フランス演劇界の風雲児オリヴィエ・ピィ、
今シーズン最大の話題作をひっさげて初来日!
ある日、劇作家「ぼく自身」は自分が世界の
注目の的になっていることに気づく。
はたして演劇は世界を救えるのか?
ピィ自身が主役を演じ、最優秀演技賞に輝いたミシェル・フォーほかベスト・キャストで挑む、軽快で深遠なコメディー。
夢見がちな詩人と、昔なじみの役者たちがつくる売れない劇団。いつものように新作『詩人と死神』を稽古していると、まだ上演されていないはずの『詩人と死神』の批評が届く。新作は激賞され、詩人は一躍西洋文明の救世主と見なされる。あらゆる「イズム」が死んでしまった今、世界を救えるのは演劇だけだというのだ。やがてジャーナリスト、大統領、ローマ法王、さらにはモード業界のバイヤーまでが「ぼく自身」のところにつめかけてくる。「ぼく自身」と仲間たちは世界の期待に応えられるのか?
オリヴィエ・ピィ
劇作家、演出家、俳優。オデオン座芸術総監督。1965年、南仏の町グラースに生まれる。87年にパリ国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)に入学、並行してカトリック学院で神学と哲学を学ぶ。95年、アヴィニョン演劇祭で上演時間24時間の自作『常夜灯―果てしない物語』7日間連続公演を敢行し、一躍脚光を浴びる。98年から2007年までオルレアン国立演劇センターを指揮、同年3月にオデオン座の芸術総監督に就任。ほぼ毎年新作を発表し、作品はヨーロッパの多くの言語に翻訳されている。
2003年にクローデル『繻子の靴』(ジャンヌ・バリバール主演)の数十年ぶりの通し上演(11時間)を成し遂げたのが記憶に新しい。近作に地中海世界を舞台にした9時間45分の叙事詩劇『勝利者たち』(06)など。近年は『トリスタンとイゾルデ』などオペラの演出も多く手がけている。映画出演(『猫が行方不明』、『パリのレストラン』)、監督作品も(『目を閉じて』、日本未公開)。1996年からは平行して歌手「ミス・ナイフ」としても活動。熱烈なカトリック信仰と自らの同性愛とを詩と演劇の力によってアクロバティックに結びあわせ、強烈な個性を持った俳優陣によって「受肉の奇蹟」を出現させようとする稀有な才能を持った演出家である。
オデオン座
フランスの5つの国立劇場の内、コメディ=フランセーズに次いで2番目に古い劇場。コメディ=フランセーズが古典の殿堂であるのに対し、オデオン座は常にフランス演劇を刷新する劇場として機能してきた。1782年、パリ左岸にコメディ=フランセーズの新劇場として落成。84年にはここで『フィガロの結婚』が初演された。革命後の94年、古代ギリシアの劇場にちなんで「オデオン座」と名付けられた。1959年、コメディ=フランセーズから分離され、ルノー=バロー劇団の本拠地となる。83年、ジョルジオ・ストレーレルが芸術総監督に就任、翌年コルネイユの『イリュージョン・コミック』を演出。96年から2007年3月まではジョルジュ・ラヴォーダンが芸術総監督を務め、1999年のシアター・オリンピックス以来3度にわたってSPACで公演している。