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2014年3月13日

真夜2014【27】 出演者インタビュー 氷屋:加藤幸夫

『真夏の夜の夢』出演者インタビュー、
第20回は、ハナキン出入り業者「氷屋」を演じる加藤幸夫です。


氷屋:加藤幸夫(かとう ゆきお)
愛知県出身 O型

–加藤さんが演じる氷屋さんの見どころはどこですか。
 僕の役というよりは、出入り業者のひとりとして、業者をまとめてみていただけたらと思います。『真夏の夜の夢』は、シェイクスピアの原作に悪魔メフィストが入り込んでいるのが、野田さん潤色テイストのひとつですけれども、野田さんはそこに『不思議の国のアリス』というまた別の物語を入れ込んでいます。アリスがいつの間にか不思議の国に紛れ込んで、奇天烈な出来事に翻弄されていくのは、『真夏の夜の夢』のそぼろちゃんが森に入り込んでいくのと、重ねられています。それで、この『不思議の国のアリス』が『真夏の夜の夢』に入り込んでいるという構造を支えているのが、劇中劇で『アリス』の芝居の稽古をするハナキン従業員や出入り業者です。いつも、物語の転換となる場面で、彼らが登場して、『不思議の国のアリス』を想起させていくんですね。そして終盤に氷屋が「最後の証人を!」と叫ぶ瞬間で、二つの物語がひとつにクロスします。


<ハナキン従業員&出入り業者「余興、何する?」「あれは?あれ!」>

 業者たちは、そんなわけで物語の本流ではない、もう一つの流れを支えているんですが、本当に陽気でお馬鹿な人たちです。前のインタビューで酒屋を演じる一平ちゃんがいっていた「氷屋さんが灰皿になっちまったぞー」みたいなところは、本当に馬鹿だな〜と思います。そして馬鹿だからこそ憎めないし、愛せる存在でもあります。楽しんで観ていただけたら、もうほんとうにそれで十分なんですけれども…
 老舗の割烹料亭「ハナキン」の出入り業者とは言うけれども、日常生活で彼らはほんとうに何をやっているんだろう、毎日遊んでるんじゃないかというくらい、仕事をしている感じはしないですね(笑)それでも森の中で、余興のお芝居の練習に真剣に取り組んでいる、その本気具合はいいですね。


<『不思議の国のアリス』のうさぎを演じる氷屋(加藤)
左端は演出を買って出たメフィスト(渡辺)>

–『真夏の夜の夢』で好きなシーンを教えてください。
 最後のシーンですね。真夏の夜の森がメフィストの憎しみの火で燃えている中、そぼろがメフィストの物語を作って語ることによって、その言葉からメフィストの涙が森に降り注ぎ、火も消えるんです。これでそぼろは、妖精たちともお別れとなるけれども、妖精の王オーベロンや女王タイテーニアは、たとえ見えなくなっても森で恋人たちのことを待っているという。このシーンで自分は客席に背を向けて演奏をしているので、本番中芝居は見えないので、前面で繰り広げられていることを、聞こえてくる台詞から想像しています。だから、余計に自分の中で想像が膨らんで、印象的なシーンになっているのかもしれないですけれども。メフィストが自分の思い通りに森を焼き尽くしたのに、そこで孤独を味わい、不覚にも涙してしまう彼の心情を思いやると、またぐっときてしまうんです。


<演奏稽古風景>

加藤の2011年初演時のインタビューはこちらで読むことができます。

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ご好評をいただいている『真夏の夜の夢』ロングラン公演、
平日の中高生向けの鑑賞事業公演は3月14日までです。

まだ観ていないという方、もう一度観たいという方、
どうか、お見逃しなく!

★公演詳細、中高生鑑賞事業公演の日程は、こちらからご確認ください。