2014年3月30日

まるふリレーブログ《9》 『ピーターブルックのマハーバーラタ』と『アヴイニョン演劇祭の60年〜世界最大の演劇祭はこうして生まれた』

こんにちは。制作部の平田大です。

まるふリレーブログも9回目となりました。
今回は、2つの映画作品
『ピーターブルックのマハーバーラタ』

『アヴイニョン演劇祭の60年〜世界最大の演劇祭はこうして生まれた』
をご紹介します。

公式ガイドブック 44・45ページ

『ピーターブルックのマハーバーラタ』は、タイトルの通りピーター・ブルックが監督を務めた89年製作の映画。
第7弾のリレーブログでも言及されましたが、ピーター・ブルックは1985年に、アヴィニョン演劇祭で『マハーバーラタ』を初演。なんと上演時間は9時間にも及び、世界的な反響を巻き起こしました。そして今や伝説となっている作品です。
それから4年後に映画化された本作品。上映時間は短縮されているものの、約3時間に及びます。今回の上映では、途中で10分間の休憩を挟みますのでご安心を。

さて、この『マハーバーラタ』。名前は聞いたことある方も多いと思うのですが、ストーリーをご存知でしょうか?
もともと同じ一族(バーラタ族)であるパンダバ家とカウラバ家の間で起こった争いの物語で、戦いの中心となるのはパンダバ家の5人の王子と、カウラバ家100人の兄弟たち。彼らの母や父である王、妻や従兄弟や教師などの登場人物が複雑に関係し、ストーリーが展開していきます。それぞれの運命のもとに生まれ落ちた全ての登場人物が繰り広げる愛や憎しみ、やがて訪れる彼らの死。
本当に壮大な物語ですが、同時に単なるインドの昔話ではなく、皆さんにとっても身近なテーマがふんだんに織り込まれています。

トレーラーもぜひご覧ください。

上映後には、出演者の一人であるミリアム・ゴルトシュミット氏と宮城聰(SPAC芸術総監督)によるアーティスト・トークも見逃せません!

そして、最後に重大なお知らせ。
この演目、なんと無料(要予約)です!もう観ないわけにはいきませんね(笑)
 
 
続いて『アヴィニョン演劇祭の60年〜世界最大の演劇祭はこうして生まれた』をご紹介します。
この映画はドキュメンタリー映画で、1979年から84年、93年から2003年の二度にわたって演劇祭の芸術監督を務めたベルナール・フェーヴル=ダルシエ氏が脚本に携わった映画作品です。アヴィニョン演劇祭の60周年を記念し2006年に製作されました。
創設者であるジャン・ヴィラール氏の映像をはじめ、物議を醸した数々の上演作品が紹介されるほか、これまでの演劇祭芸術監督や、オリビエ・ピィなど世界を代表する演出家・俳優たちのインタビューなど、秘蔵の映像がたくさん見られます。

そしてこちらの演目は、ワンコイン(500円)でご覧いただけます!
アヴィニョン演劇祭が、演劇界に、そして世界に何をもたらし何を残してきたのか。この機会に、浮かび上がる「演劇の聖地」の姿をぜひ皆さんにご覧いただきたいです。


2014年3月29日

まるふリレーブログ《8》 『真夜中の弥次さん喜多さん』

みなさま、こんにちは。SPACの仲村悠希です。
まるふリレーブログ第8弾は
『真夜中の弥次さん喜多さん』です。

天野天街×しりあがり寿の『真夜中の弥次さん喜多さん』は、4月29日18時からの1ステージのみ、そして舞台に合わせて客席も限定されているため、早々に予定枚数が完売となりました。
が、
観たかったのにチケットを買えなかった~という方に朗報です!
明日、3月30日より追加席を電話・窓口にて販売いたします。 ※詳しくはこちら
若干枚数の販売となりますので、なるべくお早めのご予約をおススメいたします。

作品の詳細やあらすじはこちらからどうぞご覧ください。

メインイラスト

さて、ここからは『真夜中の弥次さん喜多さん』の魅力を私、担当の仲村目線で語らせていただきます。

今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の中で日本の劇団の作品はSPAC製作作品を除いて、なんとこの『真夜中の弥次さん喜多さん』のみ。

ではここでクイズです!
なぜ、この演劇祭で本作品をご紹介するのか、その理由は次のうちどれでしょう?
 
