命は長し、恋せよ乙女!
妖しく怪しく美しい 人と異界のちぎりの物語
龍神伝説が残る夜叉ヶ池。村人はかつて池の主の白雪姫(竜の化身)と、日に三度鐘をつきつづける約束を交わした。それを怠ると、姫は村を水に沈めるという。民話の採集に夜叉ヶ池へと赴いた東大生・萩原晃は、行きがかりで村の鐘つき役を引き受け、村娘の百合と二人でひっそりと暮らす。だが、日照りに悩む村人たちは百合を雨乞いの生け贄にと縛り上げ、萩原に鐘をつかぬよう迫る ・・・。
かつて、人間は妖怪の存在を信じ、自然への畏怖と尊敬を込めながら生きていた。だがいつの間にか人々はその存在を忘れ、闇の中に隠されていたものを光の下に晒して生活している。それがムラであり、マチであり、クニである。だがそこから一歩、足を踏み出した時、見えてくるものは…。妖怪と人間、種は違えども誰かを愛する心は同じ。人の恋路を邪魔する奴には自然界からの罰が下る。人間VS妖怪、この恋の結末は?!さあ、妖怪に恋をしに、夜叉ヶ池に行こう!
宮城 聰(みやぎ さとし)
演出家、静岡県舞台芸術センター(SPAC)芸術総監督。1959年、東京生まれ。90年、劇団「ク・ナウカ」を結成。日本の伝統演劇の様式とヨーロッパのテクストを融合させた演出には定評がある。2004年、第3回朝日舞台芸術賞受賞。海外公演も頻繁に行っており、06年10月にはケ・ブランリー国立博物館(パリ)付属劇場のこけら落としとして『マハーバーラタ』を上演。代表作に『王女メデイア』(エウリピデス)など。07年4月より静岡県舞台芸術センター芸術総監督を務める。SPACでの演出第1作目となる木下順二の『巨匠』を去る11月に静岡芸術劇場で発表、今回の『夜叉ヶ池』が第2作目となる。
泉 鏡花(いずみ きょうか 1873−1939)
小説家・劇作家。金沢市出身。明治の代に生を受けながら、江戸情緒の色濃い幻想怪奇小説・戯曲を書きつづけた。1889年、文学を志し上京。91年、尾崎紅葉に入門。以後、生涯に渡って紅葉を崇拝しつづける。1902年、元芸妓の伊藤すずと出会い、やがて同棲するが、師紅葉の強い反対に合い離別。03年に紅葉が没した後に結婚。この妻すずは『婦系図』などの作品のモデルとなった。劇作家としての代表作に『夜叉ヶ池』『海神別荘』(ともに1913)『天守物語』(16)など。
キャスト
萩原晃(鐘楼守) | 永井健二 |
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百合(娘) | 布施安寿香 |
山沢学円(文学士) | 奥野晃士 |
白雪姫(夜叉ヶ池の主) | 瀧井美紀 |
湯尾峠の万年姥(眷属) | 舘野百代 |
白男の鯉七 | 池田真紀子 |
大蟹五郎 | 金崎敬江 |
黒和尚鯰入(剣ヶ峰の使者) | 本多麻紀 |
与十(鹿見村百姓) | 藤本康宏 |
鹿見宅膳(神官) | 三島景太 |
権藤管八(村会議員) | 平垣温人 |
斎田初雄(小学教師) | 仲谷智邦 |
畑上嘉伝次(村長) | 植田大介 |
伝吉(博徒) | 大内米治 |
穴隈鉱蔵(県の代議士) | 高橋等 |