの嵐。
もちろん、ここの主、オマール・ポラスも。
ギュギュ~~っと。

ロビーに飾られていたのが、これ。
あれ、美加理さん・・・?

ロビーにはカウンターがあって、日本食を出していました。
気が利いてるなぁ、と思いきや、見知った顔のシェフ、いや、音響スタッフが。
「ごはんですよ」をアレンジした岩のり、その名も「エマニュエルですよ」を作ってしまうほどの和食の腕前を持つ、マランドロのマニュ。

恐るべし、そのクオリティーの高さ。
メニューがこれ。柿なますって・・・。

さて、公演日の様子を紹介します。
SPAC俳優といえば、日々スズキ・トレーニング・メソッドで鍛錬を積んでいます。

こちらは、静岡公演から出演しているピエール=イブ。すっかり身体に溶けこんでいます。

俳優だけでなく、マランドロのスタッフさんたちも毎日参加しています!

低い重心の感覚をつかむのは日本人でもなかなか難しいですが、3ヶ月繰り返してきた積み重ねの成果がしっかり出ていました。
SPAC俳優から通訳さんを介しながら、型だけでなく、その意味するところを熱心に伝えてきたそうで、真剣な眼差しはSPAC俳優のそれと遜色ないほど。舞台上からの研ぎ澄まされた感覚の集合体に圧倒されそうでした。

トレーニングも「体験」で終わらずに追求し続ける。
ともに仕事をする人たちの異文化を我が身をもって吸収しようとするマランドロのスタッフさんたちの熱意。
尊敬の念を様々な場面で感じました。

ジュネーブでの公演は一般公演の他に、昼間に中高生の鑑賞公演も行われていました。
『ロミオとジュリエット』の話は知っていても、和風テイストを取り込んだオマール・ポラスの『ロミオとジュリエット』は衝撃的だったようです。

こちらは劇場ロビー。

夜の一般公演。
ジュネーブで、日本の小物雑貨のお店を開いているマダム。
ロビーで出店していると、「あらかわいい」とすぐに人だかり。
芝居を通じて、ジュネーブの人々に日本文化に興味を持っていただける機会にもなっているようです。

受付。
この巻物が実はチケット!
値段別になっていて、ここからもぎって渡します。

そして今回のツアーで一番の話題をさらったのがこれ!
ジュネーブ公演のポスターは、ロミオでもジュリエットでもなく
なんと乳母がメインビジュアル!
演じている武石本人もビックリでしたが、マランドロの狙いとしては、新しい『ロミオとジュリエット』像を打ち出せる、とのこと。。。

偶然ですが、ガラスに反射した夜の街灯を見つめる乳母。飲まれそう。

この日は終演後、「マランドロ・友の会」の会員さんを対象としたパーティーがありました。
観劇をした後に、会長自ら料理の腕を振るって会員をもてなす、という企画。
ちょうど次のシーズンの入会キャンペーン中だったようです。
会員同士の横のつながりもでき、劇場に来るのがより楽しくなりますね♪

会員が劇場を支えている。これはどこも同じなんですね。
あ、SPACの会も来年度の会員募集中です!詳しくはこちら

ロビーには懐かしい顔が、もう一人。

SPACとテアトロ・マランドロが初めて一緒に共同製作をしたのが
2009年の『ドン・ファン』という作品でした。
ジュネーブからやってきた俳優・スタッフが一夏を日本平の舞台芸術公園で
SPACの俳優・スタッフとともに過ごしながら、稽古をして舞台装置を一緒に作っていきました。
その経験が、『ロミオとジュリエット』にも間違いなくつながっています。

当時、静岡に来ていた舞台美術家のジャン・マルク。
御年70歳。
彼の顔を見た途端、タイムスリップしたような錯覚が起こり、最初は本当に幻かと思い、泣きそうになりました。
自分の中で、『ドン・ファン』の経験がよっぽどSPACでの原体験になっていたのだと再認識。
あれ以来、彼は静岡には来ていませんが、SPACでいまなお愛され続けているアーティストの一人です。

ヨーロッパツアーを経て、作品はまた一段と大きなものとなったように感じました。
3ヶ月間、約50ステージをスイス・フランスの各都市で巡演してきた俳優・スタッフの皆さん。
SPACとマランドロの間に、またひとつ、大きな絆が生まれました。

誰か一人ではできない、一日でもできない。
色んな人が、何年にもかけて紡いできた「糸」。

おまけ。
帰りのトラムを待つ間、リコーダーを教えあう、俳優の渡辺敬彦さんと、衣裳のマルチャさん。
ツアーと言っても、人と人がつながって、お互いの持ってるものを出し合って、作品が出来ていく。
芝居の基本はいつでもどこでも同じ。

そんな一枚。

佐伯 風土(2013.12.14 ジュネーブ)


<制作部よもやまブログ#64>本年もありがとうございました!