 
(1)とにかくこの作品が面白いから!

(2)実は静岡と深いつながりのある作品だから。

(3)担当者(仲村)が大大大好きな作品だから。
 

 
答えは(1),(2),(3)全部です。

(1)とにかくこの作品が面白い!
読んだことのある方もいらっしゃると思いますが、まず原作であるしりあがり寿さんの漫画が非常に面白いです。その漫画の世界を見事に舞台化し、さらに天野ワールドへと展開させた本作品はユーモアとゾッとする恐ろしさ、刹那さが混ぜこぜになった奇想天外な作品。ぜひ劇場で脳がとろけてしまうほど、その世界に浸ってみてはいかがでしょう!
 
 
(2)実は静岡と深いつながりがある!
弥次さん喜多さんと言えば十返舎一九の「東海道中膝栗毛」に出てくるキャラクター。実はこの十返舎一九は駿府両替町(現・静岡市)出身で、駿府城の近くには弥次さん喜多さんの銅像があります。2人は江戸から伊勢への旅の途中、静岡の宿場町を楽しんだり、安倍川もちを食べたりしたのでしょうね。

そして、しりあがり寿さんも静岡市出身です。しりあがりさんには今回の静岡公演を記念してイラストを描いていただきました!!舞台の2人が漫画となった貴重な作品、これは必見です。ぜひこちらの公式ガイドブック29ページをご覧ください!
 
 
(3)私が個人的に大大大好きな理由
出会いは私が高校1年生のころまでさかのぼります。演劇の「え」の字も知らない私が高校の演劇部に入ったばかりの頃に、初めて観た芝居がKUDANprojectの『くだんの件』という作品でした。『真夜中の弥次さん喜多さん』と同じく天野さん演出、小熊ヒデジさんと寺十吾さんの2人芝居。初めて触れた世界に、「な、なんじゃこりゃー」とかなりの衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
その後2002年にKUDANproject製作『真夜中の弥次さん喜多さん』が誕生。国内各地だけでなく今日までにアジア10都市以上で上演されていく中で、私も何度か見せていただきました。見るたびにハマっていく作品です。
2005年にはこれを百人規模の出演者による「百人芝居◎真夜中の弥次さん喜多さん」も上演され、私も一出演者として参加いたしました。
これまでの公演のレビューをこちらのKUDANprojectさんのサイトでご覧いただくこともできます。
http://www.officek.jp/kudan/

このように会場や形を変えて何度と上演されてきた作品ですが、色褪せることなく年月を経て更にパワーアップした、弥次さんと喜多さんが静岡についにやってきます!静岡芸術劇場に合わせたスペシャルバージョン!
静岡公演を目前に、演出家の天野さんとプロデューサーかつ喜多さん役の小熊ヒデジさんに意気込みを語っていただきました!

ぜひ皆様お見逃しなく!!


まるふリレーブログ《7》 『ピーター・ブルックのザ・タイトロープ(原題)』

こんにちは。制作部・尾形です。
まるふリレーブログ第7弾は、ドキュメンタリー映画『ピーター・ブルックのザ・タイトロープ(原題)』をご紹介します。

「20世紀を代表する演出家」とも評されるピーター・ブルックは、ロンドン生まれの今年89歳になる演出家で、ロンドン、パリ、ニューヨークにて、70作品以上の演出を手掛けています。度々来日公演も行っていますが、中でも『真夏の夜の夢』や、上演時間9時間の大作『マハーバーラタ』は今や語り草になっているほど。『マハーバーラタ』は171分の映画も作られていて、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」で上映します。(詳細はこちら
最近ですと、昨年『ザ・スーツ』が上演されましたね。(ちなみに私は発売初日にチケットをとって観に行ってしまいました!)
著書も有名で、15カ国以上に翻訳された『なにもない空間』、自伝『ピーター・ブルック回想録』などがあります。

それほどまでに有名な演出家の稽古場ってどんな雰囲気なのでしょう・・・
気になりますよね?ね?

その秘密を明らかにするのが、『ピーター・ブルックのザ・タイトロープ(原題)』!!
ピーター・ブルックの稽古場にカメラが入るのは、なんとここ40年間ではじめてのことだというから驚きです。
監督は、息子のサイモン・ブルック(写真右)。フランスを拠点に多くの映画に監督、作家、プロデューサーとして関わっており、ピーター・ブルックのドキュメンタリーでは『Brook by Brook』という作品も手がけています(こちらもオススメ!)

