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2020年3月28日

【大解剖!『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の魅力】
Vol.3〜稽古場レポート・前編〜

3月も終盤に差し掛かってきましたね。
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』は、3月17日よりいよいよ稽古が始まりました!
 
今回のブログでは写真と合わせて、稽古場の様子をお届けします♪
 
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▲初日から、さっそく読み合わせがスタート! 稽古は静岡芸術劇場6Fのリハーサル室にて行われています。
 
 
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▲時に配役を入れ替えながら、全編通しての読み合わせを繰り返し行います。
 
 
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▲ひと通り読み合わせを終えると宮城から、唐戯曲独特のセリフの言い回しについて説明が入ります。
「唐十郎は、執筆している時に思ったことをそのまま、同時に、書いているんです。だから、役者はセリフを喋る時に、あたかもその時に思ったかのように喋らなければならない。競馬の実況中継みたいに(笑)全てのセリフが”生中継”で書かれているので、その先のセリフを想定しながら喋る、なんてことはできないんです。」

 
 
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▲劇中で使われる曲についても宮城から解説が入り、(この作品は劇中歌がとっても多いんです!)この日は森進一について。歌い方はデビュー当時から全く変わっていないのだとか! キャストたちはスマホを使って調べたり、メモをしたり…。
 
 
 
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▲稽古2日目には、舞台美術の模型をキャストにお披露目。美術デザインを担当しているカミイケタクヤさんより舞台装置についての説明が行われ、俳優たちは代わりばんこに模型を覗き込んでいました。
 
 
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▲宮城は具体的なシーンを提示して、舞台装置の使い方や見せ方を解説し、稽古の方法をキャストやスタッフたちと論議。台本×役者×舞台装置がどのように相乗効果を発揮していくのか、乞うご期待です!
 
 
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▲休憩時間に舞台装置の模型を眺める宮城。模型を色んな角度から覗いたり、動かしてみたり…。
 
 
作品のピースが徐々に揃い始めてきている稽古場。
次のブログでは、現在、組み立て作業を行なっている舞台美術の現場からお届けします!
次回もどうぞお楽しみに♪

写真・文:宮川絵理(制作部)



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ふじのくに⇄せかい演劇祭2020
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』
2020年4月25日(土)、26日(日)、29日(水・祝)
各日18:00開演
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
演出:宮城聰
作:唐十郎
美術:カミイケタクヤ

出演:泉陽二、奥野晃士、春日井一平、片岡佐知子、河村若菜、木内琴子、鈴木陽代、関根淳子、たきいみき、ながいさやこ、牧山祐大、宮下泰幸(50音順)
★公演詳細はこちら
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2020年3月17日

【大解剖!『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の魅力】
Vol.2〜あらすじ紹介編〜

SPACの新作野外劇『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の稽古が、本日より始まりました!今後のブログで、稽古場の様子をレポートしていく予定ですので、皆さまどうぞお楽しみに。
 
さて、今回のブログでは、本編のあらすじ紹介にのせて、知っているとより観劇が楽しめる戯曲の魅力についてご紹介します♪ なお、「観劇前にあらすじは知りたくないな…」という方は、観劇が終わってから読んでくださいね。(笑)
 
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▲『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』 イメージ・ビジュアル
 
 
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』は、演出家・劇作家である唐十郎が主宰していた劇団・状況劇場で1976年に初演されました。当時、状況劇場では春と秋に公演を行なっていました。春に全国ツアー向けの大きな作品を上演し、秋には(春と比べれば)少し小規模な作品を上演していたようで、本作は秋公演で上演するために作られた長編の一幕劇です。
 
 
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▲(左)本作が収録されている、『唐十郎全作品集 第五巻』(冬樹社)
(右)単行本『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』(角川書店)こちらは合田佐和子さんによるビジュアルがとても印象的です。

 
 

〜あらすじ①〜

物語の舞台は、誰か知る相愛橋のある横丁。
すえたどぶ川の袂でさびれた傘屋を営む、ひとりの若僧・おちょこ。彼は、傘の修繕を頼みに来た女性客・石川カナへ片思いの真っ最中。いつか彼女に「メリー・ポピンズの傘を持たせる」と言いながら、預かった傘を開いては台の上から飛び降りて、「おちょこの傘」にならなくする為の実験に日々励んでいる。そんな彼の様子を傍目で見ているのは訳アリ男・檜垣。彼は一週間前にトラブルを起こし、瀕死状態でいたところをおちょこに助けられ、それ以降、傘屋に居候中なのであった。

 
 
「おちょこの傘」ってなんだろう?

