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2013年3月3日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(20)

2013年2月20日(水) カーン
SPAC文芸部 横山義志

カーン初日。劇場スタッフががんばってくれたおかげで仕込みも稽古も順調に進み、今日は午後入り。

この劇場は多くの演劇作品を製作しているだけに、スタッフが作品のことをよく分かってくれていて、何かお願いすると、すぐに適切な提案を出してくれる。階段がほしい、というと、地下の倉庫に案内してくれて、数十個の階段を見せながら、「いつもなにかしら使いにくい事情があって、作っているうちにたまっちゃうんだよね。どれでも持っていって!」などとおっしゃってくれる。立派な工房があって、木工職人出身の舞台監督のビルーさんが一晩で立派な字幕用の木造スクリーンを作ってくれた。稽古を見ながら、こちらが気づかないところまで目を配って、解決策を提示してくれる。ここのスタッフは本当に演劇が好きなんだろう。

今日は14時半からカーン大学の学生数人がトレーニングを見学。さらに17時から18時までレンヌ大学演劇科長のブリジット・プロ先生が65人もの学生を連れて演奏稽古見学。


ノルマンディー在住の日本の方が、劇場のなかで、和菓子のお店を開いてくださっている。

19時頃には劇場に人が溢れる。芸術監督ジャン・ランベール=ヴィルドが自らお客さんに開演のご案内。今日は480席ほどの劇場が満席になっているらしい。19時半開演。




終演と同時に割れるような拍手。観客は総立ちとなり、歓声が響く。芸術監督のジャン・ランベール=ヴィルドによれば、ノルマンディーでスタンディングオベーションが起きるのはかなり珍しいとのこと。

終演後、アフタートーク。ブリジット・プロ先生の司会で、演奏チーフの寺内亜矢子さん(フランス語が堪能)と私も参加。今年2回にわたってSPACに滞在したプロ先生が、SPACの歴史、施設、作品について熱く語ってくれる。

ジャン・ランベール=ヴィルドや劇場のスタッフ、最後まで残ってくれたカーン大学演劇科の学生たちと初日乾杯。美加理さんと写真撮影。ジャンと演奏隊の仲村さんも記念撮影。


2013年3月2日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(19)

2013年2月19日(火) カーン

昨日は定時に着かなかったので、バスを早めて8時半ホテル発。9時から照明フォーカスの残り、幕の吊り変え、字幕作業など、昨日できなかったことを着々とこなしていく。なんとか午前中に、ほぼ本番ができる状態までたどりつく。

音響スタッフとして、13歳の研修生マテオくんが手伝ってくれる。フランスの学校では、この年で必ず「職場体験」をするのだという。舞台スタッフの息子さんで、演劇もダンスもサーカスも大好きだとのこと。

13時半から場当たり、19時半からゲネ。本番を見られないスタッフが見てくれる。「力強い舞台でいいねえ。やる気になったよ」などと言ってくれる。23時退館。

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(18)

2013年2月18日(月) カーン
SPAC文芸部 横山義志

8時45分ホテル発、コメディー・ド・カーン/ノルマンディー国立演劇センターのエルーヴィル劇場へ。実はこの劇場では十数年前にも宮城聰演出『メデイア』を上演している。私を含めてたぶん十数人は、2回目の訪問となる。劇場のスタッフにも憶えてくれているスタッフがいた。

ここは今回のツアーでは唯一、演出家がディレクターになっていて、クリエーションを中心とする「国立演劇センター」と呼ばれる劇場。芸術監督はSPACで『スガンさんのやぎ』を上演したジャン・ランベール=ヴィルド。劇場奥の防火壁を開けてみると、『スガンさんのやぎ』の装置が見えてきた。

このエルーヴィル劇場はカーン郊外のエルーヴィル市にあり、ちょっとかつての「東側」を思わせる建築。左派が強い土地柄なのだろう。舞台横には手引きの綱がずらっとならぶ。今では珍しい手動式のバトン。重いものを吊るときには体重をかけたり錘をつけたりして上げていく。劇場のスタッフによれば、「こっちの方がいろいろ微妙な操作ができるし、本番中に上げ下げしたってモーターの音が出ないから、変えようなんていう話は出たことがない」とのこと。とはいえ、200キロのスチールデッキをバトンで上げ下げしようとするときには、舞台班総出の作業になり、かなりの緊張感が漂う。


17時から20時まで講演会があって使えないため、俳優には17時で上がってもらい、スタッフは24時まで作業。


地下室の落書き。「誰も自らの国では予言者たり得ない」。



2013年3月1日

『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(17)

2013年2月17日(日) ルヴァロワ~カーン
SPAC文芸部 横山義志

12時にホテル前集合。昨日も書いたが、ルヴァロワは道が狭く、路上駐車も多くて、バスがホテルのある道まで入ってこられず、出発に時間がかかる。運転手さんによれば、そんな条件のために、はじめての大型バスの教習はルヴァロワでやらされたとのこと。

ふたたび一路ノルマンディーへ。ルヴァロワからカーンまでは3時間ほどの道のりで、車窓から草食む牛を眺めつつ、午後4時頃カーンのホテルに到着。各々、洗濯したり散歩したり。


『マハーバーラタ』 フランスツアー日記(16)

2013年2月16日(土) ルヴァロワ
SPAC文芸部 横山義志

午前9時劇場入り。すぐに字幕の仕込み。11時過ぎ、ようやくスクリーンとプロジェクタの設置が終了。

稽古にローカルテレビや写真撮影が入る。

20時半、ルヴァロワ公演の本番。ケ・ブランリー美術館での公演に来られなかった『室内』(今年のふじのくに⇄せかい演劇祭で上演)演出のクロード・レジさん、『令嬢ジュリー』演出のフレデリック・フィスバックさん、それから太陽劇団のアリアーヌ・ムヌーシュキンさんが来てくれた。

クラシック音楽が中心のホールで、事前に「ルヴァロワのお客さんはシャイな人が多いから」などと聞いていて、たしかになかなか笑いが出ず、ちょっと不安だったが、「ダマヤンTEA新発売」あたりからようやくほぐれてきた。最後の台詞が終わった瞬間に拍手が起こり、あちこちで口笛が響く。最後には大歓声で、ほっとした。

22時半終演後、すぐにバラシ。ルヴァロワは道が狭く、路上駐車も多くて、搬出のためのトラックが交差点を曲がれなかったために、劇場入り口まで入ってこられず立ち往生。1時間ほどして一台の車がレッカー車で運ばれ、なんとか搬出には間に合う。午前2時過ぎ、作業終了。劇場スタッフたちと別れの杯を交わす。