2017年1月29日

【知られざる真夏の夜の夢#4】しんぶんしの森~舞台美術編~

前回のブログでは衣裳についてご紹介しました。
今回は、舞台美術特集!

『真夏の夜の夢』では、「第4回 富士山紙フェア」で衣裳を展示させていただいたご縁もあり、富士市の美術関係の方に作品をご紹介する機会が多くあります。富士市は製紙業が盛んなため、新聞紙を多用した『真夏の夜の夢』に興味を持ってくださる方がたくさんいらっしゃいます!
先月には、「富士美術研究所」にお邪魔してきました。『真夏の夜の夢』の舞台美術デザインを手掛けた深沢襟は、この研究所の出身です。

ただいま舞台芸術公園では、創作・技術部のスタッフが日々黙々と作業を行っています。

新稽古場棟では、新聞紙で作ったオブジェのメンテナンス中。
近づいてみると、部分によっては色を組み合わせて表現していることがわかります。細かい!

野外劇場「有度」でも、寒空のなか連日作業が続いています。
部品がたくさん広げられていますね。

幕が開いた瞬間、わくわくすること間違いなしの舞台美術。
もっと間近で見てみたいという方、知られざることまで知りたいという方、バックステージツアーにぜひぜひご参加ください!
大人気の企画ですので、お早めにご予約くださいませ。

3月5日(日)・11日(土)終演後
所要時間:約30分 参加無料/要予約、定員40名
お問い合わせ:SPACチケットセンター TEL.054-202-3399


衣裳と組み合わさって、さらにインパクト大!!


森の木々のような、のぼり棒にも注目。
アクロバティックな姿勢で台詞を発し、自由自在に宙を動きまわる俳優の身のこなしは圧巻です!

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SPAC秋→春のシーズン2016-2017 ♯5
『真夏の夜の夢』
2017年
2月25日(土)/3月5日(日)・11日(土)・18日(土)・19日(日)・20日(月・祝)
演出:宮城 聰
作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳『夏の夜の夢』より
潤色:野田秀樹
音楽:棚川寛子
出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月25日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古場ブログ#9】

今回は、大阪の人形劇団クラルテから研修にいらしていた佐藤結さんによるブログ最終回です。

いよいよ、シェイクスピアの『冬物語』が一般公演初日を迎えました!とともに、約一ヶ月に渡るわたしの研修生活にも終わりがやってきました。この期間、劇場でお会いした皆さま、ブログを読んでいただいた皆さま。お会いできてうれしく思っています。ありがとうございました。
劇場では1/16より、平日は静岡県内の中高生を劇場にお迎えしてのSPACeSHIP(スペースシップ)げきとも!(中高生鑑賞事業公演)が、週末は一般公演が行われています。SPACeSHIPげきとも!公演は、静岡県内の学校に通う中高生に、その6年間の在学中に一度はSPACを観てもらいたいという思いを込めて実施されているそうで、年間1万5千人から2万人の中高生を劇場でお迎えしています。劇団が劇場を持つ「SPAC」という存在が日本ではめずらしいことなので、他県の在住者からみると、このような劇場が県内にあり、中高生の間に一度は観劇の機会を持てるということをとてもうらやましく思います(中高生の間に、一度も芸術鑑賞の機会がない場合もあるのです)。
なお、中高生鑑賞事業公演は一般の方にもチケット販売されており、土日の公演にいらっしゃることができない方は、平日の鑑賞も可能となっています。演劇は生なので、客席の雰囲気がダイレクトに舞台に伝わります。たくさんの中高生と一緒に作品を観るというのもなかなかできない体験なので、いらしてみるとよいかもしれません(今回は特に、漁師親子のシーンが大盛り上がりです)。