本作のタイトルやセリフにもよく出てくる「おちょこの傘」というフレーズ。皆さんはこの言葉を聞いて、なんとなくイメージが湧きますか? いわゆる「おちょこの傘」とは、強風などによって傘がひっくり返り、おちょこのような形になった状態。例えば、「いやー、今日は雨風ひどくて、傘がおちょこになっちゃったよー。(笑)」といった感じで使われる言葉なのですが、意外と耳馴染みがなくなっているようで、「“おちょこの傘”って何?」と質問を多くいただきます。演出の宮城曰く、それは昔に比べて、骨組みの素材や構造が変わり、おちょこにならなくなっているからなのだそう。(でも最近よく売られている「耐風傘」はおちょこになるのだとか…!)
 
さて、「おちょこの傘」の具体的なイメージはこちらです↓
 
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▲1842歌川国芳『文屋康秀/百人一首之内』(大英博物館蔵)
 
こちらは江戸時代末期に活躍した浮世絵師・歌川国芳によって描かれた浮世絵です。中央の男が持っている番傘が強風により吹き飛ばされてひっくり返っている、というちょっとお茶目な絵ですね〜。これで「おちょこの傘」に対するイメージが少し湧いてきたでしょうか?
 
 

〜あらすじ②〜

ある日、カナが店へやって来る。今晩、銀河鉄道に乗ってこの街を出て行く為、修理に出した傘を取りに来たのだと言う。留守中のおちょこの代わりに応対をした檜垣は、彼女が、その昔自分が芸能プロダクションのマネージャーをしていた頃に関わった、ある事件の当事者であることに気づく。その事件とは、檜垣が当時担当していた人気歌謡歌手と石川カナのスキャンダルの果てに引き起こされた、人気歌謡歌手の母の自殺。実はカナは、その母親が書いた遺書の行方を追って、下関にある墓へ行こうとしていたのだった。そうとも知らず、1年前にプロダクションを辞めて、今はヤクザとして暮らしていると話す檜垣。1週間前にカナが投稿した新聞広告を見て、彼女に会うために相愛横丁へやってきたというのだった。

 
 
題材は有名人のスキャンダル

本作は、当時世間を賑わせた有名人のスキャンダルを元にして作られた作品として知られています。宮城によると、唐戯曲はその当時の事件(いわゆる時事ネタ)が元になっていることはよくあるのだが、有名人のスキャンダルを題材に作品を作ったのは非常に珍しいのだとか。
 
この戯曲の元となったのは、歌手の森進一を相手どり「婚約し男児までできたのに、婚約を破棄した」として婚約不履行による損害賠償を求めた事件で、作中では人気歌手の母の自殺が語られる(森進一の母親は1973年2月に東京都世田谷区の自宅で自死)など、現実に依拠した部分も多く語られています。
 
※事件そのものは、1973年7月、山口地裁下関支部で「原告(石川玲子)の主張は信用性がない」として原告の請求が棄却され、 翌74年6月、広島高裁も「異常なファン心理から妄想を抱いた疑いがある」として控訴を棄却し、森進一側の全面勝訴で終わっています。
 
この事件以外にも、1960〜70年代ならではの時事ネタが所々に現れていますので、そういった点にも注目して観ていただくと面白いかもしれません。
 
 

〜あらすじ③〜

そこへおちょこが店に戻ってきてカナと再会。しかし、今夜カナがこの街を去ることを知り、おちょこは「住む所が決まったらハガキをくれ、自分もそこへ引っ越す」と言う。そして、餞別だと言ってお金を渡すおちょこに、カナはあの事件にちなんだ狂言をさせる。しかし、狂言をさせたことを檜垣に咎められて混乱するカナ。それを落ち着かせようと、檜垣は人気歌謡歌手の母親が書いた遺書をカナに渡すのだが…。

 
これ以上書いてしまうと完全ネタバレとなってしまうので、あらすじはここまでにしておきましょう。ラストはぜひ劇場で目撃ください!
 
