生と死のあわいを生きて ―フェデリコの魂に捧げる―




     
    <舞踊家プロフィール>
    小島章司(こじま・しょうじ)
    フラメンコにその生涯をかけ、2009年、日本そしてスペインの両国からその功績を文化功労者というかたちで表彰された小島章司。73歳となった今も自らのフラメンコを求め、新たな境地を築き続けている。12年秋にはフラメンコの故郷、セビリアで2年に一度開催される世界最大のフラメンコ・フェスティバル、ビエナルに招かれ、セビリアのオペラハウスであるマエストランサ劇場でその代表作「ラ・セレスティーナ」を上演。「舞踊の最高峰」、「尊敬すべき規範」などスペイン各紙誌で絶賛された。
     



    ☆制作部が作品の魅力を語ります!
    <制作部よもやまブログ#36>
    <制作部よもやまブログ#41>

鳥のように、神のように、ここ静岡に舞い降りる・・・。
小島章司、この日だけのための特別なステージ。

フェデリコ・ガルシア・ロルカが殺されてから3年後の1939年、スペイン内戦が終結した。その年に徳島県で生まれた小島章司は現在73歳。今も現役で踊り続ける、世界的なバイラオール(舞踊手)である。小島はフラメンコの定義や枠を遥かに超越した表現で観る者を圧倒する。ブラウスにファルダという姿で現れ、長髪を翻してサパティアードを踏む姿は、性差、年齢、国籍といったあらゆる「壁」をたやすく透過する神々しさをまとう。まさに進化し続けるドゥエンデ(精霊)、その孤高の肉体が舞う、一日限りの特別なステージが実現する。

宗教的イメージと官能的メタファーの重層に潜む深い精神性・・・、
召喚されたロルカの魂に、私たちは劇場という奇跡の場所で出逢う。

1999年、出来たばかりの楕円堂で上演された『ロルカの闇』を覚えている人もいるだろうか。フェデリコ・ガルシア・ロルカの生誕から101回目の誕生日にあたったこの公演から14年。再び人々は新緑の静岡でフェデリコと邂逅するチャンスを得る。彼の描いた因習と差別に苦しむ女性達の締念や怒りを一身に引き受け、フラメンコの「ロ・ホンド(奥深きもの)」を掴もうとする小島の真摯な指先は、作家の魂をしばし召還し、我々の前に立ち会わせるに違いない。それは、生と死の狭間にある場所・・・劇場でしか触れられぬ奇跡の瞬間である。

 公演情報

世界初演 フラメンコ/日本

■公演日時
6/16(日)14時開演

上演時間:60分

■会場
静岡芸術劇場

■チケット
一般大人:4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円
☆SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、みるみる割引、ペア/グループ割引料金などがあります。詳しくはこちら

 スタッフ/キャスト

踊り:小島章司
カンテ:ダビ・ラゴス、エル・ロンドロ
ギター:チクエロ、フラビオ・ロドリゲス
朗誦:堀越千秋
製作:SPAC、エストゥディオ コジマ
※堀越千秋さんの出演が新たに決定いたしました。(2013年5月31日)

後援: スペイン大使館 Embajada de España、
    セルバンテス文化センター東京、
    日本フラメンコ協会、
    財団法人日本スペイン協会

 みどころ

「死者がもっとも生き生きとしている国」スペインの太陽と影、祝祭と孤独の相反こそが小島章司の身体に宿る真実の詩である。

フラメンコは人間の持つ感情のすべてを大地から湧き出るような歌に乗せて表現する。絵空事ではない実人生の叫びが発露したものが踊りとなる。幼き日より故郷の歌に親しみ自ら作曲までしたロルカと、声楽家を志していた小島。その音楽への造詣は彼らの身体の中に生き続け、ロルカを詩作に向かわせ、小島を舞踊へと導いた。アンダルシアの魂とも言えるフラメンコが、時代を超えて両者を結びつけ、その土着的なテーマにまつわる通俗的なイメージを払拭した。その「母なるカンテ(歌)」ソレアに小島が身を委ねる際に立ちのぼる生と死の相克、孤独とのやりとり・・・。これらもまたその霊的なパワーに触れることが出来た幸運なアルティスタ達によって新たなる世代へと受け継がれていくのだろう。「血」の三部作を遺したロルカの人生が死によって今も光彩を放つとすれば、小島章司は踊り続けるその「生」によって時代を遡り伝説となる。
(大西彩香)