制作部よもやまブログ、今回は中野三希子がお届けします。
何の気なしに書き始めてみたところで
これが2013年最後のよもやまブログであることに気付きました。
いつのまにか今年も本当に残り僅か。時が経つのが恐ろしく早いです…。
今日が仕事納めという方もいらっしゃるかと思いますが
SPACチケットセンターは明日28日(土)まで営業しております!
真夏の夜の夢』のチケットを買いそびれていた…という方、ぜひお電話ください^^

今月上演していた『忠臣蔵』は、先日23日が静岡公演の千秋楽でした。
chushingura
この作品に、そしてSPAC秋のシーズン2013全演目に、ひいては2013年の一年の間、
たくさんのご来場をいただきありがとうございました!!

私はほとんどの公演で受付でお客様のお迎えとお見送りをしていましたが
どの公演でも皆さん、お帰りになるときの笑顔がひときわ素敵なのです。
2013年、劇場でのひとときを楽しんでいただけたならば幸いです。

静岡公演を終えた『忠臣蔵』チームはその後宮崎に向かい、
昨日12月26日のメディキット県民文化センター〔宮崎県立芸術劇場〕での公演
大千秋楽を迎えました。宮崎でも温かく迎えていただけたようです!
(福岡出身のわたくし、この公演に付いて行って
九州のお客様にお会いしたいのはやまやまながら、静岡で留守番しておりました…)
出演者たちとスタッフたちは、ちょうどいま静岡への帰路についているところかと。

そしてそして、そんな『忠臣蔵』静岡公演千秋楽の23日の夜には、
9月から長いツアー公演に出ていた『ロミオとジュリエット』の出演者たちが帰国、
無事に静岡に戻ってまいりました!

okaeri!

帰国メンバーの乗った成田空港からのバスが芸術劇場前に到着するやいなや、
バスに向かってダッシュする制作スタッフ!
『忠臣蔵』後の舞台バラシ作業を中断して同じく走る、技術スタッフ!
そして『真夏の夜の夢』の稽古がちょうど終了した俳優たちもお迎えに合流!

歓声、拍手、あつーい抱擁、そして再び歓声と拍手と……。
SPACのメンバーにとっては、少し早いクリスマスプレゼントのような
待ち望んだ再会のひとときでした。

※『ロミオとジュリエット』俳優によるツアーブログはこちら

年明けの『真夏の夜の夢』には、
『忠臣蔵』『ロミオとジュリエット』の出演者もたくさん登場します!
帰国した『ロミジュリ』の俳優も、もう稽古に合流しているのです。

ひとつの作品を終えて、またすぐに次の作品へ。
私自身は宮崎にもスイスにもフランスにも行ってはいないわけですが、
新たなものに出会いつづける日々、
なんだかずっと旅をしているような気持ちです。

皆さん、年の瀬にはぜひ、今年ご覧くださった舞台を振り返ってみてください。
今年劇場で体験なさった「旅」を、ゆっくり思い出していただければと思います。

真冬なのに『真夏の夜の夢』ではじまる2014年も、
さらにたくさんの方々に劇場でお会いできますように!

それでは皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

制作部
中野三希子


2013年12月25日

『忠臣蔵』宮崎公演へ!

先日23日に『忠臣蔵』静岡公演は無事幕を閉じました。
多くのお客様に拍手をいただきました。ご来場してくださった方、
応援してくださった方、本当にありがとうございました。

本日、「忠臣蔵」の俳優・スタッフ一同は静岡を離れ、宮崎へと向かいます。
この『忠臣蔵』を宮崎県立芸術劇場で上演するためです。
宮崎のお客様たちがどんな反応をするのか、今からとても楽しみです。

『忠臣蔵』宮崎公演へ!