<漁師親子(ムーバー左・横山央、右・小長谷勝彦)が最初に登場する場面。愛すべき親子>


<SPACeSHIPげきとも!公演時、ロビーでのお見送りの様子>

演出の宮城さんは、『冬物語』はシェイクスピア晩年の作品で、それまでのシェイクスピア戯曲にみられるような、人が人を殺すことのない作品だから選んだということと、過ちを犯した人間にも大いなる「赦し」が訪れる作品だと以前のおためし劇場でおっしゃっていました。上演を観ながら、『冬物語』というタイトルは、登場人物たちの心象風景なのかな…と思ったりもします(Winter’s Taleという英語には、「冬の夜長をやり過ごすために暖炉のそばで語られるたわいもないやりとり」という意味があるそうですが)。劇中で描かれることのない16年、その年月を、自分が招いた罪の重さに苦しみながらシチリア王・リーオンティーズはいかに過ごしてきたのか…、アポロンの神託を信じ、王妃・ハーマイオニを慕いつづけたポーリーナは…、善良な判断で結果的にリーオンティーズの命に背き、異国・ボヘミアで16年を過ごしたカミローは…。きっとそれは、大切なもの(人)をなくしたことによる冬の寒さのように凍てついた16年だったのではないでしょうか。大切なものを失った彼らに対し、これから色んなものを得て、未来をつくっていくフローリツェルとパーディータの明るい存在感。暗く悲劇的な前半から喜劇的な盛り上がりをみせる後半への飛躍には命の躍動が感じられますし、人が人を殺す話を多く描いてきたシェイクスピアが、そうではない物語を晩年に書いたということは必然だったかもしれないなと思います。そして、どうにもうまくいかないひとりの心の歯がゆさを、二人一役という手法が引き立てます。


<シチリア王・リーオンティーズ(ムーバー・大高浩一)に臆することなく相対するポーリーナ(ムーバー・たきいみき)と、妻・ポーリーナの凛とした姿勢に遅れながら、決して流されるままではないアンティゴナス(ムーバー・吉見亮)>

演劇としてみると、リーオンティーズのように急に気持ちが変わって怒り狂うなんていうことはおかしいと思われるかもしれませんが、これって、実は現実によくあることではないかな、と思います。そんなつもりはなかったのに、ふとつぶやいた一言があとから大きな事件につながってしまったり、人を傷つけ、とりかえしのない事態になることも…。ひとりの人間の中にいろいろな人格を持っていたり、言おうと思ったことと口をついて出た言葉が違っていたり、今も昔も、王様も庶民も、人間って変わらないなあ、愛すべき存在だなあとシェイクスピア劇をみて思ったりもします。ただ、『冬物語』では最後に大いなる癒しが訪れますが、普通の人生だとそうもいきません。不用意な言動には気をつけたいものです。


<豹変したリーオンティーズに愁いながら、それでもなおやさしさをみせる妻・ハーマイオニ(ムーバー・美加理)>

さて、本日をもって、わたしの研修期間は終了です。数回のブログを読んでくださった皆さま、誠にありがとうございました。公演のない日は閑散として閉ざされた空間であることも多い劇場ですが、SPACでは、公演のない日にも劇場1Fロビーは開放されており、演劇をつくるためのプロフェッショナルな各専門スタッフと俳優が所属して、日々、クリエイションが行われているので、劇場が生きていることを感じました。毎日毎日色んな人の出入りがあり、劇場もうれしそうですよ。また、劇場を使った公演だけでなく、こどもたちのためには、舞台と近い距離でたのしめる「おはなし劇場」が、劇場へ足を運びにくい方のためには「リーディング・カフェ」「アウトリーチ活動」があります。SPACは、演劇に関連する活動を多岐に渡って行っています。情報はホームページでご確認くださいね。
そして、ぜひ、劇場にいらしてみてください。劇場は、あなたが来るのを待っています!(2017年1月22日)

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月24日

【知られざる真夏の夜の夢#3】しんぶんしの森~衣裳編~

SPAC版『真夏の夜の夢』の衣裳や舞台美術のモチーフは、これ!


新聞紙です。(おおっと、「シェイクスピアの『冬物語』」の紹介記事!)

