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2019年3月21日

『マダム・ボルジア』ブログ1 〜メインビジュアルができるまで〜

こんにちは。制作部の雪岡です。

第1回目のブログでは、
SPAC新作野外劇『マダム・ボルジア』のメインビジュアルが出来上がるまで、
1月某日に行われた撮影現場レポートをお届けします!

当初、宮城によって打ち出されたビジュアルのコンセプトは、
「イタリア バロック期の画家・カラバッジョが描いた、陰影のある人物画のようなイメージ」でした。

というのも、この作品は「悪女が主役のお芝居」。
顔に光と陰を作ることで、悪女のイメージを押し出すことにしました。

さらに、演劇祭のフェスティバル感、野外劇のスペクタクル感、新作の期待感も添えるべく、
タイトルロールのルクレツィア・ボルジアにはお花をもっていただくことに。

ルクレツィアが生きたルネサンス期、群雄が割拠し、
権力闘争から人を殺めることも頻繁に起こった時代の「猥雑さ」や「栄枯盛衰」
といったイメージを喚起するようなフラワーアレンジにしては?というアイデアに辿り着きました。

そこで今回フラワーアレンジを依頼したのが、
静岡市葵区人宿町SOZOSYAキネマ館1Fにあるお花屋・TEN ROSEs (テンローズ)代表の河西和也さん。
撮影当日、みずみずしい生花に加えて、萎れたもの、枯れたもの、
いびつな形状のものを持ってきていただき、現場で花かご作りがスタート。

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さっそく、茎や葉がカットされ、土台が大胆に作られていきます。
河西さんは花屋で働きながら、ほとんど独学で生け花の知識と技術を習得されてきたそうです。
 
 
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ここで、ひと呼吸。「何か考えてるんですか?」と尋ねたら、
「栄枯盛衰・・・」と一言もらし、しばらく吟味。
 
 
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花びらを手でちぎったり、欠けたお花を混ぜる工夫も。
 
 
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ものの30〜40分で出来上がりました。
 
 
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ここで一度、写真家の加藤孝さんに、実際にカメラで撮ったときの写りぐあい、
色味などのチェックとアドバイスをいただき、その場で少しお花を差し替えて、完成!!
 
 
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と思ったら、そこからさらに、
撮影用のライトをあえて近くから当てて全体をなじませていくという技も。
 
 
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しばらくすると、でれーんと垂れ、花同士のちょっとした隙間が埋まっていき、
不思議と調和していきました。
 
 
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こちらは舞台芸術公園産の枯れたり、虫喰いのある草花。
撮影は一発勝負ということで、万全を期して、スタンバイさせておきましたが、
残念ながらフラワーアレンジメントでの出番はありませんでした!
押収された毒草のようで、撮影現場の雰囲気作りに貢献しました。

“毒”といえば、ボルジア家は”毒使い”としても知られ、即効性のあるものから
週・月単位でじわじわと身体を蝕んでいくタイプのものまで、
巧みに使い分け、暗殺などに用いられていたそうです。
ヴィクトル・ユゴーの原作『ルクレツィア・ボルジア』でも、この”毒”は
ルクレツィアと周りの人々の運命を狂わせてくアイテムとして登場しています。
 
 
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さて、衣裳・ヘアメイクの準備も整い、いよいよ撮影がスタート!
 
 
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プレーンな表情、凛とした表情、高飛車な表情、儚げな表情など、
カメラマンの加藤さんによって次々と撮られていき、写真を隣のパソコンで確認。
 
 
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撮り進めながら、構成・演出の宮城による最終チェックと微調整も。
そして、各分野のプロの技が結集し、出来上がった1枚がこちら!
 
 
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トレーラーも公開です!


 
 
どのような舞台に仕上がっていくのか、どうぞお楽しみに!
 
 
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『マダム・ボルジア』
構成・演出:宮城聰
作:ヴィクトル・ユゴー
訳・翻案:芳野まい
音楽:棚川寛子
振付:太田垣悠
出演:SPAC

公演日時=5月2日(木・休)、3日(金・祝)、4日(土・祝)、5日(日・祝)各日18:45開演
会場=駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場
上演時間=未定(120分以内) ※日本語上演/英語字幕
*詳細はコチラ
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