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2022年4月25日

ギルガメシュ叙事詩/パリ日記2022(9)公演4日目・千穐楽

SPAC文芸部 横山義志
2022年3月27日

『ル・モンド』紙に劇評。
「ケ・ブランリーで宮城聰が日本の伝統とシュメールの叙事詩を融合させる 2006年の『マハーバーラタ』に続き、演出家宮城聰が古代メソポタミア由来のもう一つの大いなる神話に挑む。」掲載ページ

今日は14時半と17時の二回公演。美術館の劇場ということもあり、本番中に警備の方がホワイエを歩き回ったり、清掃の方がゴミを回収に来たりする(客席とホワイエは布の幕で仕切られているだけで、客席からも足音等がよく聞こえる)。しょっちゅう人が変わるので難しい、とのことだが、初日から日々、美術館の担当者と一緒に話し合い、だいぶ静かにしてくれるようになった。

今回は4, 5歳くらいの小さい子がたくさん観に来てくれている。17時の回では赤ちゃんが俳優のコロスに合わせて声を上げていた。薄暗いなかで、ちょっと怖い場面もあるのに、最後まで集中して見てくれるお子さんが多い。

18時半終演、トリプルコール。まだ明るいなかで、ギルガメシュ叙事詩の舞台となるウルクの町がケ・ブランリー美術館の庭園と重なると、ギルガメシュがレバノン山で切り倒した杉の木で飾った町とは、私たちが今いるこの町なのか、と思えてくる。舞台と客席の集中力が噛み合って、いい千穐楽になった。

70代〜80代くらいの女性二人が宮城さんに興奮した口調で話しかける。あとで美術館の担当者から伺ったところでは、お二人は元演劇の先生で、「生涯で最も感動した」とおっしゃっていたという。

集合写真を撮り、さっと夕飯を食べ、バラシ。あっという間に空の舞台に戻っていく。「もう寂しくなってきた」と劇場の担当者。来るたびに、担当者が現場に顔を出してくれる時間が長くなっている。バラシが終わり、日仏の技術スタッフたちが別れを惜しむ。

21時半、トラック到着、搬出作業。23時退館。毎正時にライトアップされるエッフェル塔がキラキラしている。

『ギルガメシュ叙事詩』は、華やかな終わり方だった『マハーバーラタ』や『イナバとナバホの白兎』に比べると、最後にちょっとしんみりとなってしまう作品だが、何千年も生き残ってきた物語だけあって、そこには人類が生き残るのに必要な知恵が含まれているような気がする。コロナ禍と戦争のなかで、静岡からパリまで来るというのはかなり大変だったが、この作品はケ・ブランリー美術館とSPACとの出会いがなければありえなかった。これからの人類と、それを取り巻く全てのものに、この作品が少しでも希望を与えられればと願う。

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★ゴールデンウィークに静岡市・駿府城公園にて上演★
フランス国立ケ・ブランリー美術館委嘱作品/SPAC 新作
『ギルガメシュ叙事詩』

台本・演出:宮城聰
翻訳:月本昭男(ぷねうま舎刊『ラピス・ラズリ版 ギルガメシュ王の物語』
音楽:棚川寛子
人形デザイン:沢則行

出演:阿部一徳、大高浩一、石井萠水、大内米治、片岡佐知子
榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木陽代、関根淳子
大道無門優也、舘野百代、本多麻紀、森山冬子、山本実幸
吉植荘一郎、吉見亮、渡辺敬彦
/沢則行(操演)、桑原博之(操演)

公演日時:
2022年5月2日(月)、3日(火・祝)、4日(水・祝)、5日(木・祝)
各日18:40開演

会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

★公演詳細はこちら
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