2016年10月30日

『高き彼物(かのもの)』への道 9歩目】出演者インタビュー第6弾・本多麻紀

『高き彼物』出演者インタビューの6人目は、野村市恵役の本多麻紀さんです。
とても真面目で熱い気持ちも持っている野村市恵を演じる本多さん。今回の演技について伺っていると、本多さんからも役に通じる真剣な様子が見えました。
(収録は第一期稽古期間〔8月〕に行いました。)

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–本多さんが演じられる野村市恵についてお聞かせください。

本多:袋井の中学校で国語の教師をしていて、10歳の息子がいるシングルマザーです。以前に猪原(正義)先生と同じ高校で教えていた縁で、猪原先生とそのご家族とお付き合いしています。

–本多さんから見た野村市恵の印象はいかがでしょうか。

本多:冗談の通じない真面目な人という描写があるなど、いかにも中学校の国語教師といった雰囲気ですが、時々イメージを裏切るような行動をとることもあって。読み返すたびに発見がある、けっこう振れ幅の大きい役だなと思いました。
戦後に少女時代をすごし、結婚して割とすぐに離婚して息子を育て、苦労してきただろうなぁと思います。市恵は猪原先生のどういうところに惹かれたのかという事を考えているのですが、(猪原先生の)何かのモノサシで人を見るのではなく、その人自身をちゃんと見よう、その上でちゃんと向かい合おうとする情熱的なところかなと。それって言葉では簡単ですけど、実際にそういう人はなかなかいなくて、市恵もそうなりたいけど難しいと悩んでいます。市恵は、猪原先生はそれを実現している人だと思っています。そんな人はたしかに素敵ですよね。

–本多さんは猪原家をどんな風に見ますか。

本多:正義も平八(正義の父親)も智子(正義の娘)も直接口にしないこともありますが、ふとした瞬間のさりげない思いやりをみせるのでグッときます。例えば電話が鳴っているのに近くにいる平八が電話に出ず、智子に出させるシーンがあります。「それくらいしてあげればいいのに融通が効かない頑固なじいさんだなぁ」なんて思いましたが、平八はその電話には智子が出た方がいいだろうと思っていたから出なかったんですよね。「なんだ、平八は実はいいやつじゃん」って。そういう家族ならではのやさしさは美しいですよね。

–そういった人物を作っていく稽古、古舘さんの稽古はどのように進んでいますか。

本多:この『高き彼物』は、(SPACで上演する)宮城の演出作品ではあまり扱わない現代戯曲です。古舘さんご自身も現代口語演劇の方というイメージが強く、それらをあまりやったことがない私に出来るのだろうかという苦手意識がありました。
でも、稽古で何度かワークショップをしたりお話を伺ったりしているうちに、普段自分が戯曲や役に向かい合っていることと根っこは同じなんだなと感じました。それからは少し肩の荷がおりました。
ただ、突き詰めるポイントの違いはあって、そこはすごく面白いです。日常で無意識にしている動きや話し方に意識的になりました。例えば、驚く時にどういう意識の流れで、どの瞬間にどういう動きをして、どのポイントで驚くのかということを考えます。声や動きなどのリアクションが入る細かいポイントを発見していくのが新鮮でおもしろいです。これはこの先、芝居を続けていく上で大切なことだと思います。
いざそれをやろうとすると、難しくてなかなかできないんですけどね。

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–お話を伝える上で、そうした演技のディティールなどが大切になりそうですね。それでは、『高き彼物』というお話に抱いた印象や伝えたいことがありましたらお聞かせください。

本多:どの登場人物も時として愚かで誤った選択をしてしまい、誰かを傷つけることがありますが、そこで苦しみ懸命にもがく姿こそそれぞれの人物の「高き彼物」の切望であり、人間ってしょうがないな、尊いなといったところにつながっている気がします。台本の最初に書いてある人間賛歌はこういうことなのかなと。それは時代が変わってもあることですし、伝わるといいですね。

–「演技」をせずに自分でいてください、と稽古で古舘さんはおっしゃっていますが、自分ではしないことも芝居では行いますよね。そういう時は、役者としてはどのような状態なのでしょうか。

