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2023年6月13日

『人形の家』中国・阿那亜公演

SPAC-静岡県舞台芸術センターは、中国河北省秦皇島市で開催される「阿那亜演劇祭」の招聘を受け、6月23日〜25日に『人形の家』(宮城聰演出)を上演いたします。
本作は宮城聰の新演出で、1879年に発表されたヘンリック・イプセンの代表作を、1935年の日本に舞台を移し“和装の「人形の家」”として上演され、今回が初の海外公演となります。
*初演:2023年1-3月「SPAC秋→春のシーズン2022-2023」(公演情報はこちら

人形の家
演出:宮城聰
作:ヘンリック・イプセン
訳:毛利三彌(論創社版)
出演:たきいみき、加藤幸夫、武石守正、葉山陽代、bable、森山冬子
■ 公演日:2023年6月23日、24日、25日 各日19:30開演(全3公演)
■ 会 場:A劇場
*公演詳細ページはこちら
 
阿那亜演劇祭(Aranya Theater Festival)
会期:2023年6月15日~25日
https://www.aranyatheaterfestival.com/
ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、ハンガリー、日本など海外からの招聘14作品を含め、全38作品が上演される中国の国際演劇祭。
この演劇祭の共同芸術監督の一人である演出家・孟京輝さんは、「ふじのくに⇄せかい演劇祭2023」『アインシュタインの夢』を上演されました。
 


 
『人形の家』初演 劇評
日本経済新聞(2023年2月17日掲載)より
SPAC「人形の家」 能の様式で生の孤独に迫る  内田洋一

地域演劇の雄、静岡県舞台芸術センター(SPAC)の創作から目が離せない。女性の自立をめぐるイプセンの代表作を今回取り上げ、今に通じる生の孤独を映し出した。初めて作品にふれる人にもすすめたい見事な舞台だ。(中略)たきいみきのノーラはひりついた感じ、夫にさわられて心が凍るさまが生々しい。絶望をへて、未来を見すえた祈りにいたる変転が鮮やかだ。今に通じる世の忖度や保身を嘆き、本当の人生を希求する魂。何度もみた作品だが、家出の意味をとらえ直すノーラの「変身」にこれまでにない力を感じた。ノーラは過去から能のシテのように現れて、去る。調理の音が心理を波立てる太鼓の音に転じ、テーブルが浮遊する。非現実的空間への転移がさえ、闇のなかの無言の子供が効いている。鍛錬されたせりふが味わえる室内楽的秀作といえよう。
 
悲劇喜劇 2023年5月号<演劇時評>より  田中伸子
昭和一〇年の話に置き換えているものの、印象としては今の日本の私たちの話にも思えてくる。 ジェンダーギャップが先進国で一番 低いといわれているような日本の夫婦間も しくはカップルの話であるということが、 宮城さんの演出によって際立ち、過去の海外の話というよりも今の私たち自身の物語として響いてきた。