2014年7月24日

『室内』ヨーロッパ・ツアー レポート(5)

『マハーバーラタ』に続き、『室内』もアヴィニョンにて、
順調に公演を続けております。

今回のレポートはマリー役を演じる布施安寿香からです。

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みなさまこんにちは。SPAC俳優部の布施安寿香です。
ただいま『室内』上演のためアヴィニョンにきております。

アヴィニョンに来るのはこれで二回目です。
一度目は三年前、その前年に出演したフレデリック・フィスバックさんの「令嬢ジュリー」が、
フランス人の俳優ヴァージョンで上演されることになり、個人的に観劇に来ました。
そのときにアヴィニョンのお祭りの空気に感動して、インやオフの芝居を見ながら
「いつかはここで芝居をやるぞ」と心密かに野望を抱いたのですが、
まさか三年後に実現するなんて夢にも思いませんでした…!

出演する側になった今年は残念ながら
観劇やアヴィニョンの空気を味わう気持ちの余裕がないのですが、
やっぱり俳優なので、自分が出演する芝居のことを
ずっと考えていられるのがとても幸せで、
一度目のときよりも充実した気持ちです。
特に今年はアンテルミッタンのストや悪天候などで、騒然としていて、
だからこそ、私たちの『室内』という作品を静かに穏やかにやることが
とても大事なのではと思って日々の作品につとめております。

さて、レジさんとも長年一緒にお仕事をされていた演出家のダニエル・ジャンヌトーさんが、
「照明オペレーターはもう一人の俳優だ」とおっしゃっていたことがありました。
『室内』においてもとても重要な要素の一つが照明です。
そんなわけで今回はもう一人の俳優、照明オペレーターのピエールさんを紹介したいと思います。

Pierre_et Asuka

左側がピエールさん。(わかりますね…笑)

ピエールさんはウィーンから始まった再演のツアーからご一緒いただいてます。
静岡初演のときはレミさんという方で、
照明のデザインはレミさんがされてピエールさんが引継ぎました。

実は、再演になってから私たちの作品はおよそ15分ほど短くなっています。
セリフも動作も一切カットはしてないのですが…。
『室内』の照明はとてもとてもゆっくり変化していきます。
秒単位ではなく分単位でゆっくりと変わっていきます。
ですので、静岡での照明プランでは、照明の変化とお芝居の流れがだいぶ違っていて、
途中合流のピエールさんはとても苦労されたと思います。
でもそんなそぶりを私たちに見せることなく、
稽古の中で私たちに寄り添いながら見事に溶け込んで下さいました。

とても微かな変化ですが、いつもそのあかりに助けられています。
この作品はとても静かなので、照明のつきはじめや変化の間に球が鳴る音や、
稽古中はピエールさんがプランを打ち込んでいる音も聞こえたりして、
視覚だけでなく音でも一緒にいます。

私が最近1番好きなシーンは、
最後、私たちが去っていくときに、
ゆっくりと私たちがシルエットになっていくように
手前の明かりが消えて奥が明るくなっていくのですが、
その間はジジーと音がしていて、変わり切ったあとに、
おとずれる沈黙がとても好きです。

今日もその沈黙を観客の皆さんと共有できることを願いながら
いってきたいと思います。

最後になりますが、フレデリック、ダニエル、レジさん、
(それからこのフェスティバルディレクターでもあるオリビエ・ピィさん)といった
素晴らしいフランスとのご縁がこれからも続いていくように誠心誠意、
この作品をパリまで続けていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

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