本多:例えば今やっているリーディング(第一期稽古で行いました)は、先のことを考えずに1つ1つの台詞をその時の相手の反応を見ながら進めるというものです。台本の流れをよく知らないまま進んでいくので、途中でその人物が自分の思いもよらない選択をすることがあります。そういう内心「それはない!」と思うこともたまにありますが、今はその気持ちに嘘はつかずに「ないわ~」っていう身体性に乗せて、その選択をするということをしています。
これは相手役から発せられた台詞によって初めて生まれる感情もあるので、1人で台詞を考えているだけでは思いつかないことです。だから稽古は面白いですね。
古舘さんの理想とする”真のリアリズム”、舞台上の人物みんなが、客観的リアルではなく主観的リアルでいる状態というのはとっても難しいし、私も観たことがないけれど、その壮大なチャレンジをさせていただけることはやりがいもあり、とっても嬉しいと思っています。

–ありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月19日

『高き彼物(かのもの)』への道 8歩目】出演者インタビュー第5弾・若菜大輔

『高き彼物』出演者インタビューの5人目は、片山仁志役の若菜大輔さんです。
片山仁志はこの物語のキーパーソンになる人物です。インタビューでは、そんな役に真摯に向き合う俳優の姿が見えてきました。(収録は第一期稽古最終日2016年8月31日に行いました。)

–若菜さんが演じる片山仁志というのはどういう人物でしょうか?

戦後に生まれ、パチンコ屋を営む両親のもとで育った33才の男性です。
本人がどう感じるか分りませんが、名前のとおり志の高い人間だと僕は思います。
そして、ちゃんと地に足をつけて、もしくはつけようとして、生きていこうとする強さをもった人だと感じます。

–第一期稽古が終わったばかりですが、片山をどのように演じたいというような思いはありますか?

“地に足つけて生きることへの強さ”と言いましたが、言うだけならば簡単で、血管に血が流れる生々しさのところで実践するとなると、きれいなことだけではないし、想像もつかないほど生半可なことではないと思います。それを片山が持っているのであれば、何とかして向き合わなければいけないと思っています。

–古舘さんの稽古はいかがですか?

第一線で活躍されている表現者の考えに触れさせてもらうことは、自分の至らなさを感じるばかりです。表現に対する捉え方に曖昧なところがなく具体的です。これまで自分が演技と向き合ってきた中で何となく感じていたことを名付けてもらっている感覚が何度もありました。揺るがない表現に対する思いや考えを中心に据えた稽古場です。

–『高き彼物』という戯曲からはどういう印象を受けましたか?

きれいな面だけではない、だからこそ、“高き彼物”へと向えるのだと思うのですが、必死でもがくある種の美しさを持つ人間が集まっている、とてつもなく大変な作品だと感じます。

–ありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月11日

『東海道四谷怪談』一般公演が終了しました!

昨日、『東海道四谷怪談』一般公演が無事に終了いたしました!
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました!

10日にはアーティストトークもあり、
SPAC版『東海道四谷怪談』を構成するうえでのポイントや
役づくりの経緯・苦労話などを聞くことができました!

今回初めて担当した吉植荘一郎によるプレトークも
作品を観るうえでとても参考になったと、大好評。
まるで講談のような語り口に、聞き惚れてしまいました。

たくさんの方よりご好評いただいた、今回の『東海道四谷怪談』。
これまでの公演でいただいた感想を、一部ご紹介いたします。
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<こわい!けど、おもしろい!>
・ホラーっぽくて、こわい所もあったし、まんざい(漫才)みたいな所もあっておもしろかった。
・昔の言葉遣いなのに非常にわかりやすく、ラストはぞっと背筋が凍りました。
・私はこわいのが苦手だったけど、楽しく見れた。

<人間って・・・>
・誰も助けてくれない、苦しさ・悲しさが伝わってきてドキドキ、ハラハラした!
・お岩さんが復讐を決意する場面が一番悲しくなりました。
・人間の考えることっておそろしいな、と思いました・・・(汗)
・人の悪や善を感じられて、登場人物の一人一人から、心の強さやみにくさ(醜さ)が感じられた。
・伊右衛門って本当にがんじがらめの状況に追い込まれていたんだな、と思った。

