授業

 
ある教授のもとに、ひとりの生徒が個人授業を受けに訪れる。
穏やかに始まった授業は徐々に変調をきたし、衝撃のラストへ…。

 
ルーマニアの劇作家、ウジェーヌ・イヨネスコにより1950年に発表され、「喜劇的ドラマ」と副題がつけられたこの作品では、ナンセンスな笑いとともに日常に潜む狂気とコミュニケーション不全が描かれている。半世紀以上にわたり世界各地で上演され続ける不条理演劇の傑作に、鬼才・西悟志が挑む。高い評価を得ながらも長らく演劇活動を休止していた稀代の演出家を、宮城聰が大抜擢。
  
演出: 西 悟志
共同演出: 菊川朝子
作: ウジェーヌ・イヨネスコ
翻訳: 安堂信也、木村光一

出演:

Kijima
  貴島 豪
Noguchi
  野口俊丞
Fuse
  布施安寿香
Watanabe
  渡辺敬彦
[五十音順]

 
 

空→満、満→空、空→満、(そして人生はつづく)

西 悟志

 好きな言葉があってさ。「空のものを満たす。満ちたものを空にする。痒いところは掻く。」(Fill what is empty. Empty
what is full. Scratch where it itches.)自分の行動原理なぞ、ここに尽きているのじゃないかと思う。俺、自分を空っぽと思
ってた。とくに若い頃は。
 Theatre of the Absurd、つまりバカバカしい劇(通称:不条理演劇)の超有名作、ノーベル賞作家サミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』は「待ってるやつが来なかった」で終わる。バカ劇二大巨頭・もひとりのイヨネスコのある戯曲には「うんこ・うんこ・うんこ・うんこ・うんこ・うんこ・うんこ」という素敵な台詞がある。アホらし、と思うかもだが、ここには、満たされたものを空に、空のものは満たして、という切実でひたすらな欲望も感じる。だから、これらは文学なのだ。俺、分かる。も少し親切に説明するなら、『ゴド待ち』は期待ばかりで何も起こらず(満→空)、言うべきことが何もない時、意味ない発語をしたくなる感覚ってきっと多くの人が知っている(空→満)。
 核戦争の可能性がふつうにニュースで流れてた冷戦時代、子どものとき、かつて原爆の落ちた広島で過ごした。こわかった。大量の人も一瞬でいなくなるんだ(満→空)と思ってた。大戦中ナチスに怯える東欧で過ごしたイヨネスコという作家のナンセンスは、爆弾でみんな一瞬でいなくなる恐怖から生まれたものじゃないか、と自分を通して思う。今に生きてたらよく分からないかもだけど。俺も戦争は知らぬ。五体満足だ。アトピーが痒いだけで。けど、これは近代兵器の副産物である「歴史的な感覚」じゃないかと勘が言う。爆弾からナンセンス。
 戯曲『授業』の原文には、vide(ゔぃどぅ)=「空」という仏語が3回出てくる。最初と、真ん中と、最後に。そのカラッポの中で、人と人と人と言葉・言葉・言葉が目一杯にカラ回りする。あとは死ぬだけ。意味はないよ。それが人間。ゲラゲラ。それがイヨネスコ教授の授ける授業なのかも。
 さて、古典演出という仕事はホン(戯曲)に忠実であらねばと思う。だとしたら、ちょっと反則なのだが、今回はひとつ俺の妄想も語ってみてえ、と思っている。満ち満ちたカラッポから脱走したいんだ。ほんとすまんが許せ同志イヨネスコ(1909-1994)。←割に長生きだな

公演情報

2018年

10月 6日(土) 14:00  
     
10月 7日(日) 14:00  *東京バス
     *アーティストトーク
10月 8日(月祝) 14:00  *バックステージツアー
     *託児サービス
10月13日(土) 16:00  *バックステージツアー
     
10月20日(土) 14:00  *放課後トーク
     
10月21日(日) 14:00  *浜松バス               
     *アーティストトーク
     *託児サービス
10月28日(日) 14:00  *はじめての演劇鑑賞講座
     *バックステージツアー

会場:静岡芸術劇場 (静岡市駿河区東静岡2丁目3-1 グランシップ内)

中高生鑑賞事業公演 「SPACeSHIPげきとも!」

SPACでは「劇場は世界を見る窓である」という理念のもと、静岡県内の中学生・高校生を対象に招待公演を行っています。
は一般販売のお席もございます(枚数限定)。お問い合わせはSPACチケットセンターまで。
  
10月3日(水)13:30、9日(火)13:30、10日(水)18:00
12日(金)14:0014:30、17日(水)13:30、19日(金)13:00
23日(火)12:00、24日(水)10:30/14:30、25日(木)13:30、
26日(金)13:30、29日(月)13:30、31日(水)13:30、
11月1日(木)13:30、2日(金)10:30/14:30