小ぢんまりとした稽古場に集まっているのは、日本人のヨシ笈田をはじめとする様々な国籍の俳優たち。
パーカッショニスト土岐利行の奏でる音楽に合わせて、俳優たちは目に見えないロープを渡り始めます・・・

俳優たちがそれぞれのやり方で「綱渡り」を行うのですが、それがとても面白い!
この俳優はどんな人なんだろうと想像を膨らませてしまいます。
他にも、想像力を駆使した様々なエクササイズが行われ、それらを通してピーター・ブルックの演劇観や哲学に触れることができます。

さあ、ピーター・ブルックの創作現場を覗いてみませんか?


2014年3月27日

<おくぬ〜日記>第一期新潟Noism『カルメン』稽古終了!

3月16日から23日まで、6月に新潟、神奈川、兵庫で上演される新潟市のレジデンシャルダンスカンパニーNoism『カルメン』の第一期稽古のため、新潟まで行ってきた。

Noismの芸術監督の金森穣さんは日本の舞踊会の牽引者、優れた作品を定期的に世に出している実力者である。作品のクオリティーは高く、静岡にもファンは多い。

Jo KANAMORI
  〈撮影:篠山紀信〉
 
新潟への移動日、今から新潟に行くことを何人かのSPACメンバーに告げた時の反応は、「いやー大変ですね〜(汗)」か「羨ましい〜♥」のどちらか。

新潟は曇り空が多いことは聞いていたが、初日からあいにくの雨天。未知の世界への第一歩、不安と緊張が否応無く押し寄せる。はじめてSPAC作品に出演する俳優の皆さんも、きっとこういう気分を乗り越えていらっしゃるのであろう。

コンサートホール、劇場、能楽堂、リハーサルスペースなどがあるりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館はとても大きく、敷地も広い。

 
緑の中に劇場が高々とそびえている感じ。

 
Noismには「Noismメソッド」があるらしいということは前々から聞いていた。
年明けに打ち合わせのため新潟に来させて頂いたとき、穣さんも「良かったらメソッドだけでも受けてみてはいかがでしょう?」と言ってくれたので…

 
お言葉に甘えて初日いきなり9時半からのメソッドを隅っこで受けさせて頂く。

Noismトップダンサーであり、副芸術監督の井関佐和子さんの指導。佐和子さんはじめダンサーの皆様もとても暖かく迎えてくださった。

 

 
小一時間に及ぶメソッドで内部から体を徐々に起こしてから床に寝転がっての様々なムーブメント、正座からの動き等々、きつい体勢も数ありましたが、音楽に合せて朝からとてもいい汗。
出だしの10分は椅子にすわったままでも無理なく出来ると思うので、仕事能率アップを目論む一般企業なんか関心を示されるのではないか。

メソッドが終わり、休憩のあとは穣さんとダンサーの皆様はバーレッスンだが、さすがに私が紛れ込んでいるとかなりお邪魔になるので、別室で自主稽古。

バーレッスン終了後、穣さんが来て今回演じさせていただく考古学者の台詞と動きの稽古を差し向かいでみっちり1時間半。
台詞一つ一つの動きや間、呼吸など厳密に指示していく演出姿勢に、かつて味わった抜き差しならない空気が甦り、終わったらいつもじっとりとした汗。

昼食後から夕方の6時までNoism若手ダンサーの吉﨑さんより、振りうつしの作業。

今回最も多くの時間を共にした吉﨑さん、明大演劇科で学び、お父様は1077試合連続出場の記録を持つ力士、薩州洋(さっしゅうなだ)こと、立田山親方だそうで…父親譲りの体格の良さ、これからの活躍が期待される。

 
しかし日本に住んでいながら国技であるお相撲さんのご子息とお目にかかったのは今回が初めてです。

 
覚えの悪い私に吉﨑さんは根気強くお付き合いくださり、また学者の妻ドロッテと謎の老婆を演じる石原さんも時間の許す限りお付き合いくださって、とても助かりました。

 
四日目はいよいよNoismメンバーと合同稽古。
学者がらみのシーンを中心に、三幕途中まで。
 
翌5日目には全ての場面をあたり、あたまからビデオに収録、
とりあえずなんとかかんとか全出演シーンを穣さんに演出していただくことができ、とても中身の濃い5日間でした。
 
最終日の夜はりゅーとぴあ内のかなり本格的な能楽堂で上演していた、市民の方々によるギリシャ悲劇『メデイア』を観劇。

 
そのあと何人かのメンバーさんと「SURIKEN(手裏剣)」という居酒屋さんに食事に行って来ました。日本海の新鮮なお魚がとても美味しかったです!

