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頼むから静かに死んでくれ

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作・演出:ワジディ・ムアワッド
出演:オ・カレ・ド・リポテニューズ、アベ・カレ・セ・カレ
6月19日(土) 14時30分、20日(日) 14時開演
静岡芸術劇場
上演時間:160分 フランス語上演・日本語字幕
★静岡県内の中学生は、30名までご招待あり。

作品について

カナダの若者に絶大な支持をうける劇作家!
アヴィニヨン演劇祭で2000人の観客が称賛!
レバノン生まれのフランス育ち、現在カナダで一躍注目を浴びるワジディ・ムアワッドは、若者に絶大な支持をうける人気劇作家兼演出家。2009年フランスのアヴィニョン演劇祭では、法王庁中庭を埋め尽くした2000人近くの観客がムアワッドの代表作『約束の血』四部作に熱狂しました。『約束の血』第一部にあたるのが、今回上演する『頼むから静かに死んでくれ』。詩的なせりふと心を揺さぶるドラマが融合した唯一無二の作風で、演劇通の観客だけでなく、演劇初心者をも虜にするに違いありません。21世紀の大劇作家ムアワッドの原点が、ついに日本解禁!世界中に広がりつつあるこの劇作家への熱い期待が、ついに静岡を巻き込みます!

共同製作:オ・カレ・ド・リポテニューズ、シャンベリー・サヴォワ国立舞台「エスパス・マルロー」、オタワ・ナショナル・アーツ・センター仏語演劇部門、アベ・カレ・セ・カレ、フォロム・メイラン劇場ならびにエドモンド&ベンジャミン・ロスチャイルド財団、リヨンセレスタン劇場、マラコフ国立舞台「テアトル71」、バイヨンヌ=シュッド・アキタン国立舞台、メイラン国立舞台「エクサゴン」、ロワール・アトランティック公立劇場「ル・グラン・T」
協力:ジュンヌ・テアトル・ナショナル

ワジディ・ムアワッドはシャンベリー・サヴォワ国立舞台「エスパス・マルロー」のアソシエート・アーティストです。この作品は同劇場によって製作され、2008年から10年まで、この作品の上演に関する権利は同劇場が有しております。

あらすじ

カナダ・ケベック州に住む青年ウィルフリッドが一夜の恋を楽しんでいるところに、旅暮らしを続けていた父親の訃報が届く。遺体安置所に集まる親族に、ウィルフリッドは父イスマイルが愛していた母ジャンヌの墓地の横に埋葬することを提案するが、母の親族は「ジャンヌを殺したのはイスマイルだ」として、この提案を受け入れない。ウィルフリッドは死んだ父親との対話を通じて自らの出生の経緯を知り、遺体を中東にある故郷の村に埋葬することを決意する。ウィルフリッドは幼い頃から頼りにしていたアーサー王の騎士とともに、父親を担いで旅に出るのだが…

コラム
頼むから、この傑作を見逃さないでくれ!
目黒 条

『頼むから静かに死んでくれ』の戯曲を貪るように一気読みしたわたしは、「死体安置台の上で、ロートレアモンとソフォクレスが出会ったように美しい!」と叫びたくなった。
作者のワジディ・ムアワッドは、あのロベール・ルパージュらの後を継ぐようにして、カナダ演劇の最もイノベーティブな部分をリードする、劇作家・演出家・俳優だ。
私見だが、ヨーロッパや合衆国の芸術家に比べ、カナダの芸術家は、概してやや「屈折」しているのではないかと思う。屈折というと失礼なようだが、言い換えれば、アイデンティティに関して峻厳な意識を持っている、ということだ。一方、同様に欧米のメインストリームから距離感がある国といっても、日本は敗戦後アイデンティティを見失い、テレビとエンターテインメントで骨抜きにされてしまった人々が多数派となった。そんな日本よりカナダは、文化的によほど豊かな可能性を持つ国なのではないだろうか。
ベイルート生まれで、フランスに亡命後、カナダに移住したというムアワッドは、まさしくアイデンティティについて自らに問い続ける芸術家なのだろう。
『頼むから…』は、骨抜きになっていない少数派のための、最高に刺激的な芝居だ。名前も知らない女性とセックスした夜、射精の瞬間にかかってきた電話で「父親の死」を知った主人公のウィルフリッドは、生と死のウロボロスに呑み込まれてしまう。ギリシア悲劇的な家族の葛藤から逃れるようにして、死体の(でも何故だか喋っている)お父さんを連れ『オズの魔法使い』さながらの彷徨を始める彼の、埋葬場所さがしの旅についてくるのは、彼の幻想の中の人物(アーサー王の騎士、ウィルフリッドの映画を撮影しているらしい監督やスタッフ)、そして父親オブセッションやトラウマを抱えた不思議な人々…。
昨年のアヴィニヨン演劇祭で「アカデミー・フランセーズ演劇大賞」を受賞したこの傑作が、早くも日本で見られるなんて凄いことだ。演劇的事件ともいうべきこの上演、絶対にこの目で目撃せねば!と今から興奮している。

