黄金の馬車

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<演出家プロフィール>
宮城聰(みやぎ・さとし)
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡辺守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出は国内外から高い評価を得ている。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、また、静岡の青少年に向けた新たな事業を展開し、「世界を見る窓」としての劇場づくりに力を注いでいる。代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。
「芸術総監督」ページ



<原案者プロフィール>
プロスペル・メリメ Prosper MÉRIMÉE
(1803〜1870)
フランスの作家、考古学者、政治家。オペラの原作となった小説『カルメン』(1845)で知られる。スペイン語に堪能で、デビュー作の一つ『クララ・ガズル戯曲集』(1825)は、スペインの女優による作品と偽って出版された。ペルーの伝説的女優ミカエラ・ビリェガス(通称ペリチョリ、1748〜1819)をモデルにした戯曲『サン・サクルマンの四輪馬車』(1829)は、当初はこの架空の女優の名義で発表された。この物語はオッフェンバックのオペラ『ラ・ペリコール』(1868)の原作ともなり、ジャン・ルノワールはこの戯曲にもとづいて映画『黄金の馬車』のシナリオを執筆した。


 ジャン・ルノワールと映画『黄金の馬車』

ジャン・ルノワール Jean RENOIR
(1894-1979)
映画監督ジャン・ルノワールは、画家ピエール=オーギュスト・ルノワールの次男で、「フランス映画の父」。フランス、アメリカ、インド、イタリア等、国境を横断して活動し、人間性へのおおらかな信頼を作風とした。映画作家としての表現の追求から芸術映画の先駆者と言える。後世に与えた影響は大きい。代表作に『大いなる幻影』『フレンチ・カンカン』等。映画『黄金の馬車』(1953年)の舞台は18世紀の南米ペルー。イタリア発祥の喜劇コメディア・デラルテ一座の女優と3人の男の恋物語を中心に、一座の奮闘をおかしみたっぷりに描き出した。現実と芝居を入れ子構造にし、人生の悲哀を浮き彫りにしている。

「人生は芝居か?芝居こそが人生か?」
ジャン・ルノワールの名作映画に着想を得た、絢爛豪華絵巻!

「わからないわ、舞台でも人生でも、懸命に生きているのに。舞台だとうまくいくのに、人生だと愛するものを壊してしまう。どちらに真実があるの?どこまでが舞台で、どこからが人生?」主人公のカミーラはそう呟く。人生は舞台の上か下か。境目もない現実の世界で、求める幸せはどんな形をしているのだろう?山野を揺るがす打楽器の音色に身を任せるうちに、やがて舞台と客席の境界は曖昧になってくる。見惚れ、聞き入り、魂を沿わせ、万感の思いが入り乱れるラストシーンで、あなたは果たして「どちら側」に立っているのだろうか?絢爛豪華な黄金の馬車の輝きが去った後に残されるのは果たして・・・。

『マハーバーラタ』フランス公演を絶賛の中で終えた宮城聰が、
初夏の野外劇場で、待望の祝祭音楽劇・最新作!

俳優たちがパーカッションを鳴らし、独特のグルーヴ感で会場を包み込むSPACの祝祭音楽劇。既に静岡ではおなじみの光景なのかもしれないが、こんなことができる劇団は世界広しと言えどもここだけである。歌ではない、ダンスでもない、しかし日本人の身体の底に根ざしたリズムとしなやかな所作は間違いなく見るものの心に「非日常」の感動を呼び起こす。古代の森に抱かれた有度山の野外劇場に響く棚川寛子の音楽もますます冴えわたり、本年2月にフランス各地で絶賛を受けた『マハーバーラタ』の系譜に連なる宮城聰の最新作から目が離せない!

 公演情報

世界初演 演劇/日本

■公演日時
6/1(土)、8(土) 、15(土) 、22(土) 各日19時30分開演
◎終演後に宮城聰(演出)とゲストによるアーティスト・トークを行います。
6/1 原田眞人(映画監督) 司会:大澤真幸(SPAC文芸部)
6/8 柳家花緑(落語家) 司会:横山義志(SPAC文芸部)
6/15 武富健治(漫画家) 司会:大岡淳(SPAC文芸部)
6/22 北川フラム(アートディレクター) 司会:大澤真幸(SPAC文芸部)
◎開演前と終演後に「カチカチ山」で「フェスティバルbar」を営業いたします。