 
劇的舞踊『カルメン』、歴史的な舞台になるかと思います。
チケットご予約はお早めに。
※詳しくはここをクリックしてください。
 

 
 
奥野晃士


まるふリレーブログ《6》 『タカセの夢』

みなさま、こんにちは。
SPAC制作部の山川祥代です。

まるふリレーブログ第6弾は
スパカンファン・プロジェクト『タカセの夢』です。
スパカンファン・プロジェクト(SPAC-ENFANTS PROJECT)とは、
フランスを拠点に活躍している振付家兼ダンサーのメルラン・ニヤカム氏を迎え、
オーディションで選ばれた静岡のティーンエイジャーとともに
新しい舞台を創造するSPACの国際共同制作プロジェクトのことです。
*ENFANTS=「子どもたち」の意味

2010年の初演より、『タカセの夢』は
これまでメンバーを入れ替えながら
静岡、東京、大阪そして韓国と様々な場所で上演されてきました。
今回も初演から4年の月日を経て、作品として成長した同作品を
演劇祭のラインアップのひとつとしてお届けします。

『タカセの夢』の魅力は何と言っても
その若いエネルギー!
舞台上から放たれる今を生きるリアルな子どもたちの
溢れんばかりのパワーをぜひとも感じていただきたいです。

作品に託されたニヤカムさんのメッセージ。
そしてそれを体現する子どもたち。
ダンスあり、音楽あり、映像ありの80分。
振付アシスタントを木野彩子さん、
映像をニシモトタロウさん、そしてSPACのスタッフたちが
作品を支えています。

そして本日より『タカセの夢』稽古が始まりました!
ニヤカムさんもあと数日で日本にやってきます。
演劇祭までちょうどあと一ヶ月。
みなさま、GWはぜひとも『タカセの夢』へ。
ニヤカムさんの魔法にかかった若いエネルギーを
その目でご覧ください。

ふじのくに⇄せかい演劇祭2014
『タカセの夢』
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
5/3(土)15時15分開演
5/4(日)16地30分開演
5/5(月)18時00分開演
http://spac.or.jp/f14takases-dream.html


2014年3月26日

まるふリレーブログ《5》 『Jerk(ジャーク)』

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」上演作品リレーブログ、
5回目は『Jerk(ジャーク)』をご紹介いたします。

3回目でご紹介した『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』と同じく、
欧州人形劇界の異才と言われるジゼル・ヴィエンヌの演出作品です。
『マネキンに恋して…』には妖艶なマネキンたちが何人(何体)も登場しますが、
『Jerk』はうって変わってひとり芝居です。

舞台にあるのは、「5体の人形と一脚の椅子。そしてひとりの男…」と、
ガイドブックやチラシにもご紹介させていただきましたが、本当にシンプルです。
作品の内容としても、この2作品は全く違った方向性とも言えますので、
両作品ご覧いただくと、ジゼル・ヴィエンヌの作品の幅を感じることができるのではないでしょうか。

JERK

『Jerk』は、1970年代に実際にアメリカで起こった事件をもと創作された、デニス・クーパーの著書が原作となっています。
実話をもとにしていますが、共犯者であったデイビッドが語り手となり、自分で創作した人形劇を、心理学を専攻とする大学の教授や生徒の前で披露するという劇中劇のかたちをとった物語です。
(その中でさらに彼が書いたというノンフィクションを観客に読ませるなど、さらに複雑な構造になっています)
この作品を観ていると、最初は俳優ジョナタン・カプドゥヴィエルのリアルな表現に嫌悪感を覚えつつも徐々に惹き込まれ、目の前にいる俳優が俳優なのか物語の登場人物なのかわからなくなり、不安になっていきます。
会場がそういった雰囲気に包まれ、俳優も本当に自分がデイヴィドなのではという錯覚を起こしているのかもしれません。

5月4日(日)の終演後には、ジゼル・ヴィエンヌと社会学者でSPAC文芸部の大澤真幸との
スペシャル・アーティストトーク「絶望に寄り添って ジゼル×大澤真幸の犯罪心理学」
を行います。
5月3日は完売ですが、この日はまだお席に余裕がありますのでぜひ観劇と合わせてご参加ください。
それでは、劇場でお待ちしております!


