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2014年2月22日

真夜2014【13】 出演者インタビュー 目が悪い精:山下ともち

『真夏の夜の夢』の出演者インタビュー、
第6回は、前々回にご紹介した吉見と一緒に、
もうひとりの「目が悪い精」を演じる山下ともちです。


目が悪い精:山下ともち(やました ともち)
静岡県静岡市出身 A型
 
–目が悪い精の一番の見せどころは?
 目が悪い精は、吉見さんが演じる、もうひとりの目が悪い精と対になっていて、実はふたりでいろいろなことをしています。例えばポールの上で、ふたりで乾杯をしてビールを飲んでいたりとか、片方がもう片方に果物をあげて、食べていたりとか… 台詞ではない、そういった妖精たちのコミュニケーションが妖精ワールドのエッセンスになっているといいなぁ。ふたりのやりとりを見て、この妖精は仲良しなんだなあと、思えてもらえたらと思います。



<目が悪い精(前&左:山下ともち、後&右:吉見亮)>

–『真夏の夜の夢』の中で一番好きな台詞やシーンは?

 すごくピンポイントですが、恋する女の子「そぼろ」ちゃんが、作品の最後に近いシーンで言う台詞です。

〜〜〜〜〜
この悪い夢は、
あたしの呑みこんだコトバがつくりだした
願いだったのかもしれない。

〜〜〜〜〜

 「あたしの呑みこんだコトバがつくりだした願い」というところですね。この作品では、主人公のそぼろちゃんの呑みこんだコトバがつくりだした願いが、『真夏の夜の夢』として、舞台の上で形になっています。けれども、口にすることができずに呑みこんだコトバは、そぼろちゃんに限らず、お客さんも私も含め、みんなにあって、そぼろちゃんの願いが『真夏の夜の夢』になったのと同じくらいに大きな願いが、みんなにあるのだと思います。呑みこんだコトバは、そぼろちゃんの場合のように嫉妬の言葉かもしれないし、他のシーンで言われるように美しい言葉で、その言葉が作り出したものはすごく素敵なものかもしれない。私はこのシーンでは指揮をしていて集中しているんですが、それでもこの言葉を聞く瞬間、いつもそういう誰もが持っている呑みこんだ言葉や願いに、思いを巡らしてしまいます。

 それから妖精の女王タイテーニアのこの台詞も好きです。

〜〜〜〜〜
どうしたのかしら。
月の光が泣きだしそう。
涙ぐんだ目をして。
月が泣いたら、花という花もみんな涙を流すわ。

〜〜〜〜〜

 こんなに情緒的で美しい言葉を、普段の生活でも自然に言えるような人になりたいですね。そして、お付き合いするなら、こういう言葉に共感できる人がいいです(笑)

 そして、好きなシーンと言えば、舞台の前面にある幕が開いて、妖精が住む森が一気にひらけてくるシーンです。ビックリ箱がパーンと開いて、いろいろなものがわーっと飛び出してくるような、そんな楽しい瞬間だと思います。


<妖精登場シーン パック(左:牧山祐大)&目が悪い精(右:山下ともち) 2011年初演>

–初演の時と違いを感じることはありますか。
 全体的にスピード感が増して、まるで飛び出す絵本のページをめくる度に、いろいろなものが出てくるような感覚は、前よりも強くなっているのではないかと思います。
 初演の時は、目の前にあるやるべきことをやるのにとにかく必死でした。しかも2回きりの公演なので、全てあっというまでした。今回はロングラン公演なので、初演のときには気づけなかった、この作品の言葉の面白さや深みが見えてきています。そして日々稽古や本番を重ねていく中で、ちょっとした瞬間に今まで気づけなかったことを感じられることがあるんです。たとえば、今日は、ときたまごちゃんが恋人に突然見向きもされなくなってしまった時の心の奥のもっともっと深いところにある気持ちを感じられたとか、悪魔メフィストの心の悲しみが見えたとか。

–最後に読者のみなさんにメッセージを
 この作品には「コトバのゴミ」という言葉があるのですが、言葉がもつ威力をすごく感じています。言葉は時に人を傷つけるし、言葉によって人が死んでしまうこともある。もしそういう言葉をゴミというのならば、それを呑みこむのは、人を傷つけないための思いやりだと思います。人の言葉で傷つけられることもあれば、違う人間が別の言葉で救ってくれることもある。この作品を見て、自分が普段どんなふうに言葉を使っているのかを、ちょっとでも考えてもらえたら、うれしいです。

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山下の2011年初演時のインタビューはこちらで読むことができます。

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