 
劇中歌は流行歌

劇中歌がたくさん使用されているのも、この戯曲の見どころのひとつです。劇中には当時の流行歌が数多く登場しており、例えば、森進一さんの「冬の旅」や、フィル・オクス(アメリカ人シンガーソングライター)の「No more song」、映画『メリー・ポピンズ』に出てくる「チム・チム・チェリー」など印象的な曲が使われています。曲が気になる方は、ぜひ動画サイトなどで検索してみてください!また、本編には他にもたくさんの曲が登場しますので、音楽にも注目して観ていただけると、よりお楽しみいただけると思います。
 
 
いよいよ次回のブログでは皆さんお待ちかね、稽古開始の様子をレポートします♪
ぜひお楽しみに!

文:宮川絵理(制作部)



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ふじのくに⇄せかい演劇祭2020
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』
2020年4月25日(土)、26日(日)、29日(水・祝)
各日18:00開演
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
演出:宮城聰
作:唐十郎
美術:カミイケタクヤ

出演:泉陽二、奥野晃士、春日井一平、片岡佐知子、河村若菜、木内琴子、鈴木陽代、関根淳子、たきいみき、ながいさやこ、牧山祐大、宮下泰幸(50音順)
★公演詳細はこちら
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2020年3月12日

『メナム河の日本人』の魅力⑥ 「一区切り」

「秋→春のシーズン2019-2020」最後の作品『メナム河の日本人』は、2月15日~3月11日まで上演の予定でした。2月27日時点での新型コロナウイルス感染状況と、政府の感染症対策本部の方針および県の方針を踏まえ、2月29日以降の公演がやむを得ず中止となりました。
残る3回の一般公演にご来場予定だった皆様、また、これから中高生鑑賞事業公演に来場予定だった18の中高・特別支援・専門学校の約2,500名の皆様にご覧いただくことが叶いませんでした。29日に無観客で記録撮影のための上演を行い、それが大千穐楽となりました。
 
今回のブログでは、以下の2つをお届けします!ぜひご覧ください。
お届けしきれなかった舞台写真たち
写真で「バックステージツアー」
 
 

 お届けしきれなかった舞台写真たち

 
『メナム河の日本人』は昨年の夏6月28日~7月12日の第一期稽古、また1月4日からの第二期稽古を経て上演されました。
主人公の山田長政は、静岡に生まれ江戸時代初めに単身アユタヤ(タイ)にわたり活躍した歴史上の人物で、静岡市内には長政ゆかりの地が数多く存在しています。SPACでは関連企画として、ゆかりの地をめぐる「リーディング・カフェツアー」を開催し、静岡浅間通り商店街の歴史委員の皆さんは公演を記念して街歩きイベントを開催してくださいました。

関連ブログ
長政ゆかりの地でリーディング・カフェ♪(2019.11.12)
第一期稽古振り返り(2020.1.24)
「おためし劇場」開催レポート(2020.2.1)
山田長政と「メナム河の日本人」ゆかりの地めぐり 開催しました
 (2020.2.24/外部リンク・静岡浅間通り商店街ブログ 【夢門前ニュース】)

 
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こちらは、中高生鑑賞事業公演で配布していた鑑賞パンフレットの出演者紹介ページ。
遠藤周作が史実を元に造形した主人公・山田長政は、SPAC初参加の林大樹さんが演じました。
また、遠藤周作の小説『王国への道』『銃と十字架』でも登場する神父は、女性である布施安寿香が演じました。
あらすじや演出ノートなどボリュームたっぷりな鑑賞パンフレットは、「しずおかイーブックス」よりご覧いただけます。
 
公演中止までに公開できていなかったトレーラーと舞台写真たちをぜひご覧ください。
 

 
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 写真で「バックステージツアー」

 
公演中止となった残り3回の一般公演の関連企画は、終演後に創作・技術部が舞台裏をご案内する「バックステージツアー」でした。少しですが、写真で舞台裏をご紹介します!
 
