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2014年2月25日

真夜2014【14】 出演者インタビュー あたしの精:赤松直美、石井萠水、木内琴子

『真夏の夜の夢』の出演者インタビュー、
第7回は、これまでと少し趣向を変えてみました。

妖精「あたしの精」を演じる3人、
赤松直美、石井萠水、木内琴子の鼎談です。


あたしの精:赤松直美(あかまつ なおみ)
愛媛県出身 AB型


あたしの精:石井萠水(いしい もえみ)
静岡県浜松市出身 A型


あたしの精:木内琴子(きうち ことこ)
神奈川県出身 A型

–「あたしの精」はどんな妖精ですか?
石井:野田さん潤色の『真夏の夜の夢』は、割烹料理屋ハナキンが舞台で、その従業員の娘そぼろちゃんが主人公です。作品全体がそぼろちゃんの夢という設定なので、森の中に住む「あたしの精」は、料亭の仲居さんたちがそのまま妖精になって出てきたというイメージでやってみたらどうかと、みんなで話したことがあります。着物を着ているような体の動きをとりいれたり。

赤松:実はちょっと内股で走っていたりとか。

石井:仲居さんは着物を着ているので、あたしの精も、あまり足が開けないとか、おばちゃんっぽさがあったり。

木内:そうそう、うわさ好きだったり。


割烹料理屋ハナキンの場面 あたしの精を演じる3人は仲居も演じる(写真右から2人目:石井、3人目:木内、4人目:赤松)

–あたしの精の見せどころはどこでしょうか?
木内:決め台詞で、明りがあたるようになりましたよね(笑)

赤松:初演よりもね(笑)あたしの精の決め台詞に「どうせ、あたしのせい。あたしのせいでございますよ。」というのがあるのですが、そこでどれだけ「おばちゃん度」をあげられるかですかね。

石井:あたしの精に限らず妖精は、まず舞台美術の一部であるのがすごくいいなと思うんです。目指すところは、たくさんの人数でひとつの絵を作ることかなと。それぞれのシーンで自分たちの居方が変わると、そこにある景色全体が変わっていくような。
たとえば、恋するそぼろが恋人のデミとのデートで撮った写真を後で見た時に、彼女が見るのは真ん中にいるふたりだけど、その写真のバックにうつるイルミネーションとか海の風景は、彼女の思い出の一部になっている。それと同じように妖精たちは、そぼろの夢を構成しているパーツのひとつかなと思います。

赤松:日本平の中腹にある舞台芸術公園の森の木を見ていると、風も吹いていないのに、なぜか葉っぱが3枚だけぴぴぴぴっと動いていたりするんです。そういうのを見ると、そこに妖精がいそうだなと思うんです。作品の中で、妖精がしゃべっても、人間には鳥の声にしか聞こえないというシーンがあります。だから、妖精はある時には、森の一部になるし、時には或る人間にだけは見えたり、「逆隠れ蓑」をまとって突如人間の前に出現したりする、そんなイメージです。


<妖精大集合! 左端からあたしの精・木内、石井、赤松>

–一番好きな台詞、シーンは?
赤松:ときたまごが、これまで両思いだったライさんに嫌われて、捨てられた後に言う台詞です。

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こんなに疲れて、こんなにみじめな思いははじめて。
露にはそぼぬれ、茨にはひっかかれ、
心ははやっても足がいうことをきいてくれない。
眠ってみよう、眠れば、また元通り
ライさんがあたしのところへ戻ってくるかもしれない。

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これまで何の不自由もなく恵まれて生きてきた子が、初めて挫折を味わって、どん底に突き落とされた時の言葉かと思います。心にしみます。

–ときたまごちゃんはよく寝ますよね。
赤松:そう、すごい火事の中でも、「眠ってみよう」って寝たりして(笑)でも私もそういうところがあって、本当に何かがどうしようもなくなって、もうダメだと思ったら、開き直ってとにかく寝て頭をクリアにします。

木内:私は、そぼろが、大好きなデミさんにどんなに思いを告げても嫌われて、ひどいことを言われるのに、それを切り返す台詞ですね。

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あなたは世界のすべてよ。
だから、人気がないどころか、
私は今、世界のすべてと一緒にいるのよ。

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木内:すごい切り返しですよね。自分がすごく満たされていて、世界との関係で最高の状態にいると思える瞬間、もうこのまま死んじゃいたいなと思える時に出てきた言葉ではないかと思っています。

石井:私が好きな台詞はメフィストのこれです。

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拾っておくよ、そのコトバ。
悪魔に拾われちゃなんない。

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石井:そぼろが「こんな森消えてしまえ」と言いかけて、途中で言葉を呑み込んだところで、悪魔メフィストが言う台詞です。本当にお話を牛耳っているのは、主人公のそぼろではなく、メフィストだということを暗示する場面ですね。

木内:悪魔との契約が、ちょっとした恐怖や不安とか、悪い方向にものを考えることとかで、こんなに簡単に成立してしまうことを思わせるシーンですよね。

赤松:そぼろちゃんが「悪魔とでも誰とでも契約したい気分なの」って言うじゃないですか。人間だれでもそんな時があって、そういう時には、冷静な状態だったら決してしないことを「まあ、いいか」って思ってしてしまう。気をつけろってことだよね。

石井:気をつけます(笑)

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あたしの精を演じる女優による鼎談、いかがでしたでしょうか。

3人の2011年初演時のインタビューはこちらで読むことができます。

2011年『真夏の夜の夢』初演インタビュー
赤松直美
石井萠水
木内琴子

さて、ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演も、
残り3週となりました。

週末の公演は3月1日が最後となりますが、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日まで続きます。

中高生鑑賞事業公演は、一般の方もご観劇いただけます。
また、3月10日(月)には平日の夜公演(18:00開演)もありますので、
まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!