関連企画

プレトーク
2Fカフェ・シンデレラでは、舞台をよりおもしろく観劇できるポイントをご紹介しています。(一般公演日の開演25分前より。)

アーティストトーク(終演後)
10月7日(日)
 ゲスト:成河(そんは) [俳優]、西 悟志 [演出]、司会:宮城聰
10月21日(日)
 布施安寿香 [俳優]、守山真利恵 [演出部]、司会:宮城聰

カフェ・シンデレラで逢いましょう!
終演後は、出演者が舞台衣裳でお見送りに登場します!写真撮影や握手など俳優との交流をお楽しみください。

バックステージツアーバックステージツアー
SPAC創作・技術部スタッフが舞台裏を特別にご案内!「あの仕掛けはどうなっているの?」など舞台の疑問にお答えします。
10月8日(月祝)、13日(土)、28日(日)
各日終演後 所要時間:約30分
参加無料/要予約、定員40名
(※ご予約はSPACチケットセンターまで)

はじめての演劇鑑賞講座
演劇初心者の方向けに、SPAC俳優・永井健二が見所を観劇前にレクチャーいたします。観劇が初めてでない方もご参加いただけます。
10月28日(日)12:30~13:30
参加無料/要予約 定員20名

NEW!
放課後トーク 〜après la classe〜 Twitter:@SpacSuac
静岡文化芸術大学(SUAC)の学生が「地域連携実践演習」の一環で終演後にワールド・カフェ形式のトークイベントを企画・運営。
『授業』のあと、まっすぐ帰りたくないみなさん、劇場に残って、少しおしゃべりしていきませんか? 放課後に正解はなし。なにを言ってもイーヨネスコ!
10月20日(土) 終演後 所要時間:約1時間
参加無料/要予約、定員20名
申込先:メールspac@suac.ac.jp (井上由里子研究室)
 ※名前・年齢・人数・連絡先をご記載の上、メールでお申込みください。

観劇バス

東京と浜松から静岡芸術劇場までの往復バスを運行いたします。

乗車条件:乗車日の『授業』公演をご予約済みの方
定員あり。お早めにお申し込みください。

<東京バス>
10月7日(日)
[往路] 渋谷発 9:30 → 劇場着 13:00
乗車料金:片道1,000円
*お申し込み締切10月3日(水)
申込先:(株)日本旅行 静岡支店
    TEL.054‐254-8375 (平日10:00~18:00)

<浜松バス>
10月21日(日)
[往路] 浜松発 11:30 → 劇場着 13:00
乗車料金:無料
*お申し込み締切10月18日(木)
申込先:SPACチケットセンター
    TEL.054‐202-3399 (10:00~18:00)

観劇バスの詳細はこちら↓
劇場直行バス

チケット

◆SPACの会会員先行予約受付開始:8月18日(土)10:00
◆一般前売り開始:8月25日(土)10:00

◎チケット購入方法
SPACチケットセンター
●電話予約 054-202-3399 (受付時間 10:00〜18:00)
●窓口販売 静岡芸術劇場チケットカウンター (受付時間 10:00〜18:00)
●ウェブ予約 https://spac.or.jp/ticket
●携帯電話予約 https://spac.or.jp/m/
●セブン‐イレブンでの販売 店内のマルチコピー機をご利用ください。
[当日券] 残席がある場合のみ、開演1時間前より劇場受付にて販売
※当日券販売の有無を、公演当日に必ずお電話もしくはTwitter(@_SPAC_)でお確かめください。

◎チケット料金 ※全てのチケット代金は税込価格です。

●一般: 4,100円
●ペア割引: 3,600円 (2名様で1枚につき)
●グループ割引: 3,200円 (3名様以上で1枚につき)
※10名様以上の場合は電話・窓口にてお取り扱い
●ゆうゆう割引: 3,400円 (満60歳以上の方)
※公演当日、受付にて身分証をご提示ください。
●学生割引: [大学生・専門学校生]2,000円 [高校生以下]1,000円
※公演当日、受付にて学生証をご提示ください。
●障がい者割引: 2,800円  [障害者手帳をお持ちの方]
※公演当日、受付にて障害者手帳をご提示ください。
※付添の方(1名様)は無料 ※電話・窓口のみのお取り扱い

静岡県内の小学生ご招待(1公演5名様まで)

●SPACの会
一般: 3,400円  ペア割引: 3,200円 (2名様で1枚につき)
♪素敵な特典もたくさん!お得な会員になって秋→春のシーズンを楽しもう♪
spac-club2018

