中高生鑑賞事業

※この愛称は2012年に実施された「中高生鑑賞事業 愛称募集」の公募によって選ばれたものです。

「劇場は世界を見る窓である」―――SPAC‐静岡県舞台芸術センターでは、この理念のもと、劇場を広義の教育の場と捉え、静岡県内の中高生を対象とした鑑賞事業を続けています。現在は年間約35,000人(100ステージ)を目指しておりますが、これは静岡県の中高生1学年の平均人数にあたります。このプランが実現すれば「静岡県の中高生は、6年間の在学時に1度はSPACを観劇できる」ことになるでしょう。

中高生と引率者の鑑賞料金は無料のうえ、学校から劇場までのバスのチャーター料金をSPACが補助するなど、参加される学校に負担がかからない仕組みになっています。SPAC中高生鑑賞事業は、劇団を有する公立劇場だからこそ可能なプログラムです。世界に通用する上質の演劇作品を、ここ静岡でご覧いただける画期的な事業として、県内の学校関係者はもとより、広く全国からの注目を集めています。

SPAC芸術総監督 宮城聰から中高生の皆さんへ

みなさんは、いま自分がどういう時代に生きていると感じていますか?
そう、地域社会が崩壊(ほうかい)し、価値観が流動化(りゅうどうか)し、自殺者は増え続け、そして若者は「ひとり遊び」ばかりしていて孤独(こどく)のなかに閉じこめられている、そういう「精神的危機」の時代に生きている…と感じる人が多いかもしれません。
でも演劇をやっている僕から見ると、すこし違って感じます。なぜなら、演劇は何百年間も、孤独にさいなまれる精神や、なにが正しいのかの基準をなくして迷子になっている精神をえがいてきたからです。
つまりどうやら、世界が人間にとって生き易(やす)かったことなど一度もなかったらしいのです。
でもそのなかでがむしゃらにあがく人間が、演劇には登場します。がむしゃらにあがく彼らは、しばしば悲しい結末を迎えるし、人間とかこの世というものについてのはっきりした解答を出してもくれません。ですが、それでも演劇を見るとなんだか励まされる気がします。
どうしてでしょう?
きっとそれは彼らが“「わからない」ことに耐える力”を、すこし観客に手渡してくれるからだと、僕は思っています。
“「わからない」ことに耐える力”。それは“孤独と向き合う力”でもあります。
人間はいまも昔も孤独です。だから少しでも人とつながれるように、一生懸命(いっしょうけんめい)ことばとからだを研(と)ぎすましてきました。
それが演劇です。

SPAC芸術総監督 宮城聰からあなたへのメッセージビデオです。

来た!観た!考えた・・・。(鑑賞事業に参加した中高生のアンケートより)

はじめて生の演劇をみて……

  • 映画とは違う空間の雰囲気がとても新鮮でした。(2010年『わが町』、高3男子)
  • 今までのイメージだとつまらないものだと思っていましたが、いざ始まって観ているとその物語にひきこまれていて夢中になってしまいました。(2015年『舞台は夢』、高2女子)
  • 初めての舞台を観て、“分からない”ことも多かったけれども、それがおもしろかった。(2016年『黒蜥蜴』、中1女子)

作品に考えさせられて……

  • 生と死、周りの人への感謝の気持ちについて、何度も考えたときはあったけど、改めて考えるとてもよい機会になりました。(2010年『わが町』、高1女子)
  • 千年前と今では、その環境や生活が違ってきた部分もあるが、人の心は変らないものだと感じた。(2010年『そしんしゃく源氏物語』、高1男子)
  • この話が作られた国以外の人が観ても、共感でき感動でき、演劇というのはすばらしいものだと思いました。(2016年『ロミオとジュリエット』、中1男子)

SPACの俳優たちと交流して……

  • 静岡にこんなすばらしいところがあるなんて、自慢でもあるしとてもうれしいです。(2011年『ドン・ファン』、中1女子)
  • 俳優さんたちが最後まで見送ってくれたのが印象に残った。(2015年『王国、空を飛ぶ!』、高1男子)
  • 私たち観劇している側も含め全員で劇を作っている感じがした。(2016年『ロミオとジュリエット』、中3女子)

過去の鑑賞事業公演

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