2018年2月16日

◆中高生鑑賞事業「SPACeSHIPげきとも!」パンフレット連動企画◆ ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~』 俳優トーク

中高生鑑賞事業公演では、中高生向けの公演パンフレットをみなさんにお渡ししています。パンフレット裏表紙に掲載しているインタビューのロングバージョンを掲載しますので、ぜひお読みください。
デズデモーナ役・美加理とオセロー役・阿部一徳が、今回のSPAC版『オセロー』の魅力を、初演時をふり返りながら語っています。
(インタビューは2017年12月23日に行ったものです)

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左:デズデモーナ役 美加理(みかり)
右:オセロー役   阿部一徳(あべ・かずのり)

<初演時から積み重ねてきたもの>

―稽古はどのように進んでいますか。
美加理(以下、M):宮城さんが演出するときは、まず俳優たちで話し合って、試行錯誤しながら場面を作るのですが、みんなで話し合うのは楽しいですね。それぞれのこだわりや解釈を出しあうので時間がかかりますが、今回の方向性を探っているところです。
阿部一徳(以下、A):今回の作品は、前場・間狂言・後場の3つに分かれていて、たとえば前場ですごく動きが少なければ、間狂言で動きを多くするというように、全体のバランスをとらなければならないので、時間がかかっています。あらかじめどんな風に作るかは決めていないので、実験しながら作っては壊すというのを繰り返しています。

―13年ぶりの再演ですが、いかがですか?
A:動きとか台詞の言い回しとか、意外と身体に残っているんだよね。地謡のセリフも、一度口に出すとツルツル出てくる。逆に言えば、なかなかそこから自由になれない。
M:これまで色んな作品でテクニックを蓄積してきたから、いま振り返ると13年前はシンプルなことをしていたと感じられる部分もあります。
A:地謡のセリフで言えば、お客さんが聴いたときにいかにイメージを膨らませてもらえるかをとことん試行錯誤するわけだけど、今も昔も変わらず。今回、不必要に複雑にやってしまって、結局、初演時のシンプルなプランに戻すことも多いかな。
M:粗削りのまま作った方が、的を射ていたり、真実を映し出していたりすることもありますからね。
初演に出ていた人たちも、それぞれ13年という年月が経っているので、その間に積み重ねてきた経験や失くしていったものも当然各々違いますから、作品づくりにも影響があります。あまり拘らずに一から、今の私で向かいあいたいと思います。
A:『オセロー』は恋愛の話だけど、やっぱり13年経つと、恋愛感覚とかって当然変わるからね。原作を読みかえしたときも、13年前とはずいぶん印象が違っていた。

<SPAC版『オセロー』の面白さ・難しさ>

―ご自身の役について教えてください。
M:デズデモーナは夫であるオセローに浮気を疑われて絞殺されてしまうのですが、ミヤギ能では彼女が幽霊として出てきて、殺される場面を再現するというのがハイライトなんですね。夫に絞殺されてしまうという自分にとって衝撃的な場面を、旅人の僧の前で、あるいはお客さんの前でもう一度演じることで、浄化されていきます。
A:オセローに関していうと、今回のミヤギ能では原作の一部しか演じないので、そのなかで、デズデモーナが愛したというオセローの魅力も表現しなければならないし、2人の関係をお客さんが想像できるようにしないといけない。なかなか難しい。

―普通にシェイクスピア作品を上演しようとすると、ある出来事が起こって、その途中に対話や状況説明があり、わりと視覚的にも動きがありますね。
A:そう考えると、SPAC版の『オセロー』は絵をみるような感じに近いかもしれないね。絵画を鑑賞していて、その絵から音が出ているみたいな。
M:難しいのは、関係性をみせている「絵」があまりないことですよね。原作の抜粋みたいになっているから、「どういう心の動きがあって、オセローはイアーゴの罠にはめられたのか」ということを観ながら探ろうと思っても、それを説明してくれるような台本ではない。あまり場面と場面の関連性を考えないで、その瞬間におきていることを楽しんでもらえばいいのかな。
A:動きであまり説明していないので、耳から入ってくる情報が大事になってくる。だから僕らが台詞を喋るときに、どういう「身体」や「情報」をセリフに込められるか。「日本語ってこんなに色んなことができるんだ」とかも楽しんでほしい。

<中高生に向けて…>

A:中高生鑑賞事業公演に向けてどうつくるか、という話はどうしても出てくるから、通常のつくり方とは違うよね。中高生にとって分からなくてもいいや、とは絶対にしたくないし。

―大人にも観てもらう作品としてつくりつつ、単純に分かりやすくして子ども向けにつくるということなく、中高生にどう届けるかを考えているということですね。
M:初めて演劇を観る人たちに対して、責任重大だなといつも思います。最初に観た演劇との出会いで、そのあと演劇をまた観ようと思えるか、あるいは演劇がその人の人生の中で関わってくるかどうかって、最初に観た作品の影響が結構大きいと思いますね。

―最後に中高生にメッセージを。
A:普通の演劇とは違って、物語の筋を楽しむようなものではないので、ひとつひとつの表現の鮮烈さとか、俳優の体から出てくるエネルギーとかを観てもらえたらと思います。分からなかったときに、「つまらない」じゃなくて、「なんでこんなことしてるんだろう」って興味を持ってもらえたら嬉しいです。
M:自分の中で、苦しかったことや、悲しかったことに蓋をして過ごしている人もいると思うのですが、そのときの話を誰かに聴いてもらいながら、苦しくて思い出したくないことだけれども、自分でもう一度話していく。そうすることによって、ため込んでいたものを全部出して、何かスーッと、身が軽くなる。デズデモーナが成仏するときに、お客さんの中でも何か同じような感覚になって、楽になったような気がする、ということが起こるといいな。

2017年12月23日 舞台芸術公園にて

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SPAC秋→春のシーズン2017-2018 ♯4
ミヤギ能 『オセロー ~夢幻の愛~
2018年2月11日(日)、18日(日)、24日(土)、25日(日)
3月3日(土)、4日(日)、11日(日)
各日14:00開演 ★2月24日(土)のみ18:00開演
演出:宮城聰
原作:ウィリアム・シェイクスピア (小田島雄志訳による)
謡曲台本:平川祐弘
出演:阿部一徳、美加理、大内米治、片岡佐知子、加藤幸夫、木内琴子、桜内結う、鈴木陽代、関根淳子、大道無門優也、寺内亜矢子、布施安寿香、本多麻紀、三島景太、森山冬子、吉植荘一郎
静岡芸術劇場
*詳細はコチラ
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