【宮崎公演】
12月26日(木) 19:30開演
メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホール
※公演詳細についてはこちら
主催・お問い合わせ:公益財団法人宮崎県立芸術劇場 TEL:0985-28-3208


2013年12月22日

【映像】『忠臣蔵』アーティスト・トーク ゲスト:宮沢章夫氏 2013年12月21日

SPAC秋のシーズン2013『忠臣蔵』のアーティスト・トーク映像をアップ。
12月21日(土)は、ゲストに宮沢章夫さん(劇作家・演出家)を迎え、
宮城聰、司会:横山義志の3名で行いました。

どうぞご覧ください!


2013年12月18日

【映像】『忠臣蔵』アーティスト・トーク ゲスト:山崎ナオコーラ氏 2013年12月14日

SPAC秋のシーズン2013『忠臣蔵』のアーティスト・トーク映像をアップ。
12月14日(土)は、ゲストに山崎ナオコーラさん(小説家)を迎え、
宮城聰、司会:大岡淳の3名で行いました。

どうぞご覧ください!


2013年12月16日

『忠臣蔵』一般公演も大盛況!

Filed under: 『忠臣蔵』2013

12月14日、赤穂浪士がまさに吉良邸へ討ち入りした日・・・
SPAC『忠臣蔵』一般公演が初日を迎えました。

一般公演でもたくさんのお客様にご来場いただき、
ほぼ満席の場内では上演中、クスクス笑いや大笑いなど、笑い声が絶えず、盛り上がりました。

SPACでは作品の観劇だけではなく、終演後の「お楽しみ♪」も用意しております。

まずは、終演後に出演俳優と交流できる「カフェ・シンデレラで逢いましょう」を毎公演開催中。

俳優と一緒に写真を撮ったり、劇の感想をはなしたりすることができます。

大学生の方がお友達同士で観に来てくださいました!

わざわざ静岡県外から足を運んでくださったお客様。

留学生の方も花魁さんに興味津々。

ご近所の居酒屋「暖家」(毎度お世話になっています!)の皆さまと一緒に。

そして、同時にトークゲストをお招きしてのアーティスト・トークもございます。
12月14日はゲストの山崎ナオコーラさんと、『忠臣蔵』の演出をつとめたSPAC芸術総監督宮城聰によるトークを開催しました。

来週の公演も下記の通り終演後にアーティストトークを行いますのでお楽しみください。
12月21日(土) トークゲスト:宮沢章夫氏(劇作家・演出家) 
12月23日(月・祝) トークゲスト:しりあがり寿氏(漫画家)

そして、バックステージツアーも開催しております。
SPACの舞台監督の山田をはじめSPACのテクニカルスタッフが、『忠臣蔵』の舞台裏をご紹介いたします。

舞台上に上がって、舞台セットを間近で見学。シンプルな舞台ですが、細かい仕掛けや工夫があるのです。

バックステージツアーに参加してくれた高校演劇部の皆さん。
『忠臣蔵』の作者である平田オリザさんともお話しできて嬉しそうでした。

最後に
アンケートでいただいたお客様の声を少しだけご紹介いたします!

・会議がおもしろかった。討ち入りの前までの劇だとは知らなかったし、イメージととても違っていてびっくりしましたが、息の合った演技がすごかったです。

・あっという間の1時間でした。こんなに面白く、かつ、ぞっとする舞台をみることができてとてもしあわせです。

・忠臣蔵というと重たく暗いイメージがありましたが、まったく違った快さ、ギャップがおもしろかったです。

・いつもいつも予想を裏切りますネ!ニヤニヤしてしまいました。楽しい時間でした。

・おもしろかったです。笑えた。肩の力が入っていなくてある意味、新鮮。

・世の中の縮図のようで面白かった。

・俳優さん達の身体能力の高さ、セリフの生き生きしたところがとてもよかった。

・公演後にファンとの交流の時間があるのがとても良いと思います。また機会があれば観に来ます。

『忠臣蔵』は12月23日(月・祝)まで静岡芸術劇場で上演します!
お見逃しなく!
詳細はこちら


2013年12月14日

『忠臣蔵』演出補・中野真希ロングインタビュー

中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」 パンフレット連動企画◆

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙のインタビューのロングバージョンを連動企画として、ブログに掲載します。