2014年3月25日

<制作部よもやまブログ#73>こども大会開催!

3月23日(日)、今年で15回目となる「SPACこども大会」を開催しました。
劇場入口もこども大会仕様にして、皆様をお出迎え。

県内の小学生たちが、ダンス、楽器演奏、マジック、なわとび、民謡、歌、コント、カクテル作りなど、この日のために一所懸命練習してきたパフォーマンスを披露してくれました。
今年はSPAC芸術総監督宮城聰からの講評も!
発表一つ一つに対して、とっても深いコメントをいただきました。

ちなみに背景の幕は今年リニューアルされたもの。
こどもたちに舞台上で存分に輝いてほしい、とスタッフも準備をしてきました。
また、「チューター」と呼ばれるSPACの俳優たちが、リハーサルから本番まで各出演者(グループ)をサポートします。
こどもたちのパワーに負けないよう、大人たちも全力なんです!笑

下の写真はクロージングパフォーマンスの様子。
観客席含め今日一日をともに過ごした全員でダンスをします!
「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」公式キャラクターの彼(彼女?)まで…

一日お疲れ様でした!!ありがとうございました!!

こども大会担当、制作部・尾形


2014年3月24日

まるふリレーブログ《4》 『ジャン×Keitaの隊長退屈男』

こんにちは。
まるふリレーブログ4回目は『ジャン×Keitaの隊長退屈男』をご紹介します。
今回は、本作の出演俳優 三島景太さんに突撃インタビューをして参りました。
 

↑三島景太さん
 
 
―『隊長退屈男』がとても詩的な作品とうかがっていますが、本作の見所を教えてください。
物語としては単純。日本人が見ても「ああこういう話ね」って納得できる話。
ジャンは今回、全編を詩でつくっている。詩って、言葉そのものがもつ響きだったり、手触りだったり、言葉そのものを楽しむ。「この詩の意味は?」っていうのは実は重要じゃなくて、意味よりもモノみたいにポンッとおかれた言葉のもっている質感みたいなものが大事だと思う。「揚羽のごとく舞うあなたの指先」の次に「わたしのまなこを鈍らせる」がなんで来たのか、“どうしてこの言葉の次にこの言葉がくるのかがわからない!”って言葉の意味を追いかけ始めるとなにかを見失う。
 
この詩の世界とは別に、俺の体があることでまったく違うものになっていくというのが正直な感想。無限にいろんな創造をかきたてる言葉の羅列が、そこにわかりやすい肉体があって、その人がしゃべることで、まったく違うものが見えてくる。それがこの作品の面白いところ。
この詩を読んだ人はある傷ついた兵士が語ってる、ボロボロになりながら極限の状態でって想像すると思う。だけど、俺っていう肉体はちょっとそれとはちがう。これを読んだ時点で、俺の肉体を創造しないと思う。だから詩と俺の肉体とのギャップを楽しんでもらえれば、割と面白いかな。
たぶんフランスの詩というものと、俺の肉体はすごく距離があって、平野君の言葉を借りると“泥臭い”俺、見目麗しいわけではなく、そんなに踊れるわけではなく、美声なわけでもなく、ただ肉体のエネルギーだけはある。単純な肉体がでてくる。まったくこのフランスの詩っていうものと相容れない肉体との出会いが面白いかな。
そういえばジャンはこれを漫画化したら面白いんじゃないかって。フランスにはコミック文化があるから、これをコミック化してくれる人が日本の漫画家でいたらいいよねって。
 

 
 
―イワタニ隊長はどんな隊長ですか?
イワタニさんは、極限の状態にいる人。英雄が戦地でぼろぼろになって、理念とかそういうものでは乗り越えられない人間の極限をみてしまい・・・。フランスの原題を直訳すると「栄光と倦怠」なんだけど、戦地に行って将軍とか呼ばれていた人だったけど、結局奥地をさまよっていく内に、人間の極限状態におちて、だんだん気がふれてきて、最後は自殺する。
ジャンは今回、日本のお能の要素を取り入れていて、死んだイワタニイズミが生と死の間をさまよう。死者イワタニさんが出てきてしゃべる。死後硬直がはじまった肉体が言葉をしゃべる。最後は男も女もなくなる。英雄であることが逆に滑稽だって見えてくれれば、ちょっといいかな。
 

