公演中止のお知らせ (2020年4月3日更新)
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、ゴールデンウィークに開催を予定しておりました『アンティゴネ』公演を中止することといたしました。大都市圏を中心に国内でも感染者が増加し、都道府県を越えての移動の自粛が要請されるなか、各地から多くの来場者が見込まれ、感染症拡大のリスクを低減するため、公演中止という決断に至りました。公演を楽しみにされていた全ての皆様に心よりお詫び申し上げます。
中止となった公演につきましては、ご予約済みのお客様に順次ご連絡を差し上げるとともに、4月4日から5月10日までチケット代金の払い戻しを実施いたします。
まずは一日も早い感染終息を祈るとともに、人と人が物理的に切り離されるいま、心と心をつなぐ“何か”を皆さんと共に考え、発信し続けることで、孤独化を防ぐ一助になることを願っております。
◆ 中止にあたって宮城聰からのメッセージはこちら
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世界で絶賛された宮城聰×SPACの話題作、いよいよ静岡に凱旋―
『アンティゴネ』は、2017年、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」からの招聘を受け製作された。静岡市・駿府城公園でのプレ公演を経て、客席数約2,000のメイン会場「アヴィニョン法王庁中庭」で演劇祭のオープニング作品として上演。人を善悪に二分しない王女アンティゴネの思想に、「死ねばみな仏」という日本人の死生観を重ねた独創的な演出、舞台全面に水が張られた装置や、高さ30mの法王庁の壁面に俳優の影を映し出す仕掛けは、大きな反響を呼んだ。19年秋には「Japan 2019」の公式企画として、ニューヨークの「パーク・アベニュー・アーモリー」で上演され、開幕翌日ニューヨーク・タイムズ電子版が「霊妙で瞑想的な異世界に引き込まれる」と激賞。さらに、米国版TIME誌が選ぶ2019年の演劇公演ベストテン第6位に選出された。
そして―
2020年5月、アヴィニョンやニューヨーク公演の規模に迫る劇空間が、駿府城公園に出現する。
『アンティゴネ』の上演歴
・2017年5月4日~7日 ふじのくに野外芸術フェスタ2017 会場:駿府城公園 紅葉山庭園前広場特設会場(客席数:約500席)
・2017年7月6日~12日 第71回アヴィニョン演劇祭 会場:アヴィニョン法王庁中庭(客席数:約2,000席)
・2019年9月25日~10月6日 Japan2019 会場:パーク・アベニュー・アーモリー「ウェイド・トムソン・ドリルホール」(客席数:約1,000席)
あらすじ
舞台は古代ギリシャ・テーバイ。先の王オイディプスは自らの出生の秘密を知り、国を追われる。その妻であり母でもあるイオカステは自死を遂げた。残された二人の息子ポリュネイケスとエテオクレスは王位を競って争い、ポリュネイケスはアルゴスに追放される。やがてポリュネイケスはアルゴス勢を率いてテーバイに攻め入り、エテオクレスとの一騎打ちとなるが、オイディプスの呪いを受けた兄弟は相討ちとなって共に果てる。そして王位はイオカステの兄クレオンのものとなった。クレオンは国を守ったエテオクレスを手厚く葬り、反逆者ポリュネイケスの死骸を野に晒して野鳥の餌にすることを命じ、これに反した者を死罪に処すことを決める。だが、オイディプス王の娘アンティゴネは王令に従わず、いさめる妹イスメネにも抗して、兄ポリュネイケスに埋葬の礼を施すことを決意する…。
公演日時/会場
日時 | 5月2日(土)・3日(日・祝)・4日(月・祝)・5日(火・祝)各日18:45開演 |
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会場 | 駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場 |
上演時間 | 105分 <日本語上演/英語字幕> |
*チケットに記載の整理番号順(予約受付順)でのご入場となります。
*未就学児との入場はご遠慮ください。
*雨天でも上演いたします。客席では傘をご利用いただけませんので、雨ガッパなどをお持ちください。夕方以降は冷え込みますので、防寒着をご用意ください。
チケット
劇評
●「ル・モンド」紙 2017. 7. 8
2014 年、ブルボン石切場で上演した『マハーバーラタ』で人々を魅了した「美」。我々は法王庁に、あの「美」を再び見出した。
●「ニューヨーク・タイムズ」紙 2019. 9. 27