言葉遊びや言葉を壊すという要素を含んだ『真夏の夜の夢』の戯曲を、ビジュアルでも表現したいということから、
身近にある文字の媒体・新聞紙を使った壮大な「知られざる森」が誕生しました。
あちらこちらに使われており、物語の世界観を巧みに描き出す重要な要素となっています。

今回は、衣裳についてご紹介します。
デザインは、創作・技術部の駒井友美子です。創作秘話満載のインタビューはこちら(2014年上演時に収録)。

妖精たちの衣裳をよーく見てください!

新聞紙そのものを素材に作った部分のほかに、布に新聞紙柄をプリントした部分もあるんです。
個性豊かな妖精たちにぴったりで、とてもユニーク!
「オーベロンの衣裳(注:舞台写真3枚目。演者・貴島豪)は、木の根っこのようになっています。大きい木のイメージです。役者に高いところに立ってもらって、足元へ向かって根っこが出ているような衣裳にしました。演出家や装置担当者と話して出てきたプランです。あの衣裳を着ると歩くことができないんです。貴島さんがおもしろがってくれたのが救いでした。」(駒井友美子インタビューより)


妖精の女王・タイテーニアのヘッドアクセサリー。シュレッダーにかけた新聞紙をボンドやニスで固めたとのこと。


こちらはスカート。ここには、接着芯に新聞紙を貼ってから縫い合わせるといった工夫があります。


何度も上演を重ねている本作ですが、衣裳スタッフの手で丁寧にメンテナンスされています。

昨年の「第4回 富士山紙フェア」での展示も大好評だったこれらの衣裳。
なんと、「シェイクスピアの『冬物語』」公演期間中(~2月12日)の静岡芸術劇場1階ロビーで展示しております!!
間近で見られるチャンス、ぜひお立ち寄りください。平日や休演日もご覧いただけます。
お客様からは「本当にこれ着て動けるの?!」と半信半疑の声も挙がっていますが、もちろん実際に着用しているものです(笑)


↑左・タイテーニアの衣裳、右・オーベロンの衣裳

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SPAC秋→春のシーズン2016-2017 ♯5
『真夏の夜の夢』
2017年
2月25日(土)/3月5日(日)・11日(土)・18日(土)・19日(日)・20日(月・祝)
演出:宮城 聰
作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳『夏の夜の夢』より
潤色:野田秀樹
音楽:棚川寛子
出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月20日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古場ブログ#8】稽古風景写真 ヘアメイクも入りました!

『冬物語』のおためし劇場レポートでは、おためし劇場で観ていただいた冒頭からの舞台での稽古の様子をご紹介しましたが、その続きのシーンの様子も少しご紹介します。ヘアメイクも入ってきています!

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嫉妬に狂う王リーオンティーズ(左・ムーバー・大高浩一)と、彼の誤解を必至に解こうとする家臣アンティゴナス(右・ムーバー・吉見亮)

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ハーマイオニの産んだ赤ちゃんをリーオンティーズに見せる侍女たち(左・佐藤ゆず、右・赤松直美)

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ハーマイオニを裁く法廷でアポロンの神託を読み上げる役人(ムーバー:貴島豪)

シチリアが舞台の前半は、重苦しい空気が満ち、最後には悲しい出来事が折り重なるまさしく悲劇。それに対して、ボヘミアが舞台となる後半は、うってかわって、陽気な人々が登場。にぎやかな村祭りが繰り広げられます。

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ボヘミアの荒地に捨てられたシチリアのお姫様パーディータを見つけた漁師の父(右・ムーバー・小長谷勝彦)とその息子(左・ムーバー・横山央))

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漁師の息子を取り合う村の娘。左はモニカ(ムーバー・佐藤ゆず)、右はダーシャ(ムーバー・桜内結う)

HI8_8978
漁師の娘として育てられたシチリアのお姫様パーディータ(ムーバー・布施安寿香)とボヘミア王子フローリツェル(ムーバー・大内米治)

HI8_8792
そして、謎の詐欺師・オートリカス(ムーバー・武石守正)

いよいよ1月21日(土)は一般公演初日です。
どうぞ、お楽しみに。

終演後には、アーティストトークもあります。

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1月21日(土) アーティストトーク 終演後1Fロビーにて開催

宮城聰(演出)& たきいみき、布施安寿香、本多麻紀(出演)
司会:大岡淳(SPAC文芸部)
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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月13日

【知られざる真夏の夜の夢#2】シェイクスピア+野田秀樹=?