写真は2/24に開催したバックステージツアーより、衣裳スタッフによる説明の様子。ほかにもお客さんに実際に舞台に上っていただき、音響や照明を体験していただきました。
 関連ブログ   開幕しました!&衣裳の秘密(2020.2.19)

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美術に使われたのは大量の布たち。劇場入りしてからの稽古では、舞台美術の見え方や仕掛けなど、演出家・俳優・美術班・舞台班のメンバーで日々検討が重ねられました。
 関連ブログ  舞台美術ができるまで(2020.2.6)

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舞台から客席のほうを見るとこんなふうになっていました。
舞台後方には俳優の出入りで使用する切り穴が。こちらは奈落に繋がっていて、俳優たちは舞台裏にあるエレベーターを使って移動していました。
 関連ブログ  『メナム河の日本人』スタッフインタビュー(舞台監督:山田貴大)(2020.2.18)

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こちらは「バックステージツアー」でも立ち入れない舞台袖。俳優たちが使用する小道具が上手と下手にそれぞれ準備されています。王妃役・大内智美が手に持っているのは、チェト・ター王子の人形です。

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演出の今井朋彦さんは、無観客上演の千穐楽が終わった後、最後の集合を朗らかに締めくくりました。

「こういうかたちで終わってしまったのは残念ではあるけれども、何らかの意味を持っているんだろうと考えています。そのひとつの大きな意味は、「もう一度やりましょう」ということではないかと思っています。必ずまたこのメンバーで会えることを願って、今日のノーツは再演の稽古初日に発表します(笑)。
ぜひこのメンバーで近い将来再演をしましょう。今日で「一区切り」ということで、ここまでの皆さんのご尽力に感謝します。ありがとうございました。」

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SPACは現在、招聘するアーティストたちとも緊密に連絡を取りながら、予定通り開催に向けて「ふじのくに⇄せかい演劇祭2020」の準備を進めております。いまどうしてもご覧頂きたい演目を揃えたこの演劇祭をぜひ皆様に安心して楽しんでいただけるよう、最大限の努力をしてまいります。ゴールデンウィークに皆様と劇場でお会いできますことを、SPAC一同、心より楽しみにしております。
『メナム河の日本人』も、また近いうちに同じ座組で集まって、皆様にご覧いただくことができますように。

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SPAC秋→春のシーズン2019-2020 #5
『メナム河の日本人』
2020年2月15日(土)、16日(日)、23日(日・祝)、24日(月・休)、29日(土)、
3月1日(日)、7日(土)

※新型コロナウイルス感染状況と、政府の感染症対策本部の方針および県の方針を踏まえ、2月29日(土)以降の『メナム河の日本人』公演の中止を27日に発表いたしました。詳細はこちらのページをご覧ください。

各日14:00開演
会場:静岡芸術劇場
演出:今井朋彦
作:遠藤周作
出演:林大樹、阿部一徳、大内智美、大高浩一、奥野晃士、加藤幸夫、小長谷勝彦、佐藤ゆず、たきいみき、布施安寿香、三島景太、山本実幸、吉植荘一郎、渡辺敬彦
★公演詳細はこちら
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2020年3月6日

【大解剖!『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』の魅力】
Vol.1〜宮城聰に聞いてみました〜

今年の「ふじのくに⇄せかい演劇祭」で上演する、SPACの最新作『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』。このブログでは、本作の担当制作・宮川が作品の魅力や見どころについて、じっくりご紹介していきたいと思います!開幕までお付き合い頂けたら嬉しいです♪
 
先日「ふじのくに⇄せかい演劇祭」の会員先行チケット発売(3/1~)にあわせて、『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』演目紹介movieが公開されました!
 

 
第1回目のブログでは、3月中旬の稽古開始に先駆けて、本作上演へ至った経緯、また現段階での作品の見どころを演出の宮城聰に聞いてみました。
(本インタビューは、上記の演目紹介動画を作成する際に収録したインタビューの全編です。)
 
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宮城 聰 MIYAGI Satoshi
このお茶目なポーズのヒミツは動画の最後で明らかに♪気になる方は、ぜひ上記の動画を最後までご覧ください!
 
 
--新作『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』上演に向けて、ひと言お願いします。

今年僕が唯一、新作として手掛けるのが『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』です。僕が唐十郎さんの戯曲を演出するのは『ふたりの女』に続いて2作目で、会場も同じく舞台芸術公園の野外劇場「有度」での上演です。
 
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▲舞台芸術公園 野外劇場「有度」
 
--今回、なぜ改めて唐十郎さんの戯曲を上演するのでしょうか?

