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2025年12月15日

【2026年1月6日(火)〆切】ASEANと日本の劇作家のためのインキュベーションプログラム「BIOTOPE―劇作家のためのキャンプ」日本参加者募集

 ASEANと日本の劇作家のためのインキュベーションプログラム
「BIOTOPE―劇作家のためのキャンプ」日本参加者募集 

【プログラム内容】
・日本とASEANの劇作家(Playwright/Theatre-maker)が、SHIZUOKAせかい演劇祭と、劇作家をテーマにしたマニラ・ジョグジャカルタのフェスティバルに共に参加し、それぞれの地域のリサーチを行って新しい作品を書く3ヵ年のプログラム。3年目SHIZUOKAせかい演劇祭(2028年4月~5月)において、執筆した戯曲をリーディング公演として発表していただく予定です。

【参加対象者】
●日本語で戯曲を書いている概ね活動歴10年~20年程度の劇作家(Playwright/Theatre-maker)
●英語でのコミュニケーションに意欲のある方(深い議論が必要なセッションには通訳がつきます)
●下記に意欲のある方
3年間のプログラムを通じて、積極的にASEANの劇作家と意見を交換し、自らのアーティストとしての活動に刺激を得ること。
訪れる地域のフィールド・リサーチによりインスピレーションを得ること。
ASEAN地域の舞台芸術界のエコシステムに学び、自身の持続可能な芸術活動について考えること
作り上げたネットワークを将来の活動に役立てること。

●原則下記の活動スケジュールに全て参加できる方

【参加人数】
2名
(他にASEANから6名が参加を予定しています。)

【応募方法】
申込フォームより応募してください。

締切:2026年1月6日(火)23:59(日本時間)

【選考プロセス】
●書類選考の結果は、1月15日までにメールにてお知らせします。通過者には主催者とのオンライン面接についての確認メールをお送りします。
●オンライン面接は1月21日〜24日の間に実施します。
●最終的な参加者の選考結果は1月末までにご連絡します。

【活動スケジュール】
1年目(2026年度)リサーチ
●4月24日~5月8日 日本・静岡
SHIZUOKAせかい演劇祭期間中に滞在し、参加者顔合わせ・観劇・ディスカッションを行う。会期中に、演劇祭内の公開トークイベントにも登壇していただく予定。

●7月28日~8月5日(予定) インドネシア・ジョグジャカルタ 
アジア劇作家ミーティング(Asian Playwrights Meeting: APM)期間中に滞在し、観劇・ディスカッションを行う。

※2026年8月~2027年6月までに、数回のオンラインでのミーティングを予定

2年目(2027年度)リサーチ&クリエーション
●6月頃(2週間) フィリピン・マニラ
マニラの若手劇作家の作品を取り上げる短編作品の演劇祭ザ・ヴァージン・ラボフェスト(The Virgin Labfest)期間中に滞在し、観劇・ディスカッションを行う。また、作品のアイディアを持ち寄って、互いにブラッシュアップを行う。

●2028年1月頃(2週間) 日本・静岡
静岡県舞台芸術公園にて、合宿形式でゲスト講師を招き、作品完成に向けてディスカッション・執筆を行う。

3年目(2028年度)成果発表
・4月~5月 日本・静岡
SHIZUOKAせかい演劇祭にて、リーディング形式で全ての参加者の作品を発表。

※スケジュール・内容に関しては変更になる可能性があります。

選出された参加者には、オンライン以外の活動時に以下のサポートが提供されます:
・交通費(国内および国際移動費)
・宿泊費
・旅行保険
・日当
また、2028年の作品発表の際には、上演料をお支払いいたします。

