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2022年3月31日

ギルガメシュ叙事詩/パリ日記2022(2)小屋入り初日

SPAC文芸部 横山義志
2022年3月19日

 
スタッフは8時ホテル発、9時にケ・ブランリー美術館クロード・レヴィ=ストロース劇場に入る。
この劇場のスタッフとは2019年以来、3年ぶりの再会。2006年こけら落とし公演以来お馴染みの方も。

この劇場に来るたび、恒例行事のように議論になるのが非常灯。舞台奥がホワイエになっている特殊な構造なので、舞台奥や側面にまで非常口があり、かなり明るい非常灯が点灯している。法律上、美術館と劇場は扱いが異なり、ここは美術館の一部なので、劇場のように暗転時に消灯することができないのだという。たしかに美術館であれば、非常灯があっても、展示作品を見るときの妨げにはならない場合が多い。ケ・ブランリー美術館の方々も、開館以来いろいろ試行錯誤してくれてはいるのだが、あまり交渉の余地はないらしい。
 


 
非西洋圏の文化にフォーカスしたケ・ブランリー美術館で、文化人類学者クロード・レヴィ=ストロースの名前が冠された劇場なので、ここで上演されるのは、いわゆる「伝統芸能」や「音楽」や「ダンス」に分類されるようなものが多く、完全暗転が不可欠なものは少ない。
思えば暗転という技術はまず外光を遮ることができる屋内劇場を必要とし、さらに明かりの点灯・消灯が簡易にできる照明も必要となる。ヨーロッパでも、それができるようになったのは、ガス灯が普及した19世紀後半のことだった。客席が暗闇に沈むようになったのも、電気照明が定着した19世紀末以降のことだ。化石燃料に依存した産業革命がなかったら、暗転もなかったわけである。だが、それが今度は電気照明によるセキュリティ上のルールのためにできなくなるというのも、ちょっと皮肉な話ではある。

22時まで仕込み作業、退館。
 

 
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★ゴールデンウィークに静岡市・駿府城公園にて上演★
フランス国立ケ・ブランリー美術館委嘱作品/SPAC 新作
『ギルガメシュ叙事詩』

台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行

出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子
榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子
大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸
吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦
/沢則行(操演)、桑原博之(操演)

公演日時:
2022年5月2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)
各日18:40開演

会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

★公演詳細はこちら
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