演出補:中野真希(なかのまさき)
東京都出身。2006年よりSPAC在籍。SPACでは俳優のほか、演出や技術スタッフの仕事もこなす。
中野真希

——「演出補」の仕事とは、どのようなものですか。
中野真希(以下中野):演出家が稽古に来られない時に、俳優の台詞や動きなどをチェックしたり、稽古に参加できない俳優がいる時には、かわりに台詞を言ったりしています。海外ツアーなどで演出家が同行できない公演では、演出家のかわりに俳優をとりまとめ、舞台スタッフとの間の調整をします。

——中野さんはSPACの中で、様々な仕事をしていますが、演出補以外の仕事についても、教えてください。
中野:まずひとつは、俳優。それから、人材育成事業で小学生から高校生に演劇を教えています。また、照明や、舞台裏で装置を動かしたり、小道具を俳優に渡したりするハンズという裏方の仕事をすることもあります。

——そもそも、演劇に関わり出したきっかけはなんですか。
中野:高校生のころ、周りの人にはバンドやスポーツといった打ち込めるものがあって、うらやましく思っていました。自分にもそういうものが何か欲しいと思っていた時に、友達と通っていた喫茶店の渋いマスターから、今度自分が出る芝居を見にこないかと誘われたんです。そのマスターは後から知ったんですが、木場勝己(きばかつみ)さんという、今でも活躍する俳優さんだったんです。それで見にいった『あの大鴉、さえも』(竹内銃一郎作)という舞台がすごく面白くて、これだと思いました。大学に入学して演劇部に入りました。そのころは、竹内銃一郎さん、北村想さん、別役実さんといった劇作家の作品をやっていました。大学には、勉強をしに行くというよりも、芝居をしに行くというような感じでした。だから、卒業したら普通に就職するのもおかしいだろうと思い、そのまま芝居を続けることにしました。

——大学を卒業してからも演劇を続けるのは、大変なことではないですか。
中野:そうですね。当時はアルバイトをしたり、親に経済的に支えてもらったりしながら、芝居を続けていました。大学の演劇部の公演を見にきてくれた小劇場系の劇団の人たちから誘われて、いろんな舞台に出演している内に、だんだんと活動の幅がひろがっていきました。そんな中、今のSPAC芸術総監督・宮城さんに声をかけてもらい、劇団「ク・ナウカ」に第2回公演から参加することになりました。SPACには、2006年から所属しています。
 これまでに、「もう芝居をやめよう」と思うことは何度もありましたが、その都度こうした不思議な出会いがあって、やめずに今に至っています。20代の半ばには、大きな病気をしたんですが、今も演劇を続けていられるのには、その経験もあるのかもしれません。病気になった時、人間いつ死ぬか分かんないんだから、やっぱり好きなことをやろうと開き直れて、それまでの「力み」みたいなものも、すうっと取れたんです。

——俳優以外の仕事はいつごろから始められたんですか。
中野:演出に関しては、ク・ナウカの新人公演や小さい公演でやらせてもらっていました。昔から、よく年下の俳優にもいろいろアドバイスのようなことをしていたので、きっとそういうのを見て任されたんだと思います。スタッフの仕事については、小劇場系の劇団だと俳優が裏方仕事も兼任するのが常なので、照明とかは昔から好きでやっていました。スタッフの仕事をすることで、舞台で俳優をやっているだけでは気づけないことにも、目が向けられるようになりました。

——SPACでいろいろな仕事をしている中で、一番好きな仕事は何ですか。
中野:やはり俳優をやっている時や、演出をしたりと、直接人を相手にしている時間が一番好きですね。今は、人材育成事業で小学生から高校生という若い世代に演劇を教え、演出するのが、一番面白いです。SPACに来るまでは、こんなに若い世代と接することはなかったので、自分には向いていないんじゃないかと思っていたのですが、やってみると意外と楽しかったです。

