ある高校の教室。クラスの女子高校生たちの一日。課題図書に何を選ぶか、親戚の病気や近しい人の出産のことが話題となっている。そこへ「朝起きたらこの学校の生徒になっていた」という転校生がやってくる。課題図書のひとつ、カフカの『変身』の主人公のように。彼女を受け入れながら、身近でおきている恋愛や出産や死をとおして、人間の存在の不確かさが浮かび上がってくる。
◎ ワークショップとオーディション
静岡県内から約30名の女子高校生が集まり、8月1日から6日間にわたってワークショップ形式のオーディションが行われた。演劇未経験者から演劇部に所属しているもの、市民ミュージカル参加経験者などで、志望動機も皆それぞれ。「俳優を目指している」「先輩を見返したい」「今しか出来ない舞台に興味がある」。歩く、名前を呼びながらボールを投げる、シーンの一部を実際に演じてみる。じっくりと射抜くような飴屋氏の視線のなか、参加者たちは様々な課題をこなしていった。
平田 オリザ(ひらた おりざ)
劇作家・演出家。1962年東京生まれ。16歳で高校を休学し、自転車による世界一周旅行を敢行。83年、国際基督教大学在学中に劇団「青年団」を結成、「静かな演劇」と呼ばれたムーブメントの中心的存在になる。このなかで、日本語会話に特有の論理をもとに「現代口語演劇」という理論を打ち立て、リアルな日本語で同時に複数の会話が進行する独自のスタイルを確立していった。95年『東京ノート』で岸田國士戯曲賞を受賞。女子高校生とのワークショップから生まれた『転校生』はその前年に発表された。21人の女子高校生が登場するこの作品は「同時多発会話」という手法の最もラディカルな実験だったといえる。その他の代表作に『ソウル市民』、『S高原から』など。平田の作品は仏・英・韓・伊・独・中・タイ・マレー・インドネシア語に翻訳され、海外でも頻繁に上演されている。
劇作家・演出家。1962年東京生まれ。16歳で高校を休学し、自転車による世界一周旅行を敢行。83年、国際基督教大学在学中に劇団「青年団」を結成、「静かな演劇」と呼ばれたムーブメントの中心的存在になる。このなかで、日本語会話に特有の論理をもとに「現代口語演劇」という理論を打ち立て、リアルな日本語で同時に複数の会話が進行する独自のスタイルを確立していった。95年『東京ノート』で岸田國士戯曲賞を受賞。女子高校生とのワークショップから生まれた『転校生』はその前年に発表された。21人の女子高校生が登場するこの作品は「同時多発会話」という手法の最もラディカルな実験だったといえる。その他の代表作に『ソウル市民』、『S高原から』など。平田の作品は仏・英・韓・伊・独・中・タイ・マレー・インドネシア語に翻訳され、海外でも頻繁に上演されている。
飴屋 法水(あめや のりみず)
演出家・美術家。1961年生まれ。アングラ演劇の中心的存在だった「状況劇場」の音響を経て、84年に「東京グランギニョル」を結成。反復する大音響のビートやデッドテック(廃虚的)な装置に、退廃的でグロテスクな世界観をもつ舞台をつくり、カルト的な人気を博した。87年に「M.M.M」を結成し、メカニックな装置と肉体の融合をモチーフにした「スキン/SKIN」シリーズを発表し、サイバーパンク的な舞台表現を固める。90年以降は舞台からは離れ、現代美術の活動へと移行しながらも、人間の身体に一貫してこだわり続け、輸血、人工授精、感染症、品種改良、化学食品、性差別などをテーマとして扱った「ダッチライフ/Duch Life」シリーズを次々に発表。95年にはヴェネツィア・ビエンナーレに「パブリックザーメン/公衆精液」にて参加するも、その後美術活動を停止。同年、あらゆる生物を売買対象とすべく、ペットショップ「動物堂」を東京東中野に開設。2005年「バ ング ント」展にて、美術活動を再開する。
演出家・美術家。1961年生まれ。アングラ演劇の中心的存在だった「状況劇場」の音響を経て、84年に「東京グランギニョル」を結成。反復する大音響のビートやデッドテック(廃虚的)な装置に、退廃的でグロテスクな世界観をもつ舞台をつくり、カルト的な人気を博した。87年に「M.M.M」を結成し、メカニックな装置と肉体の融合をモチーフにした「スキン/SKIN」シリーズを発表し、サイバーパンク的な舞台表現を固める。90年以降は舞台からは離れ、現代美術の活動へと移行しながらも、人間の身体に一貫してこだわり続け、輸血、人工授精、感染症、品種改良、化学食品、性差別などをテーマとして扱った「ダッチライフ/Duch Life」シリーズを次々に発表。95年にはヴェネツィア・ビエンナーレに「パブリックザーメン/公衆精液」にて参加するも、その後美術活動を停止。同年、あらゆる生物を売買対象とすべく、ペットショップ「動物堂」を東京東中野に開設。2005年「バ ング ント」展にて、美術活動を再開する。