 
 
―『隊長退屈男』で一番好きな台詞を教えてください。
いきなり演劇的な話になるけど、普通に読み言葉として読んだときに、琴線に触れる言葉と、しゃべっていて肉体が腑に落ちた瞬間になにか響く言葉がある。
平野君が稽古の過程で翻訳をするときに、台本を何回か書き直していて、草稿からフランスでの公開リハーサル、そして今回の公演の決定稿まで、おおまかにわけて、4稿から5稿までかわっている。フランスでの稽古の時、平野君が書き直した瞬間に、たぶん僕の声質とか肉体を想定して、その場で翻訳した言葉がいくつかあって、それがすごく腑に落ちた。しゃべっていて楽しくなる。しゃべることに快感がある。
この戯曲にはたとえば、好きな台詞のひとつに、
「揚羽のごとく舞うあなたの指先」っていう言葉がでてくる。もともとは「花びらのようにヒラヒラと舞っていたあなたの指先」っていう全然違う和訳だった。でもたしかに読むと絵的なイメージは「花びら」の方が浮かぶんだけど、平野君は俺の声をきいてその場で書き直した。書き直した瞬間にすごく附に落ちて、しゃべっていて何か高揚感がある。
 
揚羽のごとく舞うあなたの指先
わたしのまなこを鈍らせる
 
要するに恋する男の台詞なんだけど、すごく腑に落ちた。
他にも例えば「田んぼに植えた稲の穂よろしく
たわわに実る」っていう台詞がでてくるんだけど、書き言葉として読んでもなんとなく、ある人物がしゃべっているように見える。でも「たわわに実る」とか「稲の穂よろしく」って日常会話だとちょっと変じゃない?それをてらいもなく、ポンッと提出して、さあしゃべってくださいって。しゃべった瞬間、変じゃないの!しゃべることを前提に、そうやって置き換えられている言葉がいくつかあって、その意外性が結構あるかな。
 

左から平野 暁人(翻訳)、三島景太(出演)
 
あと、どの台詞も好きなんだけど、「この両脚に わたしは抗えない」も好きかな。
勝手に足が動く、だけど抗おうとしない。この両足にわたしは抗えない。運命には逆らわない。と言いつつ、足は足で勝手に動くにまかせている。
上半身は理性・思考の部分ではそれと戦おうとしている。本能と理性とか、いろんなものの葛藤が体の中で起こっている人の物語で、それを上半身と下半身の葛藤で表現されている作品。
そういえばジャンと出会った、SPAC『わが町』初演のときに、足でいろんな表現をしようと目論んでいて、足の重心の位置を工夫したりしていた。ジャンは、そんな私が、足だけ別の人格をもっているように見えたらしくて、『隊長退屈男』を三島景太という肉体でって結びついたんだって。それをフランスに行ったときに最初に話された。
 
 
―どんな方に観ていただきたいですか。
ご高齢の方にみていただきたい。ここだけの秘密なんだけど、シニアの方を想定して、作品をつくっている。意味とか内容とか分からなくても、演劇の原始的な面白さで楽しませられれば、って。普段とは違うカラダの状態でいることの面白しさにもう一回立ち返りたいかな。わたしも年だけど。
 

 
 
―お客様にメッセージをお願いします。
狂った男の醜態を楽しんでいただきたい。体に抱え込めないほどのエネルギーをかかえた人間の滑稽な様をみていただきたい。そして46歳の肉体美(笑)
静岡でジャンと出会わなければ、この作品は生まれなかった。
ジャンとの出会い、そのものが演劇的だった。
その出会いの結果、うまれた作品だと思います。
なので、その作品そのものもさることながら、
その過程そのものが演劇的奇跡だったように思われます(笑)。
ひとつの出会いが作品をつくるっていう奇跡の瞬間にぜひ立ち会っていただきたい!
 


