SPAC、そして宮城聰と深い関係を築いてきたフランスの演出家、クロード・レジ氏が亡くなりました。
クロード・レジ氏の関わりは2010年「Shizuoka春の芸術祭」(「ふじのくに⇄せかい演劇祭」旧称)での初来日公演にさかのぼります。フェルナンド・ペソア作『彼方へ 海の讃歌(オード)』が日本の観客にも熱烈に受け入れられました。
その後、1985年フランスでの上演以来レジ氏の念願であった『室内』のリ・クリエーションを、2013年にSPAC俳優とともに果たしました。静岡、そしてパリで3か月に及ぶ稽古を重ね、同年6月に世界初演。この共同制作作品は、アヴィニョン演劇祭2014公式プログラムの招聘を受け、ヨーロッパツアーも果たしました。闇と沈黙が生み出す比類ない世界は、ヨーロッパの観客からも圧倒的な支持を得て、「アヴィニョン演劇祭で記憶すべき10作品」(ル・モンド紙)の中に挙げられました。翌2015年には、KAAT神奈川芸術劇場、静岡県舞台芸術公園にて待望の凱旋公演を行い、再び日本の観客を魅了しました。
静岡での最後の公演となったのが、まだ記憶に新しい「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」での『夢と錯乱』です。会場は、これまでの公演と同じく、レジ氏が愛してやまなかった漆黒の空間「楕円堂」。ゲオルク・トラークルの狂おしくも豊かな詩の世界を、ヤン・ブードーという俳優のシャーマンのような身体を通じて現出させました。
クロード・レジ氏のご冥福をお祈りいたします。
クロード・レジ氏とSPACの歩み
2010年「Shizuoka春の芸術祭」
『彼方へ 海の讃歌(オード)』舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」 日本初演
クロード・レジ×SPAC共同制作『室内』上演歴
2013年
6月 ふじのくに⇄せかい演劇祭2013[静岡] 世界初演
2014年 ヨーロッパツアー
5月 ウィーン芸術週間[オーストリア]
5月 クンステン・フェスティバル・デザール[ベルギー]
7月 アヴィニョン演劇祭[フランス]
9月 フェスティバル・ドートンヌ・ア・パリ[フランス]
2015年
9月 アジア芸術劇場 オープニング・フェスティバル[韓国・光州]
国内凱旋公演
10月 KAAT神奈川芸術劇場[神奈川]
10月 静岡県舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」[静岡]
2018年「ふじのくに⇄せかい演劇祭2018」
『夢と錯乱』舞台芸術公園 屋内ホール「楕円堂」
▼2013年『室内』クロード・レジ インタビュー
▼2013年『室内』アフタートーク