主催:国際交流基金  、SPAC-静岡県舞台芸術センター 
 

 
10年、20年としぶとく活動しているが、時々ふと「いつまで演劇を続けられるのかな」という思いがよぎる。自分なりに集団や場所や仕組みをつくり、持続可能な活動の形を探っている。そんなあなたに心から共感します。
SPACは約30年前に欧州の公共劇場をモデルに創立された、専用の創作拠点を持つ劇団・劇場です。いっぽう私個人は自身の活動の大半で(物理的にも制度的にも)劇場の外を主な活動のフィールドとしてきました。その過程で東南アジアの舞台芸術界隈に関わり、地域の文脈に根ざした活動から生まれる実験的なコンセプトや独自のエコシステムに大きな影響を受けました。そんな自分の目からSPACは演劇界の「王道」に見えていたのですが、首都圏から静岡に移り住んで初めて「これは壮大な社会実験なのだ」ということがよくわかるようになりました。それが王道と感じられたということは、社会実験というものが目指す「次の時代の当たり前をつくる」という試みが成功した証なのだと思います。
ただ、いま私たちを取り巻く風景は、30年前に思い描かれた未来とは少し違ってきているようです。この社会実験はきっと、次のフェーズへと「変態」を遂げていく入口に立っているのです。その変態のプロセスの中に、私たちがその中で創作したり生活したりしている大きな構造の、次の30年が見えてくる予感がします。
SPACは日本平の山の上で、宿泊棟や稽古場施設や作業場を備えた「舞台芸術公園」を運営しています。この空間を、舞台芸術を核としてさまざまな人が集まり、共存し、関係し合い、文化の遺伝子を交わらせる中から結果として新しい実践が生まれてきてしまう・・・、そんな有機的な場所として発展させたいと考えています。
その最初の種として、このキャンプは劇作家たち(playwrights / theatre-makers)に呼びかけます。劇作家は自分が(稽古場から、あるいはこの世界から)いなくなる未来に向けて、異なる人たちが同じ空間に集まって共に何かを生み出すための言葉を紡ぐ人たちだと思うからです。
本公募では特に、創作活動を持続可能なものにする環境や仕組みに関心を持つ方を歓迎します。作品づくりを通じて、西洋的な文脈に依拠した「演劇」「劇場」を内側から脱皮させていく。そんな野心を持ったアーティストと出会えることを願っています。

「BIOTOPEー劇作家のためのキャンプ」ディレクター 石神夏希

 
ディレクター:石神夏希
劇作家。国内外で都市やコミュニティのオルタナティブなふるまいを上演する演劇やアートプロジェクトを⼿がける。ディレクションの仕事として「東アジア⽂化都市2019豊島」舞台芸術部⾨事業ディレクター、ADAM Artist Lab 2019(台北)ゲストキュレーター、静岡市まちは劇場『きょうの演劇』企画・ディレクター(2021年度)他。SPACでは2022年『弱法師』(作:三島由紀夫)、2023年『お艶の恋』(原作:谷崎潤一郎『お艶殺し』)を演出、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2024」にて間食付きツアーパフォーマンス『かちかち山の台所』を作・演出。2025年度、「SPAC秋のシーズン2025-2026」のアーティスティック・ディレクター。
 
プロデューサー:前原拓也
ドラマトゥルク、翻訳家、制作。慶應義塾大学大学院文学研究科独文学専攻修士課程終了。2022年より、文化庁新進芸術家海外研修制度にて2年間ミュンヘンに滞在し、アウグスト・エヴァーディング演劇アカデミーのドラマトゥルギー科修士課程修了。
2025年より、SPAC-静岡県舞台芸術センターに勤務し、SHIZUOKAせかい演劇祭のプログラミングにも携わる。またフリーランスとして、演劇やオペラのドラマトゥルクとして活動。これまで、小野寺修二、稲葉賀恵、佐藤美晴、額田大志などの演出作品や、向井航などの作曲作品にドラマトゥルクとして携わる。字幕を中心にドイツ語翻訳家としても活動する。
 