2014年3月20日

まるふリレーブログ《3》 『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』

「ふじのくに⇄せかい演劇祭2014」上演作品リレーブログ、
3回目となる今回ご紹介するのは『マネキンに恋して ― ショールーム・ダミーズ ―』です。

タイトルからご想像のとおり、人間がマネキンに恋してしまうというストーリー。美しいバレリーナ達に、一人の男が惑わされ、翻弄され、さてどうなってしまうのか・・・ちょっぴり妖しそうな内容ですね。ふふっ、ドキドキしちゃいます。

出演者は「北フランスの花」と称される「ロレーヌ国立バレエ団」の8人のダンサーたち。マネキンに扮する彼女らは、みな無表情で、中には不気味で少しグロテスクささえ感じる仮面をつけています。

こんな表情のうえに、まるで操り人形だか機械仕掛けの人形だかのような振り付けが施され、その動きは圧巻!!関節の動きや、体全体の微動を制して、人間ではないものになりきれるのは、まさに「鍛え上げられた肉体」があってこそ!!

文字ではなかなか伝わりにくいと思うので、百聞は一見にしかず、ぜひこちらをご覧下さい。

ね、目が釘付けになりますでしょう?多くのダンサーの衣裳は60年代風のワンピース姿で、その可愛さが違和感をいっそう引き立たせている気がします。

ところで、写真や映像をご覧になって、なんだか出演者が8人より多いように感じたかたがいらっしゃると思います。さらに、それらの理由をお気づきになったかたもいるでしょう。そう「人形」です・・・。

この写真をよーく見てみて下さい。ほら、出演者に混じって「あたかも人間かのような人形」が数体あるんですね。

実は、この作品の演出家である「ジゼル・ヴィエンヌさん」は、人形作家でもあるのです!!まだ30代の若い女性で、ヨーロッパの人形劇界の異才と評されています。バレエという枠・イメージを超えたこの作風は、ジゼルさんの異彩ぶりに裏打ちされているというわけです。もちろん、舞台上の人形たちはどれもジゼルさんの作品です。

この「人間のような人形」と「人形のような人間」が織り成す、刺激たっぷりの世界『マネキンに恋して- ショールーム・ダミーズ -』、気になったかたはぜひご覧下さい。マネキンに恋した男の行く末を、一緒にハラハラしながら見届けたいと思います。ラストは衝撃が待っている?!・・・かもしれません。

また、今回の演劇祭では、この『マネキンに恋して- ショールーム・ダミーズ -』のほかに、ジゼル・ヴィエンヌ演出作をもう1演目上演します。『Jerk(ジャーク)』という作品です!後日このリレーブログでもご紹介しますが、これもまた独特のセンセーショナルな作品ですので、ご期待下さい。

4月1日(火)からは、ジゼルさんが創作した人形作品の写真展『ジゼル・ヴィエンヌ展 ―夢見るハイパーリアル人形―』を開催します。生身の人間と見まごう<ハイパーリアル(超現実的)人形>は、頬の温かさまで感じられるようでありながら、そのざらりとした質感が独特の存在感を際立たせます。フェスティバル開幕前から、一足先に彼女が創り出す世界観に触れてみましょう!



一人でも多くのかたが、これを機にジゼルさんの作品に触れていただけるよう願っております。それでは次回を楽しみにお待ち下さい!!

制作部 熊倉


2014年3月17日

<制作部よもやまブログ#72>オンリーワンなパフォーマンス!

みなさま、こんにちは。
SPAC制作部の山川祥代です。

3月も中旬となり、暖かくなってきたかと思えば
たまに吹き付ける風がまだ冷たくて
毎日着るものに悩む毎日を送っています。
(春らしいものを着たい!でも結局防寒重視でモコモコしてしまう私)

さて、おかげ様で『真夏の夜の夢』ロングラン公演が
先週無事に千秋楽を迎えることができました!
ご来場いただきました皆様本当にありがとうございました。

しかーーーし!
SPACの3月はそれだけでは終わりません。
今週の日曜日(23日)も静岡芸術劇場へ。
そう、「第15回SPACこども大会」があるのです。

「SPACこども大会」とは、生き生きとした個性を持った子どもたちに
舞台で発表する機会を提供し、その個性を応援することを目的とした
SPACの人材育成事業のひとつです。
今年も17組の出演者たちがダンス、リズムなわとび、コント、創作バレエなど、
様々な個性を披露してくれます。

第15回SPACこども大会
2014年3月23日(日)
14時開演 @静岡芸術劇場
入場無料(要予約)
http://spac.or.jp/kodomo_15.html

舞台上でキラキラと輝く若いエネルギーを
あなたも肌で感じてみませんか?
子どもたちの溢れるパワーを感じたら、
あなたにもきっと笑顔になってもらえるはず。


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