 
◎割引をご利用の際は、必ずご予約時にお知らせください。各種割引の併用はできません。
◎乳幼児の客席へのご入場はご遠慮ください。

[親子室] (先着3名様・要予約)
静岡芸術劇場では、乳幼児と一緒にご観劇いただける親子室がございます。
[託児サービス]
グランシップ託児サポーター(ボランティア)による無料託児サービスをご希望の方は、ご利用日の1週間前までにSPACチケットセンターへご連絡ください。
託児日 : 10月8日(月祝)、10月21日(日)
対象 : 2歳以上の未就学のお子様

スタッフ

照明デザイン: 大迫浩二
美術デザイン: 香坂奈奈
衣裳デザイン: 駒井友美子

舞台監督: 内野彰子
演出部: 守山真利恵
照明操作: 小早川洋也
音響: 右田聡一郎、澤田百希乃
美術担当: 渡部宏規
技術監督: 村松厚志
制作: 丹治陽、雪岡純

宣伝美術: 阿部太一(TAICHI ABE DESIGN INC.)
宣伝イラスト: 武富健治
著作権代理: (株)フランス著作権事務所
協力: ふじのくに地球環境史ミュージアム

主催: SPAC-静岡県舞台芸術センター
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
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【演出】
西 悟志(にし・さとし)
Nishi1974年広島生まれ。演出家。東京大学在学中より劇団を立ち上げ、2002年利賀演出家コンクールにて優秀演出家賞を受賞。翌年、受賞作をモスクワで上演。演出作にイヨネスコ『二人で狂う』(受賞作)、イプセン『人形の家』、ワイルダー『わが町』など。05年劇団が解散。10年の活動休止を経て、16年にチョウソンハ・池田有希子の二人芝居『マクベス』を演出。おもしろくする!が信念。

 
【共同演出】
菊川朝子(きくかわ・あさこ)
Kikukawa1980年鳥取県生まれ。演劇ユニット「Hula-Hooper」主宰。俳優・劇作・演出・振付をおこなう。東京⇄鳥取(実家)を行き来をして遠距離演劇活動をしている。アイドルユニット「二人静」のアコ、「鳥ROCK FESTIVAL」実行委員長、ママさんコーラス演劇「うたうははごころ」代表、でもある。2016年出産後は、息子との親子客演も多い。現在は、親子で楽しめる演劇空間作りも積極的に行なっている。

 
【作】
ウジェーヌ・イヨネスコ Eugène IONESCO
1909年ルーマニア生まれ。幼少期をフランスで過ごしたのちブカレスト大学に入学、詩や評論を書き始める。38年にパリにふたたび戻り、戦時中はルーマニア公館文化部で働き、パリ解放後は出版社の校正係もした。48年に英語の勉強を始めたことをきっかけに『禿の女歌手』を書き始め、「反戯曲」と副題され50年に初演される。51年に『授業』、52年に『椅子』を続けて上演。同時期に『ゴドーを待ちながら』を発表したサミュエル・ベケットと並ぶ不条理演劇の代表的作家と位置づけられるようになる。パリのユシェット座では『禿の女歌手』と『授業』が60年以上のロングランを記録しており、観光名所となっている。日本では、俳優・中村伸郎が72年より11年間、毎週金曜日に渋谷のジァンジァンで『授業』を上演し続けたことで知られる。70年、アカデミー・フランセーズ会員に選出。94年、84歳で死去。
 
★『授業』感想コメント動画 vol.1~3


 
★SPICEに掲載されました。 2018.10.11
“鬼才”が仕掛ける衝撃の連続 
SPAC『授業』公演&アーティストトーク レポート

 
★mitecoに掲載されました。 2018.10.4
衝撃のラストが待つ傑作劇『授業』をSPACで!
出演俳優&制作担当へ直撃インタビュー

 
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●7月23日に開催された「SPAC秋→春のシーズン2018-2019」製作発表会での西悟志の発言はこちらからお読みいただけます。
 (下の画像をクリックしてください。)
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●浜松市鴨江アートセンターとSPACのコラボレーション企画第1弾!
演劇はおもしろい!文芸漫画家・武富健治と演出家・西悟志によるトークイベント
*10月15日(月)19:00~ 詳細はこちら
稽古場写真_猪熊康夫_013 武富健治プロフィール写真トリミング

 
●武富健治書き下ろし『授業』宣伝イラスト原画展開催!
10月6日(土)~11月2日(金)
会場:静岡芸術劇場1Fロビー
詳細はこちら
 
★すぱっく新聞 第5号(特大号) 『授業』
下の画像↓をクリックするとお読みいただけます。(PDF)
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★鑑賞パンフレット
下の画像↓をクリックするとお読みいただけます。
授業げきともパンフ表紙