2018年7月21日

<『顕れ』#002>作者レオノーラ・ミアノ氏来静!

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『顕れ』の作者、レオノーラ・ミアノ氏が静岡に来られました!
20日は丸一日、舞台芸術公園の楕円堂で行われている稽古に同席。
座組にとって作者の話を直接聞くという、大変有意義な時間になりました。

ミアノ氏は「自分の作品が皆さんによって上演していただけることがとっても嬉しい。」と挨拶。
「アフリカの大地を感じられるように」と、稽古場にアフリカからのお土産を持ってきてくださいました。

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宮城作品の稽古では毎日行っているトレーニングを見学していただいた後、いま出来ているところまでのシーンを見ていただき、質疑応答を行いました。
俳優たちが名前と役を紹介すると、「あなたは役の雰囲気にとてもよく合ってる」など笑顔でやり取り。上演言語は日本語ですが、各キャラクターが手に取るように分かったようです。
また音楽についても、「音楽を演奏したり止めたり、というのはアフリカにはない自由な発想でとても新鮮」「アフリカだからアフリカっぽい音楽という選択を取っておらず、音楽と言葉の調和があり、作品をきちんと昇華して作ってくださっているという感じがする」とコメント。

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続いて音楽監督を務める棚川さんが、「(ミアノ氏の出身地である)ドゥアラ語の好きな歌をうたってほしい」とお願いすると、ミアノ氏から「わたしが書いた曲でもいいかしら」と思いもよらぬ回答。
それはアフリカで奴隷貿易に関わった人についての作品を書くなかでそのテーマをより突き詰めていくために書いたという作品群で、曲がそれぞれ奴隷貿易を段階的に語っているそうです。
稽古場で披露されたのはそのうちの1編で、ある人物が捕まって舟で運ばれている最中、はじめて甲板に出たときに故郷のアフリカ大陸はもう見えず二度と戻れないということを知り、自殺して魂だけはアフリカ大陸に残れるようにと願う歌。
楕円堂内はミアノ氏の静かで、けれどとても力強い情感の込められた歌声に包まれました。聞き終えた棚川さんは目に涙を浮かべ「計り知れない悲しみが伝わってきた。自分が今回の作品につくる曲とは曲調などまるで違うけれども、どこかで繋がるような曲にしたい」と話しました。

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その後も、質疑応答は夜遅くまで続きました。
ミアノ氏は作品の背景となっている文化や風習についてや、キャラクター造形についてなど、一つ一つの質問に真摯に答えてくださいました。
『顕れ』は奴隷貿易を主題にしていますが、一般にイメージされるような白人と黒人の関係ではなく、アフリカ大陸にあった加害者と被害者の関係について扱う戯曲です。そのため作品の発表や日本の劇団による上演について、ヨーロッパにいるアフリカ人から批判を受けることもあるそうです。
ミアノ氏は「自分はこのテーマに取り憑かれている」と表現し、「私はアーティストだからこそこういう作品を発表するし、それは文学的なアプローチによる魂への弔いだと考えている」と力強く話しました。
またSPACが上演するということについて、「フランス人やアフリカ人がやるとあまりにも生々しくなってしまう。そこから離れた人たちが上演することで、上演される作品は観客にとって個人的な反応を引き起こすのではなく、普遍的・人間的なものとして受け取られるようになるのではと思っている」と話しました。

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加害者の告白を聞く、という新機軸に共鳴し作品の演出を引き受けた宮城が、作者本人との対話を経てどのように“演劇的な弔い”に編み上げていくのか。
9月・フランスでのワールドプレミアに向けて稽古は続きます!
*『顕れ』(フランス公演)詳細はこちら

★「SPAC秋→春のシーズン2018-2019」の製作発表会と同時開催する、レオノーラ・ミアノ氏の講演会がいよいよ明後日に迫りました!
ミアノ氏のお話を皆さんにも直接聞いていただける貴重な機会です。ぜひお越しください。
詳細はこちらをご覧ください。