2014年度 SPAC県民劇団


劇団静岡県史 『丸山静江物語 〜静岡にもいた、おしん〜』(2013年度) 撮影:猪熊康夫
 

劇団MUSES『赤鬼』(2013年度) 撮影:SPAC

2014年度 SPAC県民劇団 3劇団結成!!

SPAC県民劇団とは、SPACの人材育成事業参加者を中心に結成する静岡県民の劇団です。演出家、出演者、スタッフの全てを公募し、舞台芸術公園内の稽古場で稽古を行い、舞台芸術公園 野外劇場「有度」(2014年9月下旬〜10月上旬)もしくは、稽古場棟「BOXシアター」(2015年2月中旬〜3月中旬)で公演を行います。
県民劇団は俳優として出演するだけでなく、衣裳や小道具、舞台装置の製作も自ら行います。アイディアを出し合ってチケットの販売促進に取り組んだり、チラシの配布をしたりします。全てを自分たちの力でつくりあげる「劇団」です。最大2年間の助成期間を経て、劇団として自立することを目標とします。
2013年度は「劇団静岡県史」が『丸山静江物語 〜静岡にもいた、おしん〜』を、「劇団MUSES」が『赤鬼』を上演しました。2014年2月に今年のSPAC県民劇団を立ち上げたい人(演出家・制作者)から「上演企画」を公募し、審査の結果、下記の3企画が選出されました。

・『しずおか徳川家康公ものがたり』(作・松尾交子)  企画者:松尾交子
・『Right Eye』(作・野田秀樹)  企画者:近江木の実
・『オレステス』(作・エウリピデス)  企画者:木田博貴

 
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野外劇場「有度」(2014年9月26日(金)・27日(土)両日19時開演)

『しずおか徳川家康公ものがたり』(作・松尾交子)

<企画者より>
日本に265年もの平和の礎を築いた徳川家康公が静岡に隠居した理由、顕彰四百年を前に久能山のある日本平の野外劇場で共に創作しましょう!

企画者:松尾交子(まつお・ともこ)
浜松市在住。2013年度SPAC県民劇団 劇団静岡県史主宰。
劇団砂喰社主宰、NPO法人子ども環境劇団PAF理事長、NPO法人遠州率シアター理事。90年代より演劇活動を始め、劇団正義の味方(現:劇団砂喰社)、TOMO☆PROJECT、シアターキッズ地球村(現:NPO法人子ども環境劇団PAF)、NPO法人シニア劇団浪漫座で脚本・演出を担当する。 主な作品は『交狂詩 銀河鉄道の夜』(1999年、野外劇場「有度」)、『三方原合戦!!!』(2009年、浜松アリーナ)、『金原明善物語』(2010年)、『鶴姫亀姫伝説』(2011年)など。

<企画意図>
静岡県は、江戸幕府を開いた徳川家康公が37年(8〜19歳:駿府城、29〜45歳:浜松城、45〜50歳:駿府城、70〜75歳)住んでいた処だが、その歴史について静岡県民は、あまり知らない。
浜松市では、2009年の国民文化祭にて市民350人が出演した「三方原合戦!!!」から知られるようになり、2011年、浜松市制100周年事業として浜松の徳川家康物語を今回の演出:松尾交子が脚本・演出を手掛け、80回以上上演し続け、併せて「出世大名家康くん」の拍車もかかり、浜松市民だけでなく全国規模で浜松市に徳川家康がいたことや歴史がアピールされた。
また、家康公は、遭難したスペイン船の乗組員に小型帆船を貸与し、そのお礼としてスペイン国王から洋時計が贈られた。その洋時計は、久能山東照宮で管理されていたが、最近になって400年の時を越えてイギリス大英博物館が調査し、驚くべき姿で当時のまま残っていたとして話題となった。
そして来年は、家康公没後400年となり、岡崎・浜松・静岡では、その記念事業が開催されるそうである。
昨年、結成した劇団静岡県史は、静岡県の歴史をテーマにした作品づくりを目的として設立した劇団である為、この機会に静岡時代、それも県民もあまり知らない駿府城隠居後の物語を舞台化していく。
関ヶ原合戦後、江戸幕府を開き、三男秀忠に征夷大将軍を譲ると駿府入りし、大阪の陣から亡くなるまでの物語を描いていき、舞台作品を通して地元の歴史をより深く親しむことの出来る県民参加の公演を行う。

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舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」(2015年2月中旬〜3月中旬)

『Right Eye』(作・野田秀樹)

<企画者より>
前年度にひきつづき野田作品をとりあげます。今回はだいぶカラーが違います。より広く県民の皆様の参加をお待ちしています。

企画者:近江木の実(おうみ・きのみ)
浜松市在住。2013年度SPAC県民劇団 劇団MUSES主宰。
M-planet所属、静岡県西部演劇連絡会代表、静岡県演劇協会理事。
1989年より浜松で役者として演劇活動を始め、1998年『この生は受け入れがたし』(作・平田オリザ)で初演出。2005年M-planetを旗上げし、オリジナル作品を中心に公演を行う。また、県立浜松大平台高校にて「演技表現」の講師も務めている。
主な演出作品は『キル』(2002年、浜松市福祉交流センター)、『エンジェル・ポスト』(2011年、クリエート浜松ホール)など。

<企画意図>
前年度、劇団MUSESで『赤鬼』の上演をさせていただいた(会場はBOXシアター)。手ごたえは悪くなかったと感じている。お客様にもそれなりに楽しんでいただけたと思う。劇団メンバーも県民劇団に参加して大いに得るものがあったのではないかと考えている。この劇団MUSESの参加メンバーを軸にさらに発展的な活動を進めるというのが本企画の最大のねらいである。劇団の継続が各々の中では体験の蓄積につながり、表現の蓄積につながっていく。舞台作品を協同して創ることの中には確かに豊かな「学び」(または出会い)がある(とりわけSPACスタッフとの協同作業はいい経験となった)。
2年目ということでこの企画では横の広がりというものも視野に入れたい。次のMUSESへの新たな参加者を募り、より広い県民の参画が実現できたらよいのではと考えている(具体的には静岡市以外の参加者を増やしたい)。これはアピールの仕方から実際の運営までさらなる工夫が欲しいところである。
そして演目に関して。『赤鬼』に引き続き野田作品を取り上げる。『赤鬼』同様、番外公演でやられたものであるが、タイプはまったく異なっている。題材はノンフィクションによっており、個人と社会を等身大かつ通俗的な視点から描いていることに特徴がある(もちろん中に大きな問題を含み、劇構造も凝っている)。それでも作り方としては『赤鬼』に倣う部分があり、最小限の小道具で、役者の身体表現を中心に場面を構成するというのは同じである。これまでのやり方を洗練させ、見ていてワクワクする表現を模索したい。

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舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」(2015年2月中旬〜3月中旬)

・『オレステス』(作・エウリピデス)

<企画者より>
ギリシャ神話に和のヴィジュアルを取り入れ、独特の世界観&ファッショナブルに構築する事に挑戦します。

企画者:木田博貴(きだ・ひろき)
藤枝市在住。
劇団Z・A演出。
高校時代より演劇を始め、在学中、劇団ひなうたに入団、演劇ユニットStageSpiritsに参加。2004年、劇団Z・Aを旗揚げ。その後全公演で演出を担当する。
『蛇が吼えた不道徳と嘘』(作・演出・主演)で、第52回静岡県芸術祭準奨励賞を受賞。
主な演出作品は、『Heaven’s Tear』(2008年・2009年、藤枝市民会館)『ハートフル』(2007年、島田市プラザおおるり/2008年、あざれあ)など。

<企画意図>
私が今回県民劇団の演出家募集にあたり、上演をしたいと思っているのは、「和のヴィジュアルを取り入れたギリシャ神話『オレステス』」です。
始めに、私が県民劇団をやらせていただきたいと思った一番大きな理由は、静岡の演劇界に新しい客層を取り込むことが出来るかもしれないと思ったこと、静岡演劇を盛り上げる活動の一翼を担えるかも知れないと思ったからです。
私が演劇界に取り込みたいと思っている客層は「若い世代」です。
私自身まだ静岡県の演劇界では若手であり、経験豊富な演出家の皆さんと比べると、素晴らしい演出方法や表現方法に乏しいと思います。ですが、私の一番の強みは、若い世代と感性が近く、親しみを持ってもらいやすい事、それによりこれまで演劇にそれほど興味の無かった若者の足を劇場に運んでくることが出来るかもしれないという事です。
もちろん、若手だから若者が呼べるという単純な物ではないと思います。ですが、私がこの企画で重視したいのはあくまでも「ヴィジュアル面」です。
演劇をあまり観た経験のない方の演劇に抱いているイメージは「難しそう」「敷居が高そう」「気軽に観る物では無さそう」と言ったものが多いと思います。(私の周りだけかもしれませんが)
そういったイメージを少しでも和らげるには本来演劇ではあまり重視しなくても良い「かっこよさ」や「派手さ」という物が必要だと私は思っています。
ですので私は「ヴィジュアル」を重視した作品作りを企画として提案させていただきたいと思っています。
私が「和のヴィジュアル」を重視するのはそれほど演劇的思想や理論からではなく、自分が日本人である以上「和風」な雰囲気にどこか親しみや落ち着きを感じるからです。
その私が感じる親しみや落ち着きをギリシャ神話と呼ばれる少し「難しいイメージ」のある作品に取り入れていくことで、「何か面白そう」「何かかっこいいかも」と思ってもらい劇場に足を運んでいただけたらと思っています。
「和を取り入れる」と言っても、完全に和の空間にしてしまうのではなく、作品の良さや、風土、特に『オレステス』と言う作品は神話独特の世界観があるのでそこを壊しすぎないように丁寧に作り上げ且つ「ファッショナブル」に作り上げていくことに、挑戦します。
この県民劇団が静岡演劇のさらなる発展と若手演劇人の成長を手助けして下さる企画と言う事で私自身新しい事に挑戦したいと思っています。
そして静岡県が日本でも有数の演劇が盛んな県となることに出来ることがあれば私の力を最大限に使っていただけたらなと強く思います。