コラボレーター:マルコ・ヴィアナ
(ザ・ヴァージン・ラボフェスト 共同ディレクター/劇団タンハラン・フィリピノ アソシエイト・アーティスティック・ディレクター)
マルコ・ヴィアナは、俳優、演出家、デザイナーとして高く評価され、授賞経験を持つ。劇団タンハラン・フィリピノの俳優としてキャリアをスタートし、フィリピンで基礎演技クラス、フォーラム・シアター・ワークショップ、子ども向けのアート・ワークショップを指導するユニセフ認定の俳優ファシリテーターの一員としても活動した。一方で、劇団タンハラン・フィリピノ作品の舞台や衣装デザインのデザインを担当し、創作活動の幅を広げている。携わった作品は『Lam-ang』、『Batang Mujahideen』、『Sandosenang Sapatos』など。『Nang Dalawin ng Pag-ibig si Juan Tamad』はロシアのモスクワ開催の「2018年ワールド・シアター・コングレス」で上演された。その後、アートマネジメントの分野へと活動の幅を広げ、センターステージ米国アーティスト・イン・レジデンス(2023)、YPAM(横浜国際舞台芸術ミーティング)(2024)・Asian Producers’ Platform (APP)キャンプ(2025)に参加。現在は、フィリピンの若手劇作家の登竜門であるザ・ヴァージン・ラボフェストの共同ディレクター、およびフィリピンの国立劇団であるタンハラン・フィリピノのアソシエイト・アーティスティック・ディレクターを務めている。
 
コラボレーター:ムハンマド・アベ
(インドネシア・ドラマティック・リーディング・フェスティバル(IDRF)ディレクター)
ムハンマド・アベはジョグジャカルタを拠点に活動している。ガジャマダ大学大学院にてパフォーマンス&ビジュアルアーツ研究を専攻し修士課程を修了。インドネシア・ドラマティック・リーディング・フェスティバル(IDRF)のディレクターであり、インドネシア・アーツ&シアター・カンファレンスの副ディレクターを務めるほか、Gymnastik Emporium の共同イニシエーター兼プロデューサーでもある。2019年には、ジョグジャカルタにおいてアジア劇作家ミーティング(APM)のプロデューサーを務めた。また、2024年にインドネシア・アーツ&シアター・カンファレンスと共にポストドラマ演劇ワークショップを開催し、さらにクローラ財団にて 2023〜2024年に実施されたインドネシア・プロデューサー・ワークショップではファシリテーターを務めた。インドネシアの舞台芸術に関わるアーティストたちと、インディペンデントなプロデューサーとしても協働している。

国際交流基金

国際交流基金「 次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」

独立行政法人国際交流基金は、総合的に国際文化交流を実施する日本で唯一の専門機関です。
日本ASEAN友好協力50周年(2023年)を契機に、日本とASEANの次世代の交流促進と人材育成を目的とする包括的な人的交流事業「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」を、今後10年間にわたり集中的に実施していきます。このプロジェクトは、2013年から約10年間にわたって数多くの交流事業をおこなった「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト~知り合うアジア~」を発展的に継続するものです。日本語パートナーズ事業と、双方向の知的・文化交流事業を軸に、心と心のふれあいを通じて、多層的な人的ネットワークの強化や、対象地域と日本との将来にわたる強い信頼関係の構築を目指しています。
https://www.jpf.go.jp/

 
SPAC-静岡県舞台芸術センター
公益財団法⼈静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center : SPAC)は、専用の劇場や稽古場を拠点に、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う県立の劇団・劇場です。1997年から初代芸術総監督鈴木忠志のもとで本格的な活動を開始。2007年より宮城聰が芸術総監督に就任し、更に事業を発展させています。
演劇の創造、上演、招聘活動以外にも、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や⼈材育成事業、アウトリーチ活動などを続けています。
https://spac.or.jp/

SHIZUOKAせかい演劇祭
SHIZUOKAせかい演劇祭は、SPACが静岡芸術劇場・舞台芸術公園・駿府城公園を中心に、毎年ゴールデンウィークに開催している国際演劇祭です。世界・国内から様々な優れた作品を招き、演劇を軸に人々が集まる祝祭的な空間を街に生み出します。
https://festival-shizuoka.jp/