この日本風にアレンジされたギリシア悲劇は、視覚的にも聴覚的にも壮麗である。(中略)何と言っても特筆すべきは、宮城氏の演出によって生みだされる観客の本能に訴えるような演劇の力である。古典的な手法と現代的な手法を巧みに掛け合わせることにより、権力狂の王の残酷な命令に命懸けで立ち向かう主人公の女性を描いたこの物語が、時代を超越しつつも同時に緊迫感の漂う舞台作品となって観客の前に蘇った。特定の解釈が押し付けられることなく、怨恨に満ちた現代に生きる我々の胸に物語の真髄がダイレクトに響いてきたのだ。
●「ニューヨーク」誌 2019. 9. 26
宮城版「アンティゴネ」は生者に関する物語ではなく死者のための儀式であり、またこれによって両者を分け隔てる境界線の危うさが顕在化している。この作品は、むやみに観客の情緒を揺さぶるのではなく、もっと深い本質的なところで見る者に感動を呼び起こすのだ。(中略)宮城版「アンティゴネ」の美しさは、「死」とは何かを表現しようとした結果、それが「生」に関する冷静だが冷酷ではない考察に繋がっているところにあろう。
●「タイム」誌(米国版) 2019. 12. 16号/TIME誌が発表する2019年の演劇公演 年間ベストテンの第6位に選出
圧倒的。約2500年前のソポクレスによる演劇の日本語バージョンである本作は、能や仏教哲学を想起させ、水を張ったプールの中でほぼ全編を上演した。さらにはワールドクラスの打楽器奏者たちによる魅力的な劇伴のおかげで、今年私が出席した中でおそらく最高に魅惑的なコンサートでもあったと言える。
出演者/スタッフ
構成・演出:宮城聰 / 作:ソポクレス / 訳:柳沼重剛 / 音楽:棚川寛子 / 空間構成:木津潤平
衣裳デザイン:高橋佳代 / 照明デザイン:大迫浩二 / ヘアメイク:梶田キョウコ
出演:SPAC/美加理、本多麻紀、赤松直美、阿部一徳、石井萠水、大内米治、大高浩一、加藤幸夫、貴島豪、小長谷勝彦、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木真理子、大道無門優也、武石守正、舘野百代、寺内亜矢子、永井健二、野口俊丞、布施安寿香、三島景太、宮城嶋遥加、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、若菜大輔、渡辺敬彦
演出家プロフィール
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡邊守章・日高八郎各師から演劇論を学び、1990年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出で国内外から高い評価を得る。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、またアウトリーチにも力を注ぎ「世界を見る窓」としての劇場運営をおこなっている。2017年『アンティゴネ』をフランス・アヴィニョン演劇祭のオープニング作品として法王庁中庭で上演、アジアの演劇がオープニングに選ばれたのは同演劇祭史上初めてのことであり、その作品世界は大きな反響を呼んだ。他の代表作に『王女メデイア』『マハーバーラタ』『ペール・ギュント』など。2004年第3回朝日舞台芸術賞受賞。2005年第2回アサヒビール芸術賞受賞。2018年平成29年度第68回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2019年4月フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。
SPACとは
公益財団法人静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center : SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団であり、舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業目的としています。1997年から初代芸術総監督鈴木忠志のもとで本格的な活動を開始。2007年より宮城聰が芸術総監督に就任し、更に事業を発展させています。演劇の創造、上演、招聘活動以外にも、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成事業、アウトリーチ活動などを続けています。13年、全国知事会第6回先進政策創造会議により、静岡県のSPACへの取り組みが「先進政策大賞」に選出。18年度グッドデザイン賞を受賞、無形の活動が一つのデザインとして高く評価されました。
SPAC-静岡県舞台芸術センター
〒422-8019 静岡市駿河区東静岡2丁目3-1
Tel: 054-203-5730 Fax: 054-203-5732
E-mail: mail@spac.or.jp
共催 : 静岡県文化プログラム推進委員会 、静岡市