本日は、『真夏の夜の夢』の戯曲についてご紹介します。

原作は、シェイクスピアの喜劇『A Midsummer Night’s Dream』。
『夏の夜の夢』もしくは『真夏の夜の夢』と訳されています。
日本での上演回数も多く、オペラやバレエにもなっているため、ご存じの方も多いかもしれません。
メンデルスゾーンによる劇付随音楽『結婚行進曲』も有名ですね!(パパパパーン…♪って曲です)

今回上演される『真夏の夜の夢』は、そのシェイクスピアの戯曲を、世界的に活躍する劇作家・演出家の野田秀樹が潤色したものです。
興味のある方は、原作『夏の夜の夢』小田島雄志訳(白水Uブックス)もぜひ読んでみてください!
どのようなアレンジがされているのかを知るのも、楽しみ方のひとつです。

SPACでの初演は、2011年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」です(演出:宮城聰)。
それから、2014年のロングラン公演「フェスティバル/トーキョー15」での公演と上演を重ねてきました。
宮城は「フェスティバル/トーキョー15」のアフタートークで、野田秀樹作品への思い入れを語っています。

(以下、「フェスティバル/トーキョー15」のFacebookより)

さて、先にも書きました通り、本作のベースはシェイクスピア作の恋物語です。
森に迷い込んだ4人の恋に悩む若者たち。そこで出会った妖精パックが、恋の媚薬でいたずらをして、
人間と妖精が入り乱れての大騒動!というのが大筋。


↑妖精パック(牧山祐大)

…かと思いきや、なぜかそこにシェイクスピアの原作には登場しない悪魔・メフィストフェレスが参戦!!
舞台も富士の麓の「知られざる森」に置き換えられ、登場人物名や台詞にも、思わず笑ってしまうような言葉遊びがふんだんに盛り込まれています。
そんな魅力的な登場人物(登場妖精?)たちの紹介は、また改めて♪


↑左・メフィストフェレス(渡辺敬彦)、右・そぼろ(本多麻紀)

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SPAC秋→春のシーズン2016-2017 ♯5
『真夏の夜の夢』
2017年
2月25日(土)/3月5日(日)・11日(土)・18日(土)・19日(日)・20日(月・祝)
演出:宮城 聰
作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳『夏の夜の夢』より
潤色:野田秀樹
音楽:棚川寛子
出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月12日

おためし劇場 シェイクスピアの『冬物語』編 レポート

1月8日に今年最初の静岡芸術劇場でのイベント「おためし劇場」が開催されました。

レポーターは大阪の「人形劇団クラルテ」から研修でいらしている佐藤結(さとうゆい)さんです。

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寒さが一層増しつつある折柄、いかがお過ごしでしょうか。
先日、初日を約一週間後に控えたシェイクスピアの『冬物語』のおためし劇場が開催されました。

あいにくの雨模様でしたが、約30名のお客様に参加いただきました。お足元の悪い中お越しいただき、誠にありがとうございました。

まずは、カフェシンデレラにてSPACの新作『冬物語』がどんな作品なのか、制作部スタッフが簡単にご紹介。そしていざ劇場内へ!

初日を約一週間後に控えているとはいえ、まだまだクリエーション中の本作。
稽古は幕開けシーンからスタート。

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場所はシチリア。シチリア王・リーオンティーズのところに、幼少の頃を一緒に過ごした大親友のボヘミア王・ポリクセネスが訪問し、滞在9ヶ月が経ったある日。


シチリア王の臣下・カミロー(左・ムーバー 牧山祐大)と、ボヘミア王の臣下・アーキデイマス(右・ムーバー 赤松直美)が、シチリア王の宮廷で立ち話。奥からはシチリアの王子・マミリアス(ムーバー ながいさやこ)が。


