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2019年7月4日

『アンティゴネ』が「東京2020 NIPPONフェスティバル共催プログラム」に決定しました!

 毎年ゴールデンウィークの駿府城公園で開催される「ふじのくに野外芸術フェスタ」。2020年は、宮城聰構成・演出の『アンティゴネ』を再演することになりました。そしてこのたび『アンティゴネ』が、「東京2020 NIPPONフェスティバル共催プログラム」に決定いたしました。
 
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 本作は、2017年、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」からの招聘を受け、製作されました。「ふじのくに野外芸術フェスタ2017」において、駿府城公園にて、アヴィニョン演劇祭の約1/3サイズの舞台でプレ公演を行った後、同年7月、同演劇祭のオープニング作品として、メイン会場「アヴィニョン法王庁中庭」にて上演。アジアの劇団がオープニングを飾るのは、71年間の演劇祭の歴史上初めてのことであり、舞台に水を張る創意に富んだ装置や、俳優の影を高さ30mの法王庁の壁面に映し出す仕掛け、そして人を二種類に分けない王女アンティゴネの思想に日本人の死生観を重ねた演出は、大きな反響を呼びました。

 本作は、今秋、ニューヨーク・ワシントンを中心会場に開催している日本博「Japan 2019」の公式企画として招聘を受け、再演が決定しています。会場は、かつての軍事施設であり、現在は世界の名だたるアーティストがライブやインスタレーション等を行う「パーク・アベニュー・アーモリー」。ドーム型の高い天井と広々とした空間を誇る「ドリル・ホール」に、アヴィニョン法王庁中庭での上演時とほぼ同じ規模の水を張った舞台、1,000席の客席を設え、壁面に俳優の影を映し出す演出も再現します。

 なお2020年のNIPPONフェスティバルでは、2017年のプレ公演を上回る規模の水を張った舞台を設置し、俳優の影を映し出す演出も再現するなど、アヴィニョン演劇祭や今秋のニューヨーク公演に迫るスケール感で上演します。

東京2020 NIPPONフェスティバル特設サイト内 共催プログラムページ

ニュース 今秋ニューヨークにて『アンティゴネ』上演決定!(「Japan 2019」公式企画)
 
ふじのくに野外芸術フェスタ2020静岡 宮城聰演出SPAC公演
アンティゴネ

構成・演出:宮城聰
作:ソポクレス / 訳:柳沼重剛 / 音楽:棚川寛子 / 空間構成:木津潤平
衣裳デザイン:高橋佳代 / 照明デザイン:大迫浩二 /ヘアメイク:梶田キョウコ
出演:SPAC

公演日 2020年5月2日~5日(予定)

会場 駿府城公園 紅葉山庭園前広場特設会場

<あらすじ>
舞台は古代ギリシャ・テーバイ。先の王オイディプスは自らの出生の秘密を知り、国を追われる。その妻であり母でもあるイオカステは自死を遂げた。残された二人の息子ポリュネイケスとエテオクレスは王位を競って争い、ポリュネイケスはアルゴスに追放される。やがてポリュネイケスはアルゴス勢を率いてテーバイに攻め入り、エテオクレスとの一騎打ちとなるが、オイディプスの呪いを受けた兄弟は相討ちとなって共に果てる。そして王位はイオカステの兄クレオンのものとなった。クレオンは国を守ったエテオクレスを手厚く葬り、反逆者ポリュネイケスの死骸を野に晒して野鳥の餌にすることを命じ、これに反した者を死罪に処すことを決める。だが、オイディプス王の娘アンティゴネは王令に従わず、いさめる妹イスメネにも抗して、兄ポリュネイケスに埋葬の礼を施すことを決意する…。

 
 
2017年アヴィニョン演劇祭 法王庁中庭での公演映像(ダイジェスト)

 
アヴィニョン演劇祭招聘参加 報告書(「しずおかイーブックス」にてお読みいただけます)
作品紹介 アンティゴネ(アヴィニョン公演)
ブログ アヴィニョン法王庁日記(文芸部・横山義志)
 
2017年アヴィニョン演劇祭での公演の際の現地での劇評

「ル・モンド」紙 2017.7.8
2014 年、ブルボン石切り場で上演した『マハーバーラタ』で人々を魅了した「美」。我々は法王庁に、あの「美」を再び見出した。
 
2017年アヴィニョン演劇祭での公演の際の観客のコメント

フランソワーズ・ニセン氏(フランス文化大臣)
昨日の公演は衝撃でした。本当に。何と言っても「時間」という概念の捉え方ですね。物事はどのように移り変わってゆくのか。あの演出の肝はやはり「時間」をどう扱うかという点にあって、それにあの水と衣裳と…とにかく圧倒されました。全く新しい『アンティゴネ』の在り方に目を開かれたという気持ちです。過ぎ去った時間を眺めて…今の私たちに必要なことだと思います。

ルイ・シュヴァイツァー氏(元ルノー自動車会長兼CEO・アヴィニョン演劇祭理事長)
ブルボン石切場での『マハーバーラタ』に続き、法王庁でこれほどの舞台はなかなか観ていません。

オリヴィエ・ピィ氏(劇作家、演出家、俳優、アヴィニョン演劇祭ディレクター)
偉大な芸術であると同時に誰をも楽しませる。それが我々の考える「民衆演劇」で、宮城聰さんは期待にこたえてくれた。権威あるギリシア悲劇の専門家が、ダンスや音楽に合唱(コロス)をまじえた今回の上演は古代の上演イメージに最も近いと評していた。難しい空間を模範的に使っていたと思う。