三島由紀夫「近代能楽集」の一作、
『綾の鼓』に着想を得て創作された“ダンス・シアター”
フランスで今最も注目され日本でも次々に話題作を発表する振付家・ダンサーの伊藤郁女と、ピーター・ブルックと長年創作を共にしてきた伝説の俳優、笈田ヨシ。“身体”そして“言葉”を探求し続ける二人のアーティストにより創作され、昨年のフランス「アヴィニョン芸術週間」で絶賛された珠玉の名品が日本初演を迎える。劇場の掃除をする老人は、リハーサル中の若いダンサーに恋するが・・・。能の曲目「綾鼓」、さらには三島由紀夫の『綾の鼓』からインスピレーションを得た「かなわぬ恋の物語」は、矢吹誠の打楽器の音色を伴い、時代そして世代を超えて心を打つ。
演出・振付・出演: 伊藤郁女、笈田ヨシ
テキスト:ジャン=クロード・カリエール
音楽・出演:矢吹誠
演奏・出演:吉見亮(SPAC)
【12月4日追記】『Le Tambour de soie 綾の鼓』にて演奏・出演を予定しておりました矢吹誠氏は、やむを得ない事情により今回の出演を断念されることになりました。今回の静岡公演および神奈川公演につきまして、矢吹氏による音楽を一部再構成の上、SPAC俳優 吉見亮が演奏・出演をいたします。 詳細はこちら
ヨシさんと私 ──宮城 聰(SPAC芸術総監督)
三島由紀夫という、世界史に名を残すような超弩級の芸術家がついこのあいだの日本に生きていた、ということに僕はときどきびっくりし、彼のすぐそばにいた人たちはどう感じていたんだろうかと想像します。で、葛飾北斎の同時代の江戸っ子が「この変わり者のおじさんが歴史に名を残す人だ」とは思いもしなかったように、昭和の日本人の多くも三島に対してそんなところがあったのかなと思うわけです。しかしもちろん同時代の日本にも三島がどれほど凄いかを明確に把握できた人が少しいて、その一人がヨシ笈田さんだと僕は思っています。ヨシさんが三島の核を捉えることができたのは、三島がわざわざ「自分にとっての道楽」と呼んでいた“演劇”を介して三島と出会っていたからかもしれません。それで三島は、「小説家三島由紀夫」でいるときとは違って、過剰な煙幕を張ることなくヨシさんと向き合えたのかな、と。でも、三島由紀夫が素で向き合う相手として、ヨシさんが特別に見込まれていたのは確かだから、ヨシさんの潜在力を三島が見抜いていたということでもありますね。羨ましい、というか、想像を超えた世界というか。ともあれ今の僕にとっての「ああなりたい」目標は<漂流の人>ヨシ笈田さんなのであります。
公演情報
2021年
12月18日(土)19:00開演
12月19日(日)14:00開演
会場:静岡芸術劇場(グランシップ内)
上演時間:約60分
フランス語上演/日本語字幕
※未就学児入場不可。親子室あり(各回1組限定、電話・窓口にてお取り扱い)
《新型コロナウイルス感染症対策》
ご来場のお客様へご協力のお願い
下記とあわせて、【重要】新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みとご来場の皆様へのお願いも必ずお読みください。
●ご来場前に体調チェックをお願いいたします。
(発熱等ある場合はご来場をご遠慮いただきますようお願いいたします。)
●ご来場の際はかならずマスクの着用をお願いいたします。
●会場入口にて、サーモグラフィ/非接触型体温計にて検温を行ないます。37.5 度以上の場合はご入場をお断りいたします。
●来場者カードへのご記入、提出をお願いいたします。
(万が一感染が発生した場合、保健所等の公的機関に提供する場合がございます。)
※今年度、静岡芸術劇場の1Fバルコニー席は、隣のお客様と間隔をとってお座りになることができます。
同日開催
冬の特別公演 『夢と錯乱』
宮城聰、亡きクロード・レジへの静かなオマージュ。
公演日時:12月12日(日)、18日(土)、19日(日)
会場:舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
*公演詳細はこちら
神奈川公演
『Le Tambour de soie 綾の鼓』
公演日時:12月24日(金)~26日(日)
会場:KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
企画製作・主催:KAAT神奈川芸術劇場
*公演詳細はこちら
チケット
◆SPACの会会員先行予約受付開始:11月6日(土)10:00
◆一般前売り開始:11月13日(土)10:00
◎チケット購入方法
SPACチケットセンター
●電話予約 054-202-3399 (受付時間 10:00〜18:00)
●窓口販売 静岡芸術劇場チケットカウンター (受付時間 10:00〜18:00)
※休業日の12月7日(火)は電話予約受付と窓口販売をお休みさせていただきます。
●ウェブ予約 https://spac.or.jp/ticket
[当日券]
残席がある場合のみ、開演1時間前より劇場受付にて販売
※当日券販売の有無を、公演当日に必ずお電話もしくはTwitter(@_SPAC_)でお確かめください。
◎チケット料金
※全てのチケット代金は税込価格です。
※割引をご利用の際は、必ずご予約時にお知らせください。各種割引の併用はできません。
●一般: 4,200円
●ペア割引: 3,700円 (2名様で1枚につき)
●グループ割引: 3,300円 (3名様以上で1枚につき)
※10名様以上の場合は電話・窓口にてお取り扱い
●ゆうゆう割引: 3,500円 (満60歳以上の方)
※公演当日、受付にて身分証をご提示ください。
●学生割引: [大学生・専門学校生]2,000円 [高校生以下]1,000円
※公演当日、受付にて学生証をご提示ください。
●障がい者割引: 2,900円 [障害者手帳をお持ちの方]
※公演当日、受付にて障害者手帳をご提示ください。
※付添の方(1名様)は無料 ※電話・窓口のみのお取り扱い
[親子室]
乳幼児と一緒にご観劇いただける親子室がございます。
各回1組受付(先着順)
チケット料金:大人1名様につき2,900円
座席の必要なお子様は高校生以下料金1,000円/座席不要のお子様は無料
※電話・窓口のみでのお取り扱いとなります。
スタッフ
照明:アルノ・ヴェイラ
音響:オリヴィエ・ムバッセ
衣裳:オロール・ティボー
テキスタイル:オロール・ティボー、イザベル・ドゥ・メゾンヌーヴ
振付協力:ガブリエル・ウォン
演出協力:サミュエル・ヴィトー
宣伝美術:阿部太一(TAICHI ABE DESIGN INC.)