<今も昔も>
・歴史が好きなので、江戸時代の言葉や生活など知ることができておもしろかった。また、赤穂浪士の話との関連があると分かり、おもしろかった。
・昔の難しい言葉が出てきても、皆さんの役の表情などから「こういう意味ではないかな。」と考えて楽しむことができました。
・江戸時代のお話でしたが、現代ととっても似ていたところがあったのでおもしろかったです。
・昔の人のことがすこしだけわかった気がした。

<綺麗で華やか>
・豪華な衣装が素敵でした。特にお着物が素晴らしく、始まった途端に見入ってしまいました。何気ないしぐさも、息をのむ程の美しさでした。
・動きがいっせいに止まるところが、本当に1枚の写真のようで、すごくきれいだった。
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一般公演はこれで終了となりますが、
中高生鑑賞事業公演が12日(水)18:00から。一般販売もあります。
平日ではございますが、ご都合のつく方は是非お越しください!


最後まで妥協しません!観に来てくりゃれ!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北
出演:木内琴子、泉陽二、大石宣広、春日井一平、河村若菜、永井健二
   ながいさやこ、鈴木麻里改め坂東芙三次、若宮羊市、渡邊清楓
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月10日

【『高き彼物(かのもの)』への道 7歩目】出演者インタビュー第4弾・石倉来輝

Filed under: 未分類

『高き彼物』出演者インタビューの4人目は、藤井秀一役の石倉来輝さんです。
石倉さんは、藤井秀一と同じ18歳。そして静岡での稽古期間は、初めての一人暮らしにも挑戦中。オーディション合格の喜びからここまで、石倉さんは何を考え、どのように過ごしているのでしょうか。
(収録は第一期稽古最終日2016年8月31日に行いました。)

–石倉さんが演じる藤井秀一はどういう人物でしょうか?

昭和53年の東京に住んでいる高校3年生です。受験勉強のため、長野で行われる予備校の夏期合宿に参加する予定でしたが、あることがきっかけで、猪原家の元でお世話になっています。性格は僕と正反対で、思ったことがあまり表に出ないし、溜めこんで思いつめちゃうような子です。揺るぎない自分を持っていて、自分が違うなと思うことをちゃんとわかっているのに、それを表に出さないのは彼のよくないところだなと思います。

–正反対なのですね。

僕はこの春まで秀一君と同じ高校生だったのでわかるところはありますが、秀一君ほど自分の核がないし、彼は進学校に通っているし、自分にはない経験をしています。それに、僕は思ったことが身体や言葉に出やすいところもあって、役との溝があるなと感じています。高校生という子どもと大人の間にいる中で、秀一君は今をしっかり捉えることができているように思います。

–自分と全く違う役とはどのように向き合っていますか。

そうですね。「自分を知る」ことでしょうか。さきほどお話しした「溜めこむ」ということは、秀一君はやるけど自分はあまりしないことだから、まずは自分が普段やっていることを意識するようにしています。自分を知って自分を抑制するというのが、腑に落ちています。……だけど、まだ悩んでいることは多いです。

–藤井秀一と同様、ご自身も現在、東京から静岡に来ていて、先日は川根に行くという経験をしました。そこから役や作品について想像は膨らみましたか。

すごく感じるものがありました。いくつかトンネルを抜けて山にバーっと囲まれた川根町が見えた時、すごく安心しました。初めて川根町に行ったのですが、とても居心地が良くて。秀一君が、川根町の猪原家に落ち着いてしまうのはわかるような気がします。秀一君もこうだったのかなって合点がいきました。

–秀一は川根町にある前山橋の辺りでバイク事故を起こし、友人を一人失っています。実際に前山橋の近くまで行ってみていかがでしたか?