上演時間:未定(120分以内)約110分
日本語上演/英語字幕

■会場
舞台芸術公園 野外劇場「有度」

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金などがあります。詳しくはこちら
※未就学児でもご覧いただけますが、ほかのお客様の鑑賞のさまたげになる場合は、係員が対応をお願いすることになりますので、あらかじめご了承ください。

■劇場直行バス
渋谷発、三島・沼津発、浜松発のバスを運行いたします。詳しくはこちら

※お帰りのバス※
『黄金の馬車』終演後とトーク後に、ロータリーよりバスを運行いたします。
1)『黄金の馬車』終演後(21:30頃)公園発→(21:45頃)東静岡駅着
★東京行き最終新幹線をご利用の場合は上記のバスにご乗車ください。
(JR=22:01東静岡→22:05静岡 東海道新幹線=22:10/22:24静岡→23:10/23:26東京)
2)トーク終了後(22:00頃)公園発→(22:15頃)東静岡駅着→(22:25頃)静岡駅着
3)22:30公園発→22:45東静岡駅着→22:55静岡駅着
4)23:30公園発→23:45東静岡駅着→23:55静岡駅着


 スタッフ/キャスト

演出:宮城聰
原案:プロスペル・メリメ、ジャン・ルノワール
台本:久保田梓美
音楽:棚川寛子

出演:阿部一徳、石井萠水、大内米治、加藤幸夫、木内琴子、小角まや、鈴木真理子、大道無門優也、武石守正、舘野百代、永井健二、中野真希、本多麻紀、牧山祐大、美加理、三島景太、森山冬子、山本実幸、吉見亮、米津知実、若菜大輔、若宮羊市、渡辺敬彦

空間デザイン:木津潤平
照明デザイン:大迫浩二
衣裳デザイン:駒井友美子
音響プラン:水村良
美術:深沢襟
ヘアメイク:梶田キョウコ、古城雅美、高橋慶光

舞台監督:三津久
照明操作:松村彩香
音響・演奏:山﨑智美
演出助手:中野真希
演出部:山田貴大

美術制作:佐藤洋輔 服部千穂
衣裳制作:丹呉真樹子、岡村英子、清千草

字幕翻訳・操作:コーリー・ターピン
制作:大石多佳子、尾形麻悠子
製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター

 みどころ

かつてフランスの巨匠が新世界を舞台に描いた女優讃歌が、時空を超えて言祝がれる。
SPAC芸術総監督・宮城聰でなければ、誰がこの映画を舞台化しようなどという発想に至るだろう。日本の演劇シーンを静岡から牽引する宮城が、最新作として着手したのはメリメの戯曲『サン・サクルマンの四輪馬車』を下敷きに1952年にジャン・ルノワールが監督した映画『黄金の馬車』。それを室町時代の日本に翻案する壮大な構想だった。女優カミーラと旅一座の面々は都を食いつめて土佐にやってきた田楽一座に、彼らの演じるコメディア・デラルテ(仮面劇)は、古事記の劇中劇に姿を変え・・・見る側、見られる側が多重に交錯する夢のような舞台が野外劇場に現出する。フランスツアー各地で賞賛を浴び一皮むけたSPACの面々に、この舞台のためにオーディションで選ばれた瑞々しいキャストの加わった俳優陣の演技も見物である。かねてより日本語の特色を深く追究し、言葉と肉体を分離し、現在は「詩の復権」をテーマに掲げて日本から世界に放つ演劇の言葉を模索している宮城聰だからこそ創作可能な、日本人の身体、言葉、音楽が調和し、三位一体の結晶となって輝きを放つステージ。時代と国境を越えて、この舞台は虚構と現実の狭間を生きる全ての人間たちに衝撃と祝福を与えるだろう。
(大西彩香)

 あらすじ

時は室町。土佐の小京都と呼ばれ栄えていた四万十の村に、国司の一条家がその権勢を示すために都から取り寄せた黄金の馬車と共に、旅役者の一座がやってくる。一座は女優・カミーラを中心に古事記の天地創造神話を上演するが、全く受けない。しかしカミーラの美貌を目にした国司は、彼女にすっかり夢中になって、ついには黄金の馬車をも与えてしまったものだから、方々からの反発を受け政(まつりごと)は大混乱。男たちの愛憎と権謀が渦巻く中、カミーラが最後に立つ場所は・・・。