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2014年7月13日

アヴィニョン演劇祭参加の記(6)

SPAC文芸部 横山義志
2014/07/03

アヴィニョン演劇祭は明日から開幕・・・の予定。ただし、今年は舞台芸術や映画に関わる労働者の失業保険制度をめぐる紛争があり、フランスではいくつものフェスティバルがストライキによって中止になっている。今日はアヴィニョン演劇祭インで働く方々の集会が開かれた。招聘されたカンパニーのメンバーにも参加の権利があるという。ふだん石切場でクールに働いているスタッフたちも、この職業の未来について熱く語っている。一方で、抗議行動の手段についての話になると、「法王庁に横断幕を掲げるとすると、幅18メートルくらいで、4人で作業すれば午前中いっぱいでできるかな」「スピーカーはあれをあそこから調達して、プロジェクタは3台いるかな」などと、技術スタッフが多いだけにえらく具体的な話になったりする。

投票の結果、明日7/4の開幕日にストライキを行うことが決議された。ただ、ストライキへの賛意は6割ほどで、具体的な行動は個々の判断に任せる、というもの。

石切場に戻り、照明スタッフと話すと、「やはり明日7/4に1日間のストライキを行うことにするが、今日から明日にかけて午前5時まで照明フォーカスの作業が予定されていて、それができないとまともに初日が開けられないのは目に見えているので、ストライキを5時間ずらし、7/4の午前5時から24時間のストライキを行うことにした」という。一緒に稽古を見たりしていると、みんな舞台が好きなのがよく分かる。当然、みんな仕込みが遅れているのはよく分かっていて、「政府のやり方に問題があるにしても、自分の行動の結果は意識しているし、それについての責任を負うのは自分だ」という。

明日は一日、全てのスタッフがストライキを選択することが分かり、石切場への入場もできなくなったので、一日自主作業となった。

午前5時、SPACの照明スタッフが作業を終えて退出しようとしたとき、はじめてこの明日のスケジュール変更を聞いて、あわてて照明卓に戻る。すでに全ての電源が落とされていたところに、「ごめん、もう一度卓の電源を入れてくれる?明日ホテルでデータの整理をしたくて・・・」と帰り支度をしているフランス側スタッフに聞くと、疲労の色を見せながらも、笑顔で「もちろん」とブースに戻ってくれる。

夜が白むなか、石切場をあとにする。
 
 
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アヴィニョン演劇祭 公式プログラム
SPAC 『マハーバーラタ~ナラ王の冒険~』
公演日程:7月7日~19日  会場:ブルボン石切場  ※詳細はこちら