シチリア王・リーオンティーズ(ムーバー 大高浩一)とボヘミア王・ポリクセネス(ムーバー 泉陽二)も登場。それに続くのは、ボヘミア王の臣下・アンティゴナス(ムーバー 吉見亮)とその妻ポーリーナ(ムーバー たきいみき)。一番後ろには王妃・ハーマイオニの侍女・エミリア(ムーバー 桜内結う)が。


ポリクセネスは、急に自国のことが不安になり、リーオンティーズに「明日、帰国したい!」と。リーオンティーズはもう少しいてくれと頼むが、聞いてはもらえず。


リーオンティーズは、ハーマイオニ(ムーバー 美加理)に、「お前も、説得してくれ」と。そこで、ハーマイオニが懇願すると、ポリクセネスは滞在延期を受け入れる!?


その様子を見ていたリーオンティーズは、王妃ハーマイオニとポリクセネスにあらぬ疑いをかける。彼の嫉妬からすべては始まる…


舞台後方にはスピーカー(語り手)が。山本実幸(左)はマミリアス、阿部一徳(右)はリーオンティーズのスピーカーを担当。

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ある程度の長さシーンを通すと、演出の宮城さんから、俳優の演技に対して、コメントが。緊張の一瞬…。

参加された方からは、「初めてプロの稽古を見たのでとても圧倒された」「話し方などの指導がこんなに細かくあるのかと思った。」といったご感想をいただきました。

稽古見学後は、出演者による簡単な自己紹介。総勢22名の出演者が並ぶ姿はそれだけで圧巻です。

稽古中の表情と普段の表情、その二面に接することができるのもおためし劇場の醍醐味ですね。

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その後、演出の宮城さんへのQ&A。

やはり皆さんが気になるのは、なぜ今回、二人一役の手法で作ることにしたかという点。

「(物語のきっかけとなる、リーオンティーズが前触れなく激しく嫉妬に狂う点をさして)『冬物語』という戯曲は、シェイクスピアらしくない始まりで、ヨーロッパのリアリズムの演技では、どうしてこういう状況になったのか、お客さんには納得できないところがある。だからリアリズムでやろうとした場合には、セリフに書かれていない動きを入れたり、ここに至る経緯を想定し、この嫉妬を理解できるようにする。けれども、シェイクスピアの戯曲自体には、この嫉妬はやはり突然のものとして書かれている。これをヨーロッパ的なやり方ではない、別の手法を用いたらまた面白いものができるのではと思い、二人一役を選んだ」と話されました。

そのほかにも、「出演者が22人もいるなか、練習はどのように?」といった質問や、「ムーバー(動き手)の表情や動きが、スピーカー(語り手)のセリフが作り出す表情に比べて、抑制されているのはなぜ?」といった稽古を観ての鋭い質問も。

そして「『冬物語』を通して観客に何を伝えたいか?」という質問には…
「シェイクスピアのいろいろな戯曲を読むと、ヨーロッパではこんなにも戦争をしていたのかと思う。シェイクスピア戯曲では、“人間の愚かさ”によって死が訪れるストーリーが常だったが、『冬物語』など最晩年に書かれた作品では、犯した過ち・愚かさによって人が死なない話になっている。人が人を殺さない、人への赦しがある。大きな過ち・愚かさを持つ人間がそれでも赦される話。シェイクスピア自身、あれだけ人が死んだり、殺し合う物語を書いてきたが、最晩年には、人が人を殺すことはもうやめてほしいと思って書いたのではないか。イギリスのEU離脱をはじめ、歴史が逆戻りしているかのような昨今の世界情勢を見ていて、よく知られたシェイクスピア戯曲ではなく、人が人を殺すことのない『冬物語』を選んだ」とのことでした。

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宮城さんから濃厚な話を聞いたあとは、参加者の皆さんには舞台にも上がっていただきました。

実際の上演と同じ完全暗転を体験してみたり(かすかな灯りを頼りに俳優は舞台上を移動するのです)、俳優が舞台上から見ている景色を見たりすることができました。今回の舞台美術には、「こんな素材で、こんな空間ができるとはびっくり!!」という感想をたくさんいただきました。「今までの舞台装置で最もインパクトがありました」という声も。ぜひ劇場でお確かめください。

初日まで一週間を切りました。
舞台作業もいよいよ大詰め、日々の稽古を通じて作品はぐんぐん成長しています。
ご期待ください!

