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マルコ・ポーロ  − 東方見聞録のヒミツ

作:ロビン・ラウゼンダール
出演:台原偶戯団
6月20日(土) 14:00開演  21日(日) 17:00開演
静岡芸術劇場
上演時間:60分
一般大人4,000円 / 同伴チケット(2枚)7,000円
大学生・専門学校生2,000円 / 高校生以下1,000円
★静岡県内の中学生は、30名まで招待あり。
(お問い合わせ、お申し込みはSPACチケットセンター Tel:054-202-3399まで)

台湾古典人形劇の至宝、西洋と出会う!
『戯夢人生』で見た、あの極彩色のとっても小さな舞台がやってくる。

 100年以上の歴史を持つ台湾人形劇。陽気な音楽にのせて、片手が入った人形が右に、左に飛び回ってアクロバットを見せつける。
 ホウ・シャオシェン監督の映画『戯夢人生』の主人公・李天祿(リー・ティエンルー)師の息子である陳錫煌(チェン・シーホアン)師のもとに結集した、台湾を代表する人形劇団「台原偶戯団」。この劇団のディレクターは、なんとオランダ人である。ロビン・ラウゼンダールは中国人形劇の研究をしているうちに台北に住みつき、劇団芸術監督+座付き作家+人形劇博物館館長等々になってしまった。そのため、台原偶戯団は、伝統の継承だけでなく、オランダ、フランス、アメリカ、カンボジア、インドネシア、トルコ・・・など海外のアーティストとの交流も盛んに行っている。そんななかでできたのが、イタリア人人形師や作曲家とのコラボレーション、『マルコ・ポーロ』である。
 中国の宮廷にやってきたイタリア人マルコ。空気の読めない彼が出会う、まったく新しい世界―
 中国の伝統音楽のなかに、突然イタリアオペラが鳴り響く。二つの文化のなまなましい衝突が、大胆かつ繊細な人形によって生き生きと演じられる。

■あらすじ
元の皇帝フビライ・ハンのもとに、イタリア商人のポーロ兄弟がやってくる。聡明な兄マッテオに対して、若くて元気な弟のマルコはそそっかしくて思いこみが激しい。宴の晩、マルコはフビライの娘に仕える召使いピン・ゲーに出会い、彼女をお姫様だと思い込んで恋に落ちる。しかしフビライの娘の家に闖入したマルコは捕らえられ、牢に入れられてしまう。マッテオがピン・ゲーと協力してマルコを助けようとしているうちに、二人は互いに惹かれ合っていることに気づく。マルコを助ける手だてが見いだせないなか、宮廷に仕える占星術師が、フビライに外国人の追放を進言する・・・。

■コラム
「よく分からないけれど凄いもの」に感染すること 宮台真司

 
 人形劇が僕にとってこんなに大切なのは、なぜだろう。昭和30年代に生まれた僕らにとって、人形劇は身近だった。当時は児童演劇運動が盛んで、学校行事で年に一・二回は人形芝居を観に行き、あるいは一座がやってきた。テレビの子供番組も人形劇だらけだった。
 NHKの「チロリン村とくるみの木」「ひょっこりひょうたん島」「空中都市008」などは全ての子供のマスト番組だったし、NHKがオンエアを始めた英国製の「サンダーバード」も、同じプロダクションが作った「キャプテンスカーレット」も大人気だった。
 僕らの世代までは人形劇を含んだ見世物にも馴染んでいた。通学路には紙芝居屋が出没したし、大きなお祭りになると「蛇娘」の見世物小屋に行った。似たような感じだが、ハレの日には親が大阪まで木馬座(藤城清治)の影絵芝居や人形芝居に連れていってくれた。
 大人になってますます人形劇にこだわるようになった。理由は二つ。第一は、人形劇リテラシーの低下によって「よく分からないけど凄い」という享受の仕方が廃れてきたこと。第二は、演劇の真髄を「身体性」に求めるタイプの演出が目立ち過ぎるように思えること。
 第一点目。僕は人形コレクターだ。『マルコポーロ』に出て来るような人形もある。素晴らしい人形はそこに在るだけで周囲に異次元が拡がる。人形は人でも物でもない境界的存在なので、非日常の時空への通路になる。人形劇の凄さは物語ではなく、高度に操られた人形自体に由来する。だから浄瑠璃に字幕を投影する愚昧に僕は耐えられない。それでは感染は生じない。
 第二点目。演劇の真髄を身体性に求めるのは、間違いではないもののミスリーディングだ。演劇の真髄は感染(ミメーシス)だ。映画と違った身体的な直接性が感染をもたらすことは、確かにある。でも目の前に佇む人形から生じる感染も、優るとも劣らず重要だ。物語に感激するのもいいが、時には、人形が切り開く異次元にハマってみようではないか。

宮台真司(みやだい・しんじ)
photo_column_miyadai社会学者。映画批評家。首都大学東京教授。1959年、仙台生まれ。京都市で育つ。東京大学大学院博士課程修了。社会学博士。権力論、国家論、宗教論、性愛論、犯罪論、教育論、外交論、文化論などの分野で単著20冊、共著を含めると100冊の著書がある。最近の著作に『14歳からの社会学』、『〈世界〉はそもそもデタラメである』などがある。

後援 台北駐日経済文化代表処
オランダ王国大使館

陳錫煌(チェン・シーホアン)

台湾で最も有名な人形遣い。現在80歳。
 父で師の李天祿(リー・ティエンルー)は映画『戯夢人生』(1993)の主人公。13歳でデビュー、60年以上にわたって台湾人形劇界を支えつづけ、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールから南米の田舎町まで、カンボジアからモロッコまで、世界30カ国以上で人形劇を上演。近年は創作劇にも意欲を燃やし、後進に影響を与えつづけている。

ロビン・ラウゼンダール

photo_marcopolo劇作家、人形劇研究者。台原偶戯団芸術監督、林柳新紀念偶戲博物館館長。
 1963年、オランダ生まれ。貿易船の船長としてインドネシアに住んだことがある祖父の影響でアジアに興味を持ち、ライデン大学で中国文化を学ぶ。86年、アモイ大学留学ののち、中国の操り人形に関する研究で博士号を取得。90年、オランダで台湾人形劇団の通訳を務めるうちにそれに魅了され、93年から台北在住。台湾医学界の重鎮で台湾文化の育成に尽力した林柳新一家とともに、老師陳錫煌を迎え、台湾初の人形劇のための博物館「林柳新紀念偶戲博物館」(05年開館)と専属劇団「台原偶戯団」(04年創立)を創設。台原偶戯団以外でも多くの新作劇を発表している。
 主著に『泉州における人形劇』(06)など。