他人事には思えなかったです。稽古で古舘さんが、僕たちのことを役名で呼ぶことがあるので、知らないうちに自分と役の境界線が曖昧になっているという不思議な感覚があります。そういった状況の中で秀一君にとって重要なところに行くと、自分にしかわからない重たい空気がありました。
自分が経験した訳ではないけれど、他人事でなくなっている感覚です。

–今年の4月に出演者オーディションが行われ、本作への出演が決まりました。応募した動機をお聞かせください。

僕は3月まで演劇の専攻がある高校にいました。演劇でご飯を食べていきたくて卒業後に色々と探している中で、このオーディションを見つけました。受かるとは思っていませんでしたが、いい機会だからダメ元で当たって砕けろと思って受けました。だから電車の中で合格通知を見た瞬間は忘れられないですね。オーディションを受ける以前にSPACの作品は観たことがあって、感動したし、すごいなという印象があったのでなおさらです。
オーディションでは、『高き彼物』の一部のシーンをリーディングしたのですが、その時に「この稽古場に通いたい!」って強く思いました。実際の稽古は僕にとってすべてが新しくて、一瞬一瞬が血肉になっている感覚があります。もっと吸収したいって欲が出てます。

–稽古場でとても積極的な姿を見ているので、その理由がわかりました。

稽古場ではまだまだ出来ないことも多くて、皆さんの足を引っ張ってるんじゃないかって悩んだりもしているので、積極的と言われるのは意外でした。すごい俳優さんばかりで日々学びです。

–演技するのが好きなのですね。

自分でないというのがいいのかもしれません。みんなに伝わるように自分のことを自分の言葉でしゃべるのが難しくて、得意ではないんです。一方、演技だと戯曲とかフィクションという共通言語の力を借りて対話が出来る、人と知り合って揺さぶり合えるので、生きている実感があります。

–藤井秀一という人物をどのように演じていきたいですか?

藤井秀一になるというよりは、僕が藤井秀一というフィクションを借りて、舞台上にどういるかというのを考えています。秀一君のように、高校生は大人になると気にならないような些細なことに思い悩んでがんじがらめになってしまうこともありますが、それはすごく美しいことだなと思います。それを、秀一君を通じて表現したいですね。

–上演に向けての意気込みをお聞かせください。

まだ経験の少ない自分が舞台に出ることになるので、自分の経験も身体も全て使って、『高き彼物』という話を通じて今見つめるべきものを大切にしたいと思っています。この機会を頂けたことに感謝し、『高き彼物』という話に自分自身の経験も身体も全てを投じて、今見つめるべきものを表現したいと思っています。

–ありがとうございました。

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月9日

『東海道四谷怪談』カフェ・シンデレラ限定メニュー!

『東海道四谷怪談』一般公演の初日が終了しました。
「怪談ということでお岩さんが化けて出たり、怖い場面もありましたが、
お客さんを巻き込んだりと、面白く楽しい場面もあり、良かったです」
など
嬉しい感想をたくさん頂戴しております!
9日・10日も、どうぞよろしくお願いいたします!

さて、一般公演日にはカフェ・シンデレラが営業いたしますが、
『東海道四谷怪談』の公演期間中は、特別メニューとして和菓子を販売いたします。
数量限定の逸品揃い!この機会に、ぜひお買い求めください!

特別メニュー① 「切腹最中」
『東海道四谷怪談』には『忠臣蔵』のお話が絡んでいます。
そこで、浅野内匠頭 切腹の地にある老舗の和菓子屋
「新正堂」さんよりお取り寄せしたお菓子を、公演期間限定で販売いたします!

あんこがぎっしり入っているように見えますが、中には求肥が入っているので
甘さをおさえた、とっても上品な味です。美味!

特別メニュー② 「陣太鼓どらやき」
「切腹最中」と同じく、「新正堂」さんの和菓子です。
赤穂浪士が討ち入りのときに鳴らしたといわれる陣太鼓。それをイメージした、どらやきです。
餡も皮も、こだわって作られていることがよく分かる一品!

