シモン・ボリバル、夢の断片 Bolívar, fragmentos de un sueño [ Bolivar, fragments of a dream ]

『シモン・ボリバル、夢の断片』は、
東日本大震災およびその影響によりコロンビア人ミュージシャンの来日が中止となり、
作品の構成を変更せざるを得ない状況になりました。
演出・主演のオマール・ポラスは
「俳優一人、椅子一つ、ロウソク一本だけでも芝居は続けうることを示したい。」と上演の意志を表明しています。

作品構成変更についてのお知らせはこちらをご覧ください。

(5/25追記)なお、本公演は客席の形状を当初の予定と変更し

静岡芸術劇場【舞台上座席での自由席】とさせていただきます。

くわしくはこちらをご覧ください。

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(6/20追記)
本作品は、来日メンバーの変更により、原作をベースにした「静岡オリジナル版」として新たに創作して上演いたします。
原作をベースに構成を変更し、オマール・ポラスとSPAC俳優の共演でお贈りします。

演出・翻案:オマール・ポラス
原作:ウィリアム・オスピーナ
出演:オマール・ポラス、SPAC(木内琴子、貴島豪、たきいみき、渡辺敬彦)
静岡芸術劇場
※上演日時、チケット料金等に変更はありません。
※7/2(土)が残席わずかとなっております。

※7/3(日)終演後に予定されておりましたスペシャル・ライブは、来日メンバーの変更に伴い、開催中止となりました。
楽しみにしていらっしゃいました皆様には、心よりお詫び申し上げます。

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Directed by Omar Porras

Written by William Ospina

Music composed and directed by Erick Bongcam

Performed by Omar Porras, etc

■ 2 July at 16:00

■ 3 July at 12:30

Shizuoka Arts Theatre

Duration:105 minutes

In spanish with Japanese subtitles

演出・翻案: オマール・ポラス
作: ウィリアム・オスピーナ
作曲・音楽指導: エリック・ボングカム
出演: オマール・ポラス ほか
7月2日(土) 16時開演 ・ 3日(日) 12時30分開演

◎ 終演後にオマール・ポラス(演出)と宮城聰による
アーティスト・トークを行います。
静岡芸術劇場
上演時間:未定
一般大人4,000円/大学生・専門学校生2,000円/高校生以下1,000円

★SPACの会特典のほか、ゆうゆう割引、早期購入割引、みるみる割引、ペア/グループ割引などの割引料金があります。
(チケット情報ページ参照)
★静岡県内の中学生以下の方は30名までご招待あり!(お問い合わせ・お申し込みはSPACチケットセンター TEL.054-202-3399まで)
渋谷発 劇場直行無料バスを運行いたします。詳しくはこちらをご覧下さい。
ドラマトゥルギー:オマール・ポラス、サンドロ・ロメロ
演出助手:ジャヌ・ピヨ
出演:オマール・ポラス、カルロス・グティエレス、ファニータ・デルガド、ゾライダ・ロハス、エリック・ボングカム、エキオ・セリアノ・パティーニョ、ジェイソン・カリージョ、ルイス・カルロス・セリス、アンドレス・ロドリゲス、ルイス・エドゥアルド・ガルソン
舞台・小道具デザイン:アメリー・キリツェ=トポール
衣装デザイン:アダン・マルティネス
制作:テアトロ・マランドロ
共同制作:テアトル・フォロム・メイラン、テアトロ・コロン、バルセロナ・グレック・フェスティバル、エスパス・マルロー=シャンベリー・サヴォワ国立舞台、シャトーヴァロン国立文化創造普及センター

コロンビア建国200周年、テアトロ・マランドロ20周年

オマール・ポラスが祖国ではじめて自作を制作した意欲作

『シモン・ボリバル、夢の断片』は、2010年にコロンビア建国200周年の記念事業として制作された、ラテンアメリカの解放の立役者、革命家シモン・ボリバルの物語です。コロンビア出身の演出家・俳優であるオマール・ポラスが、20歳のときにヨーロッパへ渡って以来、はじめて祖国で自作を制作した意欲作であり、またポラスの劇団「テアトロ・マランドロ」20周年にもあたる記念碑的作品となりました。

鮮やかなコロンビア民族音楽の生演奏にのって、
ポラスがボリバルを熱演!

本作では、英雄シモン・ボリバルの生涯が、コロンビア民族音楽の生演奏に合わせて展開します。「バジェナート」や「ジャネーラ」と呼ばれる打楽器や歌による多様な演奏にのって、ボリバルが熱狂的に踊る場面もあり、生まれ育った土地の文化に陶酔する心情が表現されています。ボリバルを演じるのはポラス自身です。ポラスは、祖国を離れヨーロッパで活動してきた自身の人生を、ボリバルの生涯に重ねています。共にラテンアメリカとヨーロッパという二つの文化の狭間で揺れつつ、アイデンティティの追求に生涯を捧げる、シモン・ボリバル、そしてオマール・ポラス-。ポラス渾身の演技にご期待ください。

時代が生みだした人たち
木村榮一 Eiichi Kimura

以前、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を読んだ時にふと、もし竜馬が現代に生きていたらどうなっていただろうと考えたことがある。頭はよかったが、勉強嫌いの彼のことだから、有名大学に入って、官僚やサラリーマンになったとは考えられない。おそらく、ベンチャー企業でも起こしているか、故郷に戻って高知県警の剣道師範になっていたかもしれない。しかし、荒れ狂う時代の波が彼を求め、彼もまたその波に乗って大きく飛翔した。