——毎年夏に行なわれる演劇教室「シアタースクール」ですね。いつから関わっているんですか。
中野:宮城さんが芸術総監督になった2007年の立ち上げから関わってきました。その年は、『オズの魔法つかい』を稽古して、最後に発表会をしました。SPACで新たに一から始める企画ということに加え、参加者が60人もいたので大変でした。当時は、毎日稽古が終わった後に、スタッフで集まって反省会をやって、どう進めていったらいいのかを話し合っていました。小学校高学年から高校生という繊細な年頃の大人数で、ひとつの舞台を作っていくので、スタッフは芝居以外のところでも細かな気を配っていく必要があります。こちらが望んでいることが、すぐに成果として出る参加者もいれば、それが出るのに時間がかかる参加者もいます。時には、それまですごく大人しかった参加者が、稽古を通して元気になりすぎてしまうことも。そんな中で発表会に向けて全員をまとめていくのは、決して簡単ではありません。その大変さは今でもかわりませんが、参加者の日々の変化をつぶさに見られるのは面白くて、とても充実したやりがいのある仕事です。

——2007年にスタートというと、今年はもう7回目ということになりますね。
中野:はい。こうやって毎年続けていると、1回だけではなくて、2回、3回と参加してくれる人も出てきます。そうすると、2度目や3度目の参加者が、初めての参加者のお手本になるんです。だから、最近は立ち上げ当時よりも作品が早く仕上がるようになってきていますね。経験や技術が参加者の中に蓄積されていって、前の年よりも全体として少しハードルを挙げていくことができるんです。シアタースクールへの参加を通して、将来俳優になりたいと思い演劇を続ける人も出てきました。初期の参加者が、あと数年で学生を終えます。自分の教え子とSPACで一緒に仕事をする時が来るかもしれないと思うと、今からとても楽しみです。

——演劇に関わっている中で、心がけていることはありますか。
中野:客観的に人をよく観察し、日々なるべく新鮮な気持ちで人と接することです。長い間一緒に仕事をして、お互いを分かった気になると、集団はだめになります。お互いが昨日とは違うんだ、この人はいつまでたっても何を考えているのか分からない他人なんだということを忘れずにいたいです。演劇をする上で、この距離感が大事だと思います。

——最後に、SPAC版『忠臣蔵』の魅力を教えてください。
中野:まず戯曲が面白いですね。劇作家の平田オリザさんは、赤穂事件の当時、主君の切腹を知らされた家臣たちは、城の中でこんなことを話していたんじゃないかという様子を、現代語で面白おかしく描いています。会話がよく計算されていて、実際に読んでみると、うそがないというか、こんなこと普通は言わないよなという台詞はないんです。社会や人をすごくよく観察して書かれていると思います。そこに宮城さんの様式的な演出が入ります。みんな正面を向いて、直接相手をみないでしゃべるとか…。その辺りは、舞台を観てのお楽しみということで、劇場でお待ちしています。
(2013年11月6日静岡芸術劇場にて)

鑑賞事業パンフレットは、一般公演でも物販コーナーにて販売しています。
『忠臣蔵』鑑賞事業パンフレット表紙


2013年12月12日

『忠臣蔵』 SPACeSHIPげきとも!初日

一昨日、『忠臣蔵』が中高生鑑賞事業公演「SPACeSHIPげきとも!」の初日を迎えました。

上演中に高校生のみなさんが笑ったり、驚いたり、など反応をしてくださり、とても嬉しい初日公演を終えることができました。

鑑賞事業公演では、毎回終演後に俳優が登場し中高生にメッセージを伝えます。
そして、『忠臣蔵』では技術スタッフのみなさんも登場し、舞台の裏側を特別にお見せしています。
などなど鑑賞事業公演だけの特典が満載です。
鑑賞事業公演は一般の方もご観劇いただけますので、土日は忙しいという方、ぜひ平日の鑑賞事業公演にお越しください!

さらに中学生・高校生の皆さんには、観劇をさらに楽しんでもらうためにパンフレットをお配りしています。

『忠臣蔵』を楽しむためのヒントや、赤穂事件についての解説など盛りだくさんの内容。
一般公演日は200円で販売していますので、ぜひぜひご覧ください。

初日は迎えても、さらに作品を良くするために、まだまだ探究と稽古は続く『忠臣蔵』。

一般公演初日もまもなくです。
なお今週末14日、15日は残りのお席がわずかとなっています。
ご予約はお早目に!

『忠臣蔵』公演:12月10日(火)~23日(月・祝)
詳細はこちら


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