主催:SPAC-静岡県舞台芸術センター
製作:アミアン文化の家、Company Himé
共同制作: アヴィニョン演劇祭、パリ市立劇場
支援: サン・キャトル-パリ、SPEDIDAM(音楽舞踊実演家権利許諾受領協会)
助成〈日本ツアーに対し〉:アンスティチュ・フランセ-レジオン・オー=ド=フランス、笹川日仏財団
上の画像↑をクリックするとチラシ(PDF)をご覧いただけます。
【出演者プロフィール】
伊藤郁女
ITO Kaori
豊橋で生まれ東京で育つ。5歳よりクラシックバレエを始め、2000年にニューヨーク州立大学パーチェス大学へ留学後、立教大学で教育学と比較文芸思想を専攻。その後、アルビン・エイリー・ダンスシアターにて研修を積む。2003年~05年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員。フィリップ・ドゥクフレ『Iris』で主役を演じ、舞台『骨と十字架』(演出:小川絵梨子、19年、新国立劇場小劇場)、プレルジョカージュ・バレエ団、ジェイムズ・ティエレなどを経て、09年シディ・ラルビ・シェルカウイ、ギー・カシーエス『眠れる美女』に主演。『Noctiluque』以降、創作活動も意欲的に展開。15年から、自らのカンパニーをフランス、スイスを拠点として立ち上げ、『私は言葉を信じないので踊る』、『私を燃やして』、『リアムへ』、『ロボット、私の永遠の愛』森山未來との作品『Is it worth to save us?』、『あなたへ』を発表。15年にSACDより新人優秀振付賞、フランス政府より芸術文化勲章シュヴァリエを受賞。https://www.kaoriito.com/ja/
笈田ヨシ
OIDA Yoshi
1933年神戸市生まれ。慶応義塾大学で哲学の修士号を取得。テレビ、映画、現代劇で活躍し、三島由紀夫とも仕事をする。68年、ジャン・ルイ・バローに招かれてフランスに渡り、70年、ピーター・ブルックが設立した国際演劇研究センター(CIRT)に参加。その後、ブッフ・デュ・ノール劇場で、『マハーバーラタ』、『テンペスト』、『ザ・マン・フー』など主要な公演に参加した。75年からは演劇、オペラ、ダンスの演出も数多く手掛ける。主な著書に『俳優漂流』『見えない俳優―人間存在の神秘を探る旅』がある。
矢吹誠
YABUKI Makoto
1951年愛知県生まれ。武蔵野美術大学で建築を学んだ後、劇団黒テントに入団し、10年間演出から編曲まで多くの役職を歴任。同時にアジアと日本の伝統音楽を学び、三味線、琵琶、篠笛、尺八などの和楽器を演奏。84年、フランスのカンパニー『道成寺』(三島由紀夫)の音楽でエジンバラ・フェスティバルに参加。その後横浜ボートシアターの音楽を担当。90年、ミュージカル『龍の子太郎』(青山劇場)作曲、指揮。92年、笙、篠笛、尺八、箏奏者達と創作竹打楽器によるジャパン・バンブーオーケストラを創設。94年渡仏し、フランス人打楽器奏者とマルセイユ・バンブーオーケストラを結成。その後、竹楽器合奏による独自のコンサートを世界各地で展開、住んでいる南仏地域では、竹楽器による教育、テラピー・ワークショップも頻繁に行っている。
<関連リンク>
★メディア掲載
●ステージナタリー(2021/11/26掲載)
笈田ヨシ&宮城聰が語る「Le Tambour de soie 綾の鼓」「夢と錯乱」
●朝日新聞 朝刊 芸能面(2021/12/9掲載)
老いは哀しい 面白い 肉体と心の相克 三島戯曲と違う結末
●朝日新聞 朝刊 静岡面(2021/12/16掲載)
現代のダンスと能楽 「綾の鼓」演目に融合 県舞台芸術センター 18日から公演
●静岡新聞 夕刊(2021/12/16掲載)
言葉と身体、探究の舞台 SPAC冬の特別公演