アンティゴネ(アヴィニョン)

2017年7月、SPACの『アンティゴネ』(演出:宮城聰)は、世界的な演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」(仏)に公式プログラムとして招聘され、メイン会場「法王庁中庭」で同演劇祭のオープニングを飾りました。その年のアヴィニョン演劇祭の「顔」となり大きな責任を担う法王庁中庭でのオープニング作品に、アジア圏の劇団が選ばれるのは71年間の演劇祭の歴史上初めてのこと。
約2,000席の客席は連日満席となり、終演後はスタンディングオベーションが起こりました。舞台に水を張る創意に富んだ装置や、俳優の影を高さ約40mの法王庁の壁面に映し出す仕掛け、そして人を二種類に分けない王女アンティゴネの思想に日本人の死生観を重ねた宮城の演出は、大きな反響を呼びました。現地のメディアはこぞって本作を取上げ、中でも「ル・モンド」紙では、「2014 年、ブルボン石切り場で上演した『マハーバーラタ』で人々を魅了した「美」。我々は法王庁に、あの「美」を再び見出した」と高評価を受けました。

*「アヴィニョン演劇祭」公式サイトの『アンティゴネ』ページはこちら(仏語)

アヴィニョン演劇祭

1947年に開始され、現在では公式プログラム(IN)約40作品、自主参加(OFF)の約1,300作品が上演される、文字通り世界最高峰の演劇祭であり、「世界の演劇人の目標地点」と言われています。メイン会場は「アヴィニョン法王庁中庭」を筆頭に、「ブルボン石切場」、新設の屋内劇場「ラ・ファブリカ」などがあります。特に「法王庁中庭」で上演されるオープニング作品は、「ヨーロッパ演劇界注目の一大イベント」としてフランスの全国紙で大きく取り上げられ、しばしばヨーロッパの国営放送局で生中継されます。

2014年、SPACの『マハーバーラタ ~ナラ王の冒険~』は、日本の現代演劇作品としては実に20年ぶりに公式プログラムとして招聘され、メイン会場のひとつ「ブルボン石切場」で上演されました。壮大かつ創意に富んだ演出や舞台装置は注目を集め、約1,000席の観客席は連日満席、終演後はスタンディングオベーションが起こりました。また、フランスの有力紙がこぞって絶賛、ル・モンドにおいて「美しいスペクタクルが到来した」「われわれは至福を味わうことができた」と評されました。
 
Website: www.festival-avignon.com
Facebook: Festival d’Avignon

公演情報

7月6日(木)・7日(金)・8日(土)・10日(月)・11日(火)・12日(水) 
各日22時開演
会場:アヴィニョン法王庁中庭(客席数:約2,000席)

あらすじ

舞台は古代ギリシャ・テーバイ。先の王オイディプスは自らの出生の秘密を知り、国を追われる。その妻であり母でもあるイオカステは自死を遂げた。残された二人の息子ポリュネイケスとエテオクレスは王位を競って争い、ポリュネイケスはアルゴスに追放される。やがてポリュネイケスはアルゴス勢を率いてテーバイに攻め入り、エテオクレスとの一騎打ちとなるが、オイディプスの呪いを受けた兄弟は相討ちとなって共に果てる。そして王位はイオカステの兄クレオンのものとなった。クレオンは国を守ったエテオクレスを手厚く葬り、反逆者ポリュネイケスの死骸を野に晒して野鳥の餌にすることを命じ、これに反した者を死罪に処すことを決める。だが、オイディプス王の娘アンティゴネは王令に従わず、いさめる妹イスメネにも抗して、兄ポリュネイケスに埋葬の礼を施すことを決意する…。

Antigone
▲駿府城公園での舞台写真より(2017年5月)

キャスト

美加理、本多麻紀、赤松直美、阿部一徳、石井萠水、泉陽二、大内米治、大高浩一、加藤幸夫、貴島豪、榊原有美、桜内結う、佐藤ゆず、鈴木真理子、大道無門優也、武石守正、舘野百代、寺内亜矢子、永井健二、布施安寿香、牧山祐大、三島景太、宮城嶋遥加、森山冬子、山本実幸、吉植荘一郎、吉見亮、若菜大輔、渡辺敬彦