僕はちょうど1年前に駿府城公園でヴィクトル・ユゴーの『マダム・ボルジア』という戯曲を上演しました。ご存知の通りヴィクトル・ユゴーは、『レ・ミゼラブル』や『ノートルダム・ド・パリ』といった作品も書いていて、考えようによっては、世界で最も上演されている舞台作品の原作者です。
 
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『マダム・ボルジア』(演出:宮城聰、原作:ヴィクトル・ユゴー)
 
僕がユゴーの戯曲を演出していて驚いたのは、作家の方が観客よりもなにがしか上の立場にいて、「観客がまだ知らないことを作家の私は知っているよ。だから観客の皆さんに教えてあげるんだよ。」っていうスタンスが全くないんです。皆目ないんですよ!
つまり、作家が書きながら、読者あるいは観客と全く同時にその出来事を体験している。作者自身が「へー、こうなるんだ!」っていう感じで、まるでその場に立ち会っている人のように書いているんです。

 
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『マダム・ボルジア』(演出:宮城聰、原作:ヴィクトル・ユゴー)
 
「これはすごいな、ヴィクトル・ユゴー、だから天才なんだ!だから世界で上演されるんだ!」と思った後でふと、「あ、これ何かに似てるぞ、そうだ唐十郎さんの戯曲だ。」と気づいたんです。
 
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『ふたりの女 ~平成版 ふたりの面妖があなたに絡む~』(演出:宮城聰、原作:唐十郎)
 
観客と唐さんが全く同時に体験しながら、あたかもその場に唐さんがいて、その様子を書き留めているかのように戯曲が出来上がっている。「これが観客と舞台の、真の平等性なんだ。舞台の方が偉くて、観客に対して上から下に情報を流すのではない、観客と舞台が本当にフラットなんだ。」と。ヴィクトル・ユゴーの戯曲をやりながら、その関係性が真の天才の手によって成し遂げられいて、唐さんの戯曲もそういうものだなと思い、それで今年も唐さんの戯曲をやってみよう、と思いました。
 
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▲『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』イメージ・ビジュアル
 
--舞台美術はカミイケタクヤさんです。

カミイケさんとは『寿歌』で初めて出会って、僕はそのセンスに非常に惚れ込みました。
 
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▲カミイケタクヤ氏
 
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『寿歌』(演出:宮城聰、作:北村想、美術:カミイケタクヤ)
 
「芝居を心の底から好きだ」ということと、一方で、舞台美術を一人の作家として作っていく作家性。実は、この二つは両立しにくいものなんです。作家性の方が前に出てくると、「これは私の造形作品です」という風になってきて、芝居に奉仕している感じがなくなってくる。また芝居に奉仕すると、裏方的な感じになってきて、舞台美術も作家の作品なのだという雰囲気が減ってしまう。しかし、カミイケさんはその両方のバランスができていて、成立しているんですね。「芝居の熱狂的なファンである」という熱を持っていながら、彼なりに戯曲を読み込んだ上で、彼なりの作品として提出している。それは一種の演出ですね。そんなカミイケさんの舞台美術にも、ぜひご期待ください。
 
☆★☆
 
また、先日グランシップ内にて「ふじのくに⇄せかい演劇祭2020」のプレス発表会が行われた際に、『ふたりの女』にも出演していた俳優のたきいみきと奥野晃士が登壇し、本作出演への意気込みを語りました。
 
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「私たちはSPACの”チーム・アングラ”(笑)として、唐戯曲のきらめくような言葉の数々を身体を通して語っていけるよう、また新たにチャレンジしていきたいと思います。」(たきい)
 
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「唐戯曲をやっているときの宮城さんは、まさに“演劇に恋した”状態。その中で生まれる今作を他にはない形で上演できるよう、アングラのスピリットを宮城さんから受け取っていきたいです。」(奥野)
 
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SPAC”チーム・アングラ”による『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』。稽古の開始がより一層楽しみなりました♪
次回のブログでは、「戯曲の魅力」をご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

構成・文:宮川絵理(制作部)



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ふじのくに⇄せかい演劇祭2020
『おちょこの傘持つメリー・ポピンズ』
2020年4月25日(土)、26日(日)、29日(水・祝)
各日18:00開演
会場:舞台芸術公園 野外劇場「有度」
演出:宮城聰
作:唐十郎
美術:カミイケタクヤ

出演:泉陽二、奥野晃士、春日井一平、片岡佐知子、河村若菜、木内琴子、鈴木陽代、関根淳子、たきいみき、ながいさやこ、牧山祐大、宮下泰幸(50音順)
★公演詳細はこちら
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