ここにもう一人、時代の大きなうねりに翻弄されつつ偉業を成し遂げた人物が、太平洋の彼方にいた。それが新大陸解放の英雄シモン・ボリバルである。ベネズエラに生まれた彼は、大富豪の息子だったこともあって、贅沢三昧の暮らしをしていたが、19歳の時にマドリッドで知り合ったマリーア・テレーサ・ロドリーゲス・デル・トーロと結婚して、帰国する。幸せな家庭を築こうと夢見ていた矢先、新婚生活わずか8ヶ月目で妻が急死したために、当時起こり始めた新大陸の独立運動に身を投じる。以後宗主国スペインの軍隊を相手に勇猛果敢に戦い、広大な大陸をあちこち転戦して、ついに新大陸の国々を独立へと導く。強靭な精神力と人間的な魅力にあふれた彼は、ロマン主義的な理想に導かれて独立戦争の指導者になったが、15年以上もの間各地の戦場で戦い続けた疲労がもとで病魔に侵された。さらに独立後数々の裏切りに遭って、47歳の若さで失意のうちに他界するが、その偉業と生き様は今も人々の記憶に強く刻み付けられている。

今挙げた二人は、時に時代が人を作り、役目が終わると天が呼び戻すかのような生き方があるのだとわれわれに語りかけているようである。

木村榮一(きむら・えいいち)

1943年、大阪市出身。神戸市外国語大学イスパニア学科卒業。同大学で助教授、教授などを経て、2005年8月、学長に就任。07年、公立大学法人神戸市外国語大学理事長。専門はラテンアメリカ及びスペイン現代文学。コロンビアの作家G・ガルシア=マルケスがボリバルを描いた小説『迷宮の将軍』(新潮社)翻訳者。

『迷宮の将軍』
著:ガブリエル ガルシア=マルケス、翻訳:木村榮一(2007年、新潮社)
コロンビア出身のノーベル文学賞受賞作家が描くシモン・ボリバルの物語。ラテンアメリカ統合の夢に燃えた英雄が、失意を抱えて赴いた死への旅路。

助成: ジュネーヴ市文化局、メイラン市、プロ・ヘルヴェティア=スイス文化財団、メイラン市文化スポーツ社会推進財団、LODHEアソシエーション
協力: エクアドル共和国大使館、コロンビア共和国大使館、スイス大使館、パナマ共和国大使館、ベネズエラ・ボリバル共和国大使館、ペルー共和国大使館、ボリビア多民族国大使館、セルバンテス文化センター東京
※テアトロ・マランドロはフォロム・メイラン劇場のレジデント・カンパニーです。

オマール・ポラス
Omar Porras

演出家、俳優。1963年、ボゴタ(コロンビア)生まれ。南米各地でダンスや演劇を学んだ後、20歳で渡仏。地下鉄で人形劇を上演しながら生活費を稼ぎ、ルコック演劇学校とパリ第三大学演劇科に通う。90年にジュネーヴ郊外の廃屋をアトリエに改造してテアトロ・マランドロを創立。バリ島、インド、日本などのアジア演劇の手法やコメディア・デラルテ、メイエルホリドのビオメハニカなど、あらゆる演技法を貪欲に取り込み、人形劇やダンス、音楽などとも調和させていくポラスの演劇実験室は、ヨーロッパや南米の各地から若い俳優たちを惹きつけていった。99年には静岡でのシアター・オリンピックスに『血の婚礼』で参加、以来2011年まで計7回来静し、観客を魅了し続けている。09年にSPACとの共同制作で『ドン・ファン』を演出。その他の代表作に『ユビュ王』、『貴婦人故郷に帰る』など。近年は『愛の妙薬』、『魔笛』などオペラの演出も多く手がけている。07年、コロンビア国家功労勲章を受章。

ウィリアム・オスピーナ
William Ospina

コロンビア・ボゴタ在住のジャーナリスト、作家。1954年にアンデス山脈にあるパドゥアという村に生まれる。サンティアゴ・デ・カリ大学で法律と政治学を学び、75年にジャーナリズムと文学の活動をはじめる。82年、ナリーニョ大学コロンビアエッセー大賞を受賞。86年、初の詩集『砂の糸』を出版。88年から89年にかけて『ラ・プレンサ・デ・ボゴタ』紙日曜版の編集責任者。92年、コロンビア文化院詩部門最優秀賞を受賞。コロンビアの都市パンプローナの創立者であるペドロ・デ・ウルスアの生涯を扱った初小説『ウルスア』(2005)を発表。この小説は大きな成功を収め、その第二部である『肉桂の平和』もロムロ・ガレゴス賞(ラテンアメリカで最も重要な文学賞)を受賞した。この世代において最も明確に政治的態度表明をしている詩人・エッセイストの一人と見なされている。

シモン・ボリバルとは?

シモン・ボリバル(1783~1830)はラテンアメリカのアンデス5カ国(ボリビア、ベネズエラ、エクアドル、コロンビア、ペルー)をスペイン統治から解放へ導いた革命家。鮮烈な軍事活動により「リベルタドール(解放者)」と呼ばれ、ラテンアメリカの英雄的なシンボルとなっている。劇中でも触れられているように、ダンスを愛し、また詩才にも恵まれた、情熱的な理想主義者であったと言われる。南アメリカの国々ではボリバルの名を冠した国、都市、空港、広場が数多くあり、至る所で彼の銅像を目にする。ラテンアメリカを代表する作家ガルシア=マルケスは、『迷宮の将軍』でボリバル最期の日々を描いている。


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