スタッフ

構成・演出:宮城聰
作:ソポクレス
訳:柳沼重剛
音楽:棚川寛子
空間構成:木津潤平
衣裳デザイン:高橋佳代
照明デザイン:大迫浩二
ヘアメイク:梶田キョウコ

舞台監督:村松厚志
演出部:山田貴大、神谷俊貴
音響デザイン:加藤久直
音響操作:牧嶋康司
照明操作:樋口正幸
小道具制作:深沢襟、三輪香織、渡部宏規
衣裳制作:駒井友美子、大岡舞、川合玲子
ワードローブ:大岡舞
演出補:中野真希
技術監督:堀内真人 (KAAT神奈川芸術劇場)

通訳:平野暁人
仏語字幕制作:コリーヌ・アトラン
字幕操作:大石多佳子
文芸部:横山義志
制作:大石多佳子、丹治陽

製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター
共同製作:アヴィニョン演劇祭
助成:国際交流基金 Logomark_B
    SPEDIDAM (第71回アヴィニョン演劇祭に対して)
協力:KAAT神奈川芸術劇場

 
アヴィニョン演劇祭招聘参加 報告書
【ebooks】 ↓↓↓↓↓

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アヴィニョン法王庁中庭
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★法王庁中庭での公演映像(ダイジェスト)

 
★ドキュメンタリー映像(ダイジェスト)

 
*トークやインタビュー映像がこちらからご覧いただけます。
 
アヴィニョンブログバナー
 
▼『アンティゴネ』インスタグラム https://www.instagram.com/spac_antigone/

▼▼▼関連イベント▼▼▼
アヴィニョン演劇祭公演報告会
7月24日(月)
  [第一部]15:30~17:30
  [第二部]19:00~21:00
会場:FabCafe Tokyo
【第1部:無料、第2部:1,000円/要申込】

*詳細はこちら
 
アヴィニョン演劇祭公演報告スペシャルトーク
8月11日(金・祝)13:30~
会場:静岡芸術劇場
【無料/要申込】

*詳細はこちら
 
【演出家プロフィール】
宮城聰(みやぎ・さとし)
1959年東京生まれ。演出家。SPAC-静岡県舞台芸術センター芸術総監督。東京大学で小田島雄志・渡辺守章・日高八郎各師から演劇論を学び、90年ク・ナウカ旗揚げ。国際的な公演活動を展開し、同時代的テキスト解釈とアジア演劇の身体技法や様式性を融合させた演出は国内外から高い評価を得ている。2007年4月SPAC芸術総監督に就任。自作の上演と並行して世界各地から現代社会を鋭く切り取った作品を次々と招聘、また、静岡の青少年に向けた新たな事業を展開し、「世界を見る窓」としての劇場づくりに力を注いでいる。14年7月アヴィニョン演劇祭から招聘されブルボン石切場にて『マハーバーラタ』を上演し絶賛された。その他の代表作に『王女メデイア』『ペール・ギュント』など。04年第3回朝日舞台芸術賞受賞。05年第2回アサヒビール芸術賞受賞。
 
【劇団プロフィール】
SPAC-静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center:SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団です。舞台芸術作品の創造と上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を事業目的として活動しています。1997年から初代芸術総監督鈴木忠志のもとで本格的な活動を開始。2007年より宮城聰が芸術総監督に就任し、事業をさらに発展させています。より多彩な舞台芸術作品の創造とともに、「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の開催、中高生鑑賞事業や人材育成事業、海外の演劇祭での公演、地域へのアウトリーチ活動を続けています。13年8月には、全国知事会第6回先進政策創造会議により、静岡県のSPACへの取り組みが「先進政策大賞」に選出されました。また14年7月、フランスの世界的演劇祭「アヴィニョン演劇祭」に、『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』と『室内』の二作品が公式プログラムとして招聘され、称賛を浴びました。