走れメロス
原作:太宰治
出演:大内米治、大道無門優也
11月28日(土)15:30
29日(日)15:30
12月5日(土)15:30
6日(日)15:30
上演時間 60分
大学生・専門学校生2,000円 / 高校生以下1,000円
走る。友情に隠された真実は世界で一番の宝なんだから…
純粋な友情を貫くことの難しいこと! メロスは走りに走り、疲れきってグタリと倒れた。さすがのメロスも、もういいや、行くのはやめた、とあきらめかけた。純粋な友情に少しだけついたシミ… メロスは悔いた。友情を裏切るような思いを抱いたことを悔いた。セリヌンティウスも、実は、メロスは来ないのではないか、と少しだけ疑った。それをゆるし合うように互いに殴り合う二人は、殴られた頬の痛みのなかで、無二の親友さえも他人であることを知った… 友達って何だろう? こどもの頃に誰もが思った素朴な疑問が『走れメロス』ではストレートに響いています。今回のSPAC版『走れメロス』は男性二人による上演。「BOXシアター」という濃密な空間で、演劇だから体感できる友情のカタチを確かめてみてください。
あらすじ
メロスはシラクスの町で、多くの市民を処刑する暴君ディオニス王の存在を知り、王の暗殺を試みる。しかし城の衛兵にあえなく捕らえられ、即刻処刑されることになる。メロスは、親友セリヌンティスウスを人質として王のもとにとどめおく事を条件に、妹の結婚式に出るために三日間の猶予を得る。三日間の期限付きの時間を与えられたメロスが、友のためにいま走り出す!
11月4日(水)沼津公演
沼津市民文化センター・小ホール 18時30分開演
一般3000円 高校生以下1500円
ご予約・お問い合わせ 沼津市民文化センター055-932-6111
安田雅弘 (やすだ まさひろ)
演出家、劇団山の手事情社主宰
早大演劇研究会をへて、1984年劇団 山の手事情社を結成。「演劇とは劇場体験にほかならない。劇場体験とは、つくり手の持つ抽象的なイメージを生理的に体感することである。その体験のためにすべての演劇的要素は奉仕すべきである。」という理念にもとづき、〈演劇の現代詩〉とも形容される独自の舞台作品を発表しつづけている。1997年ころより「現代日本人の精神性を、矛盾をかかえた身体の制限された動きによって表現する」《四畳半》という様式の試みを展開させながら、独自の演技・演出法を貫く先鋭的な劇団として注目されるようになり、国内だけでなく、海外での評価も高まっている。
太宰治 (だざい おさむ 1909-1948)
1909年に津軽の新興地主の家に生まれ、幼少より文才をあらわす。東京帝国大学仏文科に入学するが、殆ど授業に出ないまま除籍される。20歳のときから度々自殺未遂、心中未遂を重ね、1948年に玉川上水で愛人と入水自殺、39年の短い生涯を終える・・・というのは、よく知られている「無頼派」太宰治の生き様だが、その中で3年間だけ、自ら「家庭的の人間」たろうとした時期があった。再婚した38年から第一子が生まれる41年までのことである。『新ハムレット』や『走れメロス』が書かれたのはこの時期だった。
太宰は転機となる作品を執筆する度に静岡を訪れている。32年には静浦村(現沼津市)で「思ひ出」「魚服記」を書き、34年には三島で「ロマネスク」、41年に清水三保園ホテルで「新ハムレット」、47年には西伊豆三津浜の安田屋旅館で「斜陽」、生涯最後の年となる翌48年には、熱海起雲閣別館で「人間失格」を起稿している。駿河湾に沈む穏やかな夕陽が、激しい生涯を送った作家の数少ない心の拠り所の一つになっていのかも知れない。