「切腹最中」と「陣太鼓どらやき」、
どちらも、ほうじ茶とセットで300円です。

特別メニュー③ 「これでよしなに」
『東海道四谷怪談』には「小判」にまつわる話がたくさん出てきます。
そこで、小判型の瓦煎餅を販売いたします。
こちらも老舗の和菓子屋「みなとや」さんからお取り寄せしました。

レプリカの小判が1枚、もれなく入っていますので、
お土産として、ユーモアたっぷりな袖の下として、いかがでしょうか!?
煎餅5枚入りで600円となります。

昨日はバックステージツアーもあり、
創作技術部より、小道具や衣裳、舞台の仕掛けについてご紹介しました。
俳優たちにも参加してもらい、お客様との和気あいあいとした交流タイムに。
とても充実したひとときになりました。

残りの公演も、残席わずかとなっております!
SPAC版『東海道四谷怪談』を、ぜひお見逃しなく!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北
出演:木内琴子、泉陽二、大石宣広、春日井一平、河村若菜、永井健二
   ながいさやこ、鈴木麻里改め坂東芙三次、若宮羊市、渡邊清楓
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月6日

おためし劇場『東海道四谷怪談』編 レポート

こんにちは。
静岡は雨が降ったり降らなかったり、なんともはっきりしない天気が続いていますが、
劇場は元気に動いております!

10月1日(土)に開催いたしました『東海道四谷怪談』「おためし劇場」の様子をレポートします!

今回は、初めて静岡芸術劇場に来ていただいた方も多く、
やや緊張した雰囲気のなかスタート。

さっそく劇場に入ると、やはりテンションが上がるのか、
みなさんのお顔がホクホクしていくようでした。

公演初日を2日後に控えた舞台稽古をご覧いただいた参加者の皆さんからは、
「本番さながらで、表情がとても細かい。」
「間近で見ることができすごい迫力でとても面白かったです。」

などの声をいただきました。

「続きが非常に気になる終わり方でした!」
というところで、稽古見学が終了した後は出演俳優の紹介。

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その後、演出の中野真希によるトーク。
聞き手は制作担当の梶谷智。

「演出はどんなことをやるのか?」
「SPACならではの『四谷怪談』の特徴は?」
などの質問にハキハキと答えていきます。

『東海道四谷怪談』がもともと『忠臣蔵』を背景つくられた作品で、
初演のときは『忠臣蔵』と交互に上演していたこと、
今回はそのことを意識して、仇討ちに参加しようとする小塩田又之丞という人物の場面を丁寧につくったこと、
それによって、対照的な生き方をする伊右衛門をより浮かび上がらせようとしたこと、
などを語ってもらいました。

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トークのあとは、演出助手の降矢一美によるバックステージツアー。
みんなで舞台上にあがって、舞台装置の裏側を見たりしました。

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俳優になったつもりで客席を見てみると、とても新鮮なんですよね。
「舞台の上から客席を見ると、観客一人一人の顔が見えるのがわかった。寝ていられないと思った。」
という声も。

バックステージツアーは、
10月8日(土)・9日(日)の終演後にも実施しますので、
ぜひご参加ください。

お客様からは、
SPAC版『東海道四谷怪談』について、
「怪談ということでビビっていたけれどもコミカルな感じで観やすかった。」
「大迫力!衣裳が面白くて、どんどん引き込まれていく。」

などの声をいただきました。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯1
『東海道四谷怪談』
一般公演:10月8日(土)、9日(日)、10日(月・祝)
構成・演出:中野真希 原作:四代目鶴屋南北
出演:木内琴子、泉陽二、大石宣広、春日井一平、河村若菜、永井健二
   ながいさやこ、鈴木麻里改め坂東芙三次、若宮羊市、渡邊清楓
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2016年10月4日

【『高き彼物(かのもの)』への道6歩目】 演出家・古舘寛治インタビュー

8月の第一期稽古からはや一カ月。


【8月の稽古最終日に撮った集合写真】

先日、出演者スタッフが再び静岡に集結し、第二期稽古が始まりました!

さて、今回のブログでは、グランシップ情報誌「グランシップマガジン」に掲載された、
演出家・古舘寛治さんのインタビュー記事をご紹介します。

「フィクションの中に本当に生きている人間がいる」
SPAC新作『高き彼物』で、真の“リアリズム”を追求する

――今年度の「SPAC秋→春のシーズン」で『高き彼物』を演出されますが、
  この規模の舞台の演出は初めてだそうですね。どのような経緯で決まったのですか?

