2018年8月3日

「SPAC秋→春のシーズン2018-2019」製作発表会 レポート(後編)

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去る7月23日(月)、東京・飯田橋のアンスティチュ・フランセ東京で、「SPAC秋→春のシーズン2018-2019」製作発表会を開催。前編では、シーズン#1『授業』、#2『歯車』までをご紹介しましたが、後編では、宮城の新作となる#3『顕れ』、#4『妖怪と私(仮題)』をご紹介します。

シーズン#3『顕れ』(原題:『Révélation』は、アフリカ・カメルーン出身でフランス在住の女性作家レオノーラ・ミアノが2015年に発表した戯曲。アフリカ社会の分断を生んだ奴隷貿易の実態に深く切り込む戯曲を、宮城がその独特の死生観で祝祭音楽劇として立ち上げます。なお、本作はフランスのコリーヌ国立劇場からの委嘱によって創作され、9-10月にフランスで世界初演されたのち、来年1-2月静岡で上演されます。

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宮城は「レオノーラ・ミアノさんが目の前にいるので、話すのが恥ずかしい。偉そうなことも言えないし…。戯曲が書かれてからこれが初めての上演なので、非常にプレッシャーがあります」と語りつつも、「この戯曲は、最初に申し上げた、自分というものが今までと同じではいられないような危機に直面した人間を描いています。ヨーロッパ・西アフリカ・新大陸の間での三角貿易、所謂奴隷貿易ですが、これにアフリカ側でも加担する人たちがいました。そして彼らは、自分あるいは世界に向けてなのかもしれませんが、この上ない無念、あるいは恨みを抱え込んでいる。しかし、口を開くことができない、誰にも言えないし、誰も言ってはくれないわけです。こういう語られることのない恨みは、今生きている人間をも不幸にしていく、僕はこう考えています。だから演劇という手段を使って、その語られない恨みを解き放っていきたい。それを一番のメインの仕事と捉えています。ミアノさんの『顕れ』という戯曲は、まさに僕の仕事のど真ん中の戯曲なんですよね。ですので、今回上演させていただくことになりました」と作品への思いを述べました。

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シーズンのラストを飾るのは、ジャン・ランベール=ウィルド作・演出の『妖怪と私(仮題)』です。SPACではこれまで『スガンさんのやぎ』『隊長退屈男』、そして今年の演劇祭で『リチャード三世 ~道化たちの醒めない悪夢~』を上演してきたジャンさん。満を持してSPAC俳優・スタッフとの新作に挑みます。

死後、おかしな妖怪の世界に迷い込んだある一人の男。魑魅魍魎に翻弄されながら、壮絶な人生を回想し、試練を乗り越えて辿り着いた先に待っていたのは――。自由と情熱に溢れた主人公の生涯を通して「生きること」の喜びを描く愉快な音楽劇です。

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ジャンさんについて、宮城は「フランスの若手演出家の中で、はじめて国立劇場のディレクターになった一人なんですね。30代で国立演劇センターのディレクターになるというのは非常に珍しいんですけれども」と紹介。さらに「今日、西さんと多田さんに来ていただいていますが、ジャンさんも含めて、僕より若い世代でこの先演劇界を担っていくだろうなと思われる、そういう逸材です」と期待を寄せました。また、「ジャンさんはレユニオン島というフランスの海外県で生まれているんです。そのレユニオン島で、彼は子供の頃から近所のおばさんなどにいわゆる妖怪の話をずいぶん聞かされたそうです。また彼は、戦争に行った男、先程申し上げた一つの危機的な瞬間の代表例がおそらく戦場だと思うのですが、人を殺すか自分が殺されるかという局面に立たされた男に関心を持っていて、その戯曲も書いています。この二つの要素、戦争に行って戦場で何を見るかということ、それから幼少期の妖怪体験、つまり妖怪というものが本当にいるような気がする、そういう世界で生まれ育っているという、この二つから、この後申し上げなくても、とある日本の偉大な漫画家のことをほとんどの方が思い起こされると思います。今はまだその方の名前をあまり出さないようにしていますが、ジャンさんはその漫画家の全作品を読破するほど傾倒していて、そこからインスピレーションを得た新作を書くことになります。もちろんこれは全くの新作ですが、人間が危機的な瞬間に直面する、まさにそのことを目の前にある肉体を使って描く、そういう作品になるに違いないと考えています」と語りました。

その後、『顕れ』の作者レオノーラ・ミアノさんにもご登壇いただいてのフォトコール。

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9月20日からの『顕れ』フランス公演と10月からのシーズン開幕に向けて、私たちスタッフにとっては、改めて気合を入れる製作発表会になりました。

参加くださった皆様、本当にありがとうございました。そしてシーズン開幕をどうぞお楽しみに!

※製作発表会後、続けてレオノーラ・ミアノさんの講演会を行いました。この模様は『顕れ』ブログでご紹介します。
→8/5(日)更新しました!こちらからお読みいただけます。

★SPAC秋→春のシーズン2018-2019ラインナップ詳細はこちら
http://spac.or.jp/autumn2018-spring2019.html