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別冊谷崎潤一郎

演出:鈴木忠志
原作:谷崎潤一郎
出演:蔦森皓祐、竹森陽一、塩原充知、加藤雅治、藤本康宏、内藤千恵子、高野綾
舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
一般大人:4,000円、同伴チケット(2枚):7,000円
大学生・専門学校生:2,000円、高校生以下:1,000円
2演目セット:7,000円(※2演目あわせてご予約ください)


11月8日(土)16:15開演
15日(土)16:15開演 
22日(土)16:15開演 

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どう云う訳か知れませんが、
私はあの眼を見ると
いつも神様のことを考えます。
神様はきっとあの眼のように清浄な、
気高いものじゃないかと思います。

罪とは何か、なぜ罪を犯すのかという問いに、人は答えを見出すことができるのか。大義名分に隠された罪、あるいは唐突で理不尽な罪 ―損得からかけ離れた突き動かされる犯罪者の行為は、常人には理解しがたくともある意味純粋で、芸術家の作品創造に賭ける情念に似たものがあるのかもしれない。文豪・谷崎潤一郎が追い求めたのは、禁忌を犯すほどの欲望の果てにある精神の姿形だった。谷崎が大正期に書き上げた戯曲「お國と五平」と小説「或る調書の一節」を二部構成し、谷崎潤一郎の世界を様式美の中に描きだした鈴木忠志の名舞台。

鈴木忠志 [すずき ただし]

演出家。1939年、静岡県清水市生れ。1966年、別役実、斉藤郁子、蔦森皓祐らとともに劇団SCOT(旧・早稲田小劇場)を設立。76年富山県利賀村に本拠地を移し、82年より世界演劇祭「利賀フェスティバル」を開催。世界各地で上演活動を展開し、鈴木の編み出した俳優訓練法スズキ・メソッドは世界各国で学ばれている。静岡県舞台芸術センターの芸術総監督を95年から2007年3月まで務め、現在同センター顧問。シアター・オリンピックス国際委員、舞台芸術財団演劇人会議理事長。今年から劇団SCOTの活動を再開し、新たな演劇創造に意欲を燃やす。

谷崎潤一郎 [たにざき じゅんいちろう](1886〜1965)

明治19年(1886)、東京・日本橋の商家に生まれる。旧制府立一中、第一高等学校を経て東京帝大文学科に進学するが、父の事業の失敗により中退。明治43年(1910)小山内薫、和辻哲郎、大貫晶川らと第二次「新思潮」を創刊し、同誌に発表した『刺青』『麒麟』などが永井荷風に激賞され、文学的地位を確立した。その後『痴人の愛』『卍』『鍵』『瘋癩老人日記』などでは官能的な性の世界を残酷なまでに描き、『吉野葛』『蘆刈』『春琴抄』『細雪』『少将滋幹の母』などでは陰影ある豊かな古典美を創造した。また多くの戯曲も発表している。昭和24年(1949)には、志賀直哉と共に第8回文化勲章を授与された。今回の『別冊 谷崎潤一郎』は『或る調書の一節』(大正10年・1921)と戯曲『お國と五平』(大正11年・1922)の二作品から構成されている。なお、『お國と五平』は谷崎潤一郎自身の演出で帝国劇場において初演された。