昨年SPACの『舞台は夢』公演の際、終演後のアーティストトークのゲストとしてお招きいただいたのですが、トークの前に芸術総監督の宮城聰さんから「演出をやってみませんか」といきなり言われまして。それがまさに演出をやりたくてたまらなくなっていた時期だったんです。
僕は20代の時アメリカで演技を学んだことから、俳優の演技というものに対して、ある種の目標、理想とする形を持っています。一俳優としてそれを追いかけてきたつもりですが、一俳優にできることは限られている。舞台に出ている俳優の演技全体を自分が理想としているものにしたいっていう欲求が年々膨らんでいました。だから宮城さんのお誘いは、ちょうど良いタイミングでした。

――『高き彼物』という作品を選んだ理由を教えてください。

宮城さんからいくつかの候補作品をいただいて、その中で最後に読んだのが『高き彼物』でした。
恥ずかしながら、この戯曲の存在自体知らなかったんですよ。『サラリーマンの死』にしようかなと考えていたんです。が、これを読んだ瞬間、僕の考える「リアリズム」を追求するのにピッタリの作品だと直感しまして、これに決めました。

――舞台美術を静岡県出身の宮沢章夫さん(劇作家、演出家、作家。遊園地再生事業団主宰)が担当されますね。

宮沢さんは、ご自身の舞台でもそうですが、抽象的なデザインの舞台美術を用いる方なので…覚悟しています(笑)。
「抽象」と「リアリズム」―― 一見相反するようですが、具象的な日常風景の前より抽象的な背景の前で “リアルな演劇”をやる方が、作品としてはより面白くなると思います。宮沢さんとは既に一度打合せをしましたが、これからどんなプランがあがってきて、どう形になっていくのか、ワクワクしますね。

――SPACの俳優陣に加え、今回2名の俳優をオーディションで選ばれたと伺いました。

本作に出演するSPACの俳優を集めて、一度ワークショップを行ったのですが、非常に鍛錬されていて技能が高いですね。
また、主人公の元高校教師の娘役を演じるとみやまあゆみさんも、以前別の仕事でご一緒したことがあり、演技の幅がある方なのでとても楽しみです。
そして石倉来輝くん。彼は実年齢と同じ18歳の高校生の役を演じます。結構大人な内容の戯曲なので、リアルな18歳が演じて大丈夫かなって心配したんですが…杞憂でしたね。オーディションでも堂々としていて、彼しかいないという感じでしたよ。成長に期待しています。

――「リアリズム」という言葉がたびたび登場していますが、古舘さんが考える「リアリズム」とは?

「舞台上のフィクションの世界の中に、本当に生きている人がいる」と見えるようにしたいんです。それが僕にとっての「リアル」であり、「Truth(真実)」です。
アメリカの俳優の中には、「真実」を「リアル」に対する言葉として使う人がいます。「リアル」は客観です。一方の「真実」は、俳優自身が本当にそこに生きていると信じている状態、極めて主観的なものです。俳優がそういう状態になれば、自ずと客観的な存在である観客からは「リアル」に観える。それが僕の信じているリアリズムへの道(メソッド)なのです。その時、見た目の問題を越えて、間違いなく面白いものが立ち上がってくると確信しています。

――最後に、静岡ではテレビCMで目にしない日はない古舘さんですが(笑)、静岡のお客様に向けて一言お願いします。

実は静岡では、道ですれ違っても、お店にいても、声を掛けられたことがないんですよ。一度我慢できなくなってお店の女性に聞いちゃったんです。「僕のこと知ってます?」って。そしたら「ハイ、知ってます」って(笑)。
知っていても知らぬふりをするって、古き良き日本の奥ゆかしさがあって、静岡が大好きになっちゃいました。
そんな大好きな静岡での初演出となる『高き彼物』、ぜひ観に来てください!

【グランシップマガジンvol.7(2016年9月15日発行)に掲載】

真の”リアリズム”演劇を目指して、稽古も順調に進んでいます。
その様子は今後のブログでレポートしていきます!

よい席はお早めにどうぞ!

公演情報はこちら。
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯2
『高き彼物』
一般公演:11月3日(木・祝)、5日(土)、13日(日)、19日(土)
演出:古舘寛治 作:マキノノゾミ 舞台美術デザイン:宮沢章夫
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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