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月9日

【シェイクスピアの『冬物語』稽古場ブログ#7】今日の劇場はひっそりと

シェイクスピアの『冬物語』は、
年が明けて1月4日から劇場での稽古を着々と進めています。

前回のブログで紹介しました、謎のクルクルは、
不思議な模様を浮かび上がらせながら、劇場の天井近くまでそびえています。

クルクルは、小さな段差にも丁寧に貼られていきました。

それにしても、劇場の中に入り、
できあがった舞台舞台装置の全貌をみると、
もうそれだけでも圧巻です。

素材に継ぎ目があるのを見ると、
劇場に持ち込まれたミシンは、どうやらこのクルクルを、
つなぎ合わせるために使われたようですね。

さて、昨日1月8日には、作品の創作過程をご覧いただける、
「おためし劇場」が開催され、今日は新年最初の稽古休み。
(おためし劇場の様子は次回のブログで、たっぷりご紹介します。)

そんなわけで、劇場の中はひっそり。

でも、静けさの中で、今日も作業が進められています……

今日は照明作業の日。

照明デザイナー大迫さん指揮のもと、
照明スタッフが総出で作業しています。

舞台で俳優の立つべき位置にスタッフが立ち、
操作卓にいるスタッフが照明を操作し、
実際の明かりのあたり具合をみながら、
大迫さんが一つ一つのシーンの
明かりの位置や強さ、変化の仕方などを
決定していきます。

一人ではできない、現場にいる全員での協力作業です。

照明は、客席の上にも吊るされています。

暗くてわかりにくいのですが、
手前の明るみにいらっしゃるのが照明デザイナー大迫さん、
奥の明るみの操作卓にもスタッフが。

暗い劇場の中でひっそりと進められる作業は、なんだか神秘的。

作品の完成に向けて、劇場という空間に
また一つの新たな魔法がかけられていく一日です。

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SPAC秋→春のシーズン2016 ♯4
シェイクスピアの『冬物語』
一般公演:1月21日(土)、22日(日)、29日(日)
     2月4日(土)、5日(日)、11日(土)、12日(日)
演出:宮城聰 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:松岡和子
音楽:棚川寛子 出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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2017年1月7日

【知られざる真夏の夜の夢#1】大公開!チラシ撮影の裏側

2017年が始まり、『真夏の夜の夢』の公演も迫ってまいりました!!
「シェイクスピアの『冬物語』」とのお得な『冬・夏』セット券も販売中。詳細はこちら
2作品合わせて、シェイクスピアの魅力を存分に味わっていただけたら嬉しいです♪

さて、『真夏の夜の夢』のこのチラシ。森に住む妖精たちが、闇の中から顔を出しているイメージです。

こちら、どうやって撮影したかといいますと…合成ではないんです!

カメラマンさんが真上から撮影しています。


昨年夏のある日、静岡芸術劇場の舞台に集合した出演者。まさに黒山の人だかり…。
洋服、手袋、靴下に至るまで、全身真っ黒。そして頭には黒ストッキングを被って、顔だけを出しています。


順番に寝転んで重なり合い、顔を寄せていきます。もはや誰が誰だか…笑
苦しい体勢ですが、いざ撮影が始まると次々とコミカルな表情を作ってくださり、とっても楽しい写真ができあがりました。さすがです。


待ち時間の様子も非常にシュールでした。

2011年に初演、14年にはロングラン上演を成功させ、「フェスティバル/トーキョー15」のオープニングを飾ったSPACの大ヒット作。
まだご覧になっていない方、何度でも観たい方、皆様お待ちしております!!

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SPAC秋→春のシーズン2016-2017 ♯5
『真夏の夜の夢』
2017年
2月25日(土)/3月5日(日)・11日(土)・18日(土)・19日(日)・20日(月・祝)
演出:宮城 聰
作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳『夏の夜の夢』より
潤色:野田秀樹
音楽:棚川寛子
出演:SPAC
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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