劇評講座

2017年9月19日

ふじのくに⇔せかい演劇祭2016■選評■SPAC文芸部 横山義志

 まず、私たちの手ちがいにより、コンクールの結果発表が非常に遅くなってしまって、大変申し訳ありませんでした。観劇後すぐに力作を応募してくださった方々に、謹んでお詫び申し上げるとともに、今後このようなことが起きない体制づくりに努めてまいりたいと存じます。

 今回は22本の投稿のうち、半数近い10本が『三代目、りちゃあど』を対象としたものでした。でも、極めて多彩な要素によって構成された作品だからでしょうか、多くの劇評は、この作品の意義を端的に言いあらわすことに困難をおぼえていたようです。その中で柴田隆子さんの【もう影法師はいらない? ~オン・ケンセン『三代目、りちゃあど』】は、この作品の意義を「(1980年代の)消費文化から共に創造するコミニケーションの文化への移行」を目指すものとして、明確な結論を提示できているという点で、群を抜いていたために、最優秀賞に選ばれました。 続きを読む »