苦悩

苦悩

Directed by Patrice Chereau
Original text by Marguerite Duras
Performed by Dominique Blanc

■ 4 March at 19:30

Box Theatre, Shizuoka Performing Arts Park
Duration:80 minutes

演出: パトリス・シェロー
原作: マルグリット・デュラス
出演: ドミニク・ブラン
3月4日(金) 19時30分開演

◎ 終演後、トークがあります。
舞台芸術公園 稽古場棟「BOXシアター」
上演時間:80分
フランス語上演・日本語字幕

一般大人4,000円/ペアチケット(2枚)7,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円

★SPACの会のほか、ゆうゆう割引、グループ割引、早期購入割引、リピーター・くちコミ割引などの割引料金があります。
詳細はこちら
無料バス:3月4日(金) 渋谷発の無料バスが運行いたします。詳細はこちら

作品について

フランスの国民的名女優、静岡へ
――ドミニク・ブランの一人芝居

『苦悩』は、フランスの国民的名女優ドミニク・ブランの一人芝居です。フランスでは知名度・実力ともに最も優れた女優の一人として知られ、数々の名作映画で活躍した後、2008年ヴェネツィア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞し、国際的にもその類い稀な演技力にますます注目が集まっています。そのブランが自ら「静岡で!」と希望し、本公演が実現しました。ブランは本作の演技により2010年モリエール最優秀女優賞を受賞しています。

女流作家マルグリット・デュラスの<戦争の記憶>

『苦悩』は、フランスの作家マルグリット・デュラスの戦時中の日記をもとに構成された作品です。ドミニク・ブラン演じるデュラスはナチスにより強制収容所に送られた夫の帰りを待ち続けます。本作は、そんな一人の女性を通して、戦争によって深い苦悩へ追い込まれる人間の姿を浮き彫りにしています。もはや殺されてしまったかも分からない夫の帰りを待つという残酷な状況の中、精神錯乱に陥るほどの困難な心境を繊細に演じ切るブランの演技力は必見です。

大女優ドミニク・ブランは静岡の舞台に立つことを夢見ていた
横山義志

大変な顔ぶれが揃ったものである。パトリス・シェロー、ドミニク・ブラン、マルグリット・デュラス――。パトリス・シェローは若くして演劇シーンを震撼させたフランス演劇界の奇才であり、オペラの演出でも知られ、映画監督としても数々の栄冠を手にしている。ドミニク・ブランは、2008年にヴェネツィア映画祭最優秀女優賞を受賞、演劇ではこの『苦悩』で2010年モリエール賞最優秀女優賞を獲得している。演劇と映画を通じて、フランスで今一番脂がのっている女優といってもいい。日本でのツアー先を探している、という話が来たとき「Shizuoka春の芸術祭」には時期が合わず、一端お断りの連絡を入れた。すると、関係者から意外なメッセージが届いた。「ドミニク・ブランさんは、静岡の舞台に立つことを夢見て(!)いらっしゃいます。俳優のご友人達が何人も静岡の舞台に立っていて、すばらしかったと聞いている、とのこと。どうか再検討いただけませんでしょうか。」これには驚かされた。私事になるが、フランスで演劇を勉強した後2007年にSPACに来て、常にヨーロッパの最良の舞台を日本に紹介したいと思って働いてきた。毎年アヴィニヨン演劇祭に行くたびに、ヨーロッパの演劇人の間でSPACの認知度が少しずつ上がってきているのを感じてはいたが、これほどの大女優から言われると感無量である。しかも日程の都合で今回はベトナム公演とニューカレドニア公演の間に静岡に立ち寄ることになるという。そこまでして来てくれるのにも驚いた。デュラスの『苦悩』は『愛人/ラマン』につづいて発表された自伝的作品である。原題 ≪ La Douleur ≫の第一義は肉体的な苦痛のことで、「作品」という言葉が不似合いなほどに生々しい思いが綴られている。シェローはかつて大がかりな装置で知られたが、この作品には全くの裸舞台で挑んでいる。日本平の森のなかにひっそりと建てられた劇場で、世界の演劇を知る静岡の観客たちに、ドミニク・ブランが裸で対峙するのを見るのが、今から楽しみである。

横山義志(よこやま・よしじ)
SPAC文芸部。2008年パリ第10大学演劇科博士号取得。SPACで招聘公演の選定などに携わる。

京都公演

2月19日(土)16時開演
会場:京都芸術劇場春秋座(京都造形芸術大学内)
主催:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター
お問い合わせ:TEL.075-791-9207

東京公演

2月21日(月)、22日(火)19時開演
会場:シアターXカイ
主催:東京日仏学院
提携:シアターXカイ
お問い合わせ:東京日仏学院 TEL.03-5206-2500

主催: SPAC (財)静岡県舞台芸術センター
協力:
助成:

出演者プロフィール
ドミニク・ブラン

1990年代以降のフランスで最も重要な女優の一人。1956年リヨン生まれ。1980年にフロラン演劇学校を卒業後、国立高等演劇学校(コンセルヴァトワール)を受験するが不合格となる。同年パトリス・シェローに見出され、翌年の『ペール・ギュント』でデビュー。1997年、デボラ・ワーナー演出『人形の家』でモリエール最優秀女優賞を受賞。2003年、パトリス・シェロー演出『フェードル』でフランス批評家連盟最優秀女優賞を受賞。2010年、パトリス・シェロー演出『苦悩』で二度目のモリエール最優秀女優賞を受賞。映画女優としては2008年に『他者』でヴェネツィア国際映画祭最優秀女優賞を受賞。他に『主婦マリーがしたこと』(クロード・シャブロル監督)、『五月の ミル』(ルイ・マル監督)、『インドシナ』、『王妃マルゴ』(パトリス・シェロー監督)、『太陽と月に背いて』(アニエスカ・ホランド監督)など数々の名作に出演。

演出家プロフィール
パトリス・シェロー

1944年生まれ。フランスの演出家。1966年、22歳でサルトゥルーヴィル劇場の芸術監督に就任し、マリヴォーなどのそれまであまり上演されなかった古典作品を新解釈で演出し、話題を呼ぶ。オペラの演出も手がけ、1972年のバイロイト音楽祭でピーエール・ブーレーズの指揮でワーグナー『ニーベルングの指輪』を演出。1982年から1990年までナンテール・アマンディエ劇場の芸術監督としてコルテスやジュネの作品を発表。スケールの大きな舞台美術と鋭い社会批判で知られ、演出作品において数々の論議を呼んだことでも有名。『王妃マルゴ』(1994、カンヌ映画祭審査員賞)、『インティマシー/親密』(2001、ベルリン金熊賞)、『ソン・フレール-兄との約束』(2003)などの映画監督としても知られる。

作者プロフィール
マルグリット・デュラス(1914~1996)

フランスの女流作家。『タルキニアの子馬たち』(1953)以降人間の内面を直截捉えようとした作品で知られ、『モデラート・カンタービレ』(1958)によってヌーヴォ・ロマンに近い作家とみなされるようになる。小説に『広場』(1955)『夏の夜の10時半』(1960)『アンデスマ氏の午後』(1962)『イギリスの恋人』(1967)『愛人』(1984)。映画シナリオに、広島を舞台にフランス人女優と日本人建築家の関係を描いた『24時間の情事』(1959、アラン・レネ監督、原題《Hiroshima mon amour》)。1984年ゴンクール賞受賞。


▲このページの先頭へ
オンラインチケット予約