目黒 条(めぐろ・じょう)

作家、翻訳家。翻訳戯曲に『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』『キャバレー』『ビロクシー・ブルース』など。マクドナー『ピローマン』の翻訳で、第12回湯浅芳子賞受賞。著書に『世界人類がセックスレスでありますように』『免罪符に』など。





メッセージ

「Shizuoka春の芸術祭2010」の開催にあたり、財団法人静岡舞台芸術センターに心よりお慶び申し上げます。同芸術祭では日本国内外の優れた演劇作品が上演され、今年はカナダが輩出した素晴らしい才能の持ち主であるワジディ・ムアワッド作・演出の「頼むから静かに死んでくれ」が上演されます。
ムアワッドはオタワにあるナショナル・アーツ・センターの仏語演劇部門の芸術監督を務めると同時に、フランスのアヴィニョン・フェスティバルのアソシエート・アーティストでもあり、彼の作品は国際的に高い評価を受けています。カナダでも今回上演されます「頼むから静かに死んでくれ」が2000年に総督文学賞仏語演劇最優秀賞を受賞しました。その壮大でダイナミックな作品が日本の皆様の心をつかむことを確信しています。
芸術祭期間中、観客の皆様が感動を覚えるような経験をなさることを心よりお祈り申し上げます。

駐日カナダ大使 ジョナサン・T・フリード

←左のアイコンをクリックすると、SPAC発行のパンフレット「劇場文化」掲載のエッセイをお読みいただけます。

母と娘のワジディ・ムアワッド交感記
コリーヌ・ブレ&ロラ

悲情な世界と闘う武器は、イマジネーション!
—アヴィニョン演劇祭で魅了された、奇想天外な生命の讃歌—
桂真菜

協賛 ケベック芸術文芸カウンシル、キュルチュールフランス、エールフランス
後援 東京日仏学院、フランス大使館、ケベック州政府在日事務所、カナダ大使館、レバノン大使館

ワジディ・ムアワッド

劇作家・演出家・俳優。
1968年、ベイルート(レバノン)生まれ。8歳で家族とともにフランスに亡命し、その後滞在許可証の更新が拒否されたため、83年にカナダ・ケベック州に移住。91年、カナダ国立演劇学校を卒業、劇団「テアトル・オ・パルルール」を創立。98年、ケベック演劇批評家連盟最優秀作品賞を受賞。2000年、『頼むから静かに死んでくれ』でカナダ総督文学賞(演劇部門)を受賞。00年から04年、モントリオール「三文劇場Théâtre de Quat’Sous」のディレクターをつとめる。この時期、セルバンテス『ドン・キホーテ』、ウェルシュ『トレインスポッティング』など様々な作品の翻案を上演。02年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受勲。05年、モントリオール(カナダ)に劇団「アベ・カレ・セ・カレ」、フランスに劇団「オ・カレ・ド・リポテニューズ」を創立。同年、「劇作審査委員会」を設置しない劇場に対する抗議として、『頼むから静かに死んでくれ』に対するモリエール賞最優秀フランス語圏劇作家賞授与を拒否。07年、ルパージュやドゥニ・マルローの後をうけてオタワの「カナダ国立芸術センター・フランス語劇場」の芸術監督に就任。同時に10年までシャンベリー・サヴォワ国立舞台「エスパス・マルロー」(フランス)の提携アーティストともなっている。09年、「アカデミー・フランセーズ演劇大賞」を受賞 、アヴィニヨン演劇祭の提携アーティストとして四部作を上演。
代表作(ワジディ・ムアワド作・演出作品)
1997 『頼むから静かに死んでくれLittoral/Tideline』(『約束の血』四部作第一部、1999のアヴィニヨン演劇祭で再演)
1998 『トイレにこもったウィリー・プロタゴラスWilly Protagoras enfermé dans les toilettes』
2000 『夢Rêves / Dreams』
2003 『火事Incendies / Scorched』(四部作第二部、2009年10月に東京でピープルシアターが『焼け焦げるたましい』として上演、2010年にカナダで映画化予定)
2006 『森Forêt / Forests』(四部作第三部、シャンベリー)
2008 『一人Seuls』(アヴィニヨン演劇祭)
2009 『空Ciels』(四部作完結編、アヴィニヨン演劇祭)
他に演出家として『マクベス』、『オイディプス王』、『トロイアの女』、『ルル』、『作者を捜す六人の登場人物』、『三人姉妹』などを演出。