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2008年4月2日

対話による公開講座<有度サロン>を開講します

SPACでは、今春より、芸術・思想・社会科学など、さまざまな領域で活躍する芸術家・批評家・研究者などが集い、知的情報を交換しながら討議を行なうための場=<有度サロン>を設立します。2008年度は、舞台芸術公園「楕円堂」「BOXシアター」において、春・秋の二回、連続的に対話による公開講座を開催します。4月〜5月の公開講座は、下記のテーマ・日程により開講します。

<グローバリゼーション下>における課題とは何か!?

Ⅰ「歴史的転換と日本の選択」五十嵐武士(東京大学教授・日米比較政治学)
 
● 4月 6日(日)10:30 舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
対談者:苅部直(東京大学教授・日本政治思想史)     
● 4月13日(日)10:30 舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
対談者:藤原帰一(東京大学教授・国際政治)  

日本は今や、グローバル化の波に飲み込まれる不安にさいなまれている。この不安は相も変わらず、「宇内の大勢」に適応することばかりに腐心して、「大勢」をどう動かすかを構想する想像力の弱さを示している。今こそ「グローバル化する世界の中で日本がいかにあるべきか」という、基本的な課題に遡って想像力を巡らす時である。(五十嵐武士)

○五十嵐武士(いがらし・たけし) 主な著書に『日米関係と東アジア』(東京大学出版会)、『覇権国アメリカの再編』(東京大学出版会)など。
 ○苅部直(かるべ・ただし) 主な著書に『光の領国 和辻哲郎』(創文者)、『丸山眞男』(岩波新書)など。 
 ○藤原帰一(ふじわら・きいち)主な著書に『テロ後—世界はどう変わったか』(岩波新書)、『平和のリアリズム』(岩波書店)など。

Ⅱ「日本のモデルニテ・再考——鹿鳴館から人間天皇まで」 坂部恵(東京大学名誉教授・哲学)
  
● 4月20日(日) 舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」 
対談者:黒崎政男(東京女子大学教授・哲学) 
 
● 4月27日(日) 舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」 
対談者:守中高明(詩人、早稲田大学教授・フランス文学・思想) 
  
〈有度サロン〉の企画は魅力的だ。「楕円堂」という、胎内でも太古の墓場でもあるような、何とも不思議な雰囲気の空間で、質疑や、対談をする。この圧力に拮抗して、日本の近代というおどろおどろしいドラマを、多少ともこの場に喚び寄せてみたい。(坂部恵)

○坂部恵(さかべ・めぐみ)主な著書に『仮面の解釈学』(東京大学出版会)、『モデルニテ・バロック——現代精神史序説』(哲学書房)、『坂部惠集』(全5巻、岩波書店)など。
○黒崎政男(くろさき・まさお)主な著書に『身体にきく哲学』(NTT出版)、『カント「純粋理性批判」入門』(講談社)、『となりのアンドロイド』(NHK出版)
 ○守中高明(もりなか・たかあき)主な著書に『存在と灰——ツェラン、そしてデリダ以後』(人文書院)、『法』(岩波書店)、『守中高明詩集』(思潮社)など。

Ⅲ「歴史の反復について」 柄谷行人(評論家) 
 
● 5月11日(日) 舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
対談者:池田雄一(文芸評論家) 
● 5月18日(日) 舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
対談者:高澤秀次(文芸評論家)

今後に世界はどうなるのか、どうすべきかを考えたい。私は以前に「歴史と反復」(『柄谷行人集』第5巻・岩波書店)について書いたが、この機会に、それを根本的に再検討したい。 (柄谷行人)

○柄谷行人(からたに・こうじん)主な著書に『近代文学の終り』(インスクリプト)、『世界共和国へ』(岩波新書)、『定本 柄谷行人集』(全5巻、岩波書店)など。
 ○池田雄一(いけだ・ゆういち)著書に『カントの哲学——シニシズムを超えて』(河出書房新社)、共著に『ネオリベ化する公共圏』(明石書店)など。
 ○高澤秀次(たかざわ・しゅうじ) 主な著書に『吉本隆明1945-2007』(インスクリプト)、『評伝中上健次』(集英社)、『江藤淳—神話からの覚醒』(筑摩書房)など。

■会場=静岡県舞台芸術公園内・屋内ホール「楕円堂」、稽古場棟「BOXシアター」
■開講=各午前10時30分
■参加料=500円
■申込み=SPACチケットセンター ℡054−202−3399

※4月6日午前中は「第24回日本平桜マラソン」開催による交通規制のため、公共バスは「舞台芸術公園」まで運行されません。チャーターバスが運行されますので、そちらをご利用ください。詳細につきましては、お申込時にお問い合わせください。

■ 問合せ=(財)静岡県舞台芸術センター 
〒422−8005 静